フジロックフェスティバル公式ファンサイト fujirockers.org » インタビュー https://fujirockers.org/12 Wed, 14 Aug 2013 01:13:58 +0000 ja hourly 1 http://wordpress.org/?v=3.3.1 『ボラフェス』主催者インタビュー 〜フェスティバルというボランティアの入り口 https://fujirockers.org/12/?p=3605 https://fujirockers.org/12/?p=3605#comments Mon, 24 Sep 2012 16:24:27 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=3605 続きを読む ]]> 震災から1年半以上、現地・東北ではガレキの処理や鉄道の復旧作業などが終わらず、今も復旧に向けての取り組みが各所で続いている現状。そんな中で、東京など遠く離れたところからできることって…と思う時があると思います。それに対し、ひとつの答えになりそうなフェスが始まります。

ボランティアフェスティバルジャパン、通称ボラフェス。9月29・30日に都心から程近い山梨県・道志の森キャンプ場で開催されるこのフェスティバルは、ダチャンボやクロマニヨン、シンゴ2など名だたるアーティストをラインナップし、そしておそらくこの規模で国内最安値となる5000円(一日券3000円)で楽しめます。しかも、フェスの名前が指す通り、ボランティア参加経験のある方は無料にもなるという…一体どうしてこんな”おいしい”システムで開催されることになったのでしょう。発起人の菱木豊さん、広報担当の田中馨(けい)さんにお話を伺います。

フェス開催の目的は「楽しい」ボランティアを知ってもらうこと

―まずはこのボラフェス開催についてお伺いしたいと思います。開催の経緯を教えてください。

菱木(写真。以下H):去年の9月、友人に誘われて初めてボランティアに行ったんです。それまでボランティア活動のことは知っていたけど(作業が)つらそう、苦しそうって思ってなかなかできず、コンビニでお釣りを募金箱にっていう程度で。でも実際に行ってみたら全然苦しいとかじゃなくて、充実感や満足感、楽しいっていう感覚があったんです。例えば以前石巻で、建物からウレタンの壁を剥がすっていう作業を10数人でやり、すべて剥がして200袋くらいに詰め込むという作業があったんですけど、終わった時はなぜかこっちが達成感で「ありがとうございます!」って言っていたんですね。本来逆じゃないですか(笑)。

―たしかに、僕は参加したことがないので、その感覚っていうのは意外に感じますね。

H:で、ある時友人と「まだ全然人出が足りない、なんでだろう」って話になった時、まず僕らのように「やってみて楽しい」っていう感覚に気付かないと、って思ったんですよ。じゃあどういった人なら気付くだろう、来てくれるだろうって考えて、自分が思うボランティアと似た感覚のものを考えたんです。で、仲間とどこかに行ったり、ハードだけど楽しいみたいなことを体感したり、夜は呑んだり…みたいに考えたら、「フェス行く人たちだ!」って。フェスティバルとボランティアの感覚がピッタリハマるって気づいたんです。

ボランティア参加した僕自身フェスが好きだし、向こうで知り合った人たちもそんな感じでした。なのでそういう人達に向けてボランティアを「楽しかった、また行きたい」って気づいてもらえるようフェスをやろう。でも単にやるだけではいけないから、ボランティアに参加した人はタダにしようって思ったんです。それで「フェスただでいけるなら」ってきっかけでボランティア参加してくれる人もいてくれたらいいなって思ったのがはじまりです。

―なるほど。きっかけ、のフェスなんですね。

H:開催は、もともと東北でやろうと思っていました。ただボランティアって関東からの方が多くて、ボランティアに来たり関心を持ってもらうためのフェスで東北に来てもらって、再度何かの形でまた東北に…って考えるとハードルが高いなって思ったんですね。だから門戸を広げて、来やすい環境をまず作るのがいいんじゃないかなって思ったんです。それで関東からのアクセスを考え、新宿から2時間程度でいける道志の森がいいんじゃないかなって思ったんです。

―たしかにそういうアクセス面だとこちらになるかも。道志の森…いいですよね。

H:そうなんです。フェスでは夜キャンプファイアーを焚いて、参加者やブース出展などでいらっしゃった東北の方などと話せる場を作りたいと思っているんですが、道志の森ならそういうこともできるんです。

東北にちなんだ出展

―そんな道志の森を使ってのボラフェスですが、実際の規模感はどういったものになるんでしょう。

H:大体延べ3000人クラス、でしょうか。ライヴのステージとDJ用とで2ステージを展開するほか、ボランティア団体をだいたい20団体ほどお呼びする予定です。フェスを楽しんでもらって、ボランティアの申し込みだったり仮設住宅に住んでいる人たちのアクセサリーを販売したり、写真パネル展示などを見られる。ライヴの転換時にはブースを出している人たちのトークセッションも聞くことができます。

飲食も色々考えていて、F級グルメ(F=復旧)ってことで気仙沼ホルモンだとか浪江焼きそば仙台の牛たんを出す予定です。あとWAKAMOという26、7くらいの漁師2代目の奴らがいるんですけど現地で有名なわかめやホタテを会場に持ってきて焼いて出したりします。なので買う支援、食べる支援ってのができる仕組みになるんです。

―東北グルメぜひ支援したい(笑)いいなー!

田中(写真。以下T):あとリアス気仙沼、東京在住の気仙沼出身の方々が、子供たちに絵を描かせるワークショップをやっているんですが、その子達が描いた7メートルくらいの絵を会場に飾ろうと思っています。

ー会場にいる、ということ自体が被災地支援にコミットできるんですね。

H:ええ。で、今回は営利目的ではないので、売上をすべて義援金として寄付する予定です。チケットを安くしているのもどんどん気軽に来てもらいたいからで、向こうには利益を送りつつ参加する方には東北を知ってもらいたいと思っています。

さまざまな人の協力から実現した歌

ー参加、といえばボラフェスがクラウドファンディングサービスのCAMPFIREを使って資金集めをされていたことが興味深いです。

T:出演者の有坂美香さんが、東京でサンシャワーズっていう100人位の規模のゴスペルクワイヤをやっていらっしゃるんですが、今回東北の方たちと一緒にやろうっていう試みを始めたんです。

普段東北に住んでいて、震災で苦労されていたり、避難所生活で疲弊されている方をケアするなど頑張ってきたりする方たちも一緒に歌ってほしいって思ったのがきっかけで。そんな人達に無料で来てもらって、つかの間でもいいから楽しんでもらうために何が何でも来てもらいたい。そのためには早急に資金をということでこのシステムを使いました。15、6人東北からいらっしゃるんですけど、そういった方たちの移動費などをCAMPFIREを通じて集めることができました。

