第七弾アーティスト発表はいかがでしたか? ステージ割も発表され、そろそろ取りこぼしの多い時期となってまいりました。
面子が多くなってきてから、予定を組み直すのは葛藤を再び生むことともなりましょうし、フジロックが終わってから知っても、まさに「後の祭り」ですから、ひとつここいらで、おすすめアーティストを紹介しておきたいと思います。
『Congotoronics vs Rockers』
“Congotoronics”…これはこのユニットの根幹をなすコノノNo.1とカサイ・オールスターズのことをさしています。今回は、それらコンゴのアーティストの総称として用いられていますが、そもそもは、活動歴25年以上という「コノノNo.1」のアルバム名に単を発しています。
“Rockers”…ここでは、ディアフーフ、フアナ・モリーナ、ワイルドバーズ&ピースドラムス、スケルトンズといった面々を指します。ノイズだったり、アコースティックだったりと、節操のない組み合わせですが、裏を返せば、それだけ『コンゴトロニクス』シリーズが魅力的だということを、端的に物語っていますね。
コノノNo.1は、低・中・高、それぞれの音域をカバーするリケンベ(コンゴの親指ピアノ)にアンプを接続し電化、さらには、コンゴ伝統の楽器と、スクラップや食器を使った楽器群で奏でる「爆音人力テクノ」で人々を驚かせました。ビョークやトータスがオファーを出しただけではなく、なんとグラミー賞ノミネート、という域にまで到達しました。
一方の、カサイ・オールスターズ…こちらは、コンゴの中でもカサイ地方の人間を中心とし、その限られた範囲の中でも言葉も文化が違うという背景があったために、「民族の垣根を超えた」という意味での「オールスターズ」となったのでしょう。その風貌も独特です…なにせ、アルバムの名前が『コンゴトロニクス3~七番目の月の夜に、酋長は魔術によって泳ぐ魚に化けて敵の頭を食べた』ですからね…アフリカの底の深さ、とでも言いましょうか…。
コノノNo.1も、カサイ・オールスターズも「電化」というアイデアで増幅しても、芯にあるのは「叩く」という行為と、慣れ親しんだリケンベの音色、そしてよくわからない楽器たちの存在です…これらは揺るぎありません。ぶっ飛んだアイデアと、呪術のようなから生まれた爆音は、心と体の両方を踊らせます。
テクノとは言われますが、あくまで、底にしっかりと流れる土臭さや、本能へと働きかけるような原始のリズムが全編にわたって躍動しています。ライヴの雰囲気としては、去年のフジロックに登場した、ナラシラト・パン・パイパーズ(現ナラシラト)が最も近いのではないかと思います。
体を揺らせるリズムではなく、なにか、地面そのものが波打つようなリズムなのです。
今回の組み合わせは、「爆音人力テクノ」の虜となったアーティストが、『Tradi-Mods vs Rockers (Alternative Takes On Congotronics)』に参加したことに端を発します。フジで繰り広げられるステージは、そのライヴ版。今回のライヴの面子に名前はありませんが、アルバムには山塚アイの名前もクレジットされております。否応無しに、飛び入りも期待してしまいます。
彼らは伊達に「爆音」を謳ってはおりません。ステージ上に用意された、今にもサイレンが鳴りだしそうな大きなメガホンがあなたの気分を煽り、そうこうしているうちに、ドドド…とトライバル模様を描く音の塊が流れ出てくることでしょう。
すでに、大きなステージの面子もあらかた出そろい、タイムテーブルが組みにくい時期となって来ております。スケジュールを組み直すのは今のうち…日本では、ほぼ無名に近い『コンゴトロニクス&ロッカーズ』、ぜひとも今のうちにチェックしておいてください!
『Congotoronics vs Rockers』特設ページ:http://www.plankton.co.jp/congotronics/index.html