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【大将インタビュー後編】大将の頭の中にある今年のフジロックとは?

アーティストの第1弾発表ということで大いに沸き立った大将インタビュー前編でしたが、その続編をお届けします!今回はアーティストの話はありませんが、昨年から出現したピラミッド・ガーデンなどのステージや、運営にまつわるエピソードが盛りだくさん!フジロックの魅力が凝縮した言葉の数々は見逃せませんよ~。

 

【ピラミッド・ガーデン】

-昨年新たに出現したピラミッド・ガーデンについて、日高さんの感想を教えてください。また、今年も存続するのでしょうか?

「すごく良い環境だったよ。青柳(拓次)君やネパールのフルートの人(Mr. Sunil and Badu)が出てくれて、キャンドル・ジュンが本当に良いものを作ってくれた。雨が降ってたんだけど、ライティングと相まって雪が降ってるみたいでね。本当に幻想的だった。お客さんは何十人しかいなかったけど、それはそれで嬉しかったんだよ。多分、今年はもっと来ると思うんだよ。だけど、去年のあの感じは体感できないよね。去年来た人は本当にラッキーだったと思う。もうちょっと充実させたいし、今年もやるよ」

-ピラミッド・ガーデンのキャンプサイトは、ツアーバス参加者専用ということでした。具体的にどういう場所なのでしょう?

「ツアーバスの乗降場から橋を渡って歩いてすぐで、水場やハワイアンフード、プリンスホテルのレストランもある。朝はサンディーのフラダンスで起こさせようと思ったんだけど、みんな起きてくんなくてさ(笑)。夜は(会場と)あれだけ離れてるから時間をうまく組んで、グリーンステージが終わったくらいから演奏をはじめようかなって。やかましい音楽じゃなくて、良い感じの音楽でね。今年はエリアを広げるし、デコレーションも変えるよ)

-これまでの傾向として初年度は人が少なく、翌年から定着していく印象があります。人が増え過ぎてほしくないという気持ちはありますか?

「もうちょっと来てほしいよね(笑)。来りゃ分かるから。ドラゴンドラだってそうだったもんな。行って帰ってくるだけで1時間くらいかかるし、なんで金払って行かなきゃならんのって感じだよ。でも行ったらやっぱし全然ちがう世界だから」

 

【再びカフェ・ド・パリへ】

-メキシコ、フランス、キューバと、毎年変化する奥地のテントですが、今年はどうなるのでしょう?

「またパリに戻すよ。なんも決まってないけどね。パリっていうのは世界中の音楽が集まってくる場所だから」

-他の国をテーマにしようとは思いませんでしたか?

「なるべく毎年変えたいっていうのはあるけどね。本当はモスクワナイトをやりたいんだよ(笑)。モスクワって東ヨーロッパも含んでいるから、音楽的にものすごく幅広い。レニングラードっていたろ。ああいう激しいのもあれば、ジプシータイプの音楽もあるし。いろんな音楽がある。コサックダンスもあるしな。ただ、ウォッカ飲んでコサックダンス踊ったら、飲みすぎてひっくり返る人が出るからやっぱりやめとこうって(笑)。他にもアラビアンナイトとかさ。コブラ用意して笛吹いて、じゅうたん吊るして人乗っけて千夜一夜物語とか考えたんだよ。でも今の世界情勢の中ではジョークにならない。真剣な問題だからね」

 

【ネーミングからはじまる新企画?】

-ピラミッド・ガーデンが新しくできたばかりですが、新たな試みは考えていますか?

「内容は全然決まってないんだけども、『苗場音楽突撃隊』っていうのを考えてる。苗場食堂で3日間、日本人ミュージシャンがセッションするっていう。一晩一晩ゲストを変えて、ロックだったり、ブルースだったり。これは名前からはじまったんだよ。酒飲んでるときにまず名前が浮かんで、これは面白いって。ミュージシャンに話したら、名前だけでのってきちゃったもんな」

-なぜ苗場突撃隊なのでしょうか…?

