わったー地球(しま)はわったーが守る
Posted on June 19, 2008
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キャンプ・シュワブと呼ばれる巨大な米軍基地のすぐ隣りに、新たな基地が建設されようとしている辺野古の海岸で昨年2月に開催されたのがピース・ミュージック・フェスタ辺野古2007だった。すでに沖縄本島の約の1/3が米軍基地に使われているのに加え、この軍事基地建設で、絶滅危惧種のジュゴンが生息し、見事な珊瑚が生きる海が破壊されようとしている。それに疑問をぶつけたのが全国から集まってきた約1500人のミュージシャンや音楽ファン。が、もちろん、これは沖縄だけの問題ではない。ということで、from辺野古というコンセプトを掲げたのが今年。会場を東京は上野公園の水上音楽堂に移して、6月22日にピース・ミュージック・フェスタfrom辺野古2008が開催されることになっている。
昨年のフェスティヴァルはスマッシング・マグでレポートされているので、そちらをチェックしていただけると嬉しいのだが、あのとき出演した数々のバンドやアーティストの多くが今年も顔を見せることになっている。その多くが、フジ・ロックでお馴染みの、しかも、その歴史に大きなインパクトを残しているアクトだというのが嬉しい。
その筆頭が、昨年のピース・ミュージック・フェスタで、会場準備から撤収までを手伝っていたソウル・フラワー・ユニオン。そのときの演奏は、彼らにとって初めてのDVD(しかも、CD付き)、ライヴ辺野古に収録されているんだが、今回もそのときと同様、沖縄在住でユニオンでの活動を休止している伊丹英子や独自のバンドで活動を続ける内海洋子も加わったフル・ラインナップで登場することになっている。実は、このフェスティヴァルの実行委員のひとりとして走り回っているのが伊丹英子。阪神淡路大震災をきっかけとしてソウル・フラワー・モノノケ・サミットが生まれた時、その原動力が彼女だったということはよく知られているのだが、このピース・ミュージック・フェスタでも彼女が大きなエネルギーを与えているという話はいろいろな人から伝わっている。なお、このDVD、ライヴ辺野古の収益の一部は沖縄辺野古での米軍基地建設阻止行動団体にカンパされている)
彼ら同様、フジ・ロックと切り離すことができない、最もフェスティヴァル的なバンドのひとつといわれるのが渋さ知らズオーケストラ。日本のみならず、海外のフェスティヴァルでも衝撃を与えているのが彼らで、特に、今でも語りぐさになっているのが2002年のグラストンバリー・フェスティヴァルでのライヴ。今は亡き、世界で最も著名なラジオDJ、ジョン・ピールが彼らに惚れ込んだのがこの時の渋さ体験によると言われている。フジ・ロックではオレンジコートのプロデュースを任されたこともあったし、クロージングとしてオーディエンスを、文字通り、熱狂の渦に巻き込んだこともある。当然のように、昨年のピース・ミュージック・フェスタには全てのミュージシャンが自腹で沖縄まで飛んできたんだが、なかでも圧巻だったのは渋さではなかったかと思う。なにせ、わずか3曲を演奏するために30人以上の大所帯でやってきたのだ。そんな気持ちが沖縄にも伝わったんだろう。彼らが沖縄に強力なインパクトのを残している。
また、このフェスティヴァルの実行委員のひとりとして活動する知花竜海率いるデューティ・フリーショップ.+カクマクシャカのコンビネーションも強力だ。昨年のピース・ミュージック・フェスタでピークのひとつとなったのが、2004年夏、沖縄国際大学に米軍の軍用ヘリコプターが墜落した事件に端を発して、速効で彼らが作り、ネットで発表した曲、「民のドミノ」を演奏したときではなかったかと思う。これは知花竜海のオフィシャル・サイトで今もダウンロード可能となっているんだが、現実的にいえばアメリカの植民地のような沖縄の現状を鋭くえぐる傑作だ。カクマクシャカは2006年のフジ・ロックに加藤登紀子のフューチャリング・アーティストとして登場しているし、青森県六ヶ所村にある核燃料再処理工場問題にからんでshing02と合作で「無知の知 / 僕と核」を発表。これもカクマクシャカの公式サイトで聞くことができる。
ラインナップの詳細は公式サイトで確認していただきたいんだが、昨年のフジ・ロックでオレンジ・コートに出演した寿[kotobuki]が、あのときと同様、フル・バンドで出演。また、元ボ・ガンボスの、今は亡きどんとや、ハシケンの師匠である沖縄大衆音楽の巨人、照屋政雄に、残念ながらフルでは上京できなかったようだが、独特のオキナワン・サルサを演奏するカチンバ1551の精鋭がカチンバ4としてアコースティック・セットで参加することになっている。さらに、アイルランド音楽界の巨人で、沖縄在住、加えて、モザイクでも中心となって活動するドーナル・ラニーが梅津和時、近藤ヒロミと組んだユニットで登場し、新しいアルバム、『待ちわびた暁』を発表したばかりのシャオロン・トゥ・ザ・スカイに、すでに10年にわたってラッパーとして活動しているKZといったところがラインナップに顔を見せている。
もちろん、これは『祭り』であり、楽しむためにそこに出向くのもいいだろう。が、同時に、多くのミュージシャンが沖縄の基地問題に対して真摯に向き合っていることを受け止めて欲しいと思う。憲法9条があるというのに、すでに世界で第五位の軍事予算を使っているといわれるのが日本。さらに加えて、常時、約5万人の米兵が独立した日本という国にある治外法権のような基地に存在し、彼らの経費が自分たちの税金でまかなわれているということがなにを意味するのか? さらに加えて、新たに基地を建設しようとする意味はなになのか? しかも、美しい海を破壊することが、はたして正しい選択なのか? すでに地球が危機的な状況にあるこの時代に、なすべきことはそんなことなんだろうか?
基地建設に反対する人はその意志を示すためにもここに来ることの意味はあるだろうし、この問題を考えるために足を運ぶのもいいかもしれない。が、少なくとも、こういったフェスティヴァルがあるということは知っておいて欲しいと思う。
なお、手作りでこのフェスティヴァルを作っている人たちの声を、オフィシャル・ブログでチェックしていただけると幸いです。
photos and words by Koichi Hanafusa
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posted by hanasan