• 核P-MODEL、新時代の息吹を感じる『unZIP / 非コード人のアコード』閉幕-百花繚乱の光と音

    核P-MODELが、2026年1月24日(土)東京・豊洲PITにて『unZIP / 非コード人のアコード』を開催した。当日は1日2公演の実施であったが、本記事では14時より開演した昼公演の模様をレポートする。

    7年ぶりの新アルバム『unZIP』を引っ提げたツアーということで、やや緊張した面持ちで開演時刻を待つファン達。だが、照明が暗転するや否や、「ヒラサワー!!!」「師匠!!!」と叫ぶ声が各所から飛び交っていた。スクリーンにデビュー作『IN A MODEL ROOM』のアートワークが映し出され、会人〜平沢進の順番に登壇。平沢は白地に黒い線形が描かれたジャケットが印象的なセットアップ、公演ごとに違う格好で登場するSSHOとTAZZは、ペストマスクに扇子を生やした出で立ちだ。会人のこの姿、さながら、演奏力を兼ね備えたUMAのようだ。出囃子からの1曲目は“サイボーグ”。2017年『第9曼荼羅』以来の衝撃で、ファンは一気に悶え苦しみそうになる。そこから“ROCKET SHOOT Ⅱ”とくれば、愛機(EVO)の音色が光る瞬間。シンセサイザーとの相性も抜群で、フロアのボルテージが上昇していく。

    “幻想鉄道”、“ハルディンドーム”は、昨年発売した新アルバム『unZIP』収録曲。美しさのなかに畏怖が入り混じったメロディと中高音域の歌声は、ソロの作風に近いと感じた。“ハルディンドーム”のイントロでは、スクリーンにハンドクラップが映し出され、オーディエンスも呼応する。ギターソロでは、甘美な響きにとろけた目をした人も見受けられた。ちなみに、“幻想鉄道”には、1stソロ・アルバム『時空の水』収録曲“ハルディン・ホテル”のワードが随所に散りばめられている。気になった方は、改めて歌詞を照らしあわせてみてほしい。

    対して“Phase-0”は、“美術館で会った人だろ”のエッセンスを、イントロの打ち込み音から想起させる楽曲。初期P-MODELの作風を現在点にあわせて昇華させている。また、白を基調とした照明にサビで何度も繰り返されるワード《起きろ》。OPから世界観に圧倒され続けていた私たちは、“Phase-0”を通じた精神世界で平沢から覚醒を呼びかけられ、再び瞳孔を開くのであった。“パルテノン”では、真正面や手元など多様なアングルからモジュラーシンセを操る平沢を堪能しつつ、《ハロー人類》で手のひらを空にかざすオーディエンス。演者側がC&Rを煽るわけでもないのに、自然とやってのけてしまうヒラサワを愛する者の団結力に脱帽する。

    “モイポーリア”の赤い扇子演出は、終演後にたくさんのファンアートが見受けられた。そう、扇子と平沢の親和性は高いのだ。かつて『ニコニコ生放送』にて平沢が扇子を持ってきていた際も、その姿に湧くファンがいた。一定のリズムにあわせて平沢&会人が扇子を開いたり、閉じたりするので、一部界隈が『リズム天国(ゲーム)』と称していたのも印象深い。私も現地でそう思った一人だ。実際に『妄想代理人』『パプリカ』『ベルセルク』などのアニメから入ったファンも一定数いるわけで、サブカル的な視点からライブ演出を観てみるのも一興だ。例えば、扇子を操る光属性の魔術師がいたらこんな感じなのだろうか…なんて妄想を膨らませながら。

