【LIVE】TOMOO @ 東京国際フォーラム 2026/02/28(土)「『DEAR MYSTERIES』がくれた大切な宝箱」
- 2026/03/18 ● REPORT

『DEAR MYSTERIES』。この言葉を直訳すると「親愛なる神秘/謎/秘密」。「神秘/謎/秘密」つまりは「はっきりと分からないモノやコト」で、そこに「親愛なる」が付くことで、心の中にある無数の「小さな箱」が愛すべき「宝箱」に変わっていくような感覚を呼び起こす。そんなセカンドアルバム『DEAR MYSTERIES』の世界観が満ちていた今回のツアー。注目すべきは、そんな新譜の世界観に既存の名曲たちがどのように混ざり合い、どんな「親愛なる〜」の表情を見せるのか、という点にあった。
昨年11月から始まり、全国10箇所を巡ったTOMOO自身最大規模のツアー『TOMOO HALL TOUR 2025-2026』(以下『DEAR MYSTERIES』ツアー)が、ついにこの日の東京国際フォーラムでファイナルを迎えた。全公演ソールドアウトという大盛況の中、約2時間にわたって繰り広げられたこの最終公演は、ツアータイトルに込められたTOMOOの想い、長い全国ツアーを経て彼女の中で深まった感情、そしてファンからの熱い気持ち、そのすべてがギュッと凝縮された濃密な時間となった。そんなツアー最終日、東京国際フォーラム2日目の模様をレポートしていこうと思う。
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SNS上でも広がっていくファンダムの温かいコミュニティ

Photo by Shuhei Wakabayashi
昨年11月からスタートした今回のツアー。Xのタイムライン上を追っていると、そこには近隣地域での公演だけでなく、その他地域へも遠征するYOU YOU(TOMOOのファンクラブ名であり、ファンの愛称/以下ファン)による投稿が多く見受けられた。投稿には遠征先での観光写真や、その地であったちょっとした良い出来事が言葉で綴られており、それらを見ているだけでも、ファン一人ひとりが “ツアー” を心から楽しんでいる様子が伝わってきた。そんなX上で交わされるファン同士の心温まるやりとりはオンライン上のものでありながらもリアルな繋がりを感じさせ、このファンダムが持つ温かさや優しさを改めて教えてくれたような気がした。
そして迎えたツアー最終日の東京公演当日、開場時間から間も無く会場に入ったのだが、すでに半分近くの席が埋まっていた。開演までまだ1時間近くあるにもかかわらず、大きな期待感の表れか、不思議と退屈さは感じなかった。さて、気になるステージセットに目を向けると、まず目を引いたのは、背景に配されたモダンな洋館を思わせるセットと、ステージ中央に鎮座するTOMOO愛用のアップライトピアノとグランドピアノ、それら2台のピアノだった。2台のピアノを使い分けること自体はこれまでもTOMOOのライブで行われてきたことなので決してで珍しくはないが、『DEAR MYSTERIES』の世界観を、時に繊細に、時に大胆に表現するという上で、この2台のピアノは重要な役割を果たすことなる。
開演前の会場には、TOMOO自身が選曲した楽曲が流れていた。そして最後に、彼女が敬愛する女性シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの名曲である “A Case Of You” が流れる中、温かい拍手に迎えられながら、メンバーがステージに登場した。
バンマス大月文太(Gt)、勝矢匠(B)、幡宮航太(Key)をはじめ、伊吹文裕(Dr)にTaikimen(Per)、ホーン隊の吉澤達彦(Tp)と石井裕太(Sax)、さらに“JP”こと林田順平(Vc/以下JP)が加わった編成。そして最後に、ライトインディゴブルーのシャツと、青を基調としたタイダイ柄のロングスカートをまとったTOMOO(Vo/Pf)がステージに登場し、グランドピアノの前に座る。静かに、ライブの幕が上がった。
歩みを振り返るように始まった“高台”

