• L’Impératrice待望の初来日!きらめくシンセとグルーヴがいざなうダンスパーティーが東京で開催

    • 2025/11/05 ● NEWS

    L’Impératrice(ランペラトリス)というフランスのバンドをご存じだろうか。SMASHの紹介では「リンペラトリーチェ」と書かれているが、フランス語では「ランぺラトリス」と読む。来日にあたりイタリア語発音で書かれているのは何か理由があるのだろうか、気になるところである。今回はフランスの音楽を愛してやまない筆者が、11/25(火)に東京のKANDA SQUARE HALLで行われる初来日公演に先立ち、彼らについて掘り下げていこうと思う。

    L’Impératriceは2012年結成され、70〜80年代のディスコやファンクをベースに、現代的なエレクトロニクスを融合したダンスミュージック・バンド。彼らの最大の魅力は、電子音楽を6人組のバンドで鳴らしている点にある。サンプラー、シンセサイザー、キーボード、ギター、ベース、ドラムが生み出すグルーヴは、まさに人間的なクラブサウンド。メンバーはDaft PunkやJusticeといったフランス電子音楽の巨匠に影響を受けて育った世代であり、その系譜を受け継ぎながらも、宇宙と人間個人の中身に連続性を持たすようなイメージが連想される、不思議で魅力的な音楽を作り上げてきた。

    もともとインストゥルメンタル・バンドとして出発しただけあり、演奏の精度は圧巻。「コズミック・ディスコポップ」と評されるそのサウンドは、フランスらしい優雅さとダンス感を併せ持ち、これまでにコーチェラ、ロラパルーザ、アウトサイド・ランズ といった巨大フェスのステージを満員にしてきた実績も納得だ。宇宙をイメージした衣装と照明で行われるライブも特徴的である。

    さらにビジュアル表現について言及すると、筆者お気に入り“Hématome”のMVは、手描きの質感と独特の色彩が美しいアニメーション作品。フランスと日本のアニメ文化が混ざるような映像で、Daft Punk×松本零士を彷彿とさせる。こういった意匠はライブでも観られるだろうか、楽しみである。

    意外なことに日本文化と関わりが深い点についても紹介したい。例えば2021年のアルバム『Tako Tsubo』は、日本語の「たこつぼ型心筋症」から名付けられ、日本語の響きに魅力を感じ、タイトルに採用したと語っている。また、昨年脱退したボーカル フロール・バンギーギ(Flore Benguigui) は、自身のInstagramで日本でボサノヴァ歌手として活動しているソニア・ローザの“青いベッド[Long Black Hair]”をお気に入りの楽曲として紹介していた。ボサノヴァやジャズから影響を受けている彼女のとろけるような声と内省的な歌詞は、L’Impératriceの音楽に欠かせない存在だった。

    目下ツアー中の最新作『Pulsar』は、プロデューサーを起用せずに、メンバーのセルフプロデュース作品となっている。フランス語以外に英語、イタリア語、スペイン語が使われており、“Sweet & Sublime”ではNYのラッパーErick the Architectが参加。アルバム全体を通して彼らのコンセプトを大事にしながらも新しいインスピレーションを感じられる。

    そして、なにより本アルバムの歌詞に注目したい。“Girl!”では、女性がもっと自由に生きていいのだと思わせてくれる。

    “You can blow up, you can cry. Keep that flame in your eye, ooh-ooh-ooh.You’re no maniac,girl.”  「あなたはキレてもいいし、泣いてもいい。あなたの目の中の炎を絶やさないで。ガール、あなたは狂ってなんかいない。」

    これは、女性が感情的な表現をすることに対して「ヒスっている」とか「女性だから」狂気的であると見なす社会的レッテルに対するアンチテーゼだろう、かっこいい!他にも、アルバムのタイトルでもある“Pulsar”は心の崩壊や孤独を宇宙や星のメタファーで書かれており、フロールの心境が感じられる。

    2024年秋、フロールがバンドを離れた。彼女は脱退理由を「精神的に限界を感じた」と明かしながらも、「メンバーたちとの9年間の活動と音楽を誇りに思う」とコメントしている。同年、新ボーカル ルーヴ・フェロン(Louve Ferron) が加入し、L’Impératriceは新章へと歩み出した。新体制のライブ映像を見ると、その演奏力とステージの洗練は健在。彼らがいよいよ日本にやってくる。L’Impératriceのきらめくシンセとグルーヴで最高なダンスパーティーが行われるのが待ちきれない。

    Text by こっこ

    PULSAR ASIA TOUR 2025

    2025/11/25 (Tue) KANDA SQUARE HALL

    東京都千代田区神田錦町二丁目2番地1

    OPEN 18:00 START 19:00
    スタンディング 前売り:¥9,500
    ドリンク代別

    ■前売り

    2025/09/06 (Sat) 10:00〜

    ・e+(イープラス)
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    ・公演詳細
    https://smash-jpn.com/live/?id=4526

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