• 【LIVE】史上最高のオアシスがウェンブリー・スタジアムに堂々のカムバック!世界よ!これがロックだ!ロングライブレポート公開!


    Photo by Shuhei Wakabayashi

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    フジロック’09のヘッドライナーのステージ以来、16年ぶりに観たオアシスのライブは、終演後もしばらく唖然としてしまうほど、期待の遥か数光年先を行くような、規格外のステージだった。それは、1994年のデビューから31年(解散中も含む)、彼らの歴史をパッケージしたとも言えるが、そこに同窓会的な雰囲気は微塵もなく、オアシスというバンドの歴史、バンドメンバーそれぞれの歴史、そして会場にいたすべての人たちが過ごしてきた今までのオアシス体験の歴史、それらを全てをこの場に凝縮させたような──かくも不思議な「集大成」であり「原点回帰」でもある最高な2時間だった。今回は7月30日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたライブの模様をレポートしていこうと思う。

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    日本でのラストライブとなった2009年のフジロック。あの時体験した “Champagne Supernova” は、あまりにも美しく幻想的だった。当日は一日中雨だった。トリの時間を迎える頃には雨足はさらに強まり、そのままライブに突入。ファンにとっては過酷な状況ではあったものの、その代わりに、降りしきる雨が照明に乱反射してきらめく、感動的な光景を生み出した “Champagne Supernova” は筆者にとってかけがえのない記憶として今も鮮明に残っている。あの奇跡的な体験があったフジロックから約1ヶ月後の2009年8月29日、突如バンドの解散が報じられた。筆者も当然ショックだったが、ライブでの感動体験が心に強く残っていた(バンドのピリオドに納得感を感じていた)からか、不思議とすんなり受け入れられた。あれから16年。あの日から止まっていた時計の針が、ついに動き出す──。

    2024年8月27日、「銃声が静まり、星が一列に並んだ。長い待ち時間は終わりだ」という印象的な一言とともに、リアム・ギャラガー(Vo/Tamb/Maracas、以下リアム)とノエル・ギャラガー(Gt/Vo、以下ノエル)の二人の最新ビジュアル写真を公開、16年ぶりの再結成とライブツアー『oasis Live ‘25』の開催を発表した。このニュースを受け、チケット争奪戦は壮絶を極めた。発売当日にはチケットマスターに全世界から約1,000万人ものファンがアクセスするほどで、かなり困難な状況ではあったが、なんとか7月30日のウェンブリー・スタジアムのチケットを手に入れることができた。

    チケットを入手した後も、日本公演(東京ドーム2DAYS)の発表と熾烈なチケット争奪戦、さらにはデビュー30周年記念のオアシス展開催など、オアシス関連の話題は尽きることがなかった。この1年間、筆者の頭から「オアシス」の存在が離れることはなく、16年という空白期間、そして1994年のデビューから解散、ギャラガー兄弟それぞれのソロ活動を経て、今回の再結成ツアーがどのように繋がっていくのか、常にその意味を考え続けてきた。だからこそ、「2025年のオアシス」がどのようなライブを見せてくれるのか、その時が迫るほどに期待に胸を膨らませていった。

    『oasis Live ‘25』は、2025年7月4日にカーディフのミレニアム・スタジアムで幕を開け、初日から圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了、その熱狂は瞬く間にYouTubeやXなどのSNS、ネットニュースを通じて世界中に拡散された。続くギャラガー兄弟の地元マンチェスターのヒートン・パークでの5日間のライブでは、言わずもがな凄まじいほどの熱狂ぶりを見せたという。そのマンチェスター公演のMCで、ノエルはこう語っていた。「(ツアーが始まって)この10日間、世界中の目がマンチェスターに注がれてきた。俺が言いたいのは、マンチェスターのみんな、お前らのことを心から誇りに思うってこと。この街に滞在して改めて感じた。マンチェスター、お前らは今でも本当に最高だ」。この言葉は、地元愛の強いノエルだからこそ出てくるものであり、同時に彼のリアルな感情が伝わってくるようでもあった。

    マンチェスター公演から約1週間、次なる会場は「ロックの聖地」と称されるロンドンのウェンブリー・スタジアムだ。映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンが伝説のパフォーマンスを披露したチャリティーイベント『ライブエイド』(今年で開催から40周年!)の会場でもあり、2007年に全面改装されたとはいえ、その歴史的な現場の空気の質の違いに思わず圧倒された。

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    筆者がウェンブリーを訪れたのは3日目。平日にもかかわらず、昼間から幅広い世代のファンが会場に詰めかけ、会場や現地のポップアップストア、アディダスショップで購入したオアシスグッズを身につけていた。開演まで数時間を切り、高まる緊張と期待を感じながら会場へと足を踏み入れた。

    溜まりに溜まった期待が爆発したイントロの“Fuckin’ In The Bushes”、そしてオアシスからの挨拶代わりの“Hello”!

