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「フジロックの森プロジェクト」とは? 〜フェスティバルでできるエコなこと〜

世界一クリーンなフェスと呼ばれるフジロック。そのフジロックは、これまで環境の為に様々な対策に取り組んできました。中でも「ごみゼロナビゲーション」天ぷら油をリサイクルしたバイオディーゼル燃料や太陽光などの自然エネルギーを導入して、CO2排出量を削減する「NEW POWER GEAR」などは、フジロック以外のフェスにも影響を与え浸透しつつあります。しかし、まだまだ充分とは言えません。そこでフジロックとして何ができるのか。新しい挑戦となる「フジロックの森プロジェクト」について、スマッシュの石飛さんから話を伺ってきました。


「お客さんにエコに気がついてもらえるきっかけを作っていきたい」


フジロックの森プロジェクトって、何だろう

「簡単に言うと、フジロックが新潟県、湯沢町、地元苗場の皆さんと一緒に取り組むフジロック会場周辺の森の整備や環境保全活動のこと。環境保全活動というと、フジロックは今までも世界各地で植林を行ったりしてCO2をオフセットしてきたのだけど、CO2排出権やオフセットという規模の大きい話を耳にしても、漠然とするだけでピンとこない人がほとんどじゃないかな?」

このプロジェクトでは、フジロックに来たお客さんが場内やボードウォークを歩く中で身近に「へぇ〜そうなんだ」とピンときてもらえて、「日本の森林を大切にしなきゃ」と感じてもらえることが一番大切と考えているそうです。例えば、分別したペットボトルでゴミ袋を作り、翌年のフジロックで配ることや、ビールの紙コップを直接紙工場に持ち込んで、トイレットペーパーを作ったり。フジロックのトイレで紙を使う時、気がついた人も多いのではないでしょうか?このように、誰もが理解できる、「あ!こういう風にリサイクルされるんだ!」と身近にエコを感じてもらえるきっかけをまず作っていきたい、そこからこのプロジェクトがどんどん広がっていって欲しいと石飛さんは言います。

プロジェクト第一弾「フジロックペーパー」の誕生

ところでみなさん、「間引き」という言葉をご存知でしょうか。花や野菜を育てている人なら身近な言葉ではありますが、植物のタネは基本的に密にまきます。そして芽が出ると密生した状態になり植物同士の風通しが悪くなって成長に害が出てきます。こうしたときに「間引き」という作業をします。風通しがよくなるように、成長の悪い植物などを抜いて、間隔を広げてあげるのです。この作業は森林の管理でも一緒。そしてその間引いた木が「間伐材」と言われるものなのです。

近年、苗場周辺でも様々な要因で切ったまま森の中にほったらかしにされている間伐材が増えています。「この間伐材で何かできないだろうか」と考えていた時に、中越パルプ工業さんと知り合ったことがきっかけだったそうです。そこで誕生したのがこの切り捨てられた間伐材を活用した森林の環境保全に役立つ紙「フジロックペーパー」なのです。皆さんお手元にフェスティバル・エコー(通称フェスエコ)はございますか?この時期おなじみのフリーマガジン「フェスエコ」は、このフジロックペーパーからできているのです。今年の3月の雪深い中、切り捨てられた間伐材を回収し、フジロックペーパーを作ったのだそう。もちろん間伐材から家具なんかも作ることができます。これから先は、もっと様々な用途に活用していきたいと考えているそうです。

プロジェクト第二弾「苗場周辺のふれあえる森」

腰を下ろせば、森林の香りが楽しめる

鉄棒ならぬ、木棒

実はこの取材当日(取材は前回のボードウォーク・キャンプ時に行いました)、キッズランド横で、まさにこの「ふれあえる森」を建設中だった石飛さん。「ボードウォークもそうだけど、もっと苗場の森林を肌で感じて欲しい」と語ってくれました。この「ふれあえる森」の中には、間伐材で作った渡り棒などの遊具がたくさんありました。

他にもたくさんの遊具が建設中でした。大人の筆者ですら、童心に返った気持ちでワクワクしました。遊歩道を歩くボードウォークとはまた違う楽しさがあり、森の中をトレッキングしているイメージです。自然の迫力に魅了させられました。今年はここに子供用ステージを設けて、何かイベント()を考えているそうです。最近は、お子様連れも増えてきたフジロック。是非今年はこの場所も要チェックです。尚、大人だけでの立ち入りは禁止となっています。ボードウォークやこの「ふれあえる森」を中心に、フジロックの開催期間外にも、お客さんに苗場へ足を運んでもらえるような森を作っていきたいと考えているそうです。楽しみですね!
森の音楽会
7/30(土)31(日)15:00 出演:Conguero Tres Hoofers

