フェスデートに恋愛・結婚、話はあらぬ方向へ!?大森靖子×あたそ フジロック最強ガールズ対談【後編】
- 2016/09/12 ● Interview
私の言葉なりメロディなり、その人が持ってない“ブレイン”を与えるだけ
─ 2人のエピソードは共に勹″ッと<るものがありますね…。そこから音源の話に行くのもなんですけど(汗)、両A面シングル「ピンクメトセラ / 勹″ッと<るSUMMER」を皮切りに3作連続リリースとなりますが、今回は何故連続リリースを?
大森:出産で休んだのは実質1ヵ月くらいなんですけど、1回産休したっていうのであんまり動いてないと思われていそうで、とにかく“やってる感”を出していこうと(笑)。
あたそ:やってる感を(笑)。
大森:ライヴも出まくり、シングルも出しまくりという感じにしたかったんです(笑)。さらに、今回は『ワンダーロマンス三連福』と題してやってるんですけど、いろんな人と関わってどんどん新しい音を作り上げていきたいなというのがあります。それはモード的に1つのアルバムにまとめるより、シングルでいろんなものを作っていった方が合ってるなぁと思ったんですね。
「勹″ッと<るSUMMER」MusicClip (short ver.)
─ 「勹″ッと<るSUMMER」では、ゆるめるモ!のあのさんとコラボレーションしました。
大森:あのちゃんとは、私が曲を作ったら“絶対カッコいいでしょ?”“きっと合う”と思ってて「やらせてください」と。やってみたら、やっぱり彼女は音に対して勘がいい。自分の魅せ方に対しても勘がすごくいいので、レコーディングも1テイクですぐ「もう全然OKです!」みたいな感じでしたね。
あたそ:すごいな~!
大森:本人や制作チームの方は「自信ない」と言ってたんですけど、こちらとしては「音楽的にむしろバッチリ!!」で、“あ、勘のいい人なんだな”という印象でした。
─ 大森さんは以前から自分にも他人に対してもプロデューサー的な見方ができる印象があります。
大森:うふふふ、そう…そうかもしれない(笑)。
─ 人をプロデュースするときに相手の良いところを引き出すとか、何か方針として考えていることはあるんですか?
大森:そうですね、私は自然と女性とやることが多いんですけど。あと、マキタスポーツさんしかやったことないんですけど(笑)。
あたそ:マキタスポーツさん! あはははは!
大森:基本的に人の曲を作るときは、その人の持ってるキャラに私の言葉なりメロディなり、その人が持ってない“ブレイン”を与えるだけだと思ってるんです。キャラクターに刺激を受けて楽しく作らせてもらっているだけっていう気持ちです。
─ むしろ相手のものを多く受け取ってと。
大森:はい。“ありがとうございます”っていう気持ちと、責任と。
「ウエディング・ベル」MusicClip (short ver.)
─ カヴァー曲「ウエディング・ベル」も、メロディはハネムーンっぽさもあるのに実は歌詞は…
大森:「くたばっちまえ」とかね。
あたそ:80年代にヒットしたSugarの曲ですね。
─ 昔の恋人が元カレの結婚式に参列して挙式を見守るっていう。大森さんの曲の中にもこういう歌詞の作り方のものはありますよね。
大森:こんな歌詞の書き方とか結構しますね。
─ サウンドは一昔前のハネムーン的というか。
大森:ちょっと浮かれてる感じの。
─ 明るい曲調に奥底で静かに燻っている歌詞を乗せるっていう作りは大森さんの作風にも共通点がある気がします。
大森:そうですね。これはもう「血だらけのドレスを着て走りたい」というのがまずあって。そういうMVを撮りたいっていうのが念頭にありつつ、この曲自体もずっと好きで歌ってたんです。なんか、結婚式したくなく生きてきて…あれスゲェ嫌じゃないですか、感謝の手紙を両親の目の前で読んでみたいな…。
あたそ:ビデオレターとか。
大森:お父さんと手を繋いでとか「恐怖…!」と思ってて。「どうやったらアレをやらずに生きていけるんだろう? 結婚しなきゃいいんだ!」と考えてたぐらい結婚式恐怖症だったんです。でも、この曲の結婚式は楽しそうじゃないですか(笑)。ワクワクする。1つの形式の中に、それとは絶対に似て非なる業のようなものを持った女が現れ、でもブチ壊さず帰るんですけど、それを声の中だけでもブチ壊したらどうなるのかって。Sugarさんの原曲は、そんなストーリーなのにあの抑揚のないミックスヴォイスでずっと歌っているのが良いところだったんですけど、それにヴォーカルでちゃんと色を付けたらどうなるのかと。それが結構“楽しそうだな”って思ってカヴァーしました。
─ あたそさんは今回のニューシングル聴いてどうでしたか?
