#フレッド・アゲインを待っていたあの夜
- 2025/08/12 ● REPORT
まりぺです!みなさんそれぞれの過ごし方があっておもしろい!一つひとつのエピソードが愛おしいです。
さて、私や仲間たちはこんな感じで過ごしていました——
まりぺの場合…
スタート時間未定とわかりながらとりあえずグリーンへ。
待機した場所は彼が途中でパフォーマンスするであろうPA前サブステージのすぐ横。
正式発表された開始時間はまだまだ先で、エズラやSuchmosを観に行くか正直かなり迷った。
でも一度この場所を離れたら、もう戻れないよねってなって…
私「どうする?UNOやる?」
友「うわ、こんな時に限って車置いてきちゃった!」(※いつもフェスに持ってきてる笑)
私「んーどうしようね…あ、そういえば配信見れたりするかな?」
友「確かに!…うん、普通に見れる!」
そして各自のスマホでエズラ、Suchmosを見始める。
気づいたら、周りの人たちも配信を見始めていた。
私たち「やっぱ配信じゃ物足りん!」
と何やかんやおしゃべりしている間にライブスタート
私たち「やっぱり生が一番!!!」
ダンスミュージックで涙を流しながら踊ったのは初めて。
待ちに待ちすぎたその時間はあまりにも幸せいっぱいの時間だった!

Photo by 阿部仁知
ユリくんの場合…
前方ブロックでスタンバイ。
しばらく時間がかかるとわかり、一旦トイレやビールタイムを挟んで再集合。
再び前方に戻り、座っておしゃべりしながら待機。
待ってる間は、早く観たい気持ち、運営側のハラハラを心配する気持ち、キャンセルにならないかどうかの不安でグジャグジャな感情。
周囲は海外のお客さんが多くて、情報が更新されるたびに大きな声でシェアしてくれる外国人がいたのが印象的。知らない人同士で「どうしましょうね」って話したりして、会場全体がちょっとした共同体になっていたのも、フジロックならでは。
ライブが始まるとフレッドは笑顔で登場してくれて、ありがとー!の気持ち。笑顔が眩しい。メッセージも眩しい。 こんなに遅れたらアーティストによってはキャンセルする人もいそうなのに、自分たちはもちろん、フレッドがフジロックを楽しみにしてて、本番も楽しそうに演奏してたのが心から嬉しかった。
最初のほうにやった“Bleu (better with time)”は1番好きな曲だったから、いきなりテンションが上がったんだけど、スロースタートで徐々に会場を温める進め方はすごくいいなって思った。センターステージでのMPCのプレイにも大興奮。
「ダンスミュージックのライブってお客さんを音楽で盛り上げるみたいなのがほとんどだけど、フレッドはメッセージ性も前に出てるし、モニターに歌詞を映してみんなに歌わせたりとか、今までのダンスミュージックとは違うオーディエンスとの繋がり方をしてる点で、新しい音楽体験を提供してるなって感じだね。」と語るユリくん。
そんなユリくんは、本番前に苗食の前を友達とみんなで歩いているフレッド・アゲインも見れたとのことでした。なんて貴重な体験!いいなぁ!!
親方(おやかた)さんの場合…
自分は家族とフジロックに参加しています。子どもがまだ小さい為、夜は奥さんと交代で参加することにしていて、金曜日は自分が夜担当!FRED AGAIN..、KIASMOS、Joy(Anonymous)とダンス・EDM好きには観たいのが満載の日で楽しみ!
前で観たいので開始1時間前にグリーンに来てみると「機材トラブルでスタートが未定」とのこと。最悪中止かなとネガティブな気持ちがよぎるも、ステージではフジロックでは聞き慣れない工事の音が鳴り響いていて、スタッフの皆様の頑張りに期待!とりあえずエナジーチャージ!ってことで空いてそうなイエローでポークグリルとビールでお腹と心を満たす。
SNSで開始も案内され、いざ開演!ライブは想像の何倍もの「サイコー」をもらって今年のフジロックを終えた気分になってしまった。 KIASMOS、Joy(Anonymous)も頭から吹き飛んでライブを噛み締めながら宿に帰ったのでした。
そんなエピソードを教えてくれた親方さんとは、フジロック前に「フレッド・アゲイン超楽しみですね!」と何度も話していたので、この時の話を聞けて嬉しく思います。次会う時は「フレッド・アゲイン超楽しかったですね!」の話をしましょう!