    ここで、古からのファンが歓喜に湧く瞬間がやってくる。1997年『非局所性LIVE』以降、日の目を浴びることがなかった激レア曲“CLUSTER”が演奏されたからだ。平沢のロングトーンから開幕する同曲は、デストロイギターが炸裂し、新たなアレンジを交えながら我らのもとに帰ってきた。草原の上に立っているのではないかというくらいに、清々しい風が吹き抜けるような爽快感に包まれる。ハンドカメラで辺りを映しながら歩き回る平沢に、全力で手を振るファンが創りだす空間も愛おしい。それは、“バイバイHalycon”にも表れていた。“それ行け!Halycon”のアンサーソングであろう本楽曲は、愛すべきキャラクター・ハリコンに手を振って別れを告げるファンの一体感が心地いい。本編ラストは“Another day”、“Timelineの始まり”でラストスパートをかけにいく。明和電機製の新型レーザーハープ「輝鈴(キリン)」の性能も相まって、平沢が弾きだす音の一粒に魂が乗ってくる。ちなみに、平沢曰く「照明の光との干渉を調査中で、隠された驚きの機能がまだたくさんある」とのことだ。

    アンコールは、“Parallel Kozak”からスタート。TAZZが奏でるベースの重低音、SSHOと平沢がツインギターで攻めに来る。スクリーンの光量はMAX数値を叩きだし、目がチカチカしながらも、攻撃力が高い演奏に耳を傾ける。“JuliaBird”披露前には、ツンデレ語録を何としても引き出したいファンから全力声援「えー!!!」が噴出。結果的には反応してくれなかったものの、平沢の口角に若干の動きがあったことは秘密にしておこう。30年ぶりの披露となった“JuliaBird”を聴いて、P-MODELの元メンバー・福間創を思い出したファンもいるだろう。福間も携わった10thアルバム『舟』は、今もこうして生きている。平沢の感情豊かなビブラートがフロア中に響き渡り、優しい歌声に包まれながら本公演は幕を閉じた。

    MCにて平沢が「新アルバムはP-MODELとソロ、どちらの質感も併せ持つ楽曲性を目指した」と語っていたように、過去にクリエイトされた楽曲の伏線回収が戦略的に行われているようにも感じたし、演出にさまざまなオマージュも見受けられた。どこまでも追いつくことができない平沢進の世界観を理解しようと、私たちが走り続けていけるのは幸運なのかもしれない。言うなれば、『unZIP』収録曲の答えあわせが数年後に行われることだってあり得る。その時には、本公演で初お披露目となった「輝鈴(キリン)」の全貌が明かされているかもしれない。いままでも、そしてこれからも核P-MODELは夢を見せてくれる。会人、ありがとう。ヒラサワ、あなたに敬意を。

    2026年4月1日(水)、2日(木)には『GREEN NERVE会員限定ライブ「タオの3つのエコー 東京」』をSpotify O-EASTにて開催する平沢進+会人。ライブ日程が平沢の誕生日と重なっていることもあり、何かが起こるかもしれない…?期待しながら当日を待とう。

    Text by YAMAZAKI YUIKA

    Photo by リン(YLC Photography)

    核P-MODEL『unZIP / 非コード人のアコード』

    2026年1月24日(土)東京・豊洲PIT

    昼公演 セットリスト

    00 Opening

    01 サイボーグ

    02 ROOCKET SHOOT Ⅱ

    03 幻想鉄道

    04 ハルディンドーム

    05 Phase-0

    06 窓際の大惨事

    07 パルテノン

    08 モイポーリア

    09 ヴェロニカ

    10 PHASE-6

    11 CLUSTER

    12 バイバイ Halycon

    13 Another Day

    14 Timelineの始まり

     

    Enc.1

    15 Parallel Kozak

    16 GRID

    Enc.2

    17 JuliaBird

     

    『GREEN NERVE会員限定ライブ「タオの3つのエコー 東京」』

    2026年4月1日(水)、2日(木) ※昼夜2公演

    出演:平沢進 会人SSHO 会人TAZZ

    会場:Spotify O-EAST 東京都渋谷区道玄坂2-14-8 2F

    4月1日(水)

    開場18:00 / 開演19:00

    4月2日(木)

    昼 開場13:00 / 開演14:00

    夜 開場18:00 / 開演19:00

    ◆チケット申込詳細等については、追ってGN会員専用ページにて

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