(募集ページはこちら。106名から610,500円が集まりました)

―結果として満額達成、すごいですよね。ぜひ聴いてみたいです。

T:「わせねでや」っていう曲があるんです。被災地の桂島っていうところで地元商店をやっているおばあちゃんが書いた詞を、地元ミュージシャンが曲にしたものなんですけど。そのわせねでや…「忘れないでね」っていう意味の歌を桂島の島唄にしていこうって、加藤登紀子さんもそれを歌ったりしてらっしゃるんです。その曲をなんとかフェスに持ってこれないかって各所にかけあい、東北サンシャワーズのゴスペルアレンジをできることになったので披露できればと思っています。あと有坂さんはレゲエディスコロッカーズとしても出演されるので、違うアレンジで聴けたらいいですね。

H:ほかにアーティストで言えば、たくさん出演してもらえる中でもジェロニモブラッドが僕はおすすめです。メンバーのシューイチくん(DJ)は僕がアメリカにいた時に彼のマンションに入り浸っていて、音楽にはまっていったきっかけになった人だったんです。これまで活動していなかったんですけど、フェスをやるにあたって話をしたら、10年ぶりに活動再開ってなったんです。めちゃくちゃ嬉しいですね。

―それは主催者冥利に尽きますね。

H:主催者、といえば…もともと僕はイベント経験ゼロなんです。やろうと決めてからフェスができるギリギリのタイミングの9月になんとかこぎつけた、という感じです。

開催にあたっては本当にたくさんの人たちのご縁がありました。有坂美香さんが鎌倉でやっているゴスペルクワイヤに僕の母がたまたま入っていて(笑)、昔から僕は彼女を知っていたのでまず有坂さんにお声がけした。そして有坂さんからクロマニヨンのツヨシ君(コスガツヨシ、ギター・ベース)を紹介してもらったし、彼らが北海道をツアーする時にジャジースポーツの社長マサヤ君(MASAYA FANTASISTA)が来ると聞いて「行くしかないっしょ!」って飛行機&鈍行で2時間くらいの倶知安まで行って挨拶したり。

それからはマサヤ君にアーティストの紹介などお手伝いをしてもらったりしたんです。センスオブワンダー(昨年茨城で開催されたフェス)主催の小林さんにもいろいろ入ってもらっているんですが、それもきっかけは出演するダチャンボのeiji君(ベース)から紹介だったし。

これからも「きっかけ」を続けていきたい

―お話を伺って内容が盛りだくさんだなと感じます。参加を通じて、ボランティアに興味を持ってもらったり、すでに行った人は振り返ってもらうといういい機会になりそうですね。

H:というより、ボランティアって去年行ったきりになってる方も少なくないと思うんです。昨年7、8月だと20万人だったのが今もう2、3万人。もちろんニーズは当時より少ないとはいえ、まだまだ人出が必要です。

―10分の1…というのは少ないです。

H:なので、当時行かれた方にはあれからどうなったのかっていうことを知り、リピートしてもらうきっかけになればなって思っています。ボランティアじゃなくても観光でもいい、東北にまた行くきっかけになればと。いろいろな形で東北に目を向けてほしいなって思うんです。

東北の人たちにとって一番怖いのは風化していくことだから、僕らはそこに毎年皆さんの目が向くようなことをやっていきたい。5年、10年と続けていけたらって思っています。(了)

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インタビューは以上です。主催者の皆さま、フェスティバルを心待ちにしている我々や、なにより「わせねでや」という東北の人びとのためにぜひ頑張ってください。

ということでこのボラフェス、いよいよ開催が今週末に迫っています。再度となりますが、ボランティア経験者は以下のボランティア活動保険加入カードを入り口で見せれば無料で入場可能です。もしまだお手元にあるのであれば、ぜひ今週末は道志の森へ!

距離的なハードルで参加が難しいという方は支援金という形でもサポートできるそうです。ぜひ成功させて、楽しく実りある週末を過ごしましょう!

Text ryoji 丸山亮平
Photo 北村勇祐

■ボランティアフェスティバルジャパン
http://www.volafes.com/
9月29日(土) 開演11:00〜終演23:00
9月30日(日) 開演11:00〜終演19:00
道志の森キャンプ場
〒402-0222 山梨県南都留郡道志村下善之木10041

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XLAND FESTIVALプロモーターインタビュー 野外を舞台に繰り広げる「クラブの感じ」 https://fujirockers.org/12/?p=3283 https://fujirockers.org/12/?p=3283#comments Fri, 24 Aug 2012 15:09:33 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=3283 続きを読む ]]> フジロックやサマソニも終わり、一息つきながらも「まだまだ踊れるなあ」と思っている皆さま、夏休み最後の週末・9月1日のご予定はいかがでしょうか。今回は都心から近く、神奈川県の相模湖で開催されるXLAND FESTIVALのご紹介です。プロモーター・ヒトミさんからお話を伺いました。

昨年FREAKS FESTIVALという名称で繰り広げられたこのフェスティバル。それが今年、XLAND FESTIVALと名を変えて再びパーティー・フリークの前に現れます。オリンピック公式イベントでヘッドライナーを務めたフレンドリーファイアーズや、ネオシューゲイザーの雄・ウルリッヒシュナウス、国内からもDJクラッシュやトクマルシューゴなど、国内フェスの中で音楽的好奇心をグイグイ刺激するこのフェス。会場隣接のキャンプリゾートでの朝食付宿泊プランや会場内BBQなど、ユニークなシステムも去年話題になりました。今回はそのプロモーターの声を通して、その全容と宿るスピリットの正体を探ります。

■XLAND FESTIVAL
http://xland-festival.com/

パーティーの舞台を野外に

―本日はよろしくおねがいします。ではまずヒトミさんご自身についてお伺いしますがこのフェスのほかにどういった活動をされていますでしょうか。

フェス以外はクラブ系イベントやツアーのプロモーターがメインです。私は90年代初頭からDJやパーティーをしたり、青山でクラブもやっていました。なので20年ぐらい音楽やクラブシーンに関わっていますが、フェスティバルは去年からなのでまだ2年目ですね。

―クラブからフェスティバルにトライしようとしたきっかけはどういったところから?

