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「大事なのはこれからだぜ」。PUNPEEは、常に明るい未来を見つめ続ける

木道亭で演奏をするBIMからバトンを渡され、DJ原島宙芳とDJ ZAIの2人がスタンバイ。「景気よく行きましょう！」という声とともにならされるビールをグラスに次ぐ音とグラスの鳴る乾杯の音には、これからのステージへの期待も相まって思わずにやっとしてしまう。

まず、今年リリースされた最新EP『The Sofakingdom』から“The Sofakingdom VR”のイントロが流れ、颯爽と登場したPUNPEE。フジロックのPUNPEEといえば、2017年の超満員だったホワイトステージにてコンビニで買ったような安っぽいレインコートを身に着けていた姿が記憶に新しい。この日は、去年のフジロックスタッフジャンパーといういで立ちは更にアップデートされつつ、フジロック愛を見せつけられた。同EPから“GIZMO（Future Foundation）”、KREVAと共演し、その名を更に世に知らしめた“夢追人”と、自身はステージを歩き回り、身体を遣いながら、会場の空気を温めていく。本当に無観客なのが嘘みたい。時折リリックに織り交ぜられる、フジロックネタや今年の時事ネタには、更に視線に熱がこもる。当然こちらもノリノリで見てしまう。

「パレスで飲み明かして ホワイトで成り上がって カニエ来ない」という“Friends”でのイカしたリリックに泣かされ、ざわざわとしたサイレンの音とともに登場したのはゲストのGAPPER！この、ちょっと期待していたサプライズはうれしい！コール&レスポンスを挟み、まさかPSGの名曲“かみさま”まで聴けるとは！仕方のないことではあるが、同じ会場に居合わせることができなかったのが惜しい。きっと、ここで大盛り上がりしたんだろうなあという場面が何度も何度もあったのに。

各人が今年の出来事を振り返るMC中、DJ原島の「PUNPEEは？一番色々あったんじゃない？」という問いのアンサーとして、“お嫁においで 2015”のお馴染みのイントロが流れ、「才加さんという方と結婚いたしまして」という言葉を本人の口から聞くこともできた。リリックを変えつつ、歌詞も飛んだりしたけれど、なんと年末らしい幸福感溢れる空間なのだろう！とにかく、PUNPEEさん、ご結婚おめでとうございます！！末永くお幸せに！

それから、星野源とコラボし、次のSTUTSへとつなぐ“夜を使いはたして”、残念ながら5lackを会場に呼ぶことは叶わなかったけれど、Oasisのトラックを挟む“Wonder Wall”と続いていく。耳にタコができるほど何度も聴いた懐かしいアコースティックギターの音に、フジロックを愛してやまない人は思わず涙ぐみそうになったのではないだろうか。

MC中にも、次の“タイムマシーンにのって”と“Oldies”でも、「ポジティブな気持ちで」「でも、大事なのはこれからだぜ」と、来年もその先も含めた未来に対して一貫した明るい姿勢を崩さなかったPUNPEEの姿が印象に残っている。次は、明るい未来のなかでPUNPEEを見たい。今この場でしか聴くことのできない引き出しの多い新鮮なリリック、常に観客を楽しませようとするステージング、時折混ざる自虐。彼の名を、ヒップホップ界だけではなく幅広い人に知らしめ、魅了してきたことに十分納得のいく時間だったのではないだろうか。どんなこれからになるのだろうか。今から心待ちにしていたくなる。

SETLIST

The Sofakingdom VR
GIZMO
お隣さんより凡人
夢追人
Friends
Stray Bullet feat. GAPPER
かみさま
TOKYO ALARM
お嫁においで
夜を使いはたして
Wonder Wall
タイムマシーンにのって
Oldies

Text by あたそ
Photo by 白井絢香