Photo by Kana Tarumi
ライブのオープニングを飾った “高台” 。柔らかなタッチのピアノイントロから始まったこの曲。薄紫などこの曲をイメージさせるライトが注がれる中、TOMOOは優しく穏やかなトーンで歌い上げる。アルバムの最後に収められたこの曲は、他者に向けられた外向きの前半曲と内省的な内向きの後半曲、それら両方を俯瞰して初めて見えてくる「人間愛」を映し出している楽曲だと思う。人間が持つ「内向きの感情」と「外向きの感情」、それら両方とも優しく包み込むTOMOOの声とバンドの開放的な演奏は、静かに聴き入るオーディエンスの心をも優しく包み込むよう。《振り向けば/ため息に満ちて見えた日々も/美しい景色に変わる》、そんな心の中にある様々な感情がゆっくり解いていくようなフレーズも相まって、ライブ初っ端から込み上げてくるものがあった。
彼女が歩んできた道のりを振り帰っていくように、2曲目からは、そこに生まれ落ちてきた楽曲たちが続いていった。まず披露されたのは “What’s Up?” 。軽やかで弾けるようなイントロから始まったこの曲は、バンドアンサンブルの素晴らしさはもちろん、特にリズム隊を軸にしたバウンドするようなリズムが心地良く鳴り響き、ファンたちの心も軽やかに弾ませる。「この日、この時間を思いっきり楽しむぞ!」、そんな気持ちが溢れているかのように、皆一様に朗らかな表情を浮かべていた。
「こんばんは!TOMOOです!『DEAR MYSTERIES 』ツアーファイナル!いいステージにしましょう!」
そんな彼女の開会宣言から続き、披露されたのは “あわいに” 。イントロピアノの音が聴こえた瞬間、それまで席に座っていたファンたちは「もう耐えきれない!」とでも言わんばかりに席から一斉に立ち上がり、大きなクラップで会場を盛り上げる。この曲の溢れんばかりの瑞々しさと、跳ねるようなリズムのメロディは、瞬く間にファンの心をどんどん高揚させていった。
そのままシームレスに始まったミドルテンポのポップチューン “酔ひもせす” では、原曲が持つ普遍的なメロディとオルタナティブなアレンジを際立たせるように、バンドメンバーの絶妙なラインで鳴らされる演奏もまた光っていた。サビでは、アップライトした手をリズムに合わせて大きく左右に振り、そこから会場のボルテージも急上昇!曲のラストフレーズ《星がきれいだ/もうすぐ春だね》には、じきに訪れる春を予感させるような暖かさが感じられた。

Photo by Kana Tarumi
『DEAR MYSTERIES』がもたらした新たな没入感
今回のツアーの注目点として「新作の世界観に既存曲がどう混ざり合うのか」を冒頭に挙げていたが、その融合は見事なまでに成されていた。各楽曲が持つテーマ性がアルバム全体のテーマ性と高い親和性を持っていたからこそ、自然な形で溶け合っていたのだろう。それを裏付けるように、ここからはTOMOOのライブ定番ナンバーが連続投下されていった。
エネルギッシュで突き抜けるようなポップナンバー “夢はさめても” では、「夢から覚めた後の現実をも、愛おしく思う気持ち」を歌い、青春の甘酸っぱさを感じさせる “コントラスト” では、「恋が始まるまでの喜びや切なさ・悲しみの感情を尊う心情」をTOMOOは見事に表現。ポジティブな感情もネガティブな感情も「親愛なるもの」として歌われていたそれは、まさに「DEAR MYSTERY」そのものだった。そして、バンドの演奏もまた、この日のセットリストを『DEAR MYSTERIES』という箱に収める重要な役割を果たしていた。曲ごとに表現の形を変え、曲に順応していくアレンジは、それ単体だけ切り出しても素晴らしいの一言に尽きる。時に大胆に、時に憂いを持って奏でられるTOMOOたちの演奏・パフォーマンスは、会場にいた超満員のファンをどんどんライブに没入させていった。
そんな没入感は、続く “Grapefruit Moon” でさらにグッと深まっていく。TOMOOの表現者としてのヴォーカルワークが際立つこの曲で、頭上から差し込まれた深いオレンジ色のスポットライトの下、TOMOOが大人になったからこそ感じていた人生の苦味が感じられる心模様をエモーショナルに、そしてソウルフルに歌う。そして、そこから生まれた温度が徐々に上がっていくような演奏が合わさり、暖色の心象風景が会場を満たしていった。

