南兵衛@鈴木幸一さんインタビュー
『フェスティバル・ライフ』の著者、南兵衛@鈴木幸一さんインタビュー:後編

約1ヶ月前になりましたが、今年も晴れ渡って最高に気持ちよかった朝霧JAM。みなさんも楽しめましたか? そんな朝霧のムーンシャインで会った南兵衛@鈴木幸一さんは満面の笑顔だった。野外フェスによく似合う人なんだなとつくづく思う。
そういうフェスの気持ちいい空気が詰まっている本、『フェスティバル・ライフ――僕がみた日本の野外フェス10年のすべて』の著者である南兵衛さんのインタビュー後編である。前編に引き続いて、日本のフェスの将来やフェスの思い出を語っていただいた。
・南兵衛さんインタビュー前編
・『フェスティバル・ライフ―僕がみた日本の野外フェス10年のすべて』
・earth-gardenオフィシャル
【日本のフェスが進化するには】
フェスの現場は熟成しちゃってるんで、あんまり変化のしようのないところまできているけど、そこから先は社会が変わらないと起こらないんだよ。よく「フジの次の場所はどこなのかな」とスタッフの間では冗談めかして言うんだけど、自衛隊の東富士演習場しかないんだよね。あそこが使えるようになるには、社会が変わらないとダメで、社会が変わるには、フジにきていた子たちが、30代過ぎて力を持ってきて、もしかしたら自衛隊に入ってるやつもいるかもしれない。そこでフェスの良さとか社会的な意味をリアリティを持って語れるようになって初めて社会が変わるんだよ。
それとよく思うのは、日本を廻っていると、全国にゴルフ場が本当に多いんだよね。こんなにゴルフ場がいっぱいあるのにフェスティバル場が一個もないんだよね。苗場のグリーンステージのグッズ売り場から下の方を見ると、いかにも昔ゴルフ場でしたっていう形しているじゃん(注)。そう思うと、ゴルフ場潰してフェスティバル場作るとか、まだまだ変わっていくと思うんだよね。

(注)確かにグッズ売場がティーグランドで、ウォークロード後方(レジャーシートOKのエリア)がフェアウェイのように思える。
本で没になったけど、僕が作った計算式があって、イギリスが人口約6000万人で、グラストンバリーに15万~20万人以上来る、といういうことは、日本だと33万人くらいになるんだよね。イギリス並みのテンションあるならだけど。あとトランスのパーティーでニュージーランドから新婚旅行で日本にいて、東京でフライヤー見て、そのまま来ちゃったカップルがいたんだけど、ニュージーランドは人口約400万人で、一番大きいフェスが3万人集まるって。それを日本になおすと、100万人くらいになっちゃう(笑)。
ただ日本は土地の問題や時間の問題やロックの訴求力の問題とかあるし、グラストはイギリスの地元のバンドが圧倒的多数でるフェスなんだよね。ロック・イン・ジャパンがもっと幅の広いアーティストを集めたら10万くらいいくんじゃないの? まだまだいろんな可能性があるよ。
【これから中小のフェスがどんどん増えていく】
――これだけお客さんが増えると、フェスの理念を理解していない人が増えるんじゃないですか?
南兵衛:どうぞいらっしゃいって感じ。日高さんも同じこと言うと思うよ。それぐらいのものは、僕たちは作れていると思うからね。フジの現場がそんなに荒れてないと思うし。ごみに関して、A SEED JAPANはもっと夜とか頑張って欲しいけどね。もっとできるだろうと思うけど。
日本は地理が複雑で、広い場所で人を集めるのはできないけど、細かいことはすごく可能性がある国だから面白いよ。数万人規模の場作りは、もうそんなに起こらないけど、むしろ1000~2000や1万人規模のフェスは、かみ合わせで結構起こり得るし、これから中小のフェスは増えていくと思うよ。
――『フェスティバル・ライフ』の巻末には、500~1000人規模の野外イベントのやり方が具体的に書いてありますね。
南兵衛:編集者に「絶対入れろ!」って言われて無理矢理書かされたんだよね。でも、コアな人たちの反応は良かった。今年も青森の19歳の子がフェスやったり(注)……運営はめちゃくちゃだったらしいけどね。でもまあ、よくやったと言うべきだよ。
(注)7月29日におこなわれた、『AOMORI ROCK FESTIVAL.06'~夏の魔物~』のこと。
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