• 【LIVE】史上最高のオアシスがウェンブリー・スタジアムに堂々のカムバック!世界よ!これがロックだ!ロングライブレポート公開!


    序盤から超弩級のセットリストは、あの曲を覚醒させ、新たなエネルギーを吹き込んだ

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    音源よりさらにドラムビートが強調された “Morning Glory” のイントロが鳴り響くと、観客は曲早々から大音量でシンガロング!リアムが歌う《What’s the story morning glory?》のコーラスに続き、ノエルの《Weeeeeeeeel!》というコーラスも全力で歌い上げる。序盤にもかかわらず喉が潰れそうな勢いだが、オアシスもファンもまだまだ止まらない!

    続く、我流邁進の決意を歌ったこれぞオアシスソングな “Some Might Say” での一体感も凄まじかったが、次の曲 “Bring It On Down” は記憶の中に残る過去のライブ演奏の遥か先を行っていたのだ。ジョーイのタイトながらもフロアに響き渡るようなビートと、ノエル、ボーンヘッド、ゲムのギター三重奏による分厚くデカい重音サウンドがオーディエンスを圧倒!リアムのボーカルと渾然一体となったサウンドに、ファンは全力で呼応し、スタジアム全体が「考えるな、感じろ!」のマインドに包まれた。しかし、改めて思うのは、ファーストアルバム『Definitely Maybe』とセカンドアルバム『(What’s The Story)Morning Glory?』の破壊力の凄まじさだ。どちらの作品もリリースから30年以上経った今もなお、普遍的な魅力でファンの心を掴み続けている。こんなバンドが他にいるだろうか?そんな事実を、彼らはこのあともノンストップでオーディエンスに叩き込んでいく。

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    “Cigarettes & Alcohol” では、今回のツアーでお馴染みとなった “ポズナン”(マンチェスター・シティの試合でゴールが決まった際に行われる、サポーターがピッチに背を向けて肩を組みジャンプするパフォーマンス)がスタジアム全体に広がり、その熱狂に応えるかのようにリアムはキレッキレのボーカルで応える。ファンのボルテージは上がり続け、筆者の近くにいたファンの中には、興奮のあまりスタンドの天井をバンバンと手で叩き続けている者がいたり、筆者の上の階からはビールの入ったコップが降ってきたりもした。もうクレイジーすぎる…!しかし、これだからオアシスファンは最高だ!

    バンドの勢いは止まらない。ノエル、ボーンヘッド、ゲムの3人が織りなす重層的で重厚なギターイントロから始まった “Fade Away” や、《俺は俺でなきゃならない》という彼らのアティテュードが凝縮されたデビュー曲 “Supersonic” でも、圧倒的なパフォーマンスを持ってスタジアム全体を掌握していた。そこから感じたのは、バンドのパフォーマンスと、そこにシンガロングで必死についていくオーディエンスによる、まさに“ライブ”における最高のせめぎ合い。これぞオアシスのライブの真骨頂だ。そんな最高なやりとりに、リアムは「お前ら、ファッキン最高だな」とでも言わんばかりに、タンバリンを左胸に打ち付け、さらにオーディエンスに向け突き出した。

    ノエルがソロ活動で示した“シンガー”ソングライターとしての矜持は、オアシスでも健在

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    Photo by Shuhei Wakabayashi

    “Supersonic” の勢いそのままに、再び頭からケツまで大合唱の “Roll With It” が終わると、ライブはノエルボーカルのセクションに突入。“Talk Tonight”、“Half the World Away”、“Little by Little”の3曲は、NGHFBのライブでも頻繁に演奏される楽曲だが、演奏自体はホーンセクションが加わるなど大きな変化はなし。しかし、オアシス解散前と決定的に異なっていたのは、ノエルがシンガーとして明確な変化を遂げていたことだろう。かつてノエル自身が「ボーカルでリアムには絶対に敵わない」と語っていたように、オアシス時代の彼はソロボーカル曲でも伏し目がちに歌っていた。その姿がある種の魅力でもあったわけだが、ソロ活動でメインシンガーとしてステージに立つようになってからは、シンガーとしての自覚が芽生え、観客の方をまっすぐ見据えて歌うようになり、ファンにとってノエルがより誇らしい存在になったのだ。ノエルのシンガー・ソングライターとしての“進化”は、観客の熱狂にも大きな影響を与えていた。“Half the World Away”でも、“Little By Little”でも、これまで同様の大合唱が沸き起こり、その光景はまるでオアシスに帰ってきたノエルを称賛しているかのようだった。ファンの熱量に応えるかのように、ノエルもコーラスパートのほとんどをオーディエンスに委ね、会場は再び一体感に包まれた。