「いや、別に。音楽は突撃だよって言って(笑)。俺は名前から入るからね。ステージも名前ありきだからな。グリーンっていうのは俺の一番好きな色で、ホワイトは当時プロデュースをやってくれた友だちに、他の色から選べって言って決まった。フィールド・オブ・ヘブンは、あの空間を見たときに名前が出てきたの。和みっていうかね、そういうイメージでやりたかったからフィッシュってなったわけだよ」

-名前からの思いつきというのは、最近のステージにも関連していますか?

「ピラミッド・ガーデンもそう。突然ピラミッドが浮かんで、キャンドル・ジュンにピラミッド作るぞって。パレス・オブ・ワンダーも不思議のお城っていう。そうすると絵が浮かんでくるわけよ。こんなテントにしたいとか。カフェ・ド・パリをはじめたときも、名前をつけた瞬間にイメージができた。イメージができたら、ロンドンやロサンゼルスの友だちに電話して、必要なものをを送ってくれって頼む。無いものはスタッフや自分たちで作る。今回はこういう感じでって言うと、みんなやってくれるんだよね」

 

【運営にまつわる変化】

-先行販売期間のみ、3日間通し券が800円割り引きになりました。お客さんにとっては微々たる数字だと思うのですが、運営側として影響はありませんか?

「ステージの数も多くなってきてるし、その辺の予算で苦しいっていうのはあるよね。ただやっぱり、何らかの変化がないと自分らが慣れてしまう。なんでもかんでも昨日と同じように生きるっていう発想が好きじゃないから、コストダウンできるところは挑戦する。そういう動機づけみたいな気持ちはあるよね」

-変化といえば、フジロックの運営に関して大きな変化というのはありますか?かつての地元の反対やゴミ問題など、端から見ている分には今は何も問題なく運営されている印象です。

「問題はないかな。苗場の人たちとは先週もお酒飲みながらいろいろ話しているし。町との協力体制だったり、苗場食堂のこととか。もう本当に理解してもらってるからね。苗場食堂の方は大変なんだよ。みんなボランティアだからね。ほとんどの人が旅館業で、ローテーション組んで来てるんだから。泊まりのお客さん来てんのにさ(笑)」

-ゴミの問題についてはどうでしょう?

「苗場に移って5~6年目くらいかな。ゴミの量が増えたよねってスタッフとも話してた。新しいお客さんも来てるわけだから、(ゴミに対する)意識が薄い人も中にはいるわけだよ。それはアシードジャパンとミーティングして、お客さんに納得してもらえるようなキャンペーンをもっとやろうって。それでまた少なくなってきてるよ」

-大きな問題もなく順調に運営されているということは、フェスティバルとして円熟したということでしょうか?

「見た目の変化はそんなにないと思うよ。ただ、やる側として意識が慣れてしまってはだめだよ。それはフジロックだけじゃなくて、俺の考え方の一番大きな部分だから。自分の生活や考え方に慣れ切ってしまうと視野狭窄になってしまうんだよ。自分の世界に慣れ込んで、逃げていくとそこに落ちる。俺だってそうだもん。だから自分に対する注意でもあるんだよね。でないと、多分こういうこと(フジロック)はやってないと思うけどね」

-過去にフジロックの終わりを感じさせる様な発言がありましたが、今はいかがでしょう?

「別ににおわせたんじゃなくてさ、分からないよって言ったんだよ。いつなくなるかなんて分からんって。俺はそう思ってやってるからね。やるぞっていうのはあったよ。特に1回目のときからね。成功させてみせるって。ただ、俺は自分で自分をコントロールできないところがあるんだよ。こんなのやめようぜってなったら、やーめたってなっちゃう。嫌になっちゃったから終わりっていう。正直、それが出てくるのが怖かったっていうのはあったよ」

-フジロックも今年で15年目を迎えます。続けていくためのモチベーションの維持はどうしているのですか?

「常に面白いことを考えていくしかないよな。お客さんにとって、俺にとって面白いこと。それでいて無駄で馬鹿なことを。見た目はあんまり変わらないかもしれないけど、常に何か面白いことは考えてる。それが無かったら本当にやめちゃってるかもしれないね」

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