Photo by Kana Tarumi
そんな一方で、TOMOOの真骨頂であるピアノの弾き語りもまたファンたちを魅了した。インディーズ時代の代表曲の一つである “雨粒をつけたまま” では、“Grapefluit Moon”と同じように「何者でもない自分」であることもまた「悪くない」と歌い、《物語は/いつも物語は/誰も知らないところから始まってくよ/これでいいんだ/今はこれでいいのさ/見えてるものが全てじゃない》と前を向くTOMOOの言葉は、ファンの心にじわりじわりと染み込んでいった。
曲を終え、ステージ中央へ進んだTOMOOは、まるで客席の隅々まで覗き込むかのように額に手をかざし、そして、今回のツアーを振り返り、満足げな表情で語った。「たくさんの場所を回るタイプのツアーっていつも冬なんですよね。でも、寒いことは、逆にあったかさが際立つっていうのもあるから、つまり・・・今回もあったかいツアーだったんだよ」そう語ると、客席から大きな拍手が湧き上がり、そこから披露されたのが、ファンにとって大切な冬の曲 “ベーコンエピ” だった。聴く人をホッとさせるようなTOMOOの歌声と、ピアノのイントロで始まったこの曲は、まさに温もりに満ちていた。寒さで凍えた体を包み込むようなホーン隊の音色、ゆったりと丁寧に奏でられるキーボード、そして間奏で響く柔らかでジャジーなサックス。これらの音色一つ一つが、この曲が持つ温かさを雄弁に物語っているようだった。
他の曲に違わず、“ベーコンエピ” もまた初披露から時を経たものの、そこに込められた感情は普遍的であり続け、言葉にさらなる説得力をもたらしていることを再認識させられたセクションでもあった。
今だ変わらぬ制作スタンスが織りなす、バラエティ豊かな楽曲たち
ホッと一息つくように始まったMCで、TOMOOはツアーの舞台裏でバンドメンバーやスタッフたちと『全国餃子食べ比べツアー』を開催していたことを明かし、TOMOO史上、最高クラスに摩訶不思議なサウンドデザインのポップナンバー “餃子” へと突入した。誰にも言えない自分だけの秘密や、大切な人への想いといったものを「餃子の皮」にメタファーとして包み込む ── そんな歌詞と、オリエンタルな雰囲気をベースにしたファンキーなサウンドのギャップはまさに「DEAR MYSTERY」で最高だ。そして曲のアウトロの音が止むと、TOMOOはステージ中央に置かれた銅鑼を豪快に鳴らし、その世界観を完成させた。重ねて言うが、最高だ。

Photo by Kana Tarumi
「不思議な〜」と言う点では、この曲も全く引けを取らない。『DEAR MYSTERIES』で初音源化された “ナイトウォーク” である。今までのライブで様々なアレンジで披露されてきたこの曲は、アルバムで一気にその雰囲気を変えた。プログレッシブでファンキーに攻めるロックナンバーへと変化を遂げたこの曲は、ストリングスとホーンがアクセントとなり、ダイナミックに場内に鳴り響く。「踊れ!踊れ!」と言わんばかりに圧倒するロックでダンサブルなアウトロは、重く強いビートと、曲をグルーヴさせるスラップベースにより、ファンたちの身体を動かした。

Photo by Kana Tarumi
“餃子”、“ナイトウォーク”という個性的な2曲が終わると、TOMOOはMCで「(“餃子”みたいな曲を作っていても)曲作りのスタンスは昔も今も変わってないんですよね。ずっと地続きになってると思ってるんですよ」と語り、その流れで “スーパースター” を披露した。この曲にある、誰もが抱く「特別な存在(スーパースター)になりたい」という憧れと、その裏側にある「自分は平凡だ」という気持ち、その両方を抱きしめるようなこの曲を、TOMOOは感情込めて歌い上げた。
“スーパースター” のアウトロから、そのままシームレスに “オセロ” が始まると、超満員の会場のボルテージはさらに上がっていった。このポップで高揚感あふれるナンバーで、すぐさま起こったファンたちによる最高のクラップ。それは、縦横無尽に変化するダイナミックなTOMOOたちの演奏のまるで後押しとなっているようだった。アウトロでの「一階っ!」「二階っ!」と叫ぶTOMOOの煽りも相まってファンは大興奮。その高揚感そのままに続いて始まった、TOMOO最大のヒット曲 “Super Ball” では、一転してグッと空気を引き締めた。凛とした表情で、細かくリズムを刻みながら歌うTOMOO。そこに即興性を感じるファンキーでバウンシーに鳴り響くサウンドが混ざり合い、最高なポップでファンクなグルーヴを会場に生み出した。
光と闇の間に見えた“透明”