    一方で特筆すべき点がある。それはノエルの表情の変化だ。その表情は、後期のオアシスを知るファンにとっては信じられないほど穏やかで、“Half the World Away” の間奏では、隣で演奏するボーンヘッドにちょっかいを出してみたり、初期オアシスを知るファンなら思わず「おいマジかよ」とニヤけてしまうようなやりとりは、微笑ましくも目頭が熱くなるやりとりでもあった(ちなみに、オアシス初期の頃はノエルとボーンヘッドは離れた位置で演奏していたため、そういったやり取りは皆無)。

    久々に放たれたあの曲の凄まじい熱量、そしてそれに呼応したオアシスファンの23年越しの最高のアンサー

    Photo by Tsutomu Shimoguchi

    Photo by Tsutomu Shimoguchi

    バンドの持つ可能性が最大限に引き出されたサードアルバム『Be Here Now』。この作品は、酒とドラッグに溺れた制作背景からくるカオスさゆえに、ノエル自身が長らく否定的な姿勢を取り、オアシスとしてのライブで演奏されることはほとんどなかった(後にリアムとノエルのソロライブでは一部披露されている)。しかし今回、そのサードアルバムから、久しく演奏されていなかった曲がついに解禁される。

    巨大スクリーンには、発煙筒から火花が噴射されるかのような映像が映し出され、聴き覚えのないアブストラクトなイントロが流れ始めた。その漠然とした旋律が次第に記憶の中で具体的な形を結び、どの曲か気づいた瞬間、思わず「きた!」と叫んでしまった。その曲は、オアシスのソングラインナップの中でも、屈指の壮大で重厚なロックソング “D’You Know What I Mean?”。原曲に見られたサイケデリックさは爆音にほぼ打ち消され、なりを潜めていたいたものの、逆に曲のダイナミズムが際立っていて、最高なロックサウンドに仕上がっていた。特に印象的だったのは、会場全体を照らしていた真っ赤な照明だ。その光景は、まるでバンドとファンの魂と身体が熱気で燃え上がるようで、思わず鳥肌が立つほどだった。さらに、凄まじい熱量を持ったエネルギーで大合唱するオーディエンスの叫びからは、当時のバンドへの熱狂を批評する意味が込められた歌詞《D’you know what I mean? / 俺の言ってることがわかるのか?》に対する「わかるさ!つまりはオアシスの辿ってきた道は俺らと共にあったってことだろ?」という、2025年の今だからこそ言える最高のアンサーに聞こえた。

    続く“Stand By Me” は、オアシスらしいシンプルで美しいメロディがとにかく際立っていた。“D’You Know What I Mean?”で生まれた緊張感がこの曲で解き放たれることで、メロディのコントラストがより一層引き立ち、会場中に響き渡るファンのシンガロングは心地よく、開放感に満ち溢れていた。そんな雰囲気から少々チルするように始まった “Cast No Shadow” は、この日サポートアクトを務めていたリチャード・アシュクロフト(元ザ・ヴァーヴ)に捧げられた落ち着いたトーンのメッセージソング。長年の両バンドのファンにとって、オアシスとリチャードが同じ場所にいるこの状況で聴けることは、感動以外の何ものでもなかった。誰もが声を張り上げて歌いたい気持ちを抑えつつ、歌詞を口ずさみながら、この曲を通じて両者の関係性を深く感じ取っている。この光景は、改めてオアシスとリチャードへの信頼と絶大なリスペクトを感じさせるものだった。

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