【LIVE】羊文学 @ Zepp Fukuoka 2026/3/5(水) – 羊文学、春、再考
- 2026/03/12 ● REPORT
日本国内だけでなくアメリカやヨーロッパツアーを行うなど海外での精力的なライブ活動を展開してきた羊文学。国内を巡るツアーは意外にもおよそ1年半ぶり。現在、2/24(火)の神奈川・KT Zepp Yokohamaを皮切りに、『SPRING TOUR 2026』を開催中である。ツアーの折り返しであるZepp Fukuokaで3/5(木)に行われたライブの様子をレポートする。

塩塚モエカ(Vo/Gt)、川西ゆりか(Ba)、サポートメンバーのYUNA(Dr/ex. CHAI)が登場すると、観客は拍手で出迎えた。メンバーが立つフロアには波の模様のようなスポットライトが照射され、徐々に楽器の音が大きくなり会場が轟音に包まれる。最初に演奏されたのは“春の嵐”。塩塚は客席を見つめながら、切実な歌を届けた。<雨降り、傘のない夜に 帰ってもいい場所知りたい>と、心の奥深くを潜るような歌が聴く者の感情を優しく揺さぶる。3曲目には“砂漠のきみへ”。シンプルながら躍動するギターのアルペジオに、柔らかな歌声が絡まり、美しいコーラスワークで会場は満たされた。
「Zepp福岡―!!」と塩塚が叫ぶと、観客からは歓声が上がった。「みんな久しぶりです!ようやく戻ってきました。1年半ぶりらしいです、ワンマンが」と客席に向かって話すと、おかえり、と客席からあたたかい反応があった。塩塚は笑顔で、「新しいアルバムを去年出しましたので、楽しませるように頑張ります!それではニューアルバムから」と“声”を演奏。儚くも芯のあるしなやかな歌声に、河西のコーラスが寄り添う。
ライブ中盤には“Burming”を披露。歪むシューゲイザーの音の厚みに焦がされる。ノイジーなサウンドに塩塚の一筋の光明のような力強い歌声が合わさり、骨太な音像と優美な歌声とが共鳴して胸に迫った。観客は手を高く掲げ、羊文学の音楽に身を任せていた。最新アルバム「D o n’ t L a u g h I t O f f」の楽曲から数曲披露し、人気アニメのエンディングテーマになった“more than words”へ。曲名を直訳すると“言葉以上のもの”。その曲名通り、言葉以上のもので心の領域にそっと触れ、手を差し伸べる希望を歌う。まずアンビエント調の音が漂い、続いて印象的な冒頭のギターフレーズが響くと、会場からは歓声が上がった。塩塚のイノセントで軽やかな歌声が紡がれる。曲の途中から河西のベーススラップのプレイが加わり、際立っていた。
MCでは、ライブ前日に福岡に到着してもつ鍋やごま鯖など福岡名物を堪能したことが明かされ、観客は笑顔で頷いていた。「まだまだ楽しもうと思います!本日のスペシャルドラマーは、YUNA!」と紹介すると、フロアから拍手が沸き起こり、軽快なドラムの音が響くと“GO!!!”を演奏。跳ねるような力強いドラムプレイに乗っかって、<一斉にGO!!!>のところでギターもベースも轟音で唸り、疾走する演奏で魅了した。
ライブ終盤では、「お気に入りの曲なんですけど、細胞の一個一個が広がるような気持ちで聴いてくれると嬉しいです。では参ります」と話すと場の空気が引き締まり、“mother”を演奏。逆光のなか、三人の輪郭が浮かび上がり、YUNAの荘厳なドラムの音が先導する。まっすぐに届けられる歌声に抱きしめられるような感覚を覚えた。ラストには仰け反って音に身を預ける塩塚が印象的であった。
ライブが終わり、鳴りやまないアンコールの手拍子を受け、三人は笑顔で登場。塩塚はステージの前方に出て手を振ると、神々しい照明の演出のもと“未来地図2025”で壮大な余韻を残した。「今日は来てくれてありがとう!」と感謝の言葉を口にし、グッズ紹介を挟むと、アンコールの最後には「新曲を演奏しようと思います。すっきりして帰ってほしいので最後ぶちかまします。それではお聴きください!」と、3/25(水)に配信リリースを控える“Dogs”を披露。羊文学といえば手数を絞ったシンプルなドラムのイメージがあるが、この曲ではドラムの全てのタムやスネアを鳴らしていく、羊文学のなかでも特に激しい楽曲となる。強烈に歪むオルタナティブサウンドとともに、その重厚な音像に埋もれない歌唱で聴く者を圧倒した。アウトロではエフェクターの鈍い歪みが長く尾を引き、密度の高いずっしりとした音が響き渡る。「ありがとうございました!!」と、塩塚はジャンプしながら手を振り、ステージを去った。
羊文学は、平易な歌詞で生活の周辺を歩き、痛みを拾い、聴く人の心に寄り添う。その楽曲は普遍性を持ちながら、流動する時代とマッチする。エバーグリーンな音楽は、これからも国内外で葉脈のように広がって聴かれ続けていくだろう。「SPRING TOUR 2026」も、残すは3/19(木)のZepp Sapporoのみとなる。現在の羊文学の今後のモードを感じ取ってほしい。

羊文学「SPRING TOUR 2026」
〇2/24(火)・神奈川・KT Zepp Yokohama
– OPEN 18:00 START 19:00
〇3/1(日)・宮城・SENDAI GIGS
– OPEN 17:00 START 18:00
〇3/5(木)・福岡・Zepp Fukuoka
– OPEN 18:00 START 19:00
〇3/10(火)・愛知・Zepp Nagoya
– OPEN 18:00 START 19:00
〇3/19(木)・北海道・Zepp Sapporo
– OPEN 18:00 START 19:00
■チケット情報
1F スタンディング:¥6,500
2F 指定席 :¥7,500
hitsujibungaku_SPRINGTOUR | Instagram | Linktree
Text by Ai Matsushita




