• 【LIVE】史上最高のオアシスがウェンブリー・スタジアムに堂々のカムバック!世界よ!これがロックだ!ロングライブレポート公開!


    Photo by Yuika Yamasaki

    Photo by Yuika Yamasaki

    ライブも終盤に差し掛かり、“Slide Away” ではスタジアムはフリーダムでパワフルな大合唱に包まれ、続いて披露された “Whatever” ではジャケット写真をセルフオマージュした草原の映像がスクリーンに映し出される中、ノエルのアコースティックギターによるイントロが始まると、音源のストリングスを真似てファンが《トゥッ トゥー ルットゥー〜》とメロディーを歌い出した。これは日本ではなかなか観られない、海外のファンならではの盛り上がりだが、リアムが歌う “Whatever” が20年以上ぶりということも、この熱狂をさらに加速させたのは間違いないだろう。さらに、曲のアウトロでリアムがザ・ビートルズの “Octopus’s Garden” の一節をカバーした瞬間、29年前のネブワース公演2日目でノエルが同じフレーズをカバーした光景がフラッシュバックした。この瞬間、筆者にとって現地で体験できなかった伝説のネブワース公演と2025年のウェンブリー・スタジアムが、まるで時を超え繋がっていくかのような感覚を与え、全身に鳥肌が立つほどの感動を覚えた。(この模様は、今年9月12日から全国の劇場で公開される映画『オアシス|ネブワース1996:DAY2 Sunday 11th August』で観ることができるので、ぜひ足を運んでほしい)。

    オアシスがファンと共に生き続けていく所以

    "Rock 'n' Roll Star" Photo by Shuhei Wakabayashi

    “Rock ‘n’ Roll Star” Photo by Shuhei Wakabayashi

    印象的なドラムイントロが流れ出すと、一気に涙腺が緩んだ。《永遠に生き続けるんだ》──この曲、そして言葉に、どれだけ多くの人が救われたことだろう。2004年のマンチェスター公演で、リアムが「これはお前たちの歌だ」と告げたのは、まさにこの曲 “Live Forever” だった。オアシスのすべてが詰まっていると言っても過言ではないこの曲を聴いて、改めて確信する。「だから俺たちはオアシスと共に生き続けるんだ」と。そんなファンの心情を理解しているかのように、リアムは途中からボーカルをファンに委ね、それにファンは感情のこもったシンガロングで応えた。スタンディングエリアの観客は思いっきり腕を振り上げ、スタンド席だった筆者の周りでは、見ず知らずの隣のファン同士が肩を組み、涙を流しながら歌い上げていた。

    そんな感動的な空気を一変させるように、本編最後に披露されたのは、“Rock ’n’ Roll Star” だった。“Fuckiin’ In The Bushes” と同じように、過去の記事や投稿の切り抜き、メンバーの写真が次々とコラージュされた映像がスクリーンに映し出される中、圧倒的な存在感で歌うリアムと、高圧力の爆音を轟かせるノエルたちの演奏、そしてそれをさらに巨大化させるファンのシンガロングによって、再びスタジアムのボルテージは最高潮に達し、会場をこの日十何回目かの一体化を果たした。極めつけは、スクリーン全面に映し出された「ROCK ‘N’ ROLL STAR」の巨大な横文字!その絶大なインパクトに、歌いながら思わずひれ伏してしまいそうになった。「俺たちのロックンロールスターは最強で最高だ!」そんな高揚感を残し、ライブ本編は幕を閉じた。

    オアシスとファンの歴史が凝縮された、魂を揺さぶる圧巻のクライマックス

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    最高のパフォーマンスで本編を終えたオアシス。しかし、まだまだファンの熱気は冷めていない。ライブが始まってから、ほぼ全曲歌いっぱなしで喉は限界に近づいているはずなのだが、会場に広がっていたざわつきは、まるで「まだ全然歌い足りないぜ!」と言っているようだ。そこにリアムを除いたメンバーたちが登場し始まったアンコールターンは、本編を凌駕するほどに圧巻のステージだった。