森の作業をしていた皆さん

 

「この二つのプロジェクトに共通して言えることは、

お客さんにピンときてもらいたいと思っていること」

それがフジロックの環境保全活動の根底にあると石飛さんは言います。「大勢の人が森に入る。環境に負荷がかかる。それに対して責任を持たなきゃいけない。エコなフェスティバルではなく、フェルティバルでできるエコなこと。それをわかりやすく掲示して、お客さんにエコに気がついてもらえるきっかけを作っていきたいんです」

(2011.6.26 キッズランド前にて)

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大自然苗場の風景

今回の取材は6月下旬。フジロックの会場となるこの場所にはまだステージなどはありません。でも!でも!!でも!!!苗場に来たのだから、タダで帰るわけにはいきません。といいますか、気になるじゃないですか!!ってことで、ここで筆者が見てきたフジロック開催前の苗場を紹介したいと思います。

まずはホワイトステージ。

写真左奥がアバロンへとつながる道です。なんとなく想像つきますでしょうか?真ん中にある道が見えますか?ここは当日アーティストやスタッフ専用の道として使われる道です。この日もちろん通ってみました。ここを抜けるとフィールド・オブ・ヘブンへとつながるわけです!フジロック中は通れない道を歩くことができるという優越感。たまらないです。

 

 

そしてフィールド・オブ・ヘブン。


うーーむ。なんとも感慨深い。この写真はお店並んだ側からステージ側を撮影しています。耳を澄ますと水の流れる音が聞こえてきました。近づいてみると……。


開催中は音楽が鳴っているし、ステージで隠れてしまっているので気がつきませんでした。普通に考えれば滝の一つくらいあってもおかしく無いのですが、実際に目にすると感動しました。秘密の場所を見つけた気分です。ここで出会った植物を撮ってみました。開催中は目にしなかった自然の多くをこの日はたくさん発見することができました。

アザミ類

ハルジオン

 

 

 

 

 

 

 

さてさらに奥へと行きます!

オレンジコート!!

サ、サ、サッカーゴール!?……普段はグラウンドなんですね。これも意外な一面。サッカーしたい。そんな気持ちを押さえてさらにさらに奥へ!!

この道に続くのは……?

ストーンサークル!!!

草がいい感じに生えそろって、ほんとに昔からある石のようなたたずまいの石碑。なんだか貫禄があります。

さて、一路戻りまして、レッドマーキーです。

ん!?こ、これはステージ!?っと思いましたが、今は資材置き場になっているそうです。ただ、ご存知の通り、レッドマーキーの屋根の部分はリサイクルされバッグとなって販売されています(詳しくはこちら)。なので今年のレッドマーキーは去年までとは違った風貌を見せてくれるに違いない。そんな気持ちを胸に次なる場所へ歩きました。

ワールドレストラン!!

苗場食堂!!

 

 

 

 

 

 

さぁ!そしてお待ちかねのグリーーーーーーーン!!!!!!

なかなか興奮が伝えられない写真で残念ですが、すごく広く感じます。そして当日、何十往復とするこのグリーンステージ。何万人と集まるこの場所に今僕は一人で立っているのです。これは興奮しないわけないです!6月だったのでまだ何もないのですが、まぶたの裏にはステージが再現されます。終止笑顔で歩いていました。ふと下を見るとこんなキノコが生えていたり。

 

 

「大勢の人が森に入る。環境に負荷がかかる。それに対して責任を持たなきゃいけない」

今回石飛さんが話してくれた事を今一度考えてみようと思いました。この大自然苗場を探索して思ったことは、自然が本当に多くて素晴らしい場所なんだな、ということです。フジロックを楽しむ僕たちは、自然があってこそ楽しめるものなんだと改めて実感。この自然が無くなってしまったらフジロックはフジロックで無くなります。苗場にいると、耳を澄まさなくても鳥の声や虫の声が聞こえてきます。フジロックの開催前の風景も目にできるし、森林浴で癒されます。そして何より、ここで過ごす時間がとても楽しいです。是非みなさま、一度足を運んでみてください!!そしてそのきっかけとしてボードウォーク・キャンプはいかがでしょうか?フジロック開催前にあと一回あります。

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■第37回 Boardwalk Don’t Run

2011年7月16日(土)、17日(日)、18日(祝)

内容:みどり橋架、補修作業、最終チェック

★受付期間:2011年6月24日(金)~7月14日(木)

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興味がありましたら、こちらをご覧下さい。ボードウォーク・キャンプの詳細、申込方法が掲載されています。

フジロックを前に苗場を堪能してみてはいかがですか?

 

Photo & Text by Ryohei Maruyama

 

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