ご本人提供
まりぺさんありがとうございます!PAエリアで演奏することを予想してたのはさすが…!そんでフレッド苗食いたん!?ほんまに!?ユリさん、またどっかでその話聞かせてください。親方さんの後ろの予定が飛んじゃう感じもよくわかります。感無量でしたよね…!
最後に筆者の友人のつきこさんより。そもそもつきこさんと「フレッド素晴らしかったね。みんなの話も聞いてみたいな」と話している時に今回の企画を思いついたのですが、お話を聞くとめちゃくちゃアツいレポートを送ってくれました。もうこれはそのまま載せちゃえ!ということで、ほぼ原文ママで載せさせていただきます。
つきこさんの場合…
Fred again.. 全力待機 FUJI ROCK ’25
Fred again..を知ったのは、コロナ禍の中で出会ったThe Blessed Madonnaとのコラボ楽曲”Marea (We’ve Lost Dancing)”。「踊ることを忘れてしまったね」という一言と、ミニマルなトラックに宿る美しさと悲しさ、そしてその中にかすかに灯る光に心を撃ち抜かれたのが始まりだった。以来、boiler roomの動画を何度も観返しながら、来日をずっと心待ちにしていた。彼の名前がフジロックのラインナップで発表された瞬間、小躍りどころか飛び上がって喜んだ。
何があっても“苗場最優先”。彼の初来日は大自然と最強音圧音響、ライティング、巨大スクリーンが揃うフジで体感したいと思ってた。だから今回、彼のインスタストーリーで単独も匂わせてたけど、この場所で会うことを選んだ。
初日の一番の目的はもちろん、ヘッドライナーのFred again..。直前までRED MARQUEEでTychoのライブを観ていたけど、気になりすぎて途中で抜け、オタクムーブ全開でGREEN STAGEのモッシュピットへ。今年のフジはとくに人が多く、海外からのお客さんもかなり増えていた印象。前方には日本人だけでなく、多国籍のフレアゲ・オタクたちが既に待機していた。
でも、予定時間になっても一向に始まらなくてざわつく。スマホは私のソフバンも知人のドコモも電波が死んでて、ただの時間表示マシンに。前方で待機していた人がぱらぱら抜け出し移動を始めた。どうやら機材トラブルで1時間以上押すらしいと教えてもらった。本音を言えば、Ezra CollectiveやSuchmosも観たかった。でも、今回はFred again..を絶対観るって決めてたのでそのまま残ることに決めた。
待機してるうちに、まわりの人たちとも仲良くなった。お酒を振る舞いあったり、お菓子をシェアしたりしながら、好きな曲や単独匂わせストーリーの話をしたりフレアゲ愛を語り合った。隣にいた韓国の男の子とも、カタコトと翻訳アプリでやり取りして、彼のキャリアは電波が生きてたから、最新の情報もシェアしてくれてありがたかった。
隣のブロックからは、BGMで流れるアンセム曲に合わせて大合唱が起きていて、気づけばピースフルな待機パーティーが広がってた。そうこうしてるうちに、最初はそわそわしてた待ち時間も、なんだか楽しくなってきて、気がつけば2時間近くモッシュピットで待ってた。
待機していると自撮りしながらステージに向かうチャーミングなFredの姿がモニターに映った。渇望していた分、もうそれだけで泣いた。その時の歓声と歓喜、熱狂の渦の中にいる感覚はきっと一生忘れないと思う。サマソニでトム・ヨークが語り出して“Creep”を歌ってくれた時に近い、特別な場に立ち会えた感じがあった。
VJには英語と日本語のバイリンガルの字幕が映され、初来日と初アジアツアーが出来る喜び、コロナ禍中に書かれた日記と彼の心情、そして日本の山の中でいま演奏してる祝福と祈りが伝えられ、一帯は幸福感で充満していた。オーディエンスが一つになりFredと繋がっている感覚があった。トラブルさえも彼のストーリーの一部になっていると思えた。
歓喜の中始まる“Kyle (i found you)”を全身に浴びる。そこから20曲近くのセトリ。“Victory Lap”で気持ちよくなったところでPAの方へ移動し、“Jungle”、“Rumble”の流れはMPCプレイ含めてアガりすぎて限界突破。“peace u need”ではJoy Anonymousとシンガロングし、その直後の“leavemealone”のアレンジがクール過ぎてまた爆上がりして感情のジェットコースターだった。
彼のプレイも歌も鍵盤もドラムもギターも…ほんと全部がハイレベルすぎて、多才さに震えた。さらにサポートドラマーのネキ!華奢な体から繰り出されるパワフルかつストイックなパフォーマンスが最高で、あの場のテンションを一気に持ち上げてくれてた。ちな中央下手の柵横にいたら、普通に観に来てたFour Tetが何度か横を通っていってビビった。こういうのもフジロックらしいなって思う。
そして最後、スクリーンに映し出された単独発表!匂わせから予感はしてたけど、やっぱり歓喜。こんなにすぐフレアゲをアゲインできちゃうの最高やん!て。でも同時に、「この夜を超える体験はもう無いかもしれないな」とも思えた。今でも動画を見返しては胸がアツくなるし音源聴いたりずっと余韻がえぐい。完全に伝説クラスの夜だった。

Photo by izumi
つきこさんありがとうございました!あの夜のことが浮かんできて感慨深いですね…。
さて、今回は筆者とまりぺさんの身の回りの仲間にお話を聞きましたが、もっともっとたくさんのドラマがあそこにはあったはず。後ろの森のほうで観ていた方のお話も気になります。Xの引用やリプライ、Facebookのコメント、「#フレッド・アゲインを待っていたあの夜」のハッシュタグで、ぜひみなさんのあの時のお話も聞かせてくれたら嬉しいです。企画がどうこうじゃなくて単純にいろんなお話を聞いてみたいので、もしよかったらお気軽にどうぞ!
最後にまりぺさん、お話を聞かせてくれたみなさん、行き当たりばったりな企画に付き合ってくれて、本当にありがとうございました!でもまだまだ話し足りないよ!今度会ったらお礼も兼ねてビールでも奢るので、またフジロックの思い出を色々語らいましょうね。
Text by 阿部仁知&まりぺ
Photo by 古川喜隆(ライブ写真)、ご協力いただいたみなさん
special thanks:dewくん、りさこちゃん、tKoさん、ユリくん、親方さん、つきこさん、そしてフレッド・アゲインとともに素晴らしい夜をつくりあげたみなさん