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街中フェス?「下北沢インディーファンクラブ」主催者・角張渉インタビュー前編

地元の夏祭りなどもそうですが、街の中で「非日常」が展開されるあの不思議な楽しさは、アウトドア型や都市型フェスとはひと味違った魅力があります。

昨年、好評と共に幕を閉じたライブサーキット「下北沢インディーファンクラブ」が、今年も6月26日に開催されます。オルグではその主催者のひとりである角張渉さん(カクバリズム)にインタビューし、インディーファンクラブを始め、フェスについて色々聞いちゃいました!

Photo by Yusuke Kitamura

■ユルさもあるライブサーキットを

「もともと中学時代の同級生が下北沢ナイトウォーカーっていうオールナイトのライブサーキットをやったんです。自分も参加していたんですけど、そのイベントが盛り上がって『ああ、こういうのいいなあ』って思ったんです」

サケロック、ユアソングイズグッドなど、国内インディーレーベルの中でもひときわセンスのあるアーティストが所属し、フジロッカーにもよく知られているレーベル・カクバリズム。「自分がやりたいって思った『かっこいい音楽』をみんなやってくれていて」と話すオーナーの角張渉さんですが、イベント主催者としては今回どんな流れでの始まりがあったのでしょう。

「日本にも、チケット1つで色々回れるライブサーキットはたくさんあるんですけど、ただ回れるだけじゃなくて、もっと街全体が盛り上がってるようなものができたらなって思ったんです。行ったことないんですけど、例えばサウスバイサウスウエスト(注:アメリカ・オースティンの街を舞台に行われるライブサーキット)みたいに、街中で勝手にイベントしたりライヴし始める奴がいる…っていうのを聞いて、そういうユルさがあるイベントいいなーと思ったのが始めたきっかけでした」

そして開かれた第一回。カクバリズム所属アーティストのほか、神聖かまってちゃんやORGA YOU ASSHOLE、SCOOBIE DOなど50組以上のアーティストが参加し、チケットもソールドアウトと盛況でした。ライヴの合間にコンビニエンスストアでお手頃ドリンク補給をする参加者や、Twitterを通じてリアルタイムに他会場の情報を集めることができるなど、アウトドアフェスにはない楽しみ方が印象的でした。その反面、人気アーティストに入場規制が起こるなど、運営の課題もあったようです。

「はじめてということもあって、タイムテーブルがうまくハマらず入場規制とか、並ばせ方とか運営的に見えていなかったりして反省の方が多かったので、『今年は無理かなー』と最初思ってました。ただ曽我部(恵一)さんに『ああいうのいいよ!毎年、いや毎月やったらいい』って言われたり(笑)、友達のバンドや僕よりも歳下のバンドの人に会うと『出してよ!』とか『出させてください』とかすごい言われたりして」

Photo by Yusuke Kitamura

■昨年よりも大きく広げて、さらに……

そして今年の開催となったインディーズファンクラブ。わずかコンサート1回分のチケット代で、昨年より増えた12ヶ所のライブハウス、現時点で100組以上(!)のアーティストを堪能できるというボリュームはもちろん、昨年の反省や新しい試みも加わる予定だそうです。

「今年はライブのほか、下北沢の呑み屋、DUKEやMORE、あと風知空知なんかでDJイベントとかをやろうとしていて、スチャダラのシンコさんやハーフビーなど友達のDJにも今声をかけています。これでサウスバイサウスウエストのように昼間っから呑める(笑)。ほかには物販は北沢タウンホールでやろうと思っていて。そことかでもなにかやれたらなーと思ってます。あとは…臨機応変にやるっていう部分は去年同様ですね!」

ライブハウスだけでなく、より間口を広げ、下北沢という街全体が会場になっていくであろう下北インディーファンクラブ、今年も楽しみですね。

ところで、実際にお会いして話を聞いてみて思ったのが、角張さんから伝わってくるレーベルオーナーや主催者としての立場を越えた、「現場」へ一石を投じたいという強い想い。学生時代はライヴハウスのスタッフをやり、そして卒業後は下北沢のディスクユニオン勤務というバックグラウンドを経てか、アーティストとリスナーの架け橋を担っている役柄をすごく感じます。

「インディーファンクラブにはリキッドルームを埋めるようなバンドが10~15組ぐらい出る。そういった人気のあるバンドがいつもとは違うハコで見られる、っていうのはもちろん、彼らと若手のバンドが対バンできるっていうのは若手にとってすごくいいなと思うんです。若い人達が『あのあこがれのバンドと!』『あの人達のお客さんくってやる!』って、そういう勢いがつくでしょ。みんな絶対良いライブすると思う。で、人気のあるバンドたちも絶対負けないようにすげー良いライブすると思う。そんな中で、注目のバンドとかが必ず出てくると思う。何気にバンドの体力を試される。燃える感じです。で、「旬」っていうのもおそらく出てくるんじゃないかなと。ここから色々なバンドが巣立っていったりすればいいなあと思います」

今後、インディーファンクラブはどういった方向で進んでいくでしょうか。

「インディーファンクラブがバンドマンの一つの目標になればいいなあと偉そうですが、思ってます(笑)。最近スタジオに行くと、どこも混んでるなーって思んですけど。で、ライブハウスもいっぱいあって、バンドもいっぱいいる。でもフェスに出られるのは一握りだったり、CDだってなかなか売れなかったりするじゃないですか。そんな時に『でればなにか変わるんじゃねーか』って思ってもらえたらって思います。

出演によってCDがちょっと売れるようになったり、100入ってるワンマンが200になったりっていうようになったら嬉しいですね。いつもライブばっかりやっているバンドが沢山でるので、気に入ったらその後も続けて見に行ってほしい。あとはインディーファンクラブっていう形の発信が仙台とか渋谷とかに移っていくとかそういう形になればいいかなとも思ってますが、ビジョンをまだちゃんと考えてはいません。とりあえず今は今年の成功をってことで、入場規制が起こらないようにとか、いい形を作りたいです」

…今回はここまで!次回はカクバリズム@フジロックということで、カクバリズムアーティストの軌跡(?)や当時の思い出などをご紹介します。

開催が迫る下北沢インディーファンクラブのチケットは現在発売中。お近くのプレイガイドや会場ライブハウス等でお買い求めください。

■下北沢インディーファンクラブ 2011
http://www.indiefanclub.com/
Twitter
■開催日
2011/6/26 日曜日
■開場 / 開演
11:00 / 12:30
■チケット
* 前売チケット:¥4,500
* 当日¥5,000

text by ryoji
取材協力:roji(〒166-0001 東京都杉並区阿佐ヶ谷2-13-4 2F TEL 03-6809-2110)

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