「帰ってきました、フジロック!」アコーディオンを抱えた歌姫、中山うりインタビュー!
Posted on July 16, 2008
Filed Under インタビュー |
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アコーディオンの弾き語りというスタイルをとるシンガーソングライター、中山うり。彼女がはじめてフジロックに姿を現したのは2年前、2006年のことだ。当時の彼女はメジャーデビューはおろか、1枚のCDすらリリースしていない無名の新人だった。アバロンに姿を現した一昨年からの2年間、フジロックを目前に控えた現在、そしてその先に見据えている未来。過去から未来に向けて、中山うりというアーティストの「今」を紐解いていく。
中山うりにインタビューを行うのは今回で2度目になる。はじめてインタビューを行ったのは2年前のこと。フジロックのライブに感動し、より彼女のことを知りたいと思い行ったものだ。当インタビューをご覧になる前に、ぜひ当時行ったものからチェックしてもらいたい。2年前の彼女の言葉を経ることで、現在の彼女をより理解できるとはずだ。
中山うりインタビュー(2006.11.08)
冒頭でも触れたが、中山うりがフジロックに出演したのは2006年のこと。同年の秋にiTunesで初の音源配信を行い、2007年5月には『DoReMiFa』でCDデビューを果たした。その後も勢いは衰えず、秋にはセカンド・アルバムを発表。さらにテレビへの出演・楽曲使用を経て、今年の春には映画「あの空をおぼえてる」の挿入歌に彼女の歌が抜擢される。無名の新人が一躍全国区へと羽ばたいていった2年間といっていいだろう。当の本人はそんな現状をどのように受け止めているのだろう。
「この間のインタビューくらいから時間が経つのが早かったですね。その間に変わったこと…。うーん、音にこだわるようになったことくらいですかね。前は歌えればいいやっていうところがあったので(笑)。今はCDになっておうちでも聴けるじゃないですか。特にレコーディングには神経を使うようになりましたね」
フジロックの出演から現在までの中山うりの活動は、現代のシンデレラ・ストーリーのように感じていた。それだけにきっと濃密な時間を過ごしたのだろうと勝手に思っていたのだが、彼女からの答えは実に淡々としたものだった。拍子抜けもしたが、そんな飄々としたところも彼女らしいといえば彼女らしい。飾らず、自然体でインタビューは続いていく。そして話はCDデビューのことへ。
「(CDをリリースするまでに)下積み的な時期が3〜4年あったんですけど、その頃は特に思っていましたね。『そろそろかな…』って毎年思いながらも、時間だけが経っていたので…。(発売されてからは)いろんな人から写メールが送られてきたのを覚えています(笑)。自分でもタワレコとかには見に行ったと思うんですけど。これだけ音楽をやっている人がいて、やっと自分もここに並ぶ日がきたのかって…。変な感じでしたね」
?映画の挿入歌にもなりましたが、どんな気持ちでしたか?
「映画のために曲を書いたわけではなくて、元々あった曲を監督さんが使いたいって言ってくれて。試写会に行ったんですけど、イントロが聞こえてきた瞬間はにんまりしちゃいましたね(笑)。すごく良いシーンで使ってもらえたなって思っています」
ファースト・アルバムをリリースしてからは、レコーディングに追われる日々が続いているという。その合間を縫うように、北は北海道、南は沖縄まで、日本各地でライブをするようになった。何年もの間東京だけでライブをしてきた彼女は、初めて訪れる土地にどのような想いを抱いているのだろう。
「初めて行く土地は、きっとお客さんもドキドキしてると思うんですよ。温かく迎えてくれてるのが伝わってきますね。土地によってお客さんのタイプも違うんです。大阪だとMCに絡んできたりと、反応が分かりやすくて。中でも印象に残っているのは今年ツアーで行った福岡ですね。大阪ともまた違う陽気さを感じました。楽しかったですね」
?知らない土地でライブすることで緊張することはありますか?
「私の場合、お客さんがどういう反応するのかなって楽しみになっちゃいますね。逆に2回目、3回目の方が、前回よりも楽しませなきゃって自分に対するプレッシャーが出てくるんですけど」
?大きな会場でライブをする機会が増えていますが、会場によって気持ちは変わるものですか?
