緑ヘッドライナーの日本人アーティストって?NGHFBホーン隊インタビュー!
- 2015/07/18 ● Interview
もうすぐ兄貴に会えると歓喜しているフジロッカーの皆さん!ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ(以下NGHFB)のホーンサポートを、日本人ミュージシャンが務めているってご存知ですか? 普段はレゲレーション・インディペンダンス(Reggaelation IndependAnce)のメンバーとして活動する齋藤さんと黒須さんのお二人に話を聞いてきました。世界のトップと、東京アンダーグラウンドシーンの猛者たちが結びついたきっかけ、バンドメンバー目線で見たノエルの横顔、東京公演の裏話など、ここでしか読めない情報ばかり。グリーンステージに駆け込む前にぜひご一読を!
NGHFBホーン隊 from レゲレーション・インディペンダンス
齋藤 徹史(Tetsufumi Saito):トロンボーン
外間 正巳(Masami Hokama):トランペット
黒須 遊 (Cross You) :テナーサックス
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2011年にフジロック(パレス・オブ・ワンダー)、2013年に朝霧ジャムに出演。4月に行われたNGHFBの東京公演でサポートを務め、フジロックでの再共演に至る。
バンドサポートの経緯
─NGHFBのサポートは、どういう経緯で話がきたのでしょう?
齋藤:4月の単独公演時に、スマッシュからオファーをもらいました。推薦してくれた方は、2011年に僕らのライブを見に来てくれて、そこからフジロック、朝霧ジャムを経て、今回につながった感じですね。
黒須:求められていたトランペット、トロンボーン、テナーサックスという編成が、僕らとマッチしていたのも大きかったと思います。バリトンサックスの曲もあるんですけど、基本的にはその3管なので。
─日本武道館、グリーンステージのヘッドライナーと、スケールの大きな依頼ですよね。
齋藤:武道館の話をもらった当初は、正直少し悩みました。何が起こるか想像できない状況だし…。でも二人に相談したら『やる!』って感じだったので、それで決めましたね。
─ノエルやオアシスについて、どの程度の認識がありましたか?
齋藤:1991〜92年の間半年くらいイギリスに住んでいたんですけど、オアシスが世に出てくる少し前の時代でした。その後僕自身はレゲエや、スカ、ダブのシーンに入れこんでいたので聴き込んでいたわけではなくて。イギリスからスーパースターのバンドが出てきたなという印象でしたね。
黒須:僕もオアシスは全然通ってこなかった。改めて聴くと良い曲多くて、すごい好きになりました。
いざ、ノエルと対面!
─ノエルとのファースト・コンタクトはどんな感じでしたか。
黒須:ライブ当日のリハで、バンドメンバーと2〜3曲合わせていたんですけど、気づいたらステージ上にいたんですよ。
齋藤:そうそう。『あっ、ノエルだ!』みたいな(笑)。
─存在感薄っ(笑)。ノエルが入ることで現場の空気は変わりましたか?
黒須:そんなには…。ただ、ドラムのジェレミー(・ステーシー)は、ノエルが来たら僕らのことは一切見てくれなくなって(笑)。いきなりカウントがはじまるから、聞き逃したらアウトっていう緊張感はありました。
─演奏の指示はノエルが直接するんですか?
齋藤:サウンド全体のバランスをチェックしていたのはキーボードのマイク(・ロウ)。彼がバンマスですね。
黒須:ノエルが細かく指示をすることは無かったです。同じメンバーでツアーをしているから、細かいチェックとかそういう段階は終わっているんじゃないかな。
齋藤:ノエルは喉のコンディションや、ギターの出音とか、自分のことに集中している印象でした。
─突然のオファー、武道館、ノエルと共演って、すごく緊張しそうなシチュエーションだと思うんですが…。
齋藤:僕は緊張しいなタイプなんですが、思っていたほどしなかったです。違う意味で緊張したのは、1日目かな。リハの時点でクビになる可能性もあったんですよ。
─本番ギリギリまで出られるか分からなかったってことですか?
齋藤:そうそう。演奏の良し悪しだけじゃなくて、ノエルの当日の気分とか、色んな要素が絡むんじゃないかな。だから僕らも事前告知ができなくて。色んなエピソードを持っているミュージシャンだし、その緊張感はありましたね。リハが終わった時に、こっちを向いて親指を立ててくれたので安心しました(笑)。
─出る前にすでにドラマが…。同じステージに立って見るノエルの印象はどうでしたか?最近のライブを見たスタッフから、「やる気が感じられないシーンがある」と厳しい声も上がっているのですが。
齋藤:そうなんですか? でも、近くで見ると熱唱してるのがすごい伝わってくるんですよ。気持ちを外に向けてシャウトするタイプじゃなくて、自分の中に向けているというか。
黒須:僕もそんな印象でした。それが格好良いんですよね。
─なるほど。ステージ上で他に印象に残っていることはありますか?
