• 我到家了!搖滾台中 ~台湾のロック・フェスに行きたいわん Vol.3~

    *美食評論*

     月曜日の朝、荷物をまとめてチェックアウトを済ませてから、いつものように近くのカフェでコーヒーを飲む。この3日間で顔を覚えられたのか、注文のときに「店内か、テイクアウトか」とたずねられなくなった。桃園国際空港へと向かうまえに、最後の機会とばかりにふたたび誠品音楽に立ちよってみたものの、〈當代電影大師 Modern Cinema Master〉のCDは見つけられず。〈憂憂 Yō-Yō〉も〈老王樂隊 Raowan Band〉も《搖滾台中 Rock in Taichung》の物販ではグッズはいっさい置いていなかった。台北までもどりたい衝動に駆られつつ、誠品デパートのまえでタクシーを拾って「High speed railway station」とつげると、運転手が英語で、どこから来た?なにしに来た?と雑談が弾む。

     「週末は連休だったんですよね。今日も祝日?」「今日は平日。金曜日は”国の誕生日”だったんだよ。知ってる?」「はい。1911年の辛亥革命 Xinhai Revolution の次の年」。孫文率いる革命軍が北洋軍閥の袁世凱らと清の”ラスト・エンペラー”宣統帝を退位させた辛亥革命の翌年、中華民國が樹立。台湾の紀年法ではその1912年を民國1年とする。今年は民國114年だ。「台中は暑いだろ? でも、いいところだろ?」。そういう運転手はおもむろに「食べるか?」と鳳梨酥(パイナップル・ケーキ)を手わたしてくれる。まるで大阪のおばちゃんのノリだ。やっぱり、台中=大阪説。

     高鐵台中站から高鐵桃園站まで40分ほど。そこからMRTに乗り換えて第一機場站まで6駅、20分弱。離陸の2時間まえに着いたけれど、結局あまり時間がなくて、帰国の日も桃園国際空港のフードコートでカフェオレと葱パンの昼食。せめてエッグタルトも食べればよかったな。お土産には定番のパイナップル・ケーキではなくて、前回好評だったタロ芋のカスタード・パイを。それに、結局はノベルティのドラム・バッグでも入りきらずに改めて購入した特大の漁師バッグいっぱいのCDと〈可樂果〉の小袋。これも《搖滾台中》の会場で無料で配られていた試供品だ。

     今年の宿は、会場の《文心森林公園 Wen xin senlin gongyuan》を中心にして北西にある去年の西屯區から、会場まで歩いて行ける場所ということで南東側の西區にしたのだが、もう1つの理由が台湾版ミシュランの『ビブグルマン 2025年版』に掲載された《功夫上海手工魚丸》のすぐ近くだということ。じつは台北でも善導寺 Shandaosu 站から近いビブグルマン掲載店の《雙月食品 Moon Moon Food》にいってみたのだが、噂どおりのあまりの大行列に断念。この中美街の隠れた名店は夕飯どきでも5分とまたずに入れて、名物の「上海葱油拌麺 Shanghai cong you banmian」は香ばしい葱の油とピリッとした紅油が絡んだ、素朴だけれど病みつきになる味。肉厚で焼売みたいな雲呑も、ガツンとニンニクの風味に濃いめの紅油が癖になる。労働者のご飯って感じがよい。酸味菜と3品で230元、約1,150円。魚の貢丸(ツミレ)のスープも名物だ。

     《文心森林公園》近くの《恩徳元餃子館》は1年ぶりの再訪。お昼の営業が14時までなので、土曜日は会場入りするまえに立ちよった。水餃子と牛肉炒麵(焼きそば)を頼んだのに、ノーマルな牛肉麵 Niurou mian だけきた…でも子どもの拳ほどありそうな牛肉の肉塊感! それでいてほろほろと舌の上でほぐれていく。味はやはり素朴な優しい味。調味料はいれずに。日曜日は〈老王樂隊〉が始まるまえに、こんどこそ水餃子と炒麵 Chaomian を。牛肉ではなく羊肉 Yang rou にした。この店の水餃子をまた食べることを夢にまで見ていたのだが、水餃子以上に炒麺が美味い。羊肉の旨みがしっかり麺に絡んで、それでいてしつこくない。20時の閉店まえに駆けこめてよかった。店内には《搖滾台中》のお客さんも。