Photo by Kana Tarumi
TOMOOの楽曲は多面性だ。しっとりと歌うバラードソングも、明るいポップソングも、変化球なポップロックソングも、聴き手によって様々な解釈を与えてくれるからだ。そこに見える人の感情は、曖昧ながらも大きな共通する部分がある。だからこそ多くのファンが彼女の歌に「共感」するのではないだろうか。そんなTOMOOの共感性と創造性における現時点での最高到達点が『DEAR MYSTERIES』であり、そこに込めた強い思いを、そして決意をTOMOOは口にした。
(この作品は)陽の当たる場所に出て誰かと一緒にいる嬉しさを知ってくような曲もあれば、だんだん奥の方に潜っていく独りな曲もあって。そして奥の内の方に潜ったからこそ、見つけられて届く心もあるよなぁって、今は思うんです。
そして、曲一つ一つにどんな景色があるのかを一緒に見ようとしてくれた人たちがいて、そしてこれを受け取ろうとしてくれる皆さんがいて。きっとそういう幸せを知りつつある今だからこそ、私は自分の中で「分からないこと」や「説明できないもの」、それらもまた大事にしていきたいなって思ってます。そこにしかない豊かさがあると信じてるので。
この『DEAR MYSTERIES』は、つまり「親愛なる秘密たち/神秘たち/人たち」で。これを聴いてくれている皆さんにも、自分の中、奥の方にある影になってることや、分からないままのものとか、ぜひ大事にしてほしいなって、思ってます。
人間の中にある様々な感情、それらを大切にしたいという彼女からのメッセージに続いて始まったのは、繰り返される日常の中に宿る永遠性を歌う “エンドレス” だった。夕暮れ時から夜へと移り変わる刻を感じさせるような、少し寂寥感がありながらも温かさのあるこの曲を、TOMOOはまるで一言一言を噛み締めるように歌い、ファンはそのパフォーマンスを心に染み込ませるようにじっくりと聴き入っていた。
曲の終わりと共に会場は大きな拍手に包まれた。曲の余韻が残る静寂の中、静かなチェロの音色が緩やかに響き始めた。それに連なるようにTOMOOのピアノイントロから “Cinderella” が始まった。会場に鳴り響くのは、TOMOOのピアノと歌声とJPによるチェロの音色のみ。そんなシンプルな構成が、曲の持つ美しさ、切なさ、そして儚さを帯びたメロディを、聴く人の心と身体にスッと染み込ませる。再び言葉にできない感情が込み上げてくる。それはまるで、「言葉」だけでは語り尽くせない彼女の作品世界を象徴しているかのようだった。
そして、ライブはハイライトを迎える。『DEAR MYSTERIES』の核心となる曲、 “Lip Noise” だ。深く力強いピアノの打音から始まった、ミニマムながらも深い熱情を感じるこのポップソングは、いくつもの苦難を乗り越えてもなお心に残る暗闇の中でもがき続ける、人間の内面を描き出しているような曲だ。
TOMOOに注がれるスポットライト、そんな光の周りには暗闇がある。そんな光景は、まさにこの曲の歌詞にもある「光と闇」「真澄と澱み」そのものだった。そしてそんな光景を、TOMOOの感情がこもった歌唱と演奏を感じながら眺めていると、じきにうっすらとグラデーションがかった「透明」が見えたような気がした。
そんな発見をくれた彼女の感情表現は圧巻そのものだった。曲中に声のピッチがブレる瞬間もあったものの、それもまた彼女の感情が溢れでていたからこそのものだと思うと、その歌声はより深く心に刻まれていった。
透明なものを追い求めることで生まれるTOMOOの楽曲
“Lip Noise”の歌と演奏、その凄まじい迫力にしばし呆然とする中、TOMOOは静かに口を開き、武道館公演の際にも口にしていた「透明」について語った。そこには、まるでTOMOOという人間の本質が詰まっているように思えた。
“透明”を見る・・・。
私はずっと「透明なものを見たい」とか、「透明なものを見た気がする」とか、それでもそれを見失ったりとかもする。そんなものをずっと探してるような気がしてるんです。
掴めそうで掴めない、でもやっぱり掴めるんじゃないかみたいなものを。歌を書くときも、いろんな角度から断片的に捉えようとしてる様な気がするんですよね。
TOMOOはこれまで、ずっと人の心を様々な角度から眺め、そこにあるものを二元論で割り切るのではなく、常に「間(あわい)」にあるものを探し求め、楽曲へと昇華してきた。そして、そこで彼女が感じた些細な光景や心情を「大切なもの」として歌ってきたのだ。それは、彼女の言葉を借りるなら「透明」であり「永遠」なものなのかもしれない。
そんな想いがこめられた楽曲として披露されたのが“ハックルベリーフレンド” だ。ナチュラルでオーガニックさを感じさせるTOMOOのヴォーカルとバンド演奏は、心の中にいる「ハックルベリーフレンド」を思い起こさせてくれた。その人がいるだけで、少しだけ強くなれる。そんな普遍的な友情の形を飾らない言葉でまっすぐに伝えてくれるTOMOOの歌。《また会おう》というラストフレーズには、「永遠」という言葉が持つ確かな響きを感じるようだった。

