今年はトリビュート天国!フジロックとトリビュート・バンドの深い関係
- 2017/07/09 ● from fujirockers.org
トリビュート・バンドとはあるバンドを愛好するあまり完全にコピーすることを目指したバンドである。欧米ではトリビュートバンドの文化があって、ビートルズやクィーンをはじめとしてストーン・ローゼスやニルヴァーナなど一時代を築いたバンドには必ずといっていいほど存在する。しかもそういったバンド大きなフェスにもでていて普通に受け入れられている。サマーソニックでもジミセン(ジミ・ヘンドリックス)やハッタリカ(メタリカ)など日本のトリビュート・バンドがサイド・ステージによくでている。そしてフジロックでもいろいろと関係が深い。過去、フジロックで印象的なトリビュートバンドといえば……
カウンターフィット・ビートルズ
2003年に出演。名前の通り、世界中にたくさんいるビートルズのトリビュートバンド。前夜祭では「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のときにダイブが起きたのが忘れられないシーンとなった。1日目のジプシー・アヴァロン、3日目のグリーンステージに出演。あと記録に残ってないけど、苗場食堂にでたはず。ちゃんと年代別に演奏し、衣装もそれに合わせていて芸が細かかった。
※ タイトルに「fuji festival 04」とありますが、実際は2003年です。
ジーズ・チャーミングメン
2004年最大のお騒がせバンド。直前でキャンセル(?)したモリッシーの代わりに、ザ・スミス(モリッシーが在籍していたバンド)の完全コピーをおこなっているバンドがでてきた。しかも3日目のヘッドライナーの時間帯で演奏するという怪挙まで成し遂げた。当時の空気はすさまじいものがあった。今となっては伝説だけども、炎上したもんな。現在も活動中。次のフジロック出演が待たれる(?)。
2013年の演奏です。
ダークスターオーケストラ
2011年に 登場したグレイトフルデッドのトリビュートバンド。3日目のフィールド・オブ・ヘヴンに登場した。フジロックにはフィッシュをはじめとしてグレイトフルデッド関連のバンドがよくでているので、このバンドも問題なく受け入れられた。
忌野清志郎が亡くなった2009年に「忌野清志郎 スペシャル・メッセージ・オーケストラ NICE MIDDLE with New Blue Day Horns」が結成されて参加したのは仲井戸“CHABO”麗市、Leyona、CHARA、甲本ヒロト、真島昌利、トータス松本、UA、Char、WILKO JOHNSON & NORMAN WATT-ROY、BOOKER T.、泉谷しげるという豪華なメンツだった。2013年から恒例となった感じのあるROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA(レポートは2013年、2014年、2015年は休止、2016年)、2014年のエセタイマーズ、2016年にグレン・ミラーなどを取り上げたFRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestraや前夜祭で奇跡を起こしたNON STOP PUNKなど、広い意味でトリビュートを毎年おこなっていてフジロックにトリビュート文化は定着した感がある。
今年、2日目のオレンジカフェが「トリビュート天国」と題したステージとなる。去年はABBAのトリビュートであるABBANやサザンオールスターズのトリビュートである桑田研究会バンドが登場し盛り上がった。その勢いが今年につながったのだろう。今年フジロックにでるトリビュート・バンドを紹介したい。
今年フジロックにでるトリビュート・バンド
原始神母
7/28金 フィールド・オブ・ヘブン 12:50〜
これはすでに紹介しているので、こちらを参照のこと。日本人によるピンク・フロイドのトリビュート・バンドで徐々に会場が大きくなり評価高い。苗場で「Wish You Were Here」の大合唱をしたいとのことなので、曲を覚えていきましょう。