パーティーのバイブスを、昼間の野外で表現したいなって思ったのがきっかけですね。屋内の、特に夜のパーティーはずっとやってきたんですが、そのクラブの中でいろんなDJやライブ、VJがいたり、アート的な要素が凝縮された屋内のパーティーを外に出してみたいと思ったんです。

あとは年齢的な意識の変化というか、自分も含めまわりの人たちも結婚したり子供ができたりっていう中で、朝までワイワイやるスタイルから「公園に行こう、アウトドアしよう」といった、環境の変化もあります。そういう流れの中で、クラブのクリエイティブな音楽や映像、バイブスを、昼間の野外で家族連れでも楽しめるようなイベントで表現したいなって。「最近クラブであまり見ないね」っていう人が、ちょっと1泊2日の小旅行みたいなノリで来れるようなイベントがあれば…って思ったのがきっかけです。

―クラブ感を維持しつつ、参加しやすい環境を用意したのがフェスということですね。

そうですね。そういう意味でこの相模湖の会場は重要で、いろんなところをずっと見てようやく見つかったって場所なんです。ポイントとしてはまず「行くぞ!」って気負っちゃうような距離じゃないところ。相模湖は都内から1時間くらいで行けるし、車でも電車でもアクセスがいいんです。あと当日は、神奈中さんにご協力いただいて、最寄駅の相模湖駅から会場までのバスも増便されているので、電車を降りて待つことなくバスに乗ることができます。また、富士急さんにもサポートしていただき、フェス会場がある「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」に車で来られる方や現地の宿泊施設「ハディントンベア・キャンプグラウンド」をご利用の方のために、無料の会場シャトルバスを出していただきます。

そして施設面。いつもはそちらがメインになっているんですが、遊園地や関東最大級のバーベキュー場、キャンプリゾートなどがプレジャーフォレスト内にはあるんですけど、そういったものがフェス会場に隣接しているので、本番日の前後を活用していただければ、フェス以外にも色々と楽しめるんです。気軽な参加もできて、かつ1泊2泊でも過ごせるような場所、そういうところをかれこれ4〜5年ずっと探していてようやく見つけたんです。

滞在や会場にも幅広い楽しみ方を

ー昨年の写真だったと思うのですが、ログハウスって今年も使用できるんですか?

使用できます。前乗りして金曜日の夜にBBQやキャンプを楽しんでから翌日朝イチで参加したり、終わったあとに一泊して、日曜日に遊園地や相模湖、近くの温泉を楽しむなど、いろんな楽しみ方ができることを想定しています。なので、会場隣接のキャンプリゾートの宿泊パックでは、XLANDのチケット付きはもちろん、遊園地のフリーパス付きなど様々なタイプを販売しています。キャンプリゾート自体も結構大きくて、コンパクトなトレーラーハウスから大きなログキャビン、眺望がすごくいい常設テントなど、大小含め10種類以上から選べるんですよ。あと、今年からこの宿泊パックを利用される方に限って、イベント会場から宿泊施設への、途中退場・再入場が可能になりました。なので、少し疲れたから宿泊施設に戻ってちょっと休憩、ていうこともできます。

―昨年の情報で見たのですが、朝食付きのプランが?

あります。「素泊まりじゃなくて、朝食付きのコースでチケットを取ってよかった」って昨年すごく好評だったんですよ。なので今年は、朝食ビュッフェに、園内のワイルドクッキングガーデンやログハウスのテラスでも食べられるBBQセットを追加して、2食付きのプランを用意しました。ぜひ、XLANDに来る方は、そういった朝食やバーベキューなども楽しんでもらえればなと思っています(くわしくはこちら)。

―もともとフェスを始めようと思っていた時から、そういうエキストラな部分を考えていたのですか?

そうですね。音楽+アルファ、っていうのはありました。音楽に何を付与できるか、もしくは付けられるポテンシャルがその場所にあるのか、という視点でも会場を探してきましたね。あと都市近郊だけど緑に囲まれた開放感のある場所、で音楽を聴けるってことにこだわりました。

改名の理由と、より良くなった面

―フリークスからXLANDに名称を変更しましたが、その理由と今回の名称の意味は?

きっかけは商標の問題からの変更です。呼び名は、「エックスランド」ですが「クロスランド」とかでもいいです。例えばエックスランドだったら、「X=未知」の大陸とか、ミスティークな感じの場所という意味があって、クロスランドだと「いろんなものが交差する」、世代や人種、国境を超越して交差する自由な国であったり、自然と音楽が交わる場所っていう意味を込めてます。そんなクロスとエックスをかけて、この名前をつけました。あと私やメンバーの世代が「ジェネレーションX」という、サブカルチャーな時代の人たちが多いので、そこからもとっています。あと「ランド」は、会場のある「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」は以前、「相模湖ピクニックランド」という名前だったので、それもかけています。

―実際に去年クラブを野外に持ち出してみて、成功したと言えますか?

昨年は…まだ(成功とは)言えないですね。クラブみたいに、場所から何から全て揃っているところでオーガナイズするパーティーと、何もないところに一から創るのでは全く違っていて、まだ私は野外のキャリアが浅いので、周りの熟練の人たちにアドバイスをいただいたり、いろいろ試行錯誤しながら良くしていっています。だから去年よりも今年の方がよいものができますし、回を追うごとによくなっていくと思っています。

―具体的に去年と比べて良くなった点とかは?

まずはサウンド面の改良でしょうね。日本屈指のサウンドクルー「eastaudio SOUNDSYSTEM」に全ステージのサウンド・プロデュースをお願いしています。彼らのことは10年以上前から知っているのですが、音に対するこだわりや熱意が半端ないです。クラブで感じられるような音、音圧を野外でも十分に体感できると思います。

あとスタッフ間のつながりです。去年から一緒にやっている人も多くて、イベントに対する意識であるとか、アイデアであるとか、いろんなものがさらに具体的になってきました。

あとはトイレの数やキッズ&ファミリーゾーンというようなホスピタリティ面の強化ですね。昨年に引き続き、NPO法人Ubdobe(ウブドベ)さんにお願いしているのですが、親子で遊べる内容やリラクゼーションエリアなどの増設、ベビーカー置き場を今年は作ろう、とか、さらに家族連れのお客さんにも安心して楽しんでもらえるようになっています。

アクセス面もさらに良くなると思います。車でも電車でも相模湖へのアクセスはすごくいいのですが、駅から会場への路線バスの本数を増やしたり、駐車場もイベント来場者用にさらに確保しているので、駐車券がなくなるような心配もないと思います。アクセスの良さはXLANDのポイントのひとつと言えるでしょうね。

XLANDは家族連れのお客さんも多く、フジロックなどの本格的、機能的なアウトドアよりもファッション要素が強く、女性の方もたくさん来ていただいている印象です。距離的、場所的な気軽さがあるからだと思います。

全体の流れを意識したラインナップ

―ラインナップが独特だと思うのですが、アーティストはどういう目線でセレクトしているのですか?

