2015年のフジロックはどんな内容に?日高正博社長に聞いた
- 2015/06/05 ● Interview
“フジロックらしさ”とはなんぞや
─国内勢の台頭については、今までの“フジロックらしいラインナップ”とは若干雰囲気を変えてきたなという印象を受けました。これは日高さんの中でも「新しい風を吹かせよう」みたいなねらいがあってのものだったと。
十何回もやっていると、固定観念とまではいかないまでも、やはり今までの感じでずっとやってきたなって思うことがあってね。2000年だっけ、日本のバンドが2組グリーンのヘッドライナーを務めたことがあったよね、金曜にBLANKEY JET CITYと土曜にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTっていう。そういうふうに、新しい風とまではいかないまでも「そういうのもアリだな」っていう組み合わせにすることはあって。それは固定観念を持っちゃうと出せなくなっちゃう。「もう決まったからにはその方向でしかいきません」っていうのはプロデュースする人間としては最低だよな。
─チャレンジングな打ち出しによって、とまどう人も少なからず出てくると思います。
それは仕方ないよな。その人その人の感性だ。俺たちがなんだかんだ言えるものでもないし、俺たちとしては毎年自信を持って発信していくだけ。1回目の天神山のときからそれでやってきたんだから。なんと言われようとこの路線でいくってさ。
─日高さん自身は“フジロックらしさ“ってなんだと思いますか?
知らねえよ(笑)。
─すいません(笑)。
まあ、自分たちがやっていることを客観的に見られたらいいんだろうけど、音楽にはどうしても主観が入るよ。客観性だけでモノ見たらビジネスになっちゃうしね。もちろんビジネスなんだよ?チケット売っているから(笑)。だけどお客さんに主観があれば、俺たちにも主観があるのは当然で、そんな中で毎年どういう形でそれを提供していけるかっていうことを考えるだけなんだよ、こっちは。
─では、主催者として「これを満たしていればフジロックだ」っていう基準みたいなものはあったりしますか?
自分たちの主観で「これは絵になるよね」と想像できることが一番大事なことだと思っている。それはただステージ、ステージ、ステージってだけじゃなくてサーカスから何からいろんなものを作ってみて、それらを含めたすべてに言えること。要するに、もっと遊べるような、来てくれた人たちに「何これ!?」って言われるみたいな場所がフジロックには必要なんだよ。俺、「ナニコレ珍百景」っていうテレビ番組が好きなんだけど、フジロックってそれだと思っているのね。「なんじゃこりゃ!?」って、来てみたら想像もしないものがあるとかね。
─なるほど。
ボードウォークを夜に歩いてて気持ちがよくてつい足を止めちゃうとか、パレスオブワンダーで変わった催しを観てビックリするみたいなこともさ。ただ音楽だけをやれというんだったら、別に苗場でやる必要もない。どこか近郊でステージ2つか3つだけにしてやればいいんだ。けどそうじゃないんだよ。俺の考えているフェスティバルっていうのは。例えば芝居とかもやりたいし、まだまだやりたいことが一杯あるんだよ。
─そういう構想みたいなものって、年々膨らんでいったものでしょうか?
最初からあったよ。場所がなかったから全部できなかったけどな。フェスティバルっていうのはお祭りなんだよ、俺にとってはね。もちろん音楽も重要なファクトで、音楽が無かったら誰も来やしないよ。音楽がメインだ。でもその周りには、さっき言ってた“フジロックらしさ”みたいなものっていうのも価値として存在する。実はそこを考えるのが一番楽しいよね。「どんなサーカスにしようか?」とかさ、「カジノはどうしようか?」とかさ。バカみたいだけどね(笑)。
シーナのこと、ネパールのこと
─SHEENA&ROKKETSがヘブンに出演します。これは何かしらの意味を持たせてのものでしょうか?
別にさ、シーナがあっち側に行っちゃったからとかそういう発想じゃないんだよ。彼らはこれからもやっていくっていう話だから、じゃあということでうちのスタッフがヘブンとか合うんじゃないの?っていうことで決めたんだよ。シーナの病気のことに関しては、びっくりしたな。病気のこと知らなかったし。俺は2人とすごく仲良かったんだよ。以前、誠ちゃんがレコード作るって言うんでさ、俺がロンドンに一緒に行ってね、手配していろいろやったこともあるんだ。そのときのバックバンドはWilko Johnsonでやってもらった。
─今年はそのウィルコとシナロケが同じステージに立つことになりますね。あとは木道亭では何かプランなどあったりしますでしょうか?
木道亭は、俺の友達のネパールのバンドが出るよ。Upendra and friends plus Mr. Sunil and Babuっていうバンド。いわゆるフルート? ヨーロッパでは有名なんだけど、毎年来てくれてたんだよね。で、実は加藤登紀子さんとも1回やっているんだよ。で、今回ネパールが地震で大変なことになってしまっているというのもあって。何かやらないかって今考えている最中だね。
─パレスオブワンダーは今年どういう感じにしていきますか?
今のところまだ決まってなくて、これからだね。音楽的にはそんなに変えない。ルーキーアゴーゴーからはどんどんいいバンドが出てきてほしいね。今年ルーキーからスタートして、何年か後にグリーンでヘッドライナーとか、そういうのが夢だな。そうなってほしいし、したいよ。