【LIVE】史上最高のオアシスがウェンブリー・スタジアムに堂々のカムバック!世界よ!これがロックだ!ロングライブレポート公開!
- 2025/08/21 ● REPORT
オアシスの「原点回帰」、それは様々な人々の思いや願いが紡いだ物語の先にあった
ライブ後、しばらく唖然として言葉が出てこなかった。共にライブを観ていた友人に感想を求められても、語彙力に乏しい返答しかできないほど呆然としていた。2025年のオアシスはそれほどまでに素晴らしかった。バンドの過去も現在も、そしてポジティブな歴史もネガティブな歴史も、それらバンド史に刻まれた“全て”が内包されたこの日のライブは、「原点回帰」という名の「オアシスというバンドの歴史への賞賛」でもあったような気がする。
そこには、2009年のバンド解散後のリアムとノエル、それぞれの道のりが深く関係しているように思えてならない。リアムはオアシス解散後、様々な困難を乗り越え、ソロシンガーとして覚醒した。一方ノエルは、ソングライターとして、シンガー・ソングライターとしてNGHFBで「オアシスからの脱却」そして「ひとりのソングライターとしての成長」を遂げ、ソロ最新アルバム『Council Skies』のテーマである「原点回帰」へと辿り着いた。
ノエルの原風景であるマンチェスターの公営住宅団地「Council Estates」。そこから見上げる幼少期の自分自身(もしかしたら、その想像にはリアムもいたのかもしれない)。そこを起点に作られた『Council Skies』、そこからスタートしたツアーのセットリストの、最新作から過去に遡り、最後を “Live Forever” から “Don’t Look Back In Anger” で締めくくる構成は、今になって考えてみると明らかにバンド「オアシス」への回帰を思わせる。
オアシス再結成を熱望し続けてきたリアムがソロシンガーとして完全に自立し、ノエルはオアシスに戻っていくようなライブも含めたクリエイティブを作り上げた。これらの事実だけ見ると再結成は必然だったようにも思えるが、おそらく理由はそれだけではない。兄弟が心から愛する母ペギー・ギャラガーの「兄弟同士仲良くしてほしい」という想いも大きかっただろうし、カーディフ公演でノエルが「ギターの彼がいなかったら、こんなことにはならなかっただろう」と語っていたように初期メンバーのボーンヘッドの存在も大きかった。
それら全てを踏まえた上で、今回のツアーセットリストと、それらが音源と変わらないアレンジで演奏された事実を振り返ってみると、やはりオアシスとしての『原点回帰』がそこには込められていた気がしてならない。そこに、今のリアムとノエルの”最高”をオアシスに注ぎ込む。結果、そこにはただの同窓会ではない、史上最高のオアシスが生まれたのだと思う。
リアルタイムでオアシスを聴いていたキッズたちは大人になり、親となった人もいる。そして、その子どもたちは、親の影響や自らの意思でオアシス、リアム、ノエルの楽曲を聴くようになり、結果ファンの層は大きく広がっていった。この日のウェンブリー・スタジアムで、そんな人々の期待に最高の形で応えたオアシス。オールドファンは「 “俺たちのオアシス” が最高になって帰ってきた!」と喜び、若いファンは「これが “オアシス” なのか!」と感動したに違いない。ライブが終わり、それぞれの余韻に浸る中、花火が打ち上がるウェンブリー・スタジアムの夜空の下には、ファンそれぞれが胸に抱く「オアシスという物語」が混じり合い、広がっているように見えた。
text by 若林修平
<SETLIST>
Live at Wembley Stadium (London), 2025.07.30
Intro. Fuckin’ in the Bushes
01. Hello
02. Acquiesce
03. Morning Glory
04. Some Might Say
05. Bring It On Down
06. Cigarettes & Alcohol
07. Fade Away
08. Supersonic
09. Roll With It
10. Talk Tonight
11. Half the World Away
12. Little by Little
13. D’You Know What I Mean?
14. Stand by Me
15. Cast No Shadow
16. Slide Away
17. Whatever
18. Live Forever
19. Rock ‘n’ Roll Star
EN01. The Masterplan
EN02. Don’t Look Back in Anger
EN03. Wonderwall
EN04. Champagne Supernova