クラブ出身なので、DJてきな目線で捉えているのかもしれません。フリークスを立ち上げたときの最初のヘッドライナーがDJハーヴィーだったのですが、私は彼のDJスタイル…ハウスもテクノもラテンもダブもロックも何でも魔法のようにミックスしてしまうところに、かなり影響を受けています。なのでそんなキャスティングっていうか、DJが一晩のロングセットをする中で、スタートから徐々にビルドアップしてピークを迎え、そしてクールダウンしながら朝はピースフルに、みたいな流れを自然な感覚としてもっているのかもしれません。

―いろいろいらっしゃるアーティストの中でピックアップすると誰ですか?

基本的に全部ですが、プレジャーステージで一組あげるとすると、ヘッドライナーのフレンドリー・ファイアーズでしょうね。まずパフォーマンスがすばらしいっていうのと、わたしがクラブに通いはじめたころのようなアシッド感というか、セカンドサマーオブラブな感じというか、クラブの雰囲気があるバンドだと思うんです、まだ若いアーティストなのに。ちょうどロックとかダンスとかが入り交じってた時のにおいがする、80年代末から90年代はじめの頃の感じを持ち合わせたアーティストだと思っていて、このフェスのバランス感覚を象徴できるようなアーティストかなと思っています。

あとDJでいうと、RUB N TUGっていう2人組のアーティストがいるんですけど、さっき言ったDJハーヴィーに近いプレイをするっていうか、すごくロック魂のあるDJっていうか、男気のあるDJをするデュオなんで、ぜひ聞いていただきたいですね。普段からクラブにっていう人も、ロックが好きな人にもどちらにも刺さるアーティストだと思います。

―ブッキングっていうのは、スタッフの皆さんで決めるのですか?個人的には昨年のウォッシュト・アウトのブッキングにはびっくりしました。昨年のフジロックよりも前、チルウェーブシーンの浸透前夜、5月というタイミングでのブッキングでしたね。

個人的にぜひこのアーティストは呼びたいっていうのもありますし、スタッフや周りの友人にこのへんいいよね、なんて話しているうちに具合にアイデアとして出てきたりとか、もあります。ウォッシュトアウトは、当時クラブでもハウスのDJとかもかけていて、クラブ系の私たちがやるフェスの中でバンドとして海外から一組呼ぶのであればぜひ彼らを呼びたいなっていうのがあったんですね。

フジロックに出るのは実は知らなくて、フリークスのすぐ後に何かの発表で見てびっくりしたんですけど、フジロックの後に、バンドの中心人物のアーネストがフリークスのTシャツを来てステージに立っているレポを見て、めちゃくちゃうれしかったです。フリークスは収益で言えば赤字だったんですね。それで初回にしてこれではやっていけないなっていう危機感があった。でもフリークスの何倍も大きな規模のフジロックで、あのTシャツを着てくれていた彼には本当に感激しました。出演者や周りのスタッフにサポートされたり、お客さんからも「すごく楽しかったですよ」と言っていただいたりして、「やっぱり、頑張ってやっていきたいな」と思うようになりました。

そこにしかないものを、これからも続けていく

―これからXLANDをどうしていきたい、というようなイメージはありますか?

一回一回を精一杯やっているので、あんまり何年後にこうしたいっていうのはないんですが、ひとつ言うなら、「大きくしていくのが目標ではない」ということでしょうか。自分を含めこのフェスにかかわる人たちで「これはこうしたい」「次はこうしたい」っていうこと考えながら、できる範囲でより良くしながら続けていくことが目標です。自分たちがやれる規模感を保って5年10年と、野外フェスとしての魅力やホスピタリティなどを向上させていくことに関しては、大きくしていければと思っています。

―ありがとうございました。それでは最後に、これからXLANDを体験していくかもしれない世代の人たちに伝えたいメッセージはありますか?

今の若い人たちって、なかなか外に出かけなくなったのかなと感じています。まあ20年前は、例えばクラブに行かないとわからない情報とかコネクションがある時代だったていうのもあるんですけどね。ただ、何でもすぐに便利に手に入る環境の中で失ってしまうものもあると思うので、ぜひ外に出かけてそこにしかないものを感じてほしいと思います。

XLANDはバンドセット中心のプレジャーステージ、そして森の空間でDJセット中心のフォレストステージがあるんですが、もうひとつ、ソーシャルクラブっていうステージエリアがあるんです。そこはいわゆる社交場という意味からつけたんですが、リアルにいろんな人に出会って、いろんな交流をしてほしいなっていう想いがあるんです。かつてクラブもそういう場所だったので、クラブになかなか来なくなった人も、フェスにきて久しぶりに交流したりだとか。若い人もちょっと出かけて、音楽を聞いたり感じたり、人と交わる空間であってほしいと思っています。(了)

インタビューは以上です。現在前売りチケットは発売中で、バラエティー豊かな宿泊プランもお申し込み可能。夏休みをここで締めくくるのもいいかもしれません。相模湖でお会いしましょう!

■XLAND 2012
http://xland-festival.com/

2012年 9月1日(土)
OPEN 9:00 START 10:00 CLOSE 20:00
さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト

文:ryoji、丸山亮平
写真:近澤幸司

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ブライアン・バートンルイス インタビュー オールナイトフジの10年を振り返る https://fujirockers.org/12/?p=3210 https://fujirockers.org/12/?p=3210#comments Tue, 07 Aug 2012 09:26:01 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=3210 今年のオールナイトフジは楽しかったですね! オーガナイザーであるブライアン・バートンルイスの予告通り、格闘技をテーマにしたステージセットで度肝を抜かれ、ステージにDJブースを2つ作って青コーナー赤コーナーとする、そしてK1リングアナで有名なレニー・ハートまで引っ張りだして(まあ、録音でしょうけど…)、ここまで徹底するとは思いませんでした。さらに宙を舞うレーザービーム、時折放たれる火炎放射と、エンターテイメントに徹した演出は10年間の集大成になっていました。

というわけで、フジロック前にオールナイトフジ予告動画に登場していただいたブライアン・バートンルイスのインタビューをお届けします。フジロックでは、オールナイトフジ/デイドリーミングのオーガナイザー、生放送の司会などなどメディアでの露出も多いブライアンがフジロックでどのように過ごしているか。またオールナイトフジ10年を振り返ります。

今年のオールナイトフジのレポート
今年のオールナイトフジ・アフターパーティのレポート

■10年間の振り返り

フジロック始まる前に、印象的でこういうのあるといいなあって思ったフェスティバルはロラパルーザ。それと一番すごかったのは、バーニングマン(アメリカの荒野で開催される大規模なイベントリンク先参照)かな。バーニングマンには2回いってるんだけど、そこで受けた刺激と衝撃はいまだに残っている。友達とふたりでバーニングマンにいって、初日に「散歩に行ってくるわ」っていってその友だちと6日間会わなかった(笑)。

オールナイトフジは1年で終わるつもりはなかったんだけど、気づいてみたら10年やってた。オールナイトフジというネーミングは思いつきでやっちゃったものの、随分続いて定着したなと。(オールナイトフジとは、80年代フジテレビで放送された、女子大生ブームを巻き起こした番組。リンク先参照)元の番組とイベントは関係ないけど、フジテレビ(CS放送)の生放送を僕がやるようになるとは意外だった。

――変化したところはありますか?