Photo by Kana Tarumi
ここからラストへ向け、一気にギアを上げていく。軽快に弾むジャジーなピアノからイントロに突入した “Ginger” は、ここまでの内省的なムードから一転、パッと会場の空気を明るくした。2番に入ると、アップライトピアノからハンドマイクに持ち替え、ステージ全体を使いながらファンたちとともに心をアップリフトしていく。リズミカルに刻まれるメロディとオーディエンスのクラップは、会場を明るくポップにふわっと浮き上がらせるような空気を与えていた。
ここでバンドメンバーの紹介パートに突入。TOMOOのライブを支えてきたのは、彼らバンドメンバーたちであることに間違いはない。本ツアー各地公演の終演後、メンバーたちそれぞれがSNSに上げていた集合写真やコメントを読んでいても、それをすごく感じた。TOMOOと彼らが生み出す極上のバンドアンサンブルは、もう彼女のライブには無くてはならないものだ。メンバーそれぞれに温かい拍手を送るファンたちもまた、そのことを分かっている。だからこそ、彼女のライブを何度も何度も観たくなってしまうと思うのだ。
そして、幸福感溢れる雰囲気のまま始まった本編ラストナンバーは”Present”。イントロから自然発生したファンたちの大きなクラップ。色とりどりのライトがステージ上に注がれる中、TOMOOはハンドマイクを手にし、まるでファンと感情を共有しあうようにステージ上を歩く。そして、彼女の歌詞に合わせてする様々な仕草は、曲にファンを感情移入させ、本編クライマックスを大いに盛り上げた。ラスサビ前「今日は楽しかったです!このツアー、楽しかったです! 『DEAR MYSTERIES』ツアーありがとう!」と、ファンに語り掛けたTOMOOの言葉は、本当にまっすぐだ。そんなまっすぐさは、この曲が持つ祝祭感をさらに大きなものにしていたような気がする。
TOMOOの心に広がる風景を映し出す旋律

Photo by Kana Tarumi
本編が終わり、アンコールを待ち侘びるファンたちの大きな拍手が続く中、TOMOOが星が解けた夜空のような服を身に纏い、ステージに再び登場した。グランドピアノに腰掛け、静かに優しいタッチのイントロフレーズを弾き始めた。その曲は、彼女にとって特別な曲であり、「心の奥の方に隠してある宝石」のような曲、 “Lullaby to my summer” だった。一音一音に想いを込めるようにピアノを弾き、大切なものを愛おしく包み込むような声色で歌うTOMOO。そして、そこに在る心にそっと触れるように、チェロとホーン隊の音色が美しく鳴り響いた。
「ずっと変わらないと思っていたものも、いつかは変わってしまうこと」、そして「そのことを誤魔化さずに受け止めるため、正直であろうとすること」 ── そんな彼女の気持ちを静かなエモーションを込めて歌うTOMOOの姿。多くを語らずとも、彼女の歌唱とピアノから伝わってくる“想い”に、思わず心は締め付けられる。そして、ラストの《ああ おやすみ 僕の夏/Lullaby to my summer》という「夏の終わり」を感じさせるフレーズからは、「誤魔化さず、正直であろう」とする意志のようなものが感じられた。

