The Birthday | KEEP ON FUJI ROCKIN’ Ⅱ
- 2021/01/02 ● Report
The Birthdayがぶっ放す「Love」と「Hope」
2020年はバンドを結成して15年、フジイケンジ(Gt)加入から10年を迎えるメモリアルイヤーだったThe Birthday。しかしコロナ禍で数々のライブが中止になり、ライブを軸とする彼らにとっては思うように活動できないジレンマもあっただろう。そんな気持ちを代弁すべくチバユウスケ(Vo、Gt)が矢継ぎ早に語りかける“Buddy”で幕は上がった。まだまだ「ロックンロールに溺れようぜ パーティーがまた始まる」のだ。キーワードの「カレンダー」が年末らしさを感じさせる軽快なナンバー“カレンダーガール”へと続く。観客のいないハコの静寂をものともしない、いつも通りの彼らがそこにいた。11月リリースの新曲“ヒマワリ”。ヒライハルキ(Ba)のベースがブイブイうなり、クハラカズユキ(Dr)のコーラスが響き渡る。
“DIABLO”でチバがマイクをハンドマイクに持ち替え、再び語りかける。「はしかみてぇな愛でもいいだろ別に」。痺れる「Love」を彼らはいつも届けてくれる。「明日はきっと青空だってお前の未来はきっと青空だって言ってやるよ」と、「希望」を堂々と歌い上げる“青空”。切ないコードのナンバーだからこそ心に刺さる。“涙がこぼれそう”で「俺さ今どこ?……今日は世界中のお前らと一緒だ!」画面越しにチバが叫ぶ。歌詞が染みてこっちの涙が噴き出しそうだ。チバがサングラスをはずす。「地球上のみなさんこんばんわ。バースデイです」はにかみながら呟いた。ヒライの伸びやかなコーラスが気持ちいい、“ヒマワリ”と両A面の新曲シングル“オルゴール”。フジイのギターは変わらず切ないメロディーを奏でる。続いて“OH BABY!”とシングルカットナンバーを立て続けにプレイ。4人のボルテージもグンと上がり、現場の熱さがビリビリ伝わってくる。
チバはまるで世界を見渡すように会場をまっすぐに見据え、“くそったれの世界”のイントロを渾身の力で歌いあげた。サビでは、チバ「世界中に叫べよ!」クハラ「I LOVE YOUは最強!」チバ「愛し合う姿はキレイ!」と掛け合い、The Birthday流の「Love」の究極形を強烈にぶっ放す。笑顔と拍手と共にステージを去り、幕は閉じた。いつか彼らが言っていた。「星は夜だから見える。暗いからこそ見えてくる希望があるんじゃないかな」と。今の時代の空気とリンクする数々のナンバーが「明日も捨てたもんじゃねえぜ」という「Hope」を深く深く心に刻んでくれた。
SETLIST
Buddy
カレンダーガール
ヒマワリ
DIABLO
青空
涙がこぼれそう
オルゴール
OH BABY!
くそったれの世界
Text by 松原充生子
Photo by 平川啓子