晩秋の自然を感じながらゆったりと過ごす時間。UNKAI NATURAL CAMP’21 イベントレポート

2021/12/16 ● Report

今年の11月20日（土）と21日（日）に岡山のOh!Ashi Forest ～大芦高原キャンプ場～で開催された『UNKAI NATURAL CAMP’21』（以下、UNC）。秋も深まる美作の山奥には、まるで１週間くらい過ごしたような濃密な体験が待っていました。12回目の開催となった現地のレポートをお届けします。

自然の中でゆったりと

ライブステージとDJブースのちょうど真ん中あたりのキャンプサイトで焚き火を囲み、なにやら遠くの方は盛り上がっている……。そんな空気を感じながらのんびりと過ごす時間はなんと贅沢なことでしょう。もちろんガンガン前の方に観に行くのも最高ですが、どこでどう過ごしていても音楽はこの森を包んでいます。

フジロックでずっとキャンプサイトで過ごす人の話を聞いて「酔狂なことをするものだな」と思っていたのですが、とんでもない、めちゃくちゃ格別な時間じゃないですか。いや、この寒空のもとわざわざ山奥に集まるのも酔狂といえば酔狂なんですが、そういう人しかいないからこそ感じられる、不思議な連帯感もUNCの魅力です。そして自然とこう感じるんですよ「ここにいる人はみんな仲間だな」って。

紅葉の絨毯で敷き詰められたキャンプサイトでは、駆け回る子ども達が木登りをする様子を見守ったり、誘われて紅葉をかけあったり、とてもおおらかな時間が流れています。僕は今回初めての参加でしたが、この子達にとってもUNCは毎年恒例の楽しみなんでしょうね。知らない大人と遊んだり木登りしたりなんて都会ではダメと言われそうなものですが、ここではお母さん達も暖かく見守りながら思い思いの時間を過ごしています。

大人も子どもも関係なく、みんな安心して過ごすUNCの空気。他にはない特別な時間をみんなゆったりと味わっています。前日も設営にてんやわんやしている運営スタッフや出店の方々の様子が見られましたが、スタッフも出演者も参加者も分け隔てなく、「ここにいるみんなでつくる自分たちの遊び場」といった親密な雰囲気。だって出店のお兄さんが最前列で誰よりもライブを楽しんだりしているんだもの。僕も少し顔を出してみましょう。

一癖も二癖もあるライブに魅せられて

初日のオープニングを飾ったもんぺーずは、近隣の親子が集まった総勢50名にもなろうかという大所帯。迫真の演奏を見せるお母さん達と一緒に、子ども達がわいわいがやがや賑やかします。想い溢れる母の力と親子の絆になんだかうるっとしたものです。

他にもグルーヴィーなクンビアサウンドに身体を揺らすReal Thingや、今年のROOKIE A GO-GOにも出演したTAMIWなど、一癖も二癖もあるアーティストばかり。コンビニのお惣菜だのドトールだのと都会の喧騒をコミカルに歌うxiangyuのラップも、それらから隔絶された山奥で浴びるからこそ感じるものがありました。

２日目は象の背やThe Faxといった京都のバンドや、倉敷で活動する清水タケオと南国気分など、多種多様な面々を迎えそれぞれ自由に楽しむUNCのひと時。まばらに置かれた丸太と天然の段差に腰掛けながら、みんな何一つ無理をせず楽しんでいるのがとてもいい感じです。それでも人力テクノとでも言いたくなるTHE NOUPのスリリングなサウンドに一心不乱に踊ったり、Hei Tanakaの脱力感のある奇想天外なアンサンブルに酔いしれたり、森の中では様々な音楽を楽しむ人達でいっぱいです。ああ、なんていい時間なんでしょう。

他にも楽しいことは盛り沢山！思う存分楽しむUNC！

開催前日の夜は140年ぶりという「ほぼ皆既」の部分月食をみんなで眺めたり、早朝に山々がまるで島のように見える雲海の光景に圧倒されたりと、フェスティバルの外でも大自然のアトラクションが満載のUNC。深夜には「UFO観に行こうぜ！」と誘われ、さらに山奥に向かうなんて一幕も。毎年恒例というこの企画では去年本当にUFOが現れた（！？）らしいのですが、今年は残念ながら現れず。それでも「ベントラー、ベントラー、スペースピーポー」とみんなで呪文を唱え同じ空を眺める時間は、なんだか心が洗われるような体験でした。

そして夜はDJタイムも一層盛り上がります。バーカウンター設置のSUNSHINEと深夜限定のMOONSHOTの２つのブースを行き来しながら、自由奔放に踊るオーディエンス。空を見上げるとオリオン座という、野外のダンスフロアがたまりません。もちろんガンガン踊る人だけでなくキャンプサイトには焚き火が点々と灯り、炎の数だけ営みがあるそれぞれの夜を満喫していました。

さて、寒さも気になる夜の過ごし方ですが、夜は氷点下にも迫ろうかという気温。キャンプ初心者なので心配していましたが、上下ヒートテックと極暖の靴下＋２枚重ね着で-15℃耐久の寝袋に入ると、焚き火で周囲が暖められていたのもあり快適に就寝。ユニクロさまさまです。もちろん雨など降ろうものならこの限りではないですが、高いハードルを感じていたキャンプ泊も意外といけるものなんだなと感じたのは、個人的に大きな収穫。もう少し道具を揃えながらまたどこかに泊まってみたいです。

まだまだ楽しみはいっぱい。朝はヨガやラジオ体操でじっくりとなまった身体をほぐしたり、ブレイクビーツからアンビエント、昭和歌謡までジャンルの制約のないDJ達のプレイにその場にしかないフロアを楽しんだり、突如現れたパフォーマーに「なんだなんだ？」と見入ったり……。そしてフェスご飯も忘れてはいけません。ルーロー飯やクラフトビール、本格的なラーメンに、なんと名産のままかりを酢締めしたお寿司も！岡山を中心に近隣諸県から集まったフードに舌鼓。大自然の環境で食べるからこそ一層美味しく感じられますよね。

ダイジェストでお届けしたUNCの様子でしたが、まだまだ伝えきれない楽しいことはいっぱいあります。次ページのフォトギャラリーもぜひご覧くださいね。取材スタッフの一人が「あんまりこのフェスティバルを人に教えたくないんだよな」なんてこぼしていましたが、ここに来た人だけが味わえる素晴らしい体験がUNCにはありました。来年はあなたもぜひ足を運んでみてください。大芦高原でまた会いましょう。