ザ・ミュージック インタビュー
Posted on June 3, 2008
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フジロックの出演アーティスト発表のとき、ザ・ミュージックの名を見て久しぶり! と思った方も多くいるでしょう。2002年から4年連続フジロックに参加(注:2004年はお客さんとして参加)した彼らの姿はライブ以外に会場内での目撃情報も多く、我らオルグスタッフの中にも「会場内を歩いていたら、ザ・ミュージックからサッカーボールが転がってきた」「ザ・ミュージックに果物をもらった」などの遭遇情報が多々ありました。
Photo by ORG-Izumikuma
そして、ニュー・アルバム「ストレングス・イン・ナンバーズ」を引っさげてのフジロック参加が2005年以来3年ぶりに決定した彼ら。このたび、最終日ホワイト・ステージのヘッドライナーが公式発表となった彼らに、フジロックのことフェスティヴァルのこと等、色々聞いてみました。
――2005年以来3年ぶりにフジロックで演奏するのはどんな気分ですか?
アダム(Gt.): ものすごく楽しみでエキサイトしているよ。 以前、レッド・マーキーでヘッドライナーをやったけど、今回はもっと大きいステージでのヘッドライナーだしね。
――この3年の間、「お客さんでもいいから行きたいな?。」と思いました?
アダム: そうだね。フジロックだけじゃなくて、日本に全然行っていなかったから行きたいな、とずっと考えていたよ。ツアーもちょっと遠ざかってしまっていたしね。最近小さいハコでUKツアーを行っていて、ライブの感覚を取り戻しつつあるかな。
――私もマイスペースなどでUKツアーのスケジュールを見ましたが、どこもソールド・アウトになっていましたよね。ツアーをやってきてお客さんの手応えなどは感じましたか?
ステュ(Ba.): 凄くいいよ。新曲もいくつか演奏していて、その反応も良いし、久しぶりにツアーに戻れたことだし、僕たちも楽しんでいるよ。
――ところで、2002年以降出演する毎に自分達は成長を感じましたか?
アダム: そうだね。 えっと、最初にフジロックで演奏した2002年はレッド・マーキーの昼間で、次の年はヘッドライナーになり。この年はグリーン・ステージでも演奏したね。
ロブ(Vo.): ザ・コーラルがキャンセルになってね。
アダム: そうだ。 ザ・コーラルがキャンセルになってしまったのがそもそもなんだけど。これによって僕達はフジロックで2回演奏した初の英国のバンドとなったんだ。 ヘッドライナーに呼ばれるということは、それだけお客さんからの要望があった、ということだから、僕達にとってファンタスティックな出来事だったよ。
で、セカンド・アルバムを出した後、ツアーを経てグリーン・ステージに出た。 そして、今回は今までに出た二つのステージとは別の所で演奏するわけで…。そうだね、出る度に成長している実感があるよ。
――今年は、新譜を出した後、ホワイト・ステージでの演奏になるわけですが、今までとは何か違ったことをやってみようとか考えています?
アダム: 新曲を沢山やるよ。というか、いちばん心がけているのは、自分達が出来る限りベストの演奏をして、見ているお客さんが踊り出したくなるようなパフォーマンスをする、ということだね。
――そういえば、MTVライブ(4月29日@AX)で、初めて日本のお客さんの前で新曲を披露したのですが、反応はどうでした?
全員: 良かったね。
ロブ: 日本のお客さんにニューシングルのストレングス・イン・ナンバーズを日本で初めて聞いてもらうから、僕はちょっと不安なところもあった。でも、UKツアーで演奏してきていい反応が得られて自信がついてきていたから、日本でもいい反応が得られるんじゃないかな、とは思っていた。そして、実際そうだったから嬉しかったね。
Photo by ORG-Sam
――ところで、デビュー前に、お客さんとしてフェスティヴァルに行ったことはありますか?
ロブ: うーん。ひとつくらい行ったことがあるかなぁ。
アダム: ああ、そうだね、ひとつくらいかな(笑)
――何に行ったの? リーズ・フェスティヴァル?(彼らの出身地はイングランド北部のリーズ。今もここに住んでいる。)
アダム: そうそう。99年。だいたい僕たちはフェスティヴァルに出かけるくらいの年齢の時にもうバンドを始めていたからね。99年のリーズは僕とステュが行ったよ。
――私(org-izumikuma)も99年のリーズに行きましたよ。テンプル・ニューサム(Temple Newsam)でしょ? (現在のリーズ・フェスティヴァルの開催場所はブラムハム・パークBramham Park)
全員: え、そうなの?! (満面の笑顔) 僕達はそこからすぐの所に住んでいるんだ。歩いて行ける距離だよ。
――お客さんでフェスティヴァルに行くのと、出る立場の違いは感じますか?