Kenneth Andrew & the Oddities
7/29土 オレンジカフェ 11:00〜
原始神母のリード・ヴォーカルであるケネス・アンドリューは常々「声はデヴィッド・ボウイに似てるよな~」と感じていた。と思ったら以前からデヴィッド・ボウイのトリビュートで歌っていたようだ。バンド名の「the Oddities」はデヴィッド・ボウイの初期の名曲「スペース・オディティ」から。ネットを探したらテレビで「Lady Stardust」を歌うケネスの動画を発見したのでどうぞ。
ABBAN
7/29土 オレンジカフェ 12:10〜
なんでもABBAの本国である「スウェーデン大使館公認」らしい。日本人2人組によるABBAのトリビュート。ABBAは今でも欧米で絶大な人気を誇り、たくさんのトリビュート・バンドがいる。中でも筆者が好みなのはビヨルン・アゲインで「ABBAならこういうカヴァーをやるのでは」というところまでやってのける。ポップで明るいABBAの曲は踊りだしたくなるでしょう。
グラストにもでたことがあるビヨルン・アゲイン(動画は別のフェスです)
ONCEMORES
7/29土 オレンジカフェ 12:10〜
カーペンターズのトリビュートで完成度高い。カーペンターズは日本人ならどこかで耳にしているはず。親しみがあって美しいメロディの曲が日本でも絶大な人気を誇っていた。日本でも「恋におちて」のヒットで有名な小林明子がリチャード・カーペンター本人と組んで亡きカレン・カーペンターの完コピをおこなったことがあり、カレンと日本人女性の声と近いところがあるのかと思ったり。
兄の伴奏で妹の完コピをおこなうメンタルの強さ!
まねだ聖子
7/29土 オレンジカフェ 13:25〜
ちょうど40代半ばくらいの世代はアイドルとしての松田聖子の全盛期に10代だったので感慨深い人もいるのでは。筆者もふと思い立ってApple Musicで松田聖子のベストを聴いていたら初期のシングル曲はほぼ覚えていた。財津和夫や大瀧詠一や松任谷由実などを起用した作曲陣でまさにクラシックといえる曲を送りだしていたのが当時の松田聖子だったのだ。「夏の扉」なんかめちゃくちゃ盛り上がりそう。
桑田研究会バンド
7/29土 オレンジカフェ 14:00〜
説明不要でしょう。去年も大好評だったので2年連続の登場。やはり幅広い年代に聴かれているサザンオールスターズの力はすごいということを実感させた。
当日のライヴレポート
フジロックに出演した桑田研究会バンドの盛り上がりがすごい!
バンド公式
TRIPLE KING(王様)
7/29土 オレンジカフェ 17:00〜
元祖直訳ロックとして君臨する王様。満を持して苗場に行幸を賜ります。1995年にディープ・パープルの直訳「深紫伝説」で衝撃のデビューを飾りヒットしたうえにレコード大賞の企画賞まで受賞した。ロックを笑いに転化するとともに、トリビュートはしっかりとした技術があってこそということを教えてくれたのだった。
G&G Miller Orchestra plays Elvis Presley
7/30日 グリーンステージ 23:30〜
去年はグレン・ミラーを主に取り上げたけど、今年のテーマはエルヴィス・プレスリーとのこと。ウィキペディアによると、プレスリーの物まねを生業にしている人は世界で85,000人いるらしい。その中のひとりを今回フジロックで観ることができる。
プレスリーの物まねといえば、レッド・ツェッペリンの曲をレゲエ調にカヴァーしてプレスリーのヴォーカルが乗るドレッド・ツェッペリンや、ニルヴァーナやジョイ・ディヴィジョンの曲をプレスリーの声でカヴァーするザ・キングなど枚挙に暇がない。
今回のアメリカで物まね役者として活動するIrby Gasconがヴォーカルを取る。動画で観る限り、物まねがなかなかいい線いってるので楽しみだ。
日本語ヴァージョンです
ネットをみていたらElvanaというニルヴァーナの曲をプレスリーの声でカヴァーするバンドが最高に狂っているので貼ってみました。
これが今回フジにでるIrby Gascon
Text by イケダノブユキ