307歳のパワー FLOWER TRAVELLIN’ BANDイベントレポート

Posted on July 23, 2008
Filed Under from ORG |

Flower Travellin' Band

FLOWER TRAVELLIN’ BANDを知ったのはここ数年のことだ。どの国のいつの時代の音楽かもわからないまま、たまたま耳にした音にガツーンと頭を揺さぶられ誰だろうかと調べたら日本の、しかも1970年に結成されたバンドだった。30年以上も前に日本にこんなバンドがいたということはその時代の日本のロックを体験していない自分にとって衝撃で、いったい70年代のフォーク全盛期の裏はどうなっていたのだろうかと想像するしかない。FLOWER TRAVELLIN’ BANDは1973年に活動を休止してしまったが、今年35年ぶりに活動を再開しフジロックにも出演、そしてそれに先駆け7月15日、16日とライブハウスでスペシャルトークライブを行うというので2日目の会場に足を踏み入れた。

両日100名ずつ限定という人数だったにもかかわらず開場18時で開演は2時間後の20時とたっぷり時間をとっていたのは、ライブハウスがダイニングも兼ねたつくりだったからだろう。フロアいっぱいにイスとテーブルが設置され、お客さんは食事をしながらそれぞれくつろいでいる。70年代にリアルタイムでFLOWER TRAVELLIN’ BANDを聴いていたと思う年齢層とそれより若干下くらいの人たちが中心だろうか。事前アナウンスでは生演奏は聴ける「かも」とのことだったが、テーブルの奥にセッティングされた機材が照明に反射してギラギラしているのが見え思わずニヤリとしてしまう。

司会者が登場し、メンバーも全員揃って活動再開するにあたってのエピソードや9月17日にリリースされる予定の新譜とそれにともなうツアーなどの話を中心にトークが始まった。活動を停止してからメンバーは別々の道を歩んでいたのだが、それから月日は流れに流れて今やメンバー全員60歳を過ぎ、5人の合計年齢は307歳だというから驚きだ。今回彼らの活動再開にあたり、ロックに年齢は関係ないとはいえ35年という月日は一番気になるところでもあった。トークでの声を聞く限りさすがに昔のままの若々しい声とは言えないが、ジョー山中の3オクターブの音域は顕在なのだろうか? ファンからの質問もいくつか出たところで第1部のトークが終わり、司会者が次はいよいよライブですと言ったあたりからそんな不安と期待が高まった。

Flower Travellin' Band

そして第2部、一旦下がったメンバーが再びステージに現れそれぞれの位置につくとそれまでくつろいでいたフロアのお客さんのテンションもグっと上がる! と、間髪いれずに始まったのは73年にリリースされたアルバムから「MAKE UP」。その音を聴いた瞬間今まで感じた不安は全部吹き飛んだ、いやそれ以上だったかもしれない。個々の演奏もバンドのグルーヴ感も全て裏切ることなく目の前で繰り広げられている。むしろ35年の間に作り上げたられた深みというエッセンスが足されこのバンドをより強靭なものにしている。新曲がいくつか演奏されたりフジロックでのライブで新しいファン層を獲得するのが楽しみだという発言からも、昔よりも前へ前へと向かうメンバーの貪欲さが感じられた。

6曲ほど演奏しきったところでメンバーがありがとう!と叫ぶと感動の拍手はすぐさまアンコールの手拍子へと変わり、お客さんからは「もっとやれ!」のコールがかかる。ステージ上もフロアもフジロックに来る平均的な年齢層より上だがそんなことは微塵も感じさせない。その声援に答え、再び登場したメンバーからアンコールが2曲プレゼントされた。最後は彼らの代表曲「SATORI part2」。イントロのドラムが鳴り出した瞬間これを待ってましたとばかりにフロアの盛り上がりがピークになる。オリエンタルな音を繰り出すシターラ、ハイトーンボイスのジョー山中の声も枯れることなく健在で、その音を聴いているのが過去ではなく今だということが嬉しくて涙が出そうになった。

1970年代を体感したいと思って行ったライブだったが、それは違った。紛れも無く今この2008年という年にFLOWER TRAVELLIN’ BANDは現役のプレイヤーとして最高の演奏をしてくれ、フジロック2日目のフィールド・オブ・ヘブンでどんなステージを見せてくれるのかさらに大きく期待させてくれる夜だった。


The official site
Flower Travellin’ Band
http://www.flowertravellingband.com/
check ‘em? –>MySpace


The must album

Flower Travellin' Band
“Satori”
(国内盤 / US import / US import - ‘12analog)
previous works


“Anywhere” (国内盤)
“Make Up” (国内盤 / UK import)
“Times 1971-1974″ (UK import)
… and more


check the albums?

posted by nazu