• 訪れた人を魅了するウンカイナチュラルキャンプとは?規模感と距離感がもたらすスペシャルに満ちたフェスティバルの記録


    UNC22オルグ原稿使用画像01

    11月初旬の岡山県で仲間内が「とにかく楽しい」と声高に語るフェスがあるのを知ったのは4、5年前だろうか。話を聞いた当初は牛窓市の無人島、数年前からは美作市の山奥のキャンプ場に移ったと聞いた。訪れた人たちの語りっぷりを耳にするたび行ってみたいと思い焦がれながらも、東京住まいのサラリーマンにとっては、休みの確保も交通手段の調整もなかなか難しく毎年見送るしかなかった。が、今年は仲間の協力もあり少しずつ条件が整ってきたところでついに乗り込んだ。それが「ウンカイナチュラルキャンプ(以下UNC)」だ。

    UNC22オルグ原稿使用画像02

    UNC22オルグ原稿使用画像03

    開催地は岡山駅から電車で30分、そこから山道を30分ほど登った人里離れたキャンプ場。今年は11/5、6で開催され、2日間の参加人数は関係者を合わせて約500人ほどと聞いた。会場をフジロックで例えてみると…コロナ渦で配置が変わる前のジプシーアバロンとNGOヴィレッジ一帯に苗場食堂を隣接させてキャンプサイトを近くに持ってきた、といった感じだろうか。出演アーティストはDJを含めて約50組ほどに渡るが、フジロックに毎年行っているような人だとしても知っている出演者は、正直2、3組といったところかと思う。

    UNC22オルグ原稿使用画像04

    そんな、言わば「ローカルなフェス」は、私たちが知らないだけで各地にたくさんあって、それらもこのフェスと同じように行ってみればとびきり楽しいのかもしれない。遠方まで足を運んでフェスに行くこと自体への高揚も大きい。それでもさまざまな国内外のフェスに慣れ親しんでいるようなまわりのみんながUNCを指して口々に最高と語るのは何故なのか、訪れてみて魅力的に感じた点を紐解いていこうと思う。

    自然のアクティビティが満載で癒される

    まず、ロケーションの素晴らしさには心奪われた。フジロックも山の中だし朝霧JAMだって大自然に囲まれた場所ではあるが、とは言え街が隣り合わせにある。それに対して、ここは本当に山の一部。川のせせらぎを横目に感じながら、少し酔いそうな山道を登っていくと、ベストシーズンとも言えそうな紅葉の赤黄緑に彩られた会場が見えてくる。その過程が秘密基地を見つけたようなワクワク感を誘う。

    UNC22オルグ原稿使用画像05

    岡山県は「晴れの国」と言われるだけあって、今回もほぼほぼ天気の心配はいらなかった。フジや朝霧で、もはやアウトドアという言葉では片づけられない大変な目にあってきた筆者にとって、天候の変化に怯えなくていいのは、かなり大きなリラックス要因である。少し雨がパラついたときがあったものの、それがまたスペシャル演出のひとつになり、虹が現れたのは感動ものだった。

    UNC22オルグ原稿使用画像06

    もちろんこの山の中、夜には満点の星空に出会えるわけだが、夜を超えた後にまたこの土地からのプレゼントが待っている。「雲海」のことだ。昼夜の寒暖差が大きい山中で起きる、自分の目線より下に雲が発生する現象で、この一帯はメッカとして知られているらしい。フェス会場から徒歩15分ほどの展望スポットへ向かったのは2日めの朝5時。少しずつ明るくなるとともに姿を現す雲海のなんと幻想的なこと。

    UNC22オルグ原稿使用画像07

    昨夜かなりデキ上がった状態で未確認飛行物体を呼んでいた数時間後(これについては後述する)。そのときとのギャップに笑いつつ景色を眺めていると心が洗われていくようで、この時間はUNCのひとつのハイライトだった。

    はじめまして がたくさんでワクワクする、地元色満載なフードの充実

    UNC22オルグ原稿使用画像08

    フジロックで願わくば1日5食は食べたいと思っているフェスごはん好きも唸る、フードエリアの充実っぷりがうれしいところ。ほぼ地元岡山や周辺エリアからの出店で、県外から来た者には見慣れないショップばかりだ。「いつものあのフェスで食べるいつものあの味」も大切ではあるが、はじめてのものばかりなのも眺めているだけで目が喜ぶ。

    UNC22オルグ原稿使用画像09

    地元の人気店の餃子やたこ焼き、焼きたてのピザ、マフィンなどのスイーツにフレッシュフルーツジュース、クラフトビールなどがズラリ。どれも丁寧に作られているのがわかるものばかりだ。特に驚いたのは握り寿司!なんだけど、2日目に食べようと思っていたらなんと1日目だけの出店であった。あん肝のお寿司食べたかったなあ。来年も出るのかなあ。

    そんな中、筆者が一番気に入ったのは羽釜で炊いた新米ほかほかごはんに、漬物やしゃけフレークなどのごはんのお供が乗せ放題で300円!というもの。これ、シンプルだけど本当に美味しくていろんな土地のフェスで出してくれたら大人気になるんじゃないかと思う。

    UNC22オルグ原稿使用画像10

    オリジナリティ溢れるワークショップやマーケットが飽きさせない

    UNC22オルグ原稿使用画像11

    メインステージの転換時間は約40分。空いた時間はポイの体験やスパイス作りなんていうワークショップ、宝探しゲームなんかも楽しめる。UNCオリジナルデザインを手持ちアイテムに入れてくれる刺繍屋さんも楽しかった。年によってデザインが異なるそうなので、年々集めていったら楽しいかも。

    会場内でひときわ目を引いたテントサウナは、昼間は晴れればTシャツ一枚でもすごせそうな気候なので、ととのうのにはバッチリであろう。私たちも任務を終えた後に体験したかったのだが、夜は寒くて心が折れたのでこれも来年のリベンジ案件である。

    UNC22オルグ原稿使用画像12

    UNC22オルグ原稿使用画像13

    そして、このフェスに来たら絶対参加したかったのが「UFOを呼ぶかい?」だ。会場が無人島だった時代から行われていたというこのイベント。みんなで集まって呪文を唱えるらしいが、これを知ったときから自分の中に密かにある「ムー」的思考がウズウズしてしまった。

    UNC22オルグ原稿使用画像14

    1日目の23時30分、会場から少し歩いた謎のサークルがあるスペースに大きいお友達が20〜30人はいただろう。みんなで手を繋ぎ「ベントラーベントラースペースピーポー」と唱えながらぐるぐるまわるのだ。謎の言葉をはっきり口にしている自分に笑いながらも、密かな期待ももちろん持っていた。UFOが実際に来たのかはさておき、こういうことを真剣にやるときに人は日常の面倒な意識から解き放たれるのだな、と思った。宇宙人も小むずしいこと考えずに遊びに来ればいいのに。

     

    次ページへ:もちろん忘れちゃいない!多種多様なライブアクトたち

     

Fujirock Express
フジロック会場から最新レポートをお届け

フジロッカーズ・オルグ盤『フジロッカーズの歌』7インチアナログEP

フジロッカーズ・オルグ盤『フジロッカーズの歌』7インチアナログEP

bnr_recruit

bnr_recruit
PAGE TOP
301 Moved Permanently

301

Moved Permanently

The document has been permanently moved.