(おこなわれるオレンジコートという)場所も(金曜日という)日にちも変わってない。オールナイトフジを好きでいてくれるファンも増えて定着してきた。それにフジロック自体に、ファットボーイ・スリムがヘッドライナーになるなど、ダンスコンテツが増えたよね。フジロックが始まった頃の「ロックフェスティバル」の概念から、ダンスミュージックも取り入れられているということが、この10年で変わったところかな。オールナイトフジを始めた当初はフジロックに夜中遊べるコンテンツがほしかったからで、フジロックが僕の一番好きな夜中のタイムゾーンにシフトしていった。

去年は、バケツをひっくり返したような雨がずっと続いていて、新潟県には警報がでていた。心が折れる寸前で支えてくれるのは元気なお客さんだったね。2年前に川の氾濫で(グリーン~ホワイト間の)橋が危ないってことでキャンセルしたときは、そんなに夜は雨が激しかったわけじゃなくて、(危険な)橋の工事をしないといけないって状況があったんだけど、去年は橋をしっかり作ったから、どんな雨が来ても中止することはないぞ、といわれてたものの、あの警報をみてホントに大丈夫か?「ここでキャンセルかぁ」ってすごいグルングルンの状態で。ぶっちゃけ危なかったね。

オールナイトフジ10年はひとつの記憶としてごちゃまぜになっているけど、1年目にアーティストに頼まれたシャンパンが車の中に置いておいたら車の鍵がなくなって、車の上で踊ってサンルーフをぶち破って、サンルーフからシャンパンを取り出して、アーティストに血だらけのシャンパンを渡した瞬間が忘れられない。

■フジロックの過ごし方

水曜の夜に入って、木曜の朝からオールナイトフジの準備が始まる。夜中まで黙々とゲネプロ(最終リハーサル)をおこなって、一回本番できるところまで作り上げる。前夜祭の花火はオレンジコートでかすか聞こえる。「ああ、始まったぞ」って。一旦作った装飾を全部戻して、金曜日の夜、オレンジコートのメニューが9時に終わってから、2時間でオールナイトフジの装飾を作る。その工程が10年ずっと変わってない。それがけっこうハードル高くて、その条件でできることが限られる。

タイムテーブルを作るときは、パーティーの流れを考える。短い時間なんでどう表現するか。普通のクラブのパーティーは、オープンしたとき時間はウォーミングアップ的な感じだけど、オールナイトフジだとアタマの時間からガッと集まるし、最初が大事になってきた。(メインステージなどの)トリまで楽しんだテンションを引き継であげないといけない。明け方はハードにやりたい。始めた頃は、けっこう無法地帯で、2年目は誰も気づかず朝9時半くらいまでやってたんですよ。好きなだけやってたんだけど、オフィシャルコンテンツになっていくと共に終わり時間は6時になった。

フジロックは基本「寝ない」(笑)。フジロックに関してはやれることはなんでもやっちゃう。オールナイトフジやデイドリーミング、スペースシャワー時代から現地からの生放送、今年はスカパー!。放送の準備とオールナイトフジの制作と、3日間のデイドリーミングが基本軸で、その中でホワイトステージのMCもやってたんだけど、MCの時間に間に合わないようになったりしてバトンタッチした。あとはドキュメンタリーや取材だったりやっている。今年は生放送を3日間。

――ライヴは観ますか?

ライヴはそんなに観ない。フジロックの基本は「寝ない」と「同じ場所に5分以上いない」(笑)。超観たいライヴでも5分アップ(笑)。(その5分の中でも)印象に残ったのは、ジョージ・クリントンがすごかったね。電源抜かれた事件が。(自身のバンド)サファリで出たときも印象的だったね。今年は断トツ、アット・ザ・ドライブインが超楽しみ。5分しか観ないけど(笑)。

フジロックの一番好きな時間帯は、日曜日の夜中。全部の仕事がひと通り終わったところからガン遊びするのが好きで、自分では楽しくはやってるんだけど、3日間忙しくて、本当に解放されるのは、日曜の夜の終わった瞬間であって、スタッフも含めて毎年楽しみにしている。以前、パレスオブワンダーで月曜の昼までジョー・ストラマーと遊んだことがあって、それがフジロック体験の中で断トツ一番を占めている。キャンプファイヤーを囲みながらカラオケやったりしていた。当時、トラックのタイヤの山があって、タイヤの中に入れられて、それをジョー・ストラマーたちがそれを押して、駐車場越えた川まで一気にいけるかっていうのをひらすら月曜の昼までやってた。

自分も歳なんで、フジロックのダメージが堪えてくるようにはなってきた。フジロックからの復活は1~2週間かかちゃうかな。サマソニの頃に元気になる(笑)。

文:池田信之 写真:Miyu Terasawa

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フジロック・フェスティバル開催地、湯沢町長インタビュー https://fujirockers.org/12/?p=3125 https://fujirockers.org/12/?p=3125#comments Wed, 25 Jul 2012 08:39:13 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=3125 フジロッカーズの皆さん開催が数日後に迫っていますが、準備は進んでいますか?これから私たちがお世話になる湯沢町町長の上村清隆さんにインタビューしてきてきました。1999年に東京から苗場に移り経緯や、地元の湯沢町から感じるフジロックについてお話を伺ってきました。


■まず最初に湯沢町のご紹介をお願いします。
湯沢町は新潟県の中でも首都圏に非常に近い表玄関の様な役割の町です。過去には人口が1万人を超えたこともありますが、現在は減少の傾向で8300人弱の人が住んでいます。昭和30年に湯沢村、神立村、土樽村、三俣村、三国村の5つの村が合併して湯沢町となりました。宿場町として栄え、新幹線や高速道路や上越線が開通しました。その影響もあり観光が産業の中心となっています。町民の80%の人は観光に従事している町です。