齋藤:「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の大合唱はやっぱりすごかった…。ホーンの入らない曲なので、ステージ袖で歌ってました(笑)。マイクは歌ってる僕のことを見ながら笑ってましたけど(笑)。あれはハイライトですね。
黒須:あとは2日目のライブが終わって、ノエルが僕らを紹介してくれた時。紹介されて終わりだと思ってたら、齋藤さんがノエルにハグしに行ったんですよ。
齋藤:あの時は握手しに行こうと思ってたんだよ。そうしたら後ろから外間さんがダダッて来てさ、なんか俺もハグせざるを得ない状況で(笑)。
─緊張からのスタートでしたが、結果的には良い感じに終わったんですね。
黒須:うん。終わってみたら「ノエル、すごい良い人じゃん!」って思えましたね(笑)。
齋藤:良い人だった! あとライブ後に喫煙所でマイクとベースのラッセル(・プリチャード)と話したけど、彼らもナイスガイでした。彼らは他の公演で別のホーンメンバーと共演しているわけですが、「君たちの演奏には『揺れ』があってすごく良い」と言ってくれて。僕らは普段ビートに癖のある曲をやっているので、そこが良い意味できっちりし過ぎていなくて合ったのかもしれないですね。
フジロックに向けて
─再共演が決まったわけですが、フジロックが決まった瞬間はどういう気持ちでしたか。
齋藤:「(オファーが)来てくれた!」に尽きます(笑)。
─フジロックの歴史の中で、グリーンステージのヘッドライナーとして演奏している日本人は、2000年のミッシェル・ガン・エレファント、ブランキー・ジェット・シティの2組だけなんですよね。
齋藤:嬉しいとしか言いようがないですよね。とはいっても、今はまだ全然緊張していなくて、彼らとまた一緒に演奏できることが素直に嬉しいです。
黒須:今回はバリトンサックスも演奏するので(東京公演では1曲のみバリトン曲があり、KIDS氏(元KINGDOM★AFROCKS)が黒須氏の代役として演奏した)、そこは少し不安があります。バリトン自体これまで吹いたことがなくて、ついさっき人生で初めて吹いてきました(笑)。音出たんで大丈夫です(笑)。そこはしっかり仕上げてくるので。
─ホーン隊目線での当日の見所はどこでしょうか。
黒須:NGHFBのセカンドアルバム(『Chasing Yesterday(チェイシング・イエスタデイ)』)を聴いてきてもらいたいですね。これを聴けば、どの曲にホーンが入っているかも分かるので。1曲だけ、原曲はホーンが入っていない曲でも吹くので、これはフジロックじゃないと聴けないので楽しみにしてもらいたいです。
─衣装は指定されているんですか?
齋藤:指定は特に無くて、『自分が一番格好良いと思っている服を用意してくれ』と言われています(笑)。メンバーは皆ラフな格好なので、それに合わせるつもりです。気合い入れてスーツ着ても浮いちゃいますからね(笑)。
─最後に当日に向けての意気込みと、ノエルに会ったらどう声掛けるかを教えてください!
齋藤:『ヤーマン!』って言わせたいんでしょ(笑)。フジロックで共演できるなんて、こんな光栄なことはないから、良い演奏をして皆が楽しめる空間を作りたいですね。すごく楽しみです!
黒須:ノエルに『最高だった!』って言ってもらえるような演奏がしたいですね。あと終わった後にみんなで酒飲まないのかな? 乾杯できたらいいなぁ。
齋藤:鬼ごろしでね(笑)。
黒須:安いなぁ(笑)。
─わはは!でも実現すると良いですね。当日も楽しみにしています!
以上、NGHFBホーン隊より、齋藤さんと黒須さんのお二人でした。最終日、グリーンステージ最後の舞台で、ノエルと日本人アーティストの共演を見届けてみませんか? 最後に余談ですが、黒須さんは自身のリーダーバンド、リディメイツで昨年苗場食堂に出演しています。「次はもっと上で会いましょう」と最後に言い残していましたが、そのステージがグリーンステージのヘッドライナーとは予想もしていなかったと苦笑していました!
取材・執筆:船橋 岳大