ヴィーニャ・ロック・フェスティヴァルでメタルにはまる!
Posted on June 23, 2008
Filed Under 海外のフェスいろいろ |
ん? なんとステージが三つ、一直線に並んでいるではないか? これ、合成写真じゃないの? こんなのでライヴができるか? と、おそらく、この写真を見て、そんな疑問を持つのも当然だと思う。日本じゃ、ちょっと信じられない光景だが、これは合成でもなんでもなく、スペイン最大といわれるフェスティヴァルのひとつ、今年の5月頭に開催されたヴィーニャ・ロックのメイン・ステージが置かれている場所。ピークともなれば、三つのステージが並べられている前で約50000人がワイルドにロックする。世界にはこんなフェスティヴァルがあり、日本ではほとんど知られていなくとも、とんでもない演奏をするバンドが次々と登場して、広大な音楽の世界を我々に思い知らせてくれるのだ。
イギリスにグラストンバリーやレディングがあるように、スペインにはヴィーニャ・ロックがある… と、初めてその存在を知ったのは昨年春のこと。バスクの闘士、フェルミン・ムグルサが出演するというので、イタリアでバンダ・バソッティ主催によるストリート・ビート・フェスティヴァル・ツアー取材後にスペインに飛んでこれを初体験している。そのときのレポートは、このところすっかりロック・ラティーノ系のエキスパートとして活躍を始めたライター、Taiki Nishinoが、昨年のfujirockers.orgのこちらで書いている。あれから1年、再び訪ねたのがヴィーニャ・ロック。今回は昨年3月の来日公演で惚れ込んでしまったバスクのバンド、ベリ・チャラック(Berri Txarrak)が出演するというので、彼らとコンタクトをとって取材交渉。彼らが出演したフェスティヴァル最終日を体験することができた。
会場はマドリッドから車で2〜3時間ほど南下したあたりで、ドンキホーテで有名な映画、『ラ・マンチャの男』の舞台になった地方。昨年は地中海沿岸の街、バルセロナとヴァレンシアのほぼ中間にあるベニカシムあたりで開催されたのだが、元々は今回の街、ビリャロブレドで始まったものらしく、ここに戻ってきたというのだ。とはいっても、実をいえば、ヴィーニャ・ロックをネットで検索すると、ふたつも出てくるのが奇妙きてれつで、わけがわからない。スペイン語でViňaというのが、普通ではタイプできないので、vinaでの検索なんだが、最初に出てきたのはViňa2008で、あとからみつかったのがViňa Rock2008。今回取材したのは後者で、こちらが去年の流れにあるもの。なんでも昨年のヴィーニャ・ロックを気に入って地元の自治体が続けたいということになったらしいんだが、主催者はオリジナルの場所でやりたい… というので、結局、ちょっと名前が変わって、ふたつが存在するという結果になったらしい。それを日本に置き換えたら、フジ・ロックが時期をずらして2回開催されているようなもの。信じられません。
それと同じく、日本ではあり得ないのがこの会場の構成。写真を見ていただいたらわかると思うのだが、左のふたつがメイン・ステージ。これは完全に隣り合っていて、片方で演奏がされている間にもう一方でセッティングをするという、レディングと同じようなスタイル。もちろん、効率的にライヴを進めていく上で合理的だと思えるのだが、そのとなりにもうひとつのステージがあるのだ。しかも、ここはMetalmorfosis(メタルモルフォシス)と呼ばれていて、メタル系のバンドが中心に展開するラウドなステージ。多少は進行を考えているようなんだが、ライヴが始まった夕方、4時半頃、この前を通って、メイン・ステージに向かうとこちらでもライヴが進行中だったというのに驚かされた。あまりに音が大きいので、ステージの前では違和感はないんだが、その真ん中では両方の音がごっちゃになって気持ち悪いことこの上ない。このあたりも、日本ではあり得ないのではないかと思うんだが、どんなものでしょ。
もうひとつ、日本ではあり得ないと思えたのが、ステージから最も離れた、アリーナの最後方での臭い。あまりに臭すぎる。便所ぐらい用意されていると思うんだが…(会場を一回りしても気付かなかったんですが)立ちションが当たり前のように行われているようで、その臭いのひどさに吐き気がしたほど。国民性なのか、なになのか… よくわからないが、逆にフジ・ロックの心地よさがよくわかったというのが本音だ。とはいっても、まだまだトイレが不足しているという話はよく耳にしますが、このあたり今年は改善されていることを期待しています。