ロブ: そりゃ演奏するほうが楽しいね!
アダム: バンドが大きいステージでライブをやっている映像とか見て、自分もああいうステージで演奏してみたいなぁ、とずっと夢見てたしね。
ロブ: 自分がパフォーマンスをする立場になってくると、フェスティヴァルに来ても色んなことが気になって、お客さんとして盛り上がるということが出来なくなってしまうんだ。
でも、フジロックだけは、そんな中でも何かが起こっているとか、いつ来ても場を楽しむことが出来るね。
アダム: 自分がバンドをやっていて、他のバンドの演奏を見ていると批評的になってしまうというか、「あ?、ここ、こうしたほうがいいんじゃない?」みたいに気になってしまうんだよ。
ステュ: 「ギター、こうしろよ」みたいな(笑)
――2004年はサマーソニックに出演したけど、サマソニとフジロックの違いはありますか?
アダム: サマソニはフジロックと比べて、客観的というか商業的な雰囲気があるね。フジロックのほうが、何て言うのかな、もっとリアルというか。サマソニも良かったんだけど、フジとは全然違うというか、客観的な感じなんだな。
――ショウケースっぽい、とも言われていますね。
全員: あ?、そうだね、わかるわかる。
アダム: 会場も作りも全然違うしね。 山の中でのフェスティヴァルと人が込み入っている野球場、と言ったようにね。
――他のフェスとフジロックの違いは?
アダム: やっぱり会場次第だね。 あと、雰囲気。フジロックはゆったり感があるし。それに、良いバンド、良いお客さんがいて。 良いフェスティヴァルを作っている条件が揃っているね。
――フジロック以外で、自分達が参加して印象に残っているフェスティヴァルはありますか?
ロブ: バイロン・ビーチ(Byron Beach/オーストラリア)のフェスティヴァルだね。
アダム: 全然覚えてないな・・・。
ロブ: スプレンダワー・イン・ザ・グラス・ミュージック・フェスティヴァル(Splendour in the Grass Music Festival)さ。景色がね。フェスティヴァルそのものは、まあ、普通だったんだけど、会場が海岸沿いにあって、サーフィンしている人がいたりする場所で、気持ちよくって、その雰囲気が印象的だったんだ。
アダム: フェスティヴァルで演奏するっていうのは、ツアーと違って妥協を強いられるというか。まあ、犠牲にしなくちゃいけないことが多々あるね。バンドが演奏するのに必ずしも完璧な条件じゃなかったりするから。
フェスティヴァルの流れに合わせて動かなければいけないから時間が限られていたり、ゴミみたいな扱いを受けたり、「さっさと演奏して帰れ?」的なこと言われたり。
フジロックでは全然そんなことなくて、演奏に関しても色々と丁寧にこちらの要望を聞いてくれるし、ヒドイ扱いは全然受けないし。
――じゃあ、他のフェスティヴァルでは、会場に長く滞在せず、演奏したらさっさと移動してしまうことが多いのですか?
アダム: 大体、そうだね。
――で、まあ、フジロックに出る時はたいていずっと苗場に滞在していますよね。 更にサマーソニックに出演する年も苗場に来ていましたが、あの時はずっと日本に滞在していたのですか?
ステュ: そうだよ。 あの時はサマソニの前の週の金曜日に来て、フジロックにいてその後サマソニでプレイした。ずっと日本にいたよ。
Photo by ORG-Izumikuma
――では、フジロックでのお気に入り場所とか、必ずコレはする、ということはありますか?
アダム: 丘の上。 ホテルの裏から斜面を登っていった所に会場やお客さん達の姿が一望出来る場所があるんだよ。そこが大好きだね。
ロブ: そんな事言っちゃったら、みんな僕達を探しに登ってきちゃうよ。(爆笑)
―― 以前、ザ・クーパー・テンプル・クローズにインタビューしたときに、「あそこ登りたいよなー」って言っていたけど結局登っていなかったみたいですよ。
ロブ: 僕達なんて毎回必ず登ってるよ(と、自慢気)。
――ドラゴンドラには乗ったことありますか?
全員: ないんだよー! (残念そう) 行きたいんだけど、ちょっと遠くって。今年は乗ってみたいなぁ。
ロブ: ドラゴンドラってどれくらい離れているのかな?
(と、ここで通訳さんが、「バスでドラゴンドラ乗り場に行ってから……」と説明を始めたのだが、フィルがロブに「こっちに行くとホワイトで、こっちはオレンジコートだろ?」等々と説明を始め、ふんふんとロブがうなずく。)
――じゃあフジロックでの失敗談は何かありますか?