あたそ:曲ももちろんステキだったんですけど『TOKYO BLACK HOLE』のアルバムが出て、私の中では出産されて少し休めばいいのにと思いながら(笑)。ホントに活動的に動かれてますよね。
大森:強いと(笑)。
─ この曲は今回フジロックのライヴでもバックを固めた奥野真哉さん(Key./ソウル・フラワー・ユニオン)のアレンジ&プロデュースのもと新しくレコーディングされたものですが、ご自身の結婚という節目があった上でこの曲に取り掛かるとまた少し違う感触はありましたか? 結婚、またはウエディングに対するイメージの変化は?
大森:“結婚”っていう漢字2文字のものをやった印象はあるんですけど、“ウエディング”はやった感じがなくて(笑)。あまりそこらへんは考えずに入れちゃったかも。
─ 別の媒体のインタビューで大森さんが“東京”という漢字と“TOKYO”という横文字はイメージが全然違うとおっしゃってて、似た感覚のものですね。
大森:そうですね。全然違う言葉だと思います。“ウエディング”って言ったらやっぱり結婚式のイメージ。アレをやった人とやってない人っていう。私、やってない人なんで。
あたそ:やらないんですか?
大森:やらない。ていうか、無理でしょ! 親からの連絡をずっと無視しました(笑)。
あたそ:やっぱり両親からは「結婚式挙げないの?」とか言われてるんですか? 拒否して拒否して(笑)?
大森:言われます…。晴れ姿的なものも、別にライヴや仕事でカワイイ衣装着てるから全然興味が湧かないんです。そこで改めてカワイイ服着たい意欲もないし、何もないんですよ、だからもう。
あたそ:ウエディングドレスを何かのときに着られてましたよね?
大森:はい。たぶん結婚を発表した次のライヴで血だらけのドレスを(笑)。あのドレスって血が似合うじゃないですか?
あたそ:はい(笑)。
大森:血糊が似合うなと思って。その血糊を付けたい意欲がすごくて「ウエディング・ベル」のMVは二宮ユーキっていうスタッフに作らせているんですけど、その二宮がまぁ…B級カメラマンなんで。
─ ん…?
大森:「お前、B級カメラマンだからもうB級ゾンビ映画みたいなのを撮れ!」って言って。そういう意識で(笑)。
あたそ:どういう意識(笑)!?
大森:「お前B級なんだよ」って。
─ 二宮さん、今ずっと忙しそうに多方面で仕事されてますよね(笑)。昔から大森さんを追いかけつつ、いろんなところで作品撮られてるじゃないですか!?
大森:B級です(笑)。
─ それ書いておきます。
大森:あははは!
結婚とか考えたことなかったから逆に「面白そう!」って
─ あたそさんは自分の中で結婚に対するイメージはあるんですか?
あたそ:結婚か…。私、20代なんですが…
大森:あたそさんって20代ですか? 若いんですね!?
あたそ:そうですか!? 何歳だと思ってました!?
大森:私と同じくらいか、キクイマホさん(Dr./HOMMヨ、うみのて、北村早樹子、笹口騒音&ニューオリンピックス)とかと…(笑)。
─ ぶはっ! キクイさん出てきた(笑)。
あたそ:ほんとですか!? ん、良かった…え!? 30代ってこと…!? 私、よく35歳くらいに思われてたりとかしますね…。最近、女友達に第1次結婚ブームが来てて、結婚した友達が家とか買い出すんですね?? 「家買ったんだよね」って言い出して。
大森:え!? 20代で家買ってるの…? すごい。
あたそ:同い年の子が…しかも旦那さん年下なのにヤバくないですか!?
大森:ええー!? 怖い!
─ 怖い(笑)?!
あたそ:マジです。結婚のネクストステージって言ったら、確かに家か子供だなと思うんですけど。でも「家か~…!」と実際そこで少しショックを受けました。結婚とか別に「あ、おめでとう!」みたいな感じなんですけど「家買ったか…」みたいな………結婚の話じゃないですね!
