日高大将インタビュー! しかし、その前に緊急のお知らせです
Posted on July 14, 2008
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緊急のお知らせ
忌野清志郎 & NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 仲戸“CHABO”麗市 出演キャンセルのお知らせ
今年出演が予定されていました”忌野清志郎 & NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus仲井戸“CHABO”麗市 は、忌野清志郎氏の健康上の理由によりキャンセルとなりました。
お客様にご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます。
関係者一同、清志郎さんの健康回復&そして次の出演を期待しております。
お客様も引き続き清志郎さんに暖かいご声援をお願いいたします。
忌野清志郎 Official Site [ コチラ: http://www.kiyoshiro.co.jp/]
なお、キャンセルに伴うチケットの払い戻しは一切行いません。ご了承ください。
また、清志郎さんが出演予定でした7/27(日)GREENステージの時間帯に付きましては、詳細が決まり次第発表いたします。
お客様にご迷惑をおかけすることを重ねてお詫び申し上げます。
▼フジロッカーズのみなさんへ
このあとに掲載される、俺とFujirockers.orgの対談は先週の水曜日におこなわれたものです。
そのあとで、清志郎くんが治療に専念するため今年のフジロックに出演することができなくなった、との情報が入ってきました。もちろん、われわれもみなさんも残念でしょうが、清志郎くんの回復を待って、また苗場に帰ってきてもらいましょう。なお、清志郎くんが出演する時間帯のアーチストは現在交渉中ですが、海外のアーチストは入国審査申請の時間がないことにより不可能です。
よって、国内のアーチストか、土曜日に出演している海外のアーチストに絞って現在交渉しています。決まり次第、発表しますので待っていてください。もういちど重ねて言います。この対談は清志郎くんが出演することを前提にして行ったものです。
ご理解ください。
それでは、来週末、苗場であいましょう!
SMASH 日高
日高大将インタビュー「で、今年はどんなです?」

「ははは、忘れちゃいないよ。ただね、今年は色々なもの、出演アーティストにしろ施設にしろ、しっかりと固まるまでかなり時間が掛かったんだよね。俺としてはそれがクリアになってからって考えていてね。いつもの年のように少しづつでも良かったけど、今年は一気に話したかったんだ」
ー忘れてたわけでなく?
「そんなわけないだろ。毎年同じことやっても仕方ないだろ? fujirockers.orgなんだからさ」
ーというと、もう全て決まったと考えて良いのですか? たとえば日曜日のTBAさんとか。まことしやかに名前が挙がっている人もいますよね。ファンクソウルの超大物だったり。
「う〜ん。それはまだ話せないんだよ。ただ今週中には決まるから、もう少しだけ待ってね」
ーじゃあ、あの大物の可能性もある?
「まだ言えないんだ、本当に。発表されたら非難でも文句でもいくらでもいっていいからさ」
ーそうですか・・・。ではクロージングバンドは?
「それも今週中かな。これもホントにまだ確定していないんだよね。皆の気持ちは分かるんだけど、今の段階で話すわけにはいかない。相手に迷惑が掛かるからね。そこは理解して欲しいよ」
ーここ数年、クロージングバンドがかなり豪華なメンバーになっています。それを考えると否が応でも期待してしまうんです。
「そうだね、考えてみれば結構豪華だよね。でも、俺にしてみると流れを踏まえて、こうやって終わればいいな、というブッキングだからね。最後はやっぱり踊って終わりたいだろ?」
ーそれを聞くと、やっぱり期待してしまいます。なので、決まった時点で一番に教えてください。さて、“日英交流150周年(UK-JAPAN)”の今年。UKデーを作る、ということでかなり早い段階から宣言をされてました。土曜日がそれに当たる日のようですが、正直な話、そう聞いていたのでヘッドライナーはポール・マッカートニーかザ・フーか、といった今までに出演したことのないビッグネームへの妄想が膨らんでいました。結果、フタを開けてみれば常連のアンダーワールドやプライマルスクリーム。個人的には好きなアーティストなので文句はないのですが、サプライズ感はまったくないんです。これは最初から意図していたのですか?
「アンダーワールドもプライマルも、かなり早い段階で決まっていた。確かに彼らは何度か出て貰っているけど、この“日英交流150周年記念の日”は、全体を見て欲しいかな。日本のアーティストが出て、イギリスのアーティストが出てっていうね」
ーなるほど。ただ、やはりサプライズ感には欠けます。
「ポールとか出ればね、インパクトはあるよね。でも、彼は最近活動していないだろ。ザ・フーにしてみれば、俺にとっては“今”の人たちではないんだ。やっぱり『マイ・ジェネレーション』はピートがギターを持って飛び跳ねててくれなきゃさ。そういう意味で、ボブ・ディランはいつか出て貰いたいよね。彼には歳をとっても、それに応じた進化するハートを感じるからね」
ーとはいえ、ザ・ビーチ・ボーイズは出演してますよね?