さて、このヴィーニャ・ロックですが、上述の3ステージの他にこのほかに、ダンス系のステージやワールド系のステージもあって全5ステージで毎日55000人の人が集まっていたという話を関係者から耳にしている。いずれにせよ、なによりもこのフェスティヴァルの魅力はラテン語圏のバンドを中心に集めていること。英米系のバンドは皆無なのだ。しかも、メタル系を中心としたステージもあることからも想像できるように、そのステージだけではなく、ヘヴィーなロックからメタル系の充実度はかなり高いと見た。とはいっても、メタル系はほぼなにも知らないので、多くを語れないというのが実に申し訳ない。
ただ、ラインナップを見ると、セパルトゥラや大傑作という前評判の高い新作、『 Conquer (Special Edition) 』(UK import / 国内盤)を近々発表するソウルフライの名前が見えるし、スパニッシュ・メタルの ドンのような存在だといわれるバロン・ロッホの名前も見える。なにを隠そう、今回取材したベリ・チャラックもメタル系なのだ。だからこそ、メタル・ステージに登場しているんだが、巷では彼らのことをエモ・メタルと呼んでいるらしい。それが正しいのかどうか… いずれにせよ、メタルにほとんど興味のなかった人間を惚れ込ませたベリ・チャラックには、なにか特異な魅力があるのではないかと思う。ちなみに、彼らのMy Spaceで、最近の作品を聞くことはできるので、ぜひそちらをチェックしていただければと思う。今回はマネージャーから彼らの最新作、『Jaio.Musika.Hil』(UK import / iTunes)を若干数いただいてきているので、fujirockers.orgから3名の方にCDをプレゼントします。ラッキーな方はそれをじっくりと聞いてくださいませ。(詳しくは、この原稿の最後に発表します)
このベリ・チャラックも想像を遙かに超えて素晴らしかったんだが、今回、初めてライヴを体験することになったソシエダード・アルクホリカにぶっ飛ばされることになる。関係者に言わせるとトライバル・ラテン・メタルと呼ぶらしく、彼らもベリ・チャラック同様、バスク出身で、どうやらスペインで最も売れているメタル・バンドが彼らだということだ。最新アルバム『Mala Sangre』が、このフェスティヴァルの直前に発表されていて、初登場でスペインの全国チャートで13位に入ったとか。しかも、日本でも充分に認知されているセパルトゥラやソウルフライを越えて、今回のフェスティヴァルで最も高いギャラを受け取ったのが彼らだったらしい。残念ながら、日本ではなかなか入手できないらしいんだが、彼らについてもMySpaceでそのサウンドをチェックすることができるし、iTunesでも(旧作だと思うが)1枚だけ、アルバムを購入することができるので、そのあたりでチェックしていただければと思う。
さて、嬉しいことに彼らのマネージメントもベリ・チャラックと同じだというので、日本では入手の難しいそのアルバム『Mala Sangre』を1枚だけ受け取ってきている。加えて、ベリ・チャラックの『Jaio.Musika.Hil』(UK import / iTunes)は3枚が手元にあるので、これをみなさんにプレゼントします。メールでpresent@fujirockers.comのアドレスに、件名をベリ・チャラックの『Jaio.Musika.Hil』希望、あるいは、ソシエダード・アルクホリカの『Mala Sangre』希望と書いて、住所、氏名、電話番号と記入の上、6月30日までに送ってください。応募者多数の場合は抽選で前者を3名の方に、後者を1名の方にプレゼントします。なお、当選者の発表は発送を持ってかえさせていただきます。また、期日を過ぎた時点でこのメルアドは廃止し、プレゼントの発送を確認した時点でいただいた応募者のデータは全て破棄させていていただきます。プレゼント以外の用途には応募データを使用しないことを明記しておきます。
なお、蛇足ですが、彼らのアルバムの価格が日本では異様に高いので、購入するならばiTunesの方が遙かに経済的。なにせ半額以下なのです。
The official site The latest album “Jaio.Musika.Hil” previous work
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The official site http://www.soziedadalkoholika.com/ The latest album “Mala Sangre” previous work
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posted by hanasan