大森:友達が家買ったことについて(笑)。
─ 結婚というより「家が欲しい」みたいな話に。
あたそ:結婚願望か……まぁ…いつかはね、経験はしておいた方がいいのかなとは思います。
─ 何目線(笑)!?
あたそ:あははは! でもなんか全然実感ないです。
大森:ないよね…。なかったなかった。
あたそ:なかったんですか!?
大森:結婚する瞬間までなかったんですよ。
あたそ:する瞬間ってアレですか? 婚姻届提出するみたいな?
大森:結婚という話を持ち出される瞬間まで考えたことなかったくらい。全然願望も何もなかった。でも少し変な楽観っていうか、どっかで何か好きなことやって失敗したり挫折とかしても結婚していればいいやっていうつもりではやってる(笑)。
あたそ:えー! そうなんですか(笑)?
大森:「…これを利用するしかない」って思って。だからブーストかけ切れたっていうところはあります。
あたそ:そんな感じだったんですね。結婚した人に話を訊くと「出会った瞬間に“ああ…私この人と結婚するな”って思ったんだよね」みたいなこと言いますよね? そんなのありました?
大森:出会った瞬間は別になかったです。
あたそ:私の友達はすっごく酔っぱらってるときに男がトイレに連れてってくれたことがあり、「私、この人と結婚するしかないんだ…」って思いながら便器に戻したみたい(笑)。
大森:(笑)。だって私、打ち上げみたいなやつで最初にちゃんと旦那と喋ったとき「オレはガッキーと結婚する!」ってずっと言われてましたよ、酔っぱらいに(笑)。その話を「はぁ、はぁ…そうですか。はぁ…そうなんだぁ…」ってすっげぇ言いながら結構聞いてて(笑)。
あたそ:あははははは! でもそこから結婚へ! ひゃー。
─ 予期せぬものではあったものの、一気にドンッと行けたんですね。
大森:そうですね。結婚とか考えたことなかったから逆に「面白そう!」って思いました。
あたそ:「結婚しよっか?」みたいな感じだったんですか? 「結婚するなら子供は何人がいい」とかありました?
大森:質問攻め(笑)。子供に関しては昔は絶対にいらないと思ってました。「自分の遺伝子など途絶えさせた方が良い…良かろう!」「いらんいらん!」って思ってました(笑)。
あたそ:他のインタビューで「この子を世界に残しても、何があっても大丈夫なように育てればいい」って言ってました。
大森:そんな良いこと言ってました(笑)? 男の子だったし、大丈夫でしょう。男の子は勝手にどうにかすればいい(笑)。
あたそ:あはははは!
─ ありがとうございます(笑)。それでは最後に、フジロックと同じメンバーで夏フェスを回って、10月からはツアー始まります。
大森:はい。ライヴは単純に1本1本自分が思っている以上に体力を使っていて(笑)。
─ 体力的にも自分のソロのときとフェスはまた違う?
大森:体力の使い方は違いますね。でもライヴ1本1本そうですけど、抜いたらやっぱりバレるんですよね。“こんなにバレるの?”っていうくらいバレるんですよ。
あたそ:お客さんにですか?
大森:はい。ちょっと今日は力まずにやろうとか、まぁバレるんで。もう全部尽くすしかないですね。
─ 尽くすしかないと。
大森:だからといって、ライヴで“やってやるぞ”ってやりすぎると、ホント自分でも何言って何をやり出すかコントロールが効かない状態になるんです。その場で起こったことに対して身体が反応して動いているんで頭の動きの方が遅いイメージで。“良い・悪い”の判断を通す前にもうやっちゃってたりとか声出しちゃったりとかしてるので、「あれ!? こんなことやっちゃってる!?」と気付くのが3秒くらい後なんですよ(笑)。
─ 自分の行動を遅れて冷静に見てる感じになっちゃうんですね。
大森:いつもそうなんです。遅いんですよね、もう。気付いたらやっちゃってるっていうか(笑)。なので、あんまり気合い入れすぎてそのヤバい状態にならないようには気をつけたいですね。
─ 反応速度がさらに加速されちゃうんですね。バンドメンバー同士で助け合いじゃないですけど、フジロックでは「前に出るように」という指示がありましたが今後のライヴでは?