フィル(Dr.): 酔っ払ての?(笑)
アダム: そんなのしょっちゅうだよ(笑)
―― アッシュのティムは酔っ払って財布を失くしたそうですよ。
アダム: そりゃロックン・ロールだな(笑)
ロブ: 酔っ払ってなくても財布失くすよ。全然見つけられなくてさぁ。(爆笑)
――フジのアーティスト・ホスピタリティ・エリア(苗場プリンスの裏手にある取材エリア)はとてもオープンな環境ですが、フジロックで友達になったアーティストはいますか?
ロブ: そうだね。 ダヴスと仲良くなったよ。
ステュ: 僕はマニ(プライマル・スクリーム)に会ったな。
ロブ: もう、毎年いろんなアーティストに会ってよく覚えてないよ。 ブリティッシュ・シー・パワーにも会っているね。
――ところで、今年のフジロックのラインナップは知っていますか? 興味のあるアーティストは?
ロブ: あ?、お客さん(笑)
ステュ: (ラインナップのリストを見ながらボソッと)ケイト・ナッシュ……。
――ケイト・ナッシュに興味有り?
ステュ: いや?、いやいやいや(何故か強力に否定)
アダム: マイ・ブラディ・ヴァレンタイン見たいね。ケヴィン・シールズが大好きなんだ。
ロブ: アンダーワールド。 ブラック・マーケットも見たい。
ステュ: 僕はマイケル・フランティが好きだ。 んー、あとはあんまりないなぁ。
ロブ: おい、なにこれ、デス・セット(Death Set)ってのがあるよ、これ面白そうじゃん?(単に名前で興味津々)
――もしもオーガナイザーになれるとしたら、誰をブッキングしたいですか?現役じゃなくても、もう亡くなっているアーティストでも良いですけど。
アダム: ナイン・インチ・ネイルズやザ・キュアーやディペッシュ・モードとか呼んでダークなフェスティヴァルとかやってみたいな。
ステュ: じゃあ、もうひとつのステージはボブ・マーリィとかで明るいステージにしないと。
――(困惑……)えーっと、今年も3日間フジロックにいる予定ですか?
アダム: まだわからないな。スケジュール次第だね。同じ週末に開かれる韓国のペンタポート・ロック・フェスティヴァル に出るかもしれないし。そうなると、短い期間しかいられなくなってしまうだろうな。
ロブ: フジロックの次の週末はスプレンダワー・イン・ザ・グラス・ミュージック・フェスティヴァルに出る予定だしね。
――では、最後にフジロッカーズにメッセージをいただけますか?
アダム: 日本に戻って来られたことも凄く嬉しいし、またフジロックで演奏することを楽しみにしているよ。今回は大きいステージで、自分達が、出来栄えに誇りに持っているニュー・アルバムからの曲を演奏出来るし、お客さんに会えるのを楽しみにしています。
と、インタビューはここでおしまい……。
の、筈だったのですが、その後雑談程度に今年グラストンバリーに初参加するorg-rikoが、グラストンバリー・フェスティヴァルとフジロックの共通点を感じる?と質問したところ、こんなコメントが出てきました。
ちょっと厳しいかもしれないけど、暫く音楽シーンから距離を置いていた彼らだからこそ言えたことなのではないかなぁ、とも思えます。
ということで、以下。
アダム: 共通点?うーん、そうだね。あるんじゃない?でも比べるのはちょっと難しいなぁ。フジロックの方が数段良いしなぁ。
グラストンバリーはもう長い事開催されてきていて、代々受け継がれている伝説みたいになってきている。 だけど、実際は特にこれと言ったラインナップでもないし、僕はあえてグラストンバリーに行きたい、という気分になれないね。
ロブ: グラストンバリーは人が沢山集まって騒いで、って感じなんだけど、フジロックの方がもっと音楽も楽しもうとしている雰囲気があるよ。
アダム: これは、ここ数年の英国のフェスティヴァル全体に言えることなんだけど、フェスティヴァルに行ったという事実が大事、みたいな傾向があるんだ。3日間ただ酒飲んで大騒ぎして、テントから全然出ないで、音楽がなんとなく聞こえるだけ、みたいな。音楽をちゃんと聞いて楽しもう、という雰囲気ではなくなってきている。
フジロックは、もっとちゃんとフェスティヴァルで音楽を楽しみたい、という雰囲気が感じられる。グラストンバリーはなんだかもうサーカスだよ。
Interviewed by ORG-izumikuma, ORG-riko
Photos by ORG-izumikuma, ORG-sama
posted by ryota