■フジロッカーにとって苗場は夏のイメージしか無い方も多いので、冬はウィンタースポーツで賑わうと思いますが、1年間の大まかなスケジュールを教えてください。
初雪が降り始めるのは例年11月の末頃から。近年は12月の初旬になることもあります。12月になると町内のスキー場も続々オープンして、スキーやスノボのお客様が訪れます。高所のスキー場は5月末まで営業しますが、4月下旬には「花まつり・ゆざわ」というイベントがあり、湯沢町の春の風物詩となっています。その頃、町の木の「ベニヤマザクラ」が咲き誇り、濃紅色の非常に綺麗な花をつけます。そして夏には言わずと知れたフジロック、8月になると各地の夏祭りが一斉に始まります。秋には「越後湯沢秋桜ハーフマラソン」なども開催され一年間の町のイベントとなります。その中でもはやりフジロック・フェスティバルが一番に大きいイベントとなっています。

■2011年から新潟県、湯沢町、そして苗場のみなさんと共に、会場周辺の森林環境を守るためフジロックの森プロジェクトがスタートしました。フジロックの森プロジェクトに込めた思いや立ち上げた経緯をお聞かせください。
フジロックの森周辺の木で紙をつくり、フジロックのパンフレット等を作っています。フジロックの森プロジェクトにはフジロックが大切にする、スマッシュ代表の日高氏の環境に対する思いが込められています。食器や箸などは再利用できるものをなるべく使い環境を汚さないという当たり前のことをフジロックの森プロジェクトを通して多くの人が理解し普段の生活に生かして欲しいですね。昨年の7月には林野庁長官と観光庁長官の立ち会いのもと、県と町とスマッシュで相互連携の協定書を締結しました。今年に入って3月には、国際森林年におけるすぐれた取り組みとして林野庁長官から感謝状をいただきました。フェスティバルと共に今後も継続してフジロックの森プロジェクトを継続していきたいと思っています。

■1999年にフジロックが苗場に来ると決定したときに、地元住民より賛成や反対の声が上がったと聞いていますが、実際に1999年が終わって地元住民の方のフジロックに対する意識の変化はありましたか?
私はその頃はまだ町長では無かったのですが(就任は平成17年12月10日~)聞いている話では、フジロックが来る以前に町の野球場を使っての音楽フェスがあり、非常に悪い印象があった。年齢層が若いせいもあり、マナーや行動の面で地元の人にあまり良い評判ではなかった。そういったこともあり、1997年の天神山では大荒れの中での2日目の開催を中止したことや、1998年に東京で盛り上がったその若者たちが苗場に来るということで、地元住民の反対や不安が非常に多かったのは事実です。地元の警察や消防団は深刻に構えていました。でも実際に苗場で開催してみたところ、本当に素晴らしい集団でした。今ではフジロックを今後とも大切にしようという気持ちが地元住民に浸透しました。

■フジロック期間中、全国より多くの人が湯沢町を訪れますが、町としてどのような準備をされていますか?
以前は、越後湯沢駅からフジロックの会場に向かうシャトルバスの発着場は、別の場所にあったのですが、私が町長になった時にちょっと不便と感じ、今の駅前広場に移しました。普段はバスやタクシープールになっている場所ですが、そういった事業者からもご協力いただいて現在の場所が実現しました。観光協会が取りまとめて、町のあちこちに「歓迎FUJIROCK FESTIVAL2012」のフラッグを掲げておりますし、フェスティバル期間中は、地元のボランティアが案内所を駅に設置したりしています。今後もより良くなることでしたら町として協力していきたいです。

■近年、様々なフェスが各地で増えていますが、今後、全国の市町村が地元にフェスティバルを誘致する当たり、良い点を聞かせて下さい。

私はフジロック・フェスティバルを通じて日高氏と仲良くさせていただいていますが、日高氏には非常に湯沢町を大切にしていただき、苗場の豊かな環境の中でフェスティバルが開催できるということに感謝していただいています。そういう主催者であれば全国どこで開催しても理解してもらえると思います。そうじゃなくて、ただ音楽フェスティバルを開催したいだけで、開催地を求めて場所を求めるだけは地元の理解は得られにくいでしょう。湯沢町とフジロックの関係は、7月のフェスティバルだけなく町の様々なイベントにも、スマッシュの社員の方に駆けつけてもらっているので、より強い関係になっています。

■町長はフジロックを見に行かれますか?また町長が好きなミュージシャンを教えてください。

毎年前夜祭には参加しています。一番印象的だったアーティストは、2006年に出演した鼓童が素晴らしかった記憶が残っています。それから、アーティストではありませんが、ボードウォークを歩くと大自然を満喫できるのは良いと思っています。

■最後に、町長からフジロッカーにメッセージをお願いします。
いろんな年齢層や外国からも来ていただいているのは非常にありがたいことですが、音楽だけなく自然のことについても考える時間であってほしいと願っています、道中は気をつけてお越し下さい。たくさんの方のおこしをお待ちしております。

写真・文:前田博史
編集協力:千葉原宏美

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大将インタビュー 番外編 ~ 風営法のダンス規制について ~ https://fujirockers.org/12/?p=2793 https://fujirockers.org/12/?p=2793#comments Sat, 21 Jul 2012 03:00:23 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=2793 フジロックまで残すところ、あと数日! 来週の今頃はもう苗場ですね! 今週末は持ち物準備のラストスパートといったところでしょうか。フジロックの大きな楽しみのひとつと言えば、大自然の中で大好きな音楽を聴きながら踊ること。フジロッカーにとってはごくごく当たり前の、この「踊る」ということについて、皆さんご存知の通り、現在の風営法では規制がされております。この事実に耳を疑った人も少なくないはず。この風営法の改正を求める署名運動は、日高さんも呼びかけ人のひとりとして名前を挙げています。そこで、インタビューの番外編として、このことについても話を聞いてきました。

インタビューをお届けする前に、まずはお知らせがあります。

この署名に同意いただける方に、是非フジロックに持ってきてもらいたいものがあります。それは、風営法の規制対象から「ダンス」を削除する旨の署名用紙。1枚に5名分を記入できるので、苗場に足を運べない仲間の分も書いて持ってきていただければと思います。もちろん当日その場でも署名することができます(詳しくは記事の最後で)。

それでは、日高さんインタビュー 番外編をどうぞ。


━ 日高さんも署名の呼びかけ人になっている、風営法からのダンス項目の削除について話をうかがいたいのですが。

 

