少しずつ、少しずつ東北に音楽が戻ろうとしています。4月10日の日曜日、仙台のライブハウスZepp仙台にて、沖縄で開催されるチャリティーコンサート「東北関東大震災 支援チャリティーコンサート」の中継イベントが「what a wonderful world in Miyagi」と銘打ち開催されます。入場無料で行われるこのイベントが、3月11日以降イベントを休止せざるをえない状態にあったZepp仙台の営業再開になるとのことです。
■チャリティーコンサートを東北4ヶ所のライブハウスで中継
「沖縄の本コンサート側から開催の連絡が来て、是非仙台でも開催したい旨を伝えて、スクリーン上映という形で開催が決まりました。各地のイベンター同士は強い絆で繋がっています」
このイベントを担当しているイベンター、GIP(仙台市)の佐藤恭さんからこんなコメントをいただきました。沖縄県宜野湾市で開催されるチャリティコンサートには、MOGOL800やBEGINをはじめとする地元ミュージシャンや、宮沢和史、サンボマスターなど計50組以上の出演が決定しています。そして、このコンサートは仙台、盛岡、秋田、福島の東北4ヶ所のほか、USTREAMやニコニコ生放送(要アカウント)でも中継予定です。
■一部を除き、5月までにほとんどが再開――現在の復興状況
仙台で10年以上続くクラブCLUB SHAFTでは、4月2日より営業を再開。10日には急きょ決定したという七尾旅人×U-zhaan、とオオルタイチのライヴが予定されています(彼らは本日福島県いわき市でもライヴ予定。詳しくはウェブサイト)。入場無料(ドリンク代500円)で先着順のため、入場規制がかかるかもしれないとのことですが、先日のDOMMUNEでも中継中に余震があった中でサッチモの「この素晴らしき世界」を日本詞でカヴァーする、そんな七尾旅人のライヴはきっと被災地の人びとに音楽という形での一助を担ってくれるものと思われます。
このように、仙台では少しずつライヴハウス、クラブが再開を始めようとしています。JUNKBOXは14日に、ennは2nd&3rdが2日から(ennはまだ「今しばらくお待ち下さい」とのこと)。ただし、同じ店舗を維持できなくなってしまったところもあります。ハコに対するファンも多いMACANAでは、店舗の入っていたテナントビルの取り壊しが決定しました。
「現在、移転先となる場所を仙台市内で探しているところです。これから1〜2ヶ月のうちにはどこにするかということを決めたいと考えています」(MACANAスタッフ阿部さん)
このように、一部店舗で困難な状況ではあるものの、すこしずつ再開の見通しが見えつつあります。同じく被害の大きかった岩手県の「KESEN ROCK FESTIVAL」は今年の開催中止がTwitter公式アカウントで発表されましたが、
「私たちKRF地元委員会は、地元に元気と誇りを与える為の手段としてロックフェスを行っておりました。今年も被災した地元に元気と誇りをという想いに変わりはありません。むしろ、今こそ。。。手段こそ違えど地元の復興の為、各メンバーが毎日、現場で戦っております。これが僕らのKRF’11。」(KRF公式アカウントのツイート)
とコメントし、「今年は、それぞれのKRF’11を開催して下さい!」と励ましのメッセージを現地より送っています。
■東北から「元気だぞ!」という声をあげたい
これを書いている東京をはじめ、被災地から一歩離れたところでは「不謹慎」「自粛」というムードが暗黙のうちに漂っています。こうした現状について、GIPの佐藤さんからこんな言葉をいただきました。
「今回のイベント開催を通じて、宮城・東北が元気だということを、世界中の方に知ってもらいたいです。震災を経験して、東北は強くなります。だから、そういった自重の空気の中で、まずは東北から『元気だぞ』という声をみずから出していきたいと思っています」
過ぎた自粛による元気の無さが、日本全体の経済の停滞を招くこと。それは一番よくないことではないかと僕も常々感じています。そうした意味でも、明日のコンサートや東北地方から発せられる元気を、他地方の僕らもしっかりと受け止めていきましょう。
■がんばれ東北! がんばれ日本! 東北関東大震災チャリティーコンサート 〜what a wonderful world〜
http://www.www-okinawa.jp/
※出演者、中継に関する情報は上記ウェブサイトよりご確認ください。
■開催日
2011/4/10 日曜日
■開場 / 開演
12:00 / 13:00
■入場料
無料
text by ryoji