    会場に入ってまず目を引いたのは、ステージのバックを覆うほどの超巨大なワイドスクリーン。まるで壁のようにそびえ立つスクリーンの手前には、ステージが突き出すように設置されていて、真横からでもオアシスのパフォーマンスを存分に堪能できるようなステージセットになっていた。

    20時15分、まだ明るさが残るロンドンの夕暮れ空の下、それまで流れていたSEが鳴り止んだ。
    ライブの開始を察知したファンから会場を揺らすほどの歓声が湧き上がる中、スクリーンにはアナログのデシベルメーターが映し出され、映画『未知との遭遇』のワンシーンの音声サンプリングに同期するように針が揺れ動く。さらに、セリフとともに、スクリーン全面にどデカく《THIS IS NOT A DRILL / これは訓練ではありません》という文字が映し出され、「覚悟しろよ!準備はいいか!?お前ら!!」とでも言いたげな挑発的な演出に、オーディエンスは「来いよ!いつでもいいぜ!」とボルテージを上げていく。

    Photo by Yuika Yamasaki

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    すると会場に鳴り響く爆音重低音ドラムビートが鳴り響く!待ちに待ったオアシスのライブの幕開けとなる “Fuckin’ In The Bushes” だ!スクリーンには、ギャラガー兄弟の過去から現在までの写真に加え、ツアー開始までのニュース記事やSNS投稿の切り抜きが目まぐるしくコラージュされ、次々と切り替わる。その間に挟み込まれる挑発的な言葉の映像が、オーディエンスの興奮をさらに煽っていく。

    《Oasis Reunited? Are Oasis Back? It’s on! It’s on! This is it, this is happening Rock Icons Reunited / オアシス再結成?オアシスは復活するのか?始まる!始まるぞ!これだ!これが現実になる!ロックアイコンが再結成だ!》

    そんな中、オアシスのメンバーが入場してくると、ファンは怒号のような大歓声を上げた。先頭を切って登場したリアムとノエルは、カーディフ公演やマンチェスター公演と同様に手を取り合い、両腕を頭上高く掲げて入場。カーディフ初日では照れたような表情を見せていたノエルだが、公演を重ねるごとに満面の笑みを浮かべるようになった。再結成に否定的で、リアムに煽られても柳のようにかわし続けてきたノエルが、今、満面の笑みで兄弟と手を取り合っている。この光景に、こんな日が来るとは…と感慨にふけってしまった。数々の困難を乗り越え、再結成を決意したノエルの心境を思うと感極まってくる。そんな感傷に浸っていたところに、リアムが放った一言。「Oasis is back. Yeah Yeah!Back in London Yeah!」。ハッとさせられた。これは紛れもない現実なのだ。

    そこからライブは本編に突入!1曲目の “Hello” が始まると、会場のオーディエンスは当然のように全力でシンガロング!《Hello, hello, it’s good to be back. / ヤァ、ヤァ、戻って来れて嬉しいぜ》と、バンドと一体となって歌える喜びを噛みしめる。続く “Acquiesce” では大合唱はさらに大きくなり、待ちに待ったリアムとノエルの掛け合いでは、リアムがノエルにパートを引き継ぐ際にちらりと視線を送る姿にすら、「ああ、仲直りした二人が…」と感動を覚え、涙。リアムからボーカルのバトンを受け取ったノエルは、《Because we need each other. We believe in one another. And I know we’re going to uncover. / 何故なら俺たちにはお互いが必要だから お互いを信じているから 俺はわかっているんだ》と歌い上げる。この “Hello” から続く歌詞は、まるでオアシスからファンへのメッセージのように響いた。

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    それにしても、バンドの仕上がり具合は、冒頭2曲だけでも目を見張るものがあった。リアムの伸びやかなボーカルからは好調ぶりがうかがえ、ノエルの安定したギタープレイに加え、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ(以下NGHFB)での経験から得た表現力豊かなボーカルを披露。バックを固めるのは、長年ギャラガー兄弟を支えてきたゲム・アーチャー(Gt)、後期オアシスを支えたライドのアンディ・ベル(Ba)、そして今回の再結成の立役者の一人でもあり初期オアシスの要的存在でもあったポール・“ボーンヘッド”・アーサーズ(Gt)という、前期・後期オアシスを支えた重要なメンバーたちだ。彼らそれぞれが現在のオアシスの“ベスト”なサウンドを奏でている。さらに、今回の再結成においてジョーイ・ワロンカー(Dr/Per)の存在は計り知れないほど大きい。彼の経験・経歴(アトムス・フォー・ピースなどに参加、リアムのソロではドラムも務めている)に裏打ちされたドラムテクニックは楽曲を最大限に引き立て、オアシスの爆音ウォール・オブ・サウンドを変幻自在な重低音ビードで支えるという、極めて重要な役割を担っていた。

    次ページへ:序盤から超弩級のセットリストは、あの曲を覚醒させ、新たなエネルギーを吹き込んだ

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