この風営法の件は、10何年前くらいに東京でも取取り締まりをやったんだよね。麻布界隈で。後でクラブからその話を聞いて、あったまに来たんだ。それで、じゃ、イベントやってやる! ってことで、「東京ポリスステイト」っていうタイトルつけてやったんだよ。かなりヤバイ表現だったんだけどさ。東京はおまわりの国だ、っていうね。

それで風営法はどういうものかっていうと、まず、戦後の法律が変わるまでは売春を国が認めてたわけだ。でも、戦後の昭和20年代になってそれが変わったんだ。おかしいってね。俺に言わせりゃ、おかしいどころかひどい話だよ。それで、女性解放っていう背景があり、売春防止のこともあって風営法ができたんだ。その風営法の中の項目のひとつに、飲み屋で踊っちゃいけないっていう内容のものがあるんだよ。それはなぜか?  お酒を飲んでいるところで男女が踊ると、そこで話がまとまるっていうんだよな。でもこれは昭和2、30年代の話だよ。

別に警察もクラブをやっつけようとしているわけじゃないんだと思うけど、結果的にそうなってくるんだよね。あんなに男と女が踊っていて、何かいかがわしい商売があるかもしれない、って目で見るのが警察だからね。それで時々、風営法をひっぱり出してきて取り締まっているんだよ。いわゆる権力ってやつだね。例えば、六本木界隈のクラブ付近で覚せい剤やマリファナが見つかるケースが多くなると、もう面倒くさいから風営法の項目を使って一気に周辺のクラブを取り締まったりするんだよ。

お酒を出して踊れるお店を出す時って、許可がいるんだよ。面積とかの条件も決まっていて。それを小さいクラブが満たそうとしたらすごくお金がかかってしまう。今、大阪で取り締まりをやられているのは、みんな小さいクラブだよね。多分アメリカ村が少し荒れていたから、一気に取り締まれ、ってなったんだろうね。見た目はみんな同じに見えてしまうから。

俺は元々、権力側が勝手にそういったことをやるのが本質的に嫌いなんだ。クラブっていうところは、ただ飲んで踊る場所じゃない。いわゆる創造の場所でもあるんだよね。あんまり使いたくない言葉だけど、カルチャーっていうかね。ライティングの技術やアートワークだったり、そして音楽が進化していくところ。だから今の警察は、そういうことを理解せずに、はっきり言って時代遅れのものを持ち込んできてるわけ。いつの時代だって新しいムーブメントって必要なんだよ。それを全部潰しても構わん、って古い法律をひっぱり出してくることに俺は大反対なんだ。

だから風営法のダンス項目を削除する署名運動の話を大阪から聞いた時は、やっていこうぜ、って。この前もあるメディアのインタビューを受けたんだけど、「これから先、クラブとしてはどういうことをやっていけばいいですか?」って質問があってね。俺はこういう性格だから、「クラブ活動をしましょう」って答えたよ。

要は、踊ってお酒を楽しむ場所があるというのは当たり前。だからクラブがあるのも当たり前なんだっていう前提が俺にはあるから。フェスティバルもその中の一つだし。もし、これ以上弾圧に等しいことをやるなら、俺も考えるよ。キャンペーンもやるだろうし、会社の仕事の一環としてやると思う。違うだろう、って。

 

以上でインタビューは終わりです。大将節の効いた力強いコメントですね。署名運動の呼びかけ人となっていることが納得できる話を聞くことができました。記事の始めでお伝えした通り、今回フジロック会場にて、この署名用紙を集めます!

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■署名用紙のダウンロード:こちらです(PDFファイル)

■集める場所:フジロッカーズ・ラウンジ(オアシスエリア) ※旧ネットカフェの場所

フジロッカーズラウンジ内に、「東北ライブハウス大作戦」「Let’s DANCE署名推進委員会」の2ブースが出展します。どちらのブースでも署名用紙を受け付けます。もちろん、その場で署名することもできます。

【東北ライブハウス大作戦ブースの紹介】
ブースでは、チャリティーGOODS/チャリティーCDの販売、募金活動を行っているほか、FRF’12に出演するACIDMANやASPARAGUS、後藤正文、チャットモンチー、THE BACK HORN、FRONTIER BACKYARD、locofrankや、FRF’12出演者以外にもたくさんの賛同アーティストのコメントの掲示をしています。
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Let’s DANCE署名推進委員会は、8月末までに10万人の自筆署名を目指しています。7月21日現在、約2万2,000人分が集まっています。

風営法でダンスは規制するべきじゃない! というフジロッカーの皆さま、今年のフジロックは署名用紙を持って苗場に集合でお願いします!

 

写真:藤井大輔
文:近藤英梨子

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https://fujirockers.org/12/?feed=rss2&p=2793 0
チャラン・ポ・ランタン インタビュー 〜 小春ママの毒舌放談 〜 https://fujirockers.org/12/?p=2708 https://fujirockers.org/12/?p=2708#comments Fri, 20 Jul 2012 16:10:54 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=2708 続きを読む ]]> チャラン・ポ・ランタン…ひょっとしたら、フジロックのオフィシャルHPで、彼女たちの変わった紹介文を見た人もいるのではないかと思います。簡単に言えば、姉の小春ちゃんがアコーディオンで、妹のももちゃんが唄を担当する姉妹デュオであり、今年のフジロックは、ゴジラ・放射能・ヒカシュー名義を含め3ステージの出演が決定しています。

今回のインタビューの場所となったのは、新宿ゴールデン街のバー「ソワレ」。奇数の日曜日に小春ちゃんががママをやっており、お客さんと一緒にその店内で行いました。

ですから、小春ちゃんは店を切り盛りするママにふさわしい毒舌で、かたや、ももちゃんはお手伝いさんのような気配りがみえます。郷に入っては郷に従え、ということで、あえてインタビュアーはお客さんの言葉で記しております。ご了承ください。

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【松永姉妹とアコーディオン】

小春:あ、今からねぇ、フジロックの関連サイトのインタビュー録りまーす!
こんなの聞けるなんてないよ? 追加のチャージとるよ!

ー どもども(笑)まずは、音楽をはじめるきっかけは何だったの?

小春:きっかけは、7歳のときにサーカスでアコーディオンを見て、どうしても欲しくなって、サンタさんにお願いしたっていう。

ー その時からボタンアコーディオンだったの?

小春:まぁ、ボタンといえばボタンなんだけど、オモチャ。それを手に入れてから、バカのひとつ覚えで年がら年じゅう練習して、クリスマスになったら「もうちょっと大きいアコーディオンが欲しい!」って、だんだん大きくなっていってさ。途中、鍵盤の時もあったんだけど、今のようなちゃんとしたボタンアコーディオンをはじめたのは10歳の頃。

ー 14年もやってるんだね。そういえば、ももちゃんもアコーディオンやってたんだよね?