「そうだね。確かにブライアン・ウィルソンのいないビーチ・ボーイズって、という気持ちはあったよ。でも、彼らの奏でるポップミュージックは、やっぱり皆に聞いて貰いたかったんだ」
ーあの時は、本当に楽しかったです。大物といえば今年、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは絶対出演するものだと考えてました。
「そう、彼らはほぼ決まっていたんだ。ただ、ドラムのブラッドの奥さんが出産をしてね。彼としても“説得するよ”という話だったんだけど、オーストラリア〜アジアというツアーを考えたときに、3週間以上奥さんの元を離れて、ということは出来なかったんだよね。それは俺たちとしても理解しなければね。何度もいうけど、彼らはエンターテインメントするだけのバンドじゃないからね」
ーちなみに、今年の“日英交流150周年”というのが起爆剤になって、我も我もという雰囲気ではなかったのですか?
「むしろ逆かな。こういった国好的な話は、ロックミュージシャンにとってはネガティブな要素になりかねない。だから“こういう日だけど良いか?”という説明が必要だったよ」
ーところで、ここ数年日本の歌謡界のベテランが登場しています。これは日高さんがフジロックの幅を広げたい、という考えがあってのことだと聞いたことがあるのですが、今年は見あたりません。
「良い人が思いつかなかったんだよね。無理矢理出て貰ってハズすわけにはいかないからね。慎重にいかないとダメだよ、このジャンルはね」
ーさて、毎年聞いていることですが、“今年、これ見た方が良いよ”というアーティストを教えてください。
「ボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディランだね。凄い才能を持ったアーティストだよ、彼は」
ーそれは見逃せないです、では、話を変えて。奥の方にまた新しいものを考えているそうですが?
「そうだね、オレンジコートのさらに奥。ストーンサークルの隣に、“キャバレー・フィエスタ”というのを作る。そこでは一日に3回、メキシコのマリアッチバンド、“サボテン・ブラザーズ”がパフォーマンスをするんだ。女性のダンサーも入れてね。トラディショナルなマリアッチや昔流行ったスタンダードなラテン、例えば『ベサメ・ムーチョ』とかね。そんな曲を演奏するよ」
ーなんだか西部開拓時代の薫りが漂ってきますね。
「まさにそうだね。西部劇に出てくるような長いカウンターのバーを作ろうと思ってるんだ。で、ちょっとした仕掛けをしようか、ってね・・・。スマッシュUKにハンサムなやつがいてさ。彼にカウボーイの格好をさせて、セクシーな女性を伴ってバーに登場させてね。そこへヒゲ面のいかにも悪役って奴が絡んできてさ、そして決闘が始まる・・・。なんてちょっとした寸劇をやろうと思ってるんだ」
ーまた、何やら楽しそうな出し物ですね。しかも、まったく儲けに繋がらないような・・・。
「そうだね。スタッフの皆は例によって“また、そんな思いつきで・・・”って反応をしてたかな。でもさ、やっぱりそれがフジロックだろ。山の中をさ、一時間もかけて歩かされるわけじゃない? 少しでも面白がって欲しいでしょ? 焼きそばとビールしかありませんでした、じゃつまらないからね」
ー確かに仰る通りです。まあでも、僕らとしては選択肢が増えすぎて、もはや有り難迷惑だったりもしますけど・・・。ただ日高さんが毎年話してくれる、つねに新しい何か、“ルーティーンにならないための進化”、というキーワードを考えると凄く興味を覚えます。
「いつもそんなことばかり考えているからね。河原の石に顔を描いたらおもしろいな、とか、ボードウォークの途中にステージがあったら面白いな、とかね。」
ーで、儲からないついでに聞きますが、駐車場代とキャンプサイト代が値上がりしましたよね。
「そうなんだ。これはホントに苦渋の決断だったんだ。来てくれる人たちが増えてきて、どうしても様々な施設を拡大する必要があってね、それに伴ってスタッフの増員とか設備面での強化を図らなければならなくてね。申し訳ないけど、理解して欲しい」
ー“勝手に停めとけや”ってなわけにはいかないのは分かります。ただ、てっきり原油高騰の煽りを受けて、ってお題目の便乗値上げかと思ってました。
「そんなわけないだろ。辛かったんだよ、ホントに」
ー儲からない話続きで恐縮なんですが、ところ天国の深夜映画は何を?
「まず、『アクロス・ザ・ユニバース』。ビートルズの同名の楽曲をモチーフにしたミュージカル映画だね。それから『リトルブリテン』。あの英国のおバカなコメディーね。あとは、いま考えている」
ー映像といえば、今年DVD『FUJIROCKERS』が発売されますが、なぜ今年なんですか? 苗場10年目だからですか?
