週刊フジ 〜名場面編⑧〜
- 2016/06/29 ● 週刊フジ
フジロックの思い出という引き出しを探るとき、自分はライブなどよりも「誰と過ごしたか」から入ることが多い。
フジロックの思い出という引き出しを探るとき、自分はライブなどよりも「誰と過ごしたか」から入ることが多い。フジロックの三日間、そこには特別な生活空間ができあがるわけで、それに付随してさまざまな人間関係が形成される。初参加時は同じバンドのファン仲間数人だったのが、そこに散々魅力を聞かされた友人が新しく参加し始めたり、このフェスをきっかけに繋がるコミュニティはどんどん増えていった。仲間の新しい家族に苗場で出会うなんて素敵なこともあったし、フジを発端とした数年の仲違いを、またその地で解消したこともあった。SNSで繋がって車に乗せてくれた人、自分は参加しないのに新潟の実家に招いてくれたあの子はどうしただろう。などなど、今こうして書いているうちにもいろんな人を思い出す。
そんな感じでフジにまつわる人間関係は一年たりと同じことはなく、どんどん進化していくさまが自分にとっては面白い。コミュニケーション上手でも、特段人好きでもないはずなのに、フジロックとなると自分の知らないエネルギーが湧いてしまうのが不思議だ。そんなエネルギーをもとに、誰かと作ってきたさまざまな名場面があって、それをキーにしてその時その頃の心境や環境、自分の遍歴を振り返るという行為が、とても大切なことであり、愛おしいものなのだ。
「フジロックを作っているのはお客さんだ」と、そういえば誰かが言っていたような気がする。今年もまた一緒にフジロックを作ってくれるいろんな人に会いたい。と、どうしてもフジロッカーらしい気持ち悪さが滲み出てしまうことをお許しいただきたい。
Photo by suguta
Text by 東いずみ
「週刊フジ」はフジロッカーズオルグのスタッフがそれぞれの観点で、フジロックへの思いを綴るコラムです。毎週水曜更新!一覧はこちら。