大森:はい。フェスのバンドはやっぱり小森くんがキーパーソンになっていて。これまでの断絶というか、“メンバーと私”みたいな枠組みを壊してくれる人なので。
あたそ:壊す人(笑)。
大森:壊します、完全に。
─ 笑顔で(笑)。
大森:良くも悪くも壊すので。今のところずっと良い方に行ってるので、それがずっと良い方向に働いていけばいいなって思っています。10月からのツアーはまた全然違います。
─ 違うテイストになって。またツアーに向けては大森プロデューサーがいろいろ考えていると。
大森:はい(笑)。違ったライヴになります。
あたそ:今日はありがとうございました~!!! 3作リリースもライヴも楽しみにしています!
●大森靖子(おおもりせいこ)
弾き語りスタイルを基本に活動する、新少女世代言葉の魔術師。FUJI ROCK FESTIVAL、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、TOKYO IDOL FESTIVALなど数々のフェスに出演。アイドルファン、特に道重さゆみファンであることを公言しているハロヲタ。小室哲哉が制作した「rêver」(ファッションブランド『SEPT PREMIÈRES by Kenzo Takada』のイメージソング)にゲストボーカルで参加。
Official Site: http://oomoriseiko.info/
Twitter: @oomoriseiko
大森靖子スタッフTwitter: @oomoriseiko15
Facebook: https://www.facebook.com/oomoriseiko
【リリース・ツアー情報】
大森靖子
New Single「ピンクメトセラ / 勹″ッと<るSUMMER」
ON SALE
CD+DVD ¥2,500(税抜)
CD only ¥1,000(税抜)
CD+DVD【ファンクラブ限定盤】 ¥3,500(税抜)
【CD】
M1:ピンクメトセラ
M2:勹″ッと<るSUMMER
M3:ウエディング・ベル
【DVD】
1:ピンクメトセラ(Music Clip)
2:勹″ッと<るSUMMER(Music Clip)
3:ウエディング・ベル(Music Clip)
【DVD(ファンクラブ限定盤)】
大森靖子2016前半ライブ映像【海を割るおっさんのパンティ】
●大森靖子2016年全国ツアー『TOKYO BLACK HOLE TOUR』
10月1日(土) AKITA ● 湧太郎 國之譽ホール <弾き語り>
OPEN 16:00 / START 17:00 [SOLD OUT]
10月8日(土) NAGASAKI ● 旧香港上海銀行長崎支店記念館 <弾き語り>
OPEN 18:00 / START 18:30 [SOLD OUT]
10月9日(日) OITA ● 別府ブルーバード劇場 3F <弾き語り>
OPEN 18:00 / START 19:00 [SOLD OUT]
10月14日(金) NAGOYA ● CLUB QUATTRO <バンド>
OPEN 18:00 / START 19:00
10月15日(土) SENDAI ● MACANA <バンド>
OPEN 18:00 / START 18:30 [SOLD OUT]
10月22日(土) OKAYAMA ● CRAZYMAMA KINGDOM <バンド>
OPEN 17:00 / START 18:00
10月23日(日) FUKUOKA ● BEAT STATION <バンド>
OPEN 17:30 / START 18:00
10月29日(土) SAPPORO ● PENNEY LANE24 <バンド>
OPEN 17:30 / START 18:00
11月4日(金) HIROSHIMA ● LIVE JUKE <弾き語り>
OPEN 18:30 / START 19:30 [SOLD OUT]
11月10日(木) OSAKA ● BIGCAT <バンド>
OPEN 18:15 / START 19:00
11月11日(金) MATSUYAMA ● サロンキティ <バンド>
OPEN 18:30 / START 19:00
11月18日(金) TOKYO ● ZEPP TOKYO <バンド>
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット発売中!
●あたそ
フォロワー数が7万人を突破した大人気“非モテ”系ツイッタラー。音楽やモテない女子ネタツイートで注目を集め、ついには“ニュー卑下アイドル”“非モテ代表”などの気高き冠をいただくに至る。ミュージシャンとの交流も多く、近年ではイベント主催やコラム執筆なども手がけている。よく飲む、よく喋る。思ったより若い。女性恋愛応援サイト“ハウコレ”にて最近“ネガティブ女子”による恋愛座談会座長を務める。
Twitter: @ataso00
マイナビウーマン『非モテ代表・あたその恋愛相談』 http://woman.mynavi.jp/profile/150115/
ハウコレ「ネガティブが故にうまくいかない!?ネガティブ女子の本音恋愛座談会」 http://howcollect.jp/article/21219
取材・文:ノグチアキヒロ
写真:Yuto/びーとる(Instagram: Instagram.com/beetle5272)