「本当は去年出そうと思っていたんだ。ただ、権利問題でかなり時間が取られて今年になった。それも最終的なGOサインを出せたのが5月。それから編集だよね。時間がないなか、スタッフは良くやってくれた。例によって、俺のたくさんの注文をしっかり聞いてくれてね。大変な労力だったと思うよ。だから皆に楽しんで欲しいね」
ーなんか、スタッフの皆さんの死にそうな姿が目に浮かびます・・・。で、見所は。
「やっぱりお客さんを中心としたフジロックの“進化”だよね。最初はあの台風から始まって、っていうね。だからその象徴として、最初と最後の方に同じバンドが出てくる流れにしたんだ。最初は大雨のなか予定より早く終わってしまって、何年かあとに出たときは、皆、本当に楽しんでいるってね」
ーすごく楽しみです。もうすでに予約してますけど。
「そうだよな。皆はまだ観てないんだよな」
ーええ、まだ発売されてませんから。
「もう、俺なんか何回観たか分からないからさ。観る度に、“ああしたいこうしたい”だったからね。編集スタッフは大変だっただろうな」
ーええ、それはもう、他人事ではない感があります。
「ははは。良いものをつくりたいからそうなるんだよ、何事も」
ー知ってます。皆それに巻き込まれていくんです・・・。さて、次の質問です。これもここ数年のテーマですが、三日券のみの発売を復活する目途は立ちましたか?
「これは、新潟県中越地震があってやめたっていうのが大きかったわけだよね。やっぱり三日券だけだと地元への経済効果が非常に薄いんだよね。フジロックは地元の方々の大変な協力があって成り立っているから、彼らの利益を無視したくないんだ。あの地域の方たち抜きにしては不可能なフェスティバルということを理解して貰いたい」
ーそれは分かります。ただ、日高さんが雑誌などのインタビューで話されているのを見ると、いわゆる一日券で来る“観光客的な人々”の振る舞いが気になる、ということを感じているように思うんです。
「それはちょっと違うかな。最近様々なところで話しているのはもっと客観的な感想だよ。それはフジロックに来てくれる人たちが、三世代いるっていうことだね。第一の世代は’97年の最初から来ている人、この人たちは年齢も上がって大分減ってきているよね。それから、苗場になったあたりから来ている人が第二世代。そして、ここ最近フェスティバルブームのなかで、とりあえず行ってみよう、という人が第三の世代。第二世代くらいまでの人は、こういう野外の不便な場所でやるんだから、お客さんたちも協力しなければ成り立たない、ということを理解してくれている気がする、ということだよね。良い悪いではなくて、そういうように思う、ということ」
ーその意味でも一日券を無くせば、平気でゴミを放ったらかしにする人は減ると思うんですが。
「それも違うだろ。一日券を買って来てくれる人でも、マナーを守る人はたくさんいる。問題は会社が休みづらい、というところだと思うよ。“休む権利”は良くいわれるようになったけど、実際には休みづらい人が多いでしょ。それが一番の問題なんだよね。言い出せない空気、というかね。経済大国のなかでも特殊だよね、そういうのは。ただ、戦後の爆発的な経済発展を支えたのは、その意識でもあるから否定はできない。でもね、そろそろ良いんじゃないかな」
ーそうですね。一年のうちの3日、前夜祭を含めても4日間ですからね。なんとか大手を振って苗場に行きたいですよね。では、最後の質問です。今年の“キャバレー・フィエスタ”のように毎年新しいことを試みて、それを自身のモチベーションに繋げている、ということですが、どう考えてもいい加減場所がない気もします。何かを作るスペースはまだ残っているんですか? っていうか来年以降、どっちに広がっていくんですか?
「まったく考えていないよ。場所はもう本当にないしな。あったとしてもお客さんが通る道がない。そもそも、俺はあまり先のことを考えないからね。インタビューの日程だって突然決まるだろ?]
ーええ・・・、“今日、これから来れるか?”ってのは良くあります。
「昔からそうなんだよね。子供の頃はさ、朝起きて学校行くのに何が楽しみかって、昼のお弁当なんだよね。卵焼きね。それで食べ終わると次の楽しみが休み時間。その後はただひたすら放課後どこに遊びに行くか、しか考えてなかったな。今もそれは変わらないよ。目の前の楽しいことを見つけるっていうね。遙か先のことは考えない。まったく成長してないよ。まあ、それが分かったことが成長か(笑)。そんな俺が仲間とつくるフジロックだからさ。皆も一緒に楽しんで欲しいよね」
一年ぶりに会った日高さんは、相変わらずエネルギッシュで豪放磊落だった。何故かこの人と話をすると元気になるし、苗場が恋しくなる。すっかり苗場に飛んでいっているアタマの中身は、どうやらそのまま居座りそうだな、と考えつつ、あと10日とちょっとの間どうやって日常を凌ぐかと、不安にかられたりもするクソ暑い一日の始まり、でした。
Interview by Takao , Ibe and photo by Yusuke
posted by saya38