Photo by Kana Tarumi
ある季節の終わりは、新たな季節の始まりだ。そんな新しい季節、新しい日の朝を思わせるような新曲 “ソナーレ” 。優しいグランドピアノのアルペジオから始まったこの曲の、温かなTOMOOの歌声とバンド演奏のアンサンブルは、まるでファンの心に早朝の澄んだ風を吹かせてるようだった。それはまさに曲名の意味する ”奏でる” そのもので、《世界がほどける音がかけてくる/かけてくる/朝がくる》その歌詞にぴったりな光景が心に広がっていった。
TOMOOの曲には、聴き手の心にその曲の「風景」を浮かび上がらせる魅力がある。例え、歌詞が抽象的なものであったとしても、メロディの世界観が摩訶不思議だったとしても、不思議とその曲の「風景」が心に浮かんでくるのだ。そんな “ソラーレ” の感動の余韻に身を委ねる中、こんなことを考えていた。「皆の心の中には、今どんな風景が広がっているんだろう?」「どんな感情が芽生えているんだろう?」。それはきっと、人それぞれだと思う。けれど、それでもなお、共感できる部分は絶対にあると確信した。それは、皆一様に浮かべていた幸せそうな表情を見られたからだ。
ファンたちがTOMOOという人間に惹かれる理由に満ちた温かなフィナーレ

Photo by Kana Tarumi
ライブはついにフィナーレを迎える。TOMOOは最後のMCで、時折言葉を詰まらせながら今回の『DEAR MYSTERIES』ツアーを振り返った。
人間には、誰にも見せられないものだったり、共有できない何かが心の内側にあると思ってて、それは「人と人の間にしか残せない何か」があると思うんですよね。だから(それを伝えられる立場にあるステージ上にいる)私たちはすごく幸せなことをさせてもらってんだなって、思ってます。
そして、その「残せない何か」を、みんなで一緒に持ってくれて。だからきっと、この『DEAR MYSTERIES』ツアーは「宝物」になるんだなって、思ってます。
ありがとう。
そんなTOMOOの目一杯の気持ちが込められた言葉には、彼女らしい真摯で誠実な視線から生まれるファンに対する思いが詰まっていた。
「みんな一人ひとり今日ここに居てくれて本当に本当にありがとうございます!元気じゃなくてもいいんですけど、なんですけど、なんですけど、みんなに私から言いたいことは、また、必ず、元気で会いましょう!」と改めてファンに感謝の言葉を述べ、正真正銘のラストを、人の温かみが溢れるミドルテンポのポップソング “LUCKY” で締め括った。
ファンたちの思いが詰まったクラップと、バンドメンバーのふわっとゆるっとした雰囲気のある演奏、その中をハンドマイクを手にステージを右へ左へ散歩をするように歩きながら歌うTOMOO。会場内には自然とポジティヴな空気が流れていた。そして《何回でも言いたい/君は君がいい(君がいて嬉しい)》と歌われるその言葉は、TOMOOからファンに向けられた言葉にも聞こえたし、ファンからTOMOOに向けられた言葉にも聞こえたのは、きっと自分だけじゃないだろう。
この曲で彼女が《今日も明日も100年後も ねぇ/同じ空の下で続くお話》と歌ったように、TOMOOとファンたちとの物語はまだまだ続いていく。「せんきゅう!ゆーゆーゆー!」とファンに伝えたTOMOOの感謝の言葉には「またね」という意味もきっとあったように思う。大団円と言うには仰々しいが、TOMOOらしい温かいエンディングだった。
この日演奏された “DEAR MYSTERY” な曲たちがくれた「宝物」

