街がロックするSXSW(サウスバイ・サウスウエスト)って、どうよ?

Posted on March 31, 2008
Filed Under from ORG |

SXSW

年が明けて始まる大規模なフェスティヴァルの最初はって言うと、まずは南半球のBig Day Out(ビッグ・デイ・アウト)がある。オーストラリアの数カ所を「フェスティヴァルがツアーする」というもので、残念ながら、周辺にこれを取材した人間はいないんだが、今年、DJとしてここに参加したパレス・オヴ・ワンダーの仕掛け人、ジェイソン・メイオールによると、北半球が「寒いぃ!」と言っているときに、灼熱の「冬」を大いに楽しんだそうな。日本からはクール・ワイズ・メンがここに参加し、昨年彼らがフジ・ロックで共演したトランペット奏者、タンタンと演奏。なんと一緒に録音までしてきたということで、これがいつ形になるのか気になるところ。

そして、次に続く大規模なフェスティヴァルといえば、テキサス州はオースティンで開催されるSXSW(South by Southwest Music Festival + Conference - サウスバイ・サウスウエスト・ミュージック・フェスティヴァル)がある。

フェスティヴァルというといくつか大きなステージがあって、そこをオーディエンスが移動するという感じなんだけど、それとはひと味もふた味も違っているのがこのSXSW。確かに野外のでっかいステージもあるんだが、基本的には「街がそのままロックする(揺れ動く)」と言う方がわかりやすいだろう。街中のライヴハウス… どころか、 バーからレストランに始まって、洋服屋さんのなかにスーパー・マーケットの店頭にストリートそのものや個人の家の庭、はたまたマンホールの中まで使ってライヴが繰り広げられるというのだ。

公式には約1400アーティスト(バンド)が今年のフェスティヴァルに参加したと言うんだが、非公式のものまで含めればいくらの数になるのか? はっきり言って、全然わかりません。なにせ、上述のマンホールでのライヴなんぞ、たまたまそこに出かけることができた人から直接話を聞いたから、わかったというだけで、よほどの情報通でも全てを掌握するのは不可能。加えて、ストリートでライヴを繰り広げるなかには、ひょっとしてけっこう知られたバンドもいるのではないかとも思えるほど素晴らしい演奏を楽しむこともできるのです。

SXSW

今年のSXSWに関して、おそらく、誰もが知っているアーティストと言えば、ヴァン・モリソンR.E.M.ホール&オーツのダリル・ホールなんてことになるんだろうけど、そういったアーティストがいろんな会場で、下手をすると同じ時間帯に演奏しているものだから、迷うことこの上ないし、「こんなでっかいアーティストのライヴがこんなちっぽけな会場であるの?」と驚かされることも多い。それにベン・ハーパートム・モレロが、反戦映画『ボディ・オヴ・ウォー』の完成を祝って一緒にステージに立ったというのも嬉しかったなぁ。一方で、例えば、キティ・デイジー&ルイスとかって噂になり始めたアーティストや「まだ、やっていたんだぁ?」って再発見するような「歴史上のミュージシャン」を見ることもできる。今年は、それがデラニー&ボニーボニー・ブラムレットだったり、傑作『いとしのレイラ』の核だった、ボビー・ウィットロックだったり… さらには、U2の名作、『The Joshua Tree』をブライアン・イーノと一緒にプロデュースしたり、ネヴィル・ブラザーズの傑作、『Yellow Moon』も手がけたダニエル・ラノワのレアなライヴを見られたりと、好き者には応えられないほどのアーティストが大挙して集まってライヴを披露してくれるのです。

加えて、こういったフェスティヴァルに出演するということは、フジ・ロックからサマー・ソニックといった日本のフェスティヴァルだけではなく、グラストからボナルーあたりにも出てくる可能性が高かったりもするというので、ラインアップを入念にチェックしたり… といった感じですかね。

fujirpckers.orgでも今年のSXSWのレポートをアップする予定でいるんですが、より詳しいレポートは、姉妹サイト、スマッシング・マグで、近日公開の予定。楽しみにしていてくださいな。おそらく、ここで取り上げたアーティストのなかには、フジ・ロックにも出演するアーティストがいるのではないかと思えるのです。っても、それが誰かは全然わかりませんけど。

photos by Koichi Hanafusa

posted by hanasan