「赤坂ブリッツのときはさすがに緊張しましたね。前半は力が抜けないまま演奏してた感じで。後半になってやっといつもの自分になれた気がしました。大きな会場でやりたいという意識はそんなにないんですよ。どちらかというと、もっと歌いたい、毎日でもいいからライブがしたい、という気持ちが強くて。渋谷の青い部屋とかでやっていた時期が長かったので、私的には小さいところでやる方が好きですね」
レコーディング、ツアーと音楽に費やす時間が増える一方、フリータイムの美容師として仕事を続けているという。前回のインタビュー記事を読んだ方はご存知だと思うが、2006年のフジロックに出演する直前まで、中山うりはフルタイムの美容師として仕事をしていた。楽器の練習、曲作りは仕事後、定休の火曜日にライブを行うというのが主な活動スタンスだった。
「美容師の仕事は今もやっていますよ。細々とですけど…(笑)。月によってバラバラだけど、8〜10日くらいは出勤してるかな。1日中店にいるのではなくて、昼から夕方くらいまでお店にいます。両立は大変ですけど、今は音楽にエネルギー出し切れるようになりましたね」
記憶の糸をゆっくりと辿りながら、この2年間の出来事を話していく。そして話は「現在」のことへ。目前に控えたフジロックについて話を聞いた。
「一昨年、アバロンに出たときは夕方頃だったんですよね。今年はヘブンの朝一番なんですけど、一番っていうのが良いなって思いました。お客さんを自分のペースに引き込みやすいかなって。人の入りは気にせず、自分の色を出し切れればいいなって思っています」
?2006年はドラム、ベース、ギターのメンバーと共に出演しましたが、今年はどのような編成になりそうですか?
「前回のメンバーに、いつも一緒にやっているパーカッション、あと東京のワンマンで一緒にやっているホーンのメンバーも参加します。トランペット、サックス、トロンボーン、チューバなので、9人。前回は4人だったので、倍以上ですね」
?フジロックでライブをする楽しさというのはありますか?
「野外だと、風がステージを通り抜けていくんですよ。アバロンに出たときに特に思ったんですけど、それがこの上なく気持ち良いんですね。お客さんも心が開放されてるっていうか、『絶対楽しんでやる』っていう気持ちが伝わってくるんですよ。ひとりひとりが自由に楽しんでくれているのを見ると、こっちまで嬉しくなっちゃいます」
?ワンマンライブと違い、フェスだと横目に見て素通りしてしまう人や、少し見たら移動してしまうお客さんもいると思います。出演者としてはどう感じていますか?
「最後まで見ないんだ。見ていけばいいのに…って(笑)。といっても私が逆の立場でもそうすると思うので、別にいいと思いますよ。ライブを見ているのが嫌だからそうするんじゃなくて、とりあえず見ておきたいっていう気持ちもあってそうすると思うので。これだけ出演者がいますからね」
?フジロックで演奏するセットリストはもう考えていますか?
「フジロック仕様を考えてますね。ノリも大事なんですけど、それよりもどうしたら自分たちの魅力を一番出せるかっていうのを考えてますね。きっと前回よりもROCKしてると思いますよ(笑)」
?ライブ後の予定は決めていますか?
「出番が朝イチなので、そこを楽しんだらすぐに見る側になれるんです(笑)。Bootsy Collins、LITTLE TEMPO、スペアザ(SPECIAL OTHERS)を見たいですね。あとはぶらぶらしているかな」
?気が早いですが、今後出演してみたいステージはありますか?グリーンやホワイトなど、大きなステージはどうでしょう?
「いやぁ…、まだ大丈夫(笑)。バンドの音がアコースティックなので、アバロンやヘブンが合うかなと思っています。オレンジコートが似合いそうって言われたこともあるんですけど。(グリーンやホワイトは)私がマイク1本で歌うようなスタイルになったときですかね(笑)」
過去、現在と話が続いたので、最後は「未来」の話で締めようと思う。CDのリリース、全国各所でのライブ、大型フェスへの出演…。次々と未来を切り開いていく彼女が、今見据えているものは何なのだろう。
「今興味があるのは船上ライブですね。海を歌った曲が多いので、港町ツアーなんかいいねって話も出ています。港町ツアーってちょっと古くさい感じがしていいですよね。あとは、まだ行ったことがない土地でもライブをしたいですね。特に京都に興味があるんです。噂では普通のライブハウスがないっていうくらいに面白いハコが多いって聞いているので。とりあえず全県まわってみたいですね(笑)」
淡々とマイペースに話し、ときに高らかに声をあげて笑う。そんな中山うりの姿は、2年前のインタビュー時から何も変わっていなかった。彼女をとりまく環境は大きく変わってきていると思うのだけど、当の本人は台風の目の中にいるかのように自然体を保ち続けている。歌にしてもそうだ。アレンジを変え、アルバムごとにテイストを大きく変えながらも、核となる彼女の歌にはブレない魅力がある。虚飾に彩られたインスタントな歌に飽き飽きしている人は、ぜひ中山うりのステージに足を運んでもらいたい。新しい音楽の世界への扉を開けて、彼女が待っているはずだ。
Interview by funa
Photo by naoaki
archives:
–>Smashing Mag
The official site 中山うり http://www.worldapart.co.jp/uri/ check her? –>iTunes The latest album ![]() “夏祭り鮮やかに” (国内盤) |
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posted by funa