Photo by Shuhei Wakabayashi
今回のツアーは、TOMOOの心に、ファンたちの心に、とても大きな「宝物」を生み落とした。それはアルバム『DEAR MYSTERIES(親愛なる神秘、謎、秘密)』がこの日のテーマになっていたからに他ならない。ポジティブな感情もネガティブな感情も、そしてどちらとも言えない不思議な感情も「親愛なるもの」と捉える。
それは人の心を二元論で語らないTOMOOという人間だからこそ与えてくれたものだと思うし、既存の曲からも「親愛なる何か」を見つけられたこともまた、ファンにとってはこのツアーを体験した大きな意味を表していたような気がする。
最終日から数日後、JPがXに終演後の彼女の姿を動画で投稿していた。そこには彼女の純粋な思いがシンプルに綴られていた。
こうして『DEAR MYSTERIES』ツアーは幕を閉じた。しかし、彼女はまだまだ歩みを止めない。春から秋口にかけて行われる、様々なフェスへの参加もあるだろう。もしかしたらさらなる新曲のリリースもあるかもしれない。そして、その先にはTOMOO自身初となるアリーナツアー(後述参照)が控えている。『DEAR MYSTERIES』ツアーを経た、彼女のネクストステージにはどんな風景が広がるのだろうか?そんな期待感を胸に抱きながら、TOMOOの活動を楽しみにすることにしよう。

ステージ上に置かれたエピパンライト(ベーコンなし)
引用元:TaikimenのX公式アカウント
<セットリスト>
01. 高台
02. What’s Up?
03. あわいに
04. 酔ひもせす
05. 夢はさめても
06. コントラスト
07. Grapefruit Moon
08. 雨粒をつけたまま
09. ベーコンエピ
10. 餃子
11. ナイトウォーク
12. スーパースター
13. オセロ
14. Super Ball
15. エンドレス
16. Cinderella
17. Lip Noise
18. ハックルベリー・フレンド
19. Ginger
20. Present
EN1. Lullaby to my summer
EN2. ソナーレ
EN3. LUCKY
Text by 若林修平
TOMOO HALL TOUR “DEAR MYSTERIES” SETLIST – PLAYLIST
その他 サブスクリプションからの試聴はこちら
https://tomoo.lnk.to/HALLTOURDEARMYSTERIES
【TOMOO Arena Tour 2026開催決定!】

<公演情報>
2026.11.18 (水) 神奈川 ぴあアリーナMM OPEN / START:18:00 / 19:00
2026.11.19 (木) 神奈川 ぴあアリーナMM OPEN / START:18:00 / 19:00
2026.11.23 (月/祝)大阪 大阪城ホール OPEN / START:16:00 / 17:00
<チケット販売情報>
TOMOO OFFICIAL FANCLUB YOU YOU先行【抽選】
受付期間:2026.2.28 (土) 19:00 〜 3.15 (日) 23:59
※その他販売情報は後日発表
> ファンクラブ入会はこちら
https://www.tomoo.jp/fc/join
<席種・チケット料金>
全席指定 ¥11,000 (税込)
車椅子席 ¥11,000 (税込)
── 車椅子席に関して ──
車椅子をご利用されている方に限り、ご応募いただける席となります。
※他の席種から車椅子席への変更はできません。
※複数枚お申込みの場合は、車椅子の方とその付添人の方で合計2枚までお申込みいただけます。
── 注意事項 ──
※チケットの転売/譲渡禁止。転売/譲渡が発覚した場合は、いかなる理由があろうともご入場をお断りします。
※ご当選されたご購入者様以外は、いかなる理由でもご入場頂けません。
※チケットの転売/譲渡行為防止の観点から、ご入場時にIDチェック(本人確認)をさせて頂く場合がございます。 ご来場の際は、顔写真付き公的身分証(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、等)を必ずご持参ください。顔写真付き身分証をお持ちでない方は公的身分証を2点(学生証、住⺠票、等)ご持参ください。
※6歳以上有料。ただし座席が必要な場合は5歳以下でも、1名につき1枚のチケットが必要です。また、5歳以下のお子様で座席が不要な場合、保護者1名につきお子様1名のみ膝上で鑑賞可能です。
その他情報は、TOMOO Arena Tourオフィシャルサイトから。
https://tomoo-arena2026.ponycanyon.co.jp/




