結成10周年、浅草ジンタインタビュー
- 2014/12/02 ● Interview
フジロックへの参加で見かたが変わった
―フジロックの初出演が2009年。SXSWよりも後というのは不思議な気がしますね。
和尚:そうですね。僕らはちょっと変わってて、スマッシュUKを通した、「逆輸入」の形で出演させてもらったんです。当時は自分たちのような、「ローカル」なバンドに対する理解は得られていなかったと思うんですけど、クリスタルパレスに出られたことで国内での見かたは変わったと感じましたね。
―そうだったんですね。2011年の苗場食堂をへて、2013年にはカフェ・ド・パリに出演されましたが、この時は和尚さんがアバラを含めて全身七カ所の骨折。それでも出る、という決断も凄いですが、裏ではいろいろとあったのでは?
和尚:実は、骨折したのは前々日に出演したイベントの後だったんです。最初に診察してからすぐに手術ができるわけではなくて、折れてるけど普通に暮らせているし、「いけるのかな?」ってベースを弾いてみたら、できたんですよ。それで、「弾けるかも」ってメッセージを入れてみたら、「イェス!」って言われて後に退けなくなって。でも動くことはできないから、メンバーがいつも以上に盛りあげてくれました(笑)。
―他の皆さんは、正直なところどう思いました?
シーサー:和尚はカフェ・ド・パリのステージで笑ってましたけど、僕らはまったく笑えませんでしたからね。前日に事務所からメールが届いて、「シーサー、騒ぐなよ?」という前置きがありつつ、「和尚が骨折した」って。「バカじゃねぇの!」って、めっちゃ騒ぎましたね。あのフジのステージほど、「火事場の馬鹿力」を感じたことはないですね。お客さんも盛り上げてくれたし。
和尚:当日はボルタレン※を使ってたから痛くはないんですけど、「こんにひはぁ〜」っていう感じでロレツがまったく回らない。メンバーの力と、場の盛り上がりでなんとか乗り切れました(笑)。
※ボルタレン…鎮痛剤の一種。
―2011年には、東日本大震災がありました。様々な変化を感じたのではないですか?
和尚:それはやっぱりありますよね。僕の場合は、震災そのものに対しては継続して何かができると思っているので、あまり目立った形で行動に移すことはしなかったんです。ただ、震災に関する曲は書きました。他のメンバーも演奏することで関わっていますし。
―ダブル・ベースにも、「東北ライブハウス大作戦」のステッカーが貼られていますね。
和尚:そうなんです。女川にも行きましたし、「南三陸HOPE FESTIVAL」にもライヴという形で参加しています。町も変わったし、東京も変わりましたよね。そして僕らも、みんなも変わった。当然なんですけど。
節目の10周年に大吟醸を
―それでは、12月10日に発売されるアルバム、『吟盤 -GINBAN-』について。「吟(じる)」とは「歌う」ということを指す言葉ですが、他にも意味があるのですか?
和尚:「吟じる=歌う」もあるんですけど、「大吟醸※」の「吟」でもあって。「金盤」という案もあったんですけど、金というのは還暦を過ぎたくらいに初めて使えるようになる感覚があるんですよね。じゃあ、その次ということで、「銀」になったんですが、これだと普通じゃないですか。それに、僕たちは地酒のように熟成していこうという気持ちもあったので、『吟盤 -GINBAN-』となりました。
※大吟醸…酒米の精米歩合が50%以下の日本酒。パーセントの値が小さいほど手間がかかっていると考えてよい。香りや色においても一定の基準を満たしたものが「大吟醸」と呼ばれる。
―現在はツアー中ということで、『吟盤 -GINBAN-』収録曲の反応もつぶさに感じていることかと思います。12月7日には、ツアーファイナルとなる東京キネマ倶楽部でのライヴを控えていますが、最後にアルバムについて、ライヴについての想いをお伝えいただければ。
シンヤ:10年の活動が熟成されたアルバムだと思いますので、楽しんでくれたら嬉しいです。
ヨッツ:加入して初めてのフルアルバムなんで、今までと同じジンタじゃない、俺のジンタになってるぞ、というところを味わって欲しいです(笑)。
Bケン:インストでは経験していたんですが、管楽器が2人になってからの、「歌入り」のアルバムは初めてなんです。また新しいものを感じてもらえればいいな、と思っています。
シーサー:僕は音だけじゃなくて、盤もジャケットも込みで作品だと思っているんです。配信だけをしている人もいるじゃないですか? CDの売れない時代に盤を出して、それがどれだけ売れるのかはわからないけれど、CDという作品は僕らが力を合わせてつくった「子ども」みたいなものなんです。『吟盤 -GINBAN-』は10周年に10曲、子どもが10人いるアルバムなんで、大切に聴いて欲しいですね。
和尚:10年の間にいろいろありましたけど、だんだんと、「音楽」というものに向かっているのかな、と思います。『吟盤 -GINBAN-』は爽やかな「音楽」の風が吹いている中で、生まれてきた作品だと思っています。さらに先、それがいつになるかはわからないですけど、『金盤』も楽しみにしていてください。
【吟盤 -GINBAN-】
浅草ジンタ結成10周年の節目にリリースされる5枚目のフルアルバム。ドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」OPテーマ”Kappo”をはじめ、ライヴでは定番となっている「百万光年彼方から」の他、新録5曲、全10曲収録。
02. ドンガラガン
03. ど壷にはまってドンピンシャン
04. Kappo
05. ガヤ街のブルース
06. すたこらさっさと 早よ逃げよ
07. 万風
08. 星かけら
09. 百万光年彼方から
10. ゆうやき
【NEWS】
New Album 『吟盤-GINBAN-』 リリース記念全国ツアー
01/11(日) 大阪・十三Fandango
01/12(月) 愛知・名古屋RAD HALL
01/24(土) 栃木・宇都宮POP Garage
01/25(日) 群馬・高崎club FLEEZE
02/06(金) 高知・高知X-pt.
02/07(土) 徳島・徳島club GRINDHOUSE
02/08(日) 三重・四日市Club Chaos
02/14(土) 千葉・千葉LOOK
03/13(金) 神奈川・横浜club Lizard
03/27(金) 山梨・甲府KAZOO HALL
04/10(金) 新潟・新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
04/11(土) 石川・金沢LIVE HOUSE vanvanV4
04/12(日) 長野・松本ALECX
and more…..!
【浅草ジンタ】
webサイト:http://www.asakusajinta.com/
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Twitter:https://twitter.com/AsakusaJinta
Soundcloud:https://soundcloud.com/asakusajinta
撮影・執筆:西野太生輝