ゴンちゃんは今…。あの大雨と共に姿を消したゴンちゃんを捜索せよ!
- 2019/09/20 ● from fujirockers.org
8月24日。ちょうど来年のフジロックが開催される日程である。この時期の現地調査を兼ねて苗場に乗り込んだわれわれは、さっそく川を目指しゴンちゃんの捜索をすることにした。フジロック会場は、開催時期以外でも自由に散策することができるのだ。※ピラミッドガーデンでキャンプもできるよ!
グリーンステージを抜け、目指すはところ天国である。
さあ、ここがところ天国だ!
見慣れた景色と違って、だーれも、もちろんゴンちゃんもいない川に入水するわれわれゴンちゃん捜索員。つ…冷たい…。普段のフジロック期間の比じゃないほど冷たい水にひるむ。
10度って…。
それでも負けずに突き進む。もしかしたらわれわれの助けを待っているゴンちゃんがいるかもしれないのだ!あわよくば、この機会に家にお連れしたいという私欲も抑えきれない!
水の冷たさに悶えて、なかなか前に進めないが、10分ほど進んで、おそらく木道亭近辺まで来たところで、川底に、なにやらピンク色の影が見える。こ、このおピンク色のお姿は…!
これを期待する捜索員。
どれどれ…
踏ん張る捜索員。
踏ん張って、踏ん張って、水の冷たさにも耐えて捕獲ーーーーー!
やっぱりピンク色の、ゴンちゃんだー!
ん…? ゴン ちゃん…?
若干の違和感を感じていた矢先、川の中ではなく、川原の石の下のほうからも、緑色のものを発見したとの情報が、他の捜索員から上がった。あの日の水かさは、確実にここまで増していたということであろう。
この鮮やかな緑は紛れもなく…!
掘り出す捜索員。まもなく感動のご対面!だが、
(あ、これもやっぱり…?)
また、あちらでも白いものを持ち上げて嬉々としている捜索員がいる。
白いからこれだよね、きっと…!
川原に打ち上げられたそれを確認してみよう。
ドキドキ…
こ、これは……。
ギリギリ…ゴンちゃ…ん…か?
いや、これは、もはやゴンちゃんではない。川の民に戻ろうとしている元ゴンちゃんだ。
ゴンちゃんではなくなったゴンちゃん。
ゴソ、ちゃん…。
そうだ、この闘い抜いた感に敬意を表して ゴソさん とお呼びすることにしよう。
結局この日われわれは、7体ほどの元ゴンちゃん、もとい、ゴソさんに出会った。
眺めていたら、なにやら積みたくなったので、積んでみた。
そんなゴーテムポールことゴソさんの塔を前にして、なんだか尊い気持ちになったわれわれは、自然と手を合わせていた。
「来年のフジロックも、無事に行われますように。」
この後、ゴソさんたちが無事に川の民に戻れるよう、川にお戻しして捜索活動は終了した。こうしてまた、私たちの大好きなフジロックの川は、いつも通りの浅貝川として、苗場の地で流
れ続ける。今回われわれは、あの、いつものかわいいゴンちゃんに出会うことはできなかったが、自然の尊さ、森羅万象、輪廻転生…そんな壮大なことをゴソさん、いや、ゴソ様から教った気がする。
川の民に戻ったゴソ様たちも、もしかしたら来年またゴンちゃんに生まれ変わってあなたの家にやってくるのかもしれない。そう考えるとなんともロマンチックなストーリーだ。さようなら今年のゴンちゃん。ありがとう、苗場の川、山、木々たちよ…。来年も変わらず、8月下旬に私たちを迎え入れてくれるのだろう。
文:東いずみ
写真:Ryota Mori、おみそ、Fujirockers.org