     土曜日のトリの〈美秀集團 Amazing Show〉のまえに会場をあとにしたのは、どうせ入場は無理なのと、日中が暑すぎてとにかくシャワーを浴びたかったのと、宿のすぐ裏の中美街 Zhong mei jie 夜市でガチョウ料理を食べたかったから。なにせ観光夜市とはちがって地元密着のローカルな夜市なので、とくに週末の夜は早く閉まる店が多くて。部屋で一息つくのもそこそこに、サッとシャワーを浴びて大急ぎで向かう。なのに、米血䊏 Mi xue gao(血と餅米を混ぜて蒸し固めた料理)も鵝肉の麺も売り切れだと…貢子の麺と肝、空芯菜炒めを注文。麺は台中らしく汁もガチョウのツミレもあっさり。レバーは臭みはないけれどちょっと癖があって、テーブルにある台中名物のチリ・ソースで。いやぁ、ビールがすすむ。ドリンク類は冷蔵ケースから自分でとってきて、あとで会計するのが台湾式。

     日曜日の昼食も中美街夜市で。観光夜市とちがって、週末の夜よりも日中のほうが地元の人々でごったがえしていて、活気にあふれている。老舗だという餃子屋で前日に食べそこねた水餃子10個と酸辣湯(85元!)を食べたあと、市場を散策して、屋台で中華ちまきとカットされたパイナップルを買って帰る。パイナップルは売り子のおばちゃんにもう1袋おまけされそうになったけれど、さすがに食べきれないので丁重にお断り。台湾で果物を売る屋台などで看板や段ボールによく『自殺、他殺』と書かれていてドキッとするのだが、「自殺=自分でカット」「他殺=店でカット」という意味。もちろん他殺のパイナップルを購入。1袋70元。ちまきはでかい鶏肉が入っていて食べごたえがあって、もっちりホクホク。1つ40元。

     ふだんは極力、揚げもの・油ものを食べないようにしているので、台湾に来ると毎回胃もたれして、後悔してしまう。ご飯ものは胃に重たいので、とくに今回は麺と水餃子ばかり食べていたのだけれど、それでも麺料理の多彩さに飽きることなく、まだまだ食べ尽くせていない!とやはり後悔するのはおなじだった。いや、だから胃袋があと5つはいるんだって。でも今回は胃薬のお世話になることはなかったな。台中の味つけが台北に比べてあっさりめで、素朴で優しいこともあるのだろう。

     中美街は地元住民の生活圏で、大型スーパーにドラッグストア、ローカルな夜市や市場、それに早朝からくつろげるカフェが近くにあり、とても過ごしやすくて、今回、新たに泊まってみて大正解だった。例年おなじ10月にさらに南の台南市でも《浪人祭 Vagabond Festival》が開催されていて、美しい海岸沿いのDIY感あふれるフェスもいちどは訪れてみたいのだが、2年連続で訪れてみて、ゆったりとした街の雰囲気も人のよさも料理も、すっかり台中が気に入ってしまって…悩ましいかぎり。2026年の2月28日~3月2日には台中市郊外の清水區で《浮現祭 Emerge Festival》が、そして3月21日、22日には南端の高雄市で《大港開唱 Megaport Festival》だ。《大港開唱 2026》のチケットは12月18日に一般発売、『大港人』の登録枠はその2日まえから先行発売と例年よりも1ヶ月早め。〈落日飛車 Sunset Rollercoaster〉はじめ出演アーティストもすでに数組が発表されている。

     台湾はじつはフェス大国だけあって、ほぼ毎月どこかしらでロック・フェスが開催されている。2025年中には〈淺堤 Shallow Levée〉や〈DSPS〉の新譜の発売が予定されているというし、オンラインでリリースされたばかりの〈落日飛車〉のフィジカルな音源も待ちどおしい。ので、フェスにもレコード店にもそして《Vinyl Decesion》にも、また帰ってきたいわん!

    Text & Photo by ken.

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