    NGHFBの経験で、新たな高みに到達したノエルがボーカルを務める “The Masterplan” はもちろんのこと、オアシスのライブでは珍しいバンドメンバー紹介を挟んでから披露された “Don’t Look Back In Anger” では、ウェンブリー・スタジアム全体にノエルのボーカルと、この日最大音量のファンによるシンガロングが響き渡った。約8万人もの観客のシンガロングだけでも圧巻モノだったが、そんな感動をさらに増幅させたのは、巨大スクリーンに映し出された映像だった。そこには、シンガロングするオーディエンスの姿が映し出され、ノエル他メンバーが映し出されていたのはその1区画ほど。つまり、会場を包むように、ファンたちだけがこの「みんなの歌」を歌っていたのだ。普段でも気持ちが高ぶるこの曲に、会場中が形容しがたいほどの高揚感で満たされた。

    曲も中盤を過ぎたが、この曲の、そしてファンの真骨頂はここからだ。ノエルの「You sing!」という呼びかけと共に、ラストのコーラスパートを腹の底から全力で歌い上げたオーディエンスのエネルギーは、これまでの体験をはるかに超えるもの、筆者は「これが本場のドンルクのシンガロングなのか!」と圧倒され、自身も歌いながら、ただただ感嘆するしかなかった。この一体感を肌で感じ、なぜこの曲が「みんなの歌」と呼ばれるのか、その意味を改めて強く実感したし、「オアシスのことを愛し続けてきて本当に良かった」と心から思えるこの曲は、文字通りオアシスとファンにとって最強のアンセムだ。

    Photo by Yuika Yamasaki

    Photo by Yuika Yamasaki

    アンコール前、“Whatever” から始まった怒涛のアンセムラッシュ。リアムが再び登場して、息つく暇もなく続けて投下されたのは、“Don’t Look Back In Anger” と並ぶオアシスにとってアイコニックなビッグアンセム “Wonderwall”。この曲は “Don’t Look Back In Anger” のような分かりやすい賛歌ではないが、それでも全力で歌い上げたくなってしまう──文字通り“Wonder(不思議)”な魅力のある楽曲だ。実際この日もウェンブリー・スタジアムには、会場に割れんばかりの大合唱が湧き起こっていたが、そんな叫びに込められた思いはファンによって様々だったと思う。“Wonderwall(不思議な壁)” という抽象的な曲名と、その曲の歌詞からファンは “wall(壁/障壁/支え/夢中になれる存在…など)”という言葉に多様な解釈を見出し、ラストのフレーズ《And after all. You’re my wonderwall.》に全ての感情を込めて全力で歌い上げる。かつてノエルが「歌詞に意味はない」と言っていたこの曲は、ライブで歌われるたびに最高の曲へと昇華されていく。オアシスとして、リアムのソロとして長年歌い継がれてきたこの日のこの曲は、やはり最高だった。

    そして、この日のライブの締めくくりは、クライマックスにふさわしいアンセム “Champagne Supernova” だった。星空の下、リアムの最高のボーカルが響き渡り、ファンは「ここで燃え尽きるんだ!」と言わんばかりにシンガロング。バンドの音は徐々に音量を上げ、壮大なサウンドと大合唱が会場全体を包み込んだ。これほどまでに感動的なクライマックスは、バンドがどれだけ素晴らしいパフォーマンスをしていたとしても、それだけでは生まれない。そこに観客全員の熱量あるレスポンスがあってこそ生まれるものだ。そんなオアシスライブにおいて “当たり前” なことを改めて思い出しながら、同時にこの会場にいる約8万人のファンの中のひとりとして筆者もここに居ることに魂が震えるほどの感動を覚えた。曲の最後、リアムが最高のボーカルで歌い上げ、アウトロではノエルの心に響くギターソロが最高のカタルシスを生み出し、ライブは幕を閉じた。ギターを引き終えたノエルの横には、頭にタンバリンを乗せ、仁王立ちで構えるリアムの姿があった。兄弟で、バンドで、そしてファンと共に作り上げたエンディング。夜空には花火が打ち上げられ、スクリーンには夕日が地平線に沈む映像が映し出され、ライブは終演を迎えた。

    夕日が沈んでも、翌日にはまた陽は昇る。これは『oasis Live ‘25』の次があることを示唆しているのかもしれないし、単に「まだツアーは続く」という意味かもしれない。このような解釈をファンに委ねるスタンスは、いかにもオアシスらしいと言えるだろう。

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    次ページへ:オアシスの「原点回帰」、それは様々な人々の思いや願いが紡いだ物語の先にあった

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