• THE ALEXX | KEEP ON FUJI ROCKIN’ Ⅱ



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    漆黒の過去から黄金色の未来へ

    フジロック’21開催を祈念するみんなの想いが詰まったイベント『KEEP ON FUJI ROCKIN’ II 〜On The Road To Naeba 2021〜』。ラストを飾ったのは、杉浦英治(Programing)、筒井朋哉(Gt)、tonton(Vo)から成る3ピースロックバンドのTHE ALEXXだ。

    まだ音源リリース前だったフジロック’19の岩盤スクエアでの初ライブから活動をキックオフ。 2020年5月に配信限定でリリースした『Beatwave (Takkyu Ishino Remix)』はSpotify、Apple Music等各種配信サービスに特集され、緊急事態宣言下の東京で撮影された同曲のMVも話題となるなど、このコロナ渦の中でも精力的に活動してきたバンドだ。

    開始から約12時間を経過したこのイベントもいよいよ終演を迎えた。チャット欄に「長いようであっという間だな」というコメントが投稿され思わず膝を打ってしまう。少々開演が押して、画面がステージの絵に切り替わった。いよいよはじまる…。暗闇の中を稲妻のような短いビートと青白い照明が差し込まれてはじまった”COLD LOVE”。出力される重厚な音と、バンドの出で立ちから醸し出されるダークな雰囲気に圧倒される。終盤には杉浦がギターを手にし、ツインギターから繰り出されるシャープなフレーズが鼓膜をたたいてきた。MCは一切なく、様々な楽器を駆使してストイックに投げかけられる音の洪水。”Beatwave”になだれ込むと、tontonが目深にかぶっていたフードを拭い去ってストレートに歌い上げていた。お次は多国籍感にまぶされたようなダビーなフレーズと刻まれるバックビートに思わず身体が揺れてしまう”Alan Smithee’s Monolog”。ステージ全体がオレンジに彩られた中に黄緑の照明が随所で点灯する様に南国の暖かさを想起してしまったのは私だけだろうか?

    杉浦が冒頭から奏で続けるパンクを通過した王道UKロックなギターリフで畳みかける”Tablaman”。筒井による無駄を一切排除したベースがボンボンと入り軽快に舞台が進んでいく。轟音が響き渡る中、そのカオスを和らげるようなtontonによるかすれた叫びが刻み込まれ締めくくったのは圧巻だった。照明が怪しい深紅に変貌し、杉浦がフロアタムでシンプルなビート叩き込み、不協和音満載なギターが唸り、吐息混じりの歌が渾然一体となって迫ってくる”Wrathful”へ。新曲のようだが、冒頭の新曲”COLD LOVE”でもこの曲でも感じたのは、Massive AttackやPortishead、Trickyといったブリストル・サウンド影響下にある漆黒の世界観がより一層濃く深まっているということ。中盤では、ブルージーなスライドギターが乱暴に飛び跳ねまくり、純粋にかっこいい。「ロックバンドかくあるべき」を見事に体現していた。

    文句なしのハイライトとなった”Something Great”。tontonが十八番のテルミンでスペーシーな音を奏で、杉浦がドラムマシンで軽快にビートを刻んで、その上を筒井のギターが控えめに流れてスタートした。3人の織りなす音が溶け合うかのような絶妙なアンサンブルは身震いしてしまうほどの完成度。本当にこれを現地で、みんなで分かち合える日が一刻も早く訪れてほしいと心底感じた。締めくくりは、フジロックの創始者である大将こと日高正博氏に捧げられた”Outsider”。グラスハープによる共鳴音で幻想的に幕を開けた。「まだ夜明け前」というキーワードがこの不確かな時代にしっくりくる。だが、この夜が明けたら日が昇り、世界は黄金色に染まるのだ。2021年、そして苗場への歩みが今、ここからはじまったと実感させてくれるようなステージだった。

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    SETLIST

    COLD LOVE
    Beatwave
    Alan Smithee’s Monolog
    Tablaman
    Wrathful
    Something Great
    Outsider

    Text by 三浦孝文
    Photo by 平川啓子

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