リキッドヘブン08 レポート
Posted on May 9, 2008
Filed Under 国内のフェスいろいろ |
2008年4月27日、恵比寿のリキッドルームにておよそ7時間にわたって開催された「Liquid Heaven」。フジロックのステージ“Field Of Heaven”の雰囲気が、一足お先に都内で味わえる内容とあって、会場は外の晴れ間に負けないくらい、ピースフルなムードで溢れていました。
この日は、他の場所でのイベントも重なっていたこともあり、心なしか去年よりはお客さんの数が少なかった気がします。けれどもそのせいか、フロアは比較的ゆったりしていて居心地が良く、リラックスした休日となりました。
■会場では■
3時の開場とともに流れ込んだお客さんは、販売されているオーガニックな服や雑貨を眺めたり、さっそくアルコールを買いにバーカウンターに並んだりと、慣れている様子でライブが始まるのを待っていました。ほどなくしてメインステージで、らぞくのライブがスタート。中性的なボーカルが振幅の広い楽曲を乗りこなし、昼間からホールが熱気に包まれていきます。
ステージ脇に用意された白いキャンパスでは、ライブペインティングが同時進行で進んでいきます。「何を描くんだろうね〜」と、集まったお客さんも、グラビティフリーの動かす絵筆から目が離せない様子。DACHAMBOの演奏がラストを飾る頃には、キャンパスは隙間なく色で埋め尽くされ、今年も見事なアートが完成していました。
メインのライブ以外でも、ライティングやBGM、フードなど、“Field Of Heaven”をイメージさせる演出が、随所に盛り込まれたLiquid Heaven。今回は、そんなイメージを「つくる人」にスポットをあてました。
■つくる人・・・キャンドル■
2階のステージには、1本20kgもあるという大きなキャンドルが、楽器の隙間を縫って点在しています。この日は、Candle JUNEさんのお弟子さんのマリオさんが、アーティストごとに重いキャンドルを動かして、レイアウトを変えていました。
マリオさんがキャンドルの仕事を始めたきっかけは、とあるショップにあった、Candle JUNEさんの作品。それを見て、「自分も、直で人に伝わる仕事がしたい」と決意し、勤めていたアパレル会社を退職して、キャンドルの世界に足を踏み入れたそう。
Candle JUNEさんが創り出す圧倒的な世界感に打ちのめされながら、少しずつCandle JUNEさんの感性を感じ取れるように修行を積む日々。
「一生かかっても無理かもしれませんねー」と殊勝にいうマリオさんですが、キャンドルから片時も目を離さないストイックさは、作家の持つこだわりにも見えました。
■つくる人・・・舞台■
グッドチョイスのBGMで会場を盛り上げていたのはDJチーム・グラスホッパーズーのお二人。その内の一人、井上光祥さんは夏の間はDJを休業します。なぜなら、夏は、舞台監督として各地を飛び回っているからなのです。
フジロックではField Of Heavenのステージを2年担当したあと、オレンジコートの舞台監督に。井上さんいわく、舞台監督=現場監督。現場を仕切るには、出演者、スタッフ、主催者などの、意思の疎通が何よりも重要とのこと。
そんな中での舞台監督の醍醐味は?と聞くと、こんな答えをもらいました。
「全ての色々なセクションが、目指す1点に向かって機能したとき」
きっとその時間は、客席でも感動が生まれているんだろうなぁと、確信してしまいました。
■つくる人・・・フード■
今回のフードは、昨年に引き続き「縄」が出店。そして、お隣にはこれまたField Of Heavenではおなじみのパン屋さん「ルヴァン」が並びました。
二つのお店とも、「立って、つまんで、食べられるフード」ということをテーマにメニューを考案。縄からは美容にもいいとされている黒米を使った、ねぎ味噌おにぎりとおいなりさん、ルヴァンからは、くるみと山葡萄が混ぜ込まれた、ずっしりと目が詰まった天然酵母のパンを販売していました。
両店舗のフードとも、お手軽さに加え、健康にもよく美味しいという、いたれりつくせりっぷりの心遣いで、食べる人のことを十分に考えていることが分かります。
「年に一度、フジロックで各店舗の人たちと再会するというのは、同窓会のようなもので楽しい」という、ルヴァンのヨシさん。この素朴でやさしい味たちに再会できることは、私たちにとっても有難い楽しみであります。
外もすっかり暗くなり、2Fのラウンジステージに飾られたCandle JUNEのロウソクの灯りだけがくっきりと浮かび上がるようになった頃、リキッドのお客さんもすっかりくつろいで、立派な酔っ払いに。始まる前は、昼から夜なんて長いなぁと思っていたのですが、気がついたらほとんど立ちっぱなしで7時間を過ごしていました。天国の時間感覚は、竜宮城のように早く感じるのかもしれません。
Text by ORG-asuka , Photos by ORG-yusuke
posted by yusuke