もも:はい、やってたんです。

小春:ももは、小さい頃から私のマネをすることがよくあって…

もも:小春がピアノをやってたら飛びついて、アコーディオンをやりだしたら「もももやるー!」って、その繰り返し。でも、ずっと「なんで小春のほうがももより弾けるんだ?」って思ってたんです。小春はももより先にやってるし、練習する時間も長いから、当たり前なんですけど。

小春:すぐ弾けるようになると思ってたみたい。ももは、アコーディオンを中学生くらいまで続けてた。実は、コンテストの小学生の部で優勝してるんだよ!

もも:そうなんです。でも、「別に…」みたいな感じになって(笑)

小春:なんなんだろうねぇ、賞もらっといてやめるってさぁ!

もも:(笑) その頃の小春はもう「アコーディオンしかない!」って感じだったよね。ももはテニス部に入ったりして、だんだんと普通の中学生になっていきました。

小春:小春は高校生で、マイノリティ・オーケストラ(※高校の同級生と組んだインストバンド。小春はそのバンドのリーダーとして独裁政治を行っていたらしい)を組んでたからねぇ。

【チャラン・ポ・ランタン結成】

ー ももちゃんが歌いだしたのは、小春ちゃんが誘ったの?

小春:そう、ももには本当に申しわけないんだけど、歌声とか聴いたことないまま誘って。なんでかっていうと、暇そうだったし、それに、いろいろと口を出したかったんだよね。ヴォーカリストとして完成してる人だと、「え…嫌です。」とかいろいろ言われそうだし。

もも:ももが中3〜高1の頃は、5歳も離れてることもあって、小春とあんまり仲が良くなかったんですよ。反抗期というか。それまでは路上とか、小春のライヴにけっこう行ってたんですけど、全然行かなくなって。ももには好きなこともないし、テニスはただの部活だし。小春が自分のやりたいことをやって周りに評価されていくのが、気に食わないというか…羨ましかったのかな。それなのに、なんでヴォーカルの誘いに「うん」って言ったのかわからないんですけど…。

ー チャランポが結成されたのはいつ?

小春:2009年の…7月…?

店のお客さん:19日。

もも:19日みたいです(笑)

小春:まぁまぁ、7月の中旬なんだよ! みんながわかればいいの!

ー まさに今頃だ。オリジナルはそのころから作ってたの?

小春:昔の歌が好きだったから、ライヴでは”東京ティティナ“とか、”アラビヤの唄“をやることが多かったねぇ。「がんばって作ろう!」って感じでもなかったけど、取りかかってみたらすぐにできたし。その時期にはCDも出したけど、もう売ってないからねぇ。

ー『親知らずのタンゴ』は手に入らないよね。物販に1枚もCDが無いという…。

もも:まぼろしのCD(笑)

小春:『親知らず〜』はもう無い。増版もしない。前の事務所にお願いをすると、先払いしなきゃいけない(=借金になる)から大変で。『ただ、それだけ。』は買えるよ。タワーレコードがすごく応援してくれてて、前の事務所にお願いしてくれて扱うようになった。今は事務所を移って、次のアルバム『つがいの歯車』を作ってる。たまたま、今ウチらのことを担当してくれてる人が、お客さんで来てたのね。ツイッターでバカなことばっかつぶやいてる「ねこ太」って人なんだけどさ、動画の編集とかもしてくれてる。やっとわかってくれる人が出てきたな、って。

ー いい事務所だね。リリースはいつ?

小春:9月12日かな。

もも:もうすぐだね〜。

ー 期待してます。そういえば、なんでももちゃんはブタを持ってるの?

小春:それはねぇ、重要な理由があんのよ。ももって、お願いしてから1ヶ月にステージにあがった素人で、立ち振る舞いがけっこうダサかったの。

もも:ホント、どうしたらいいのかわかんなくて。学校の、みんなでやるような劇であがったことがあるくらい。たくさんの人がももを見てる状況がなかったからアワアワなっちゃって…。

小春:だから、人間ぽい感じで出すのはやめた。まず目がオロオロするから、ハートのサングラスをかけさせて、ブタを抱かせて。「空から降りてきたももちゃん」みたいな感じ。当時はダサすぎて、「妹」っていうことをカミングアウトしたくなかったもん。お客さんに褒められても「ありがとうございます」すら言えずに、ただ笑ってるだけで、小春のうしろに隠れてたからね。

もも:思いだす〜(笑)

小春:「うわ〜、みんな喋ってくる〜」とか言って…当たり前じゃねぇか!

もも:ステージよりも、ライヴが終わって、お客さんから声をかけられることが怖くて。少しだけ話して控室にこもったり。

小春:「ももちゃんはお空に帰りました」とか言ってたねぇ(笑)

ー 確かに、最初のころはファンタジーの世界の住人だった気がする。

もも:(笑)

小春:真面目な話をすれば、ブタは視線を分散させるという効果もあるんだよねぇ。

【フジロックとゴジラ・放射能・ヒカシュー】

ー そういえば、小春ちゃんは去年、「踊ろうマチルダ」でフジに参加してるよね。どうだった?

小春:フジロック好きには悪いけど、あんなに過酷な場所だとは思わなかった。「なんでこんなに過酷なのに音楽を聴く余裕があるんだ!」って。マチルダで出演するステージ(ジプシーアバロン)まで、入り口からひと通り歩いたんだけど、遠いし、ぬかるんでるし…なんだあの田んぼ! 泥!

もも:フジロックは、小春の話ばっかり聞いてるから、全然想像がつかないんですよー(笑)

ー 間違いではないね。フジは、先に「ゴジラ・放射能・ヒカシュー」の出演が決まったの?

小春:そうそう。それで、「チャランポのことも言っといてくださいよぉ〜!」って伝えてみた。決まって嬉しいよぉ〜!

ー そもそも、ゴジラ〜の「小美人」(※「モスラ〜やっ」と歌う双子の小人。ザ・ピーナッツが有名)に決まった経緯はどんな感じだった?

小春:震災があって、原発のことがあって、ヒカシューさんが「ゴジラをやりたい」ってなって、双子を探していたらしいのね。そしたら誰かが、「チャラン・ポ・ランタンっていうのがいるよ」って言ってくれたみたい。それで突然電話がきて、「どうも、マキガミです…」(※リンク先モノマネ)みたいな。

一同:(爆笑)

もも:似てるー!

小春:これ、マジだから! 「ゴジラ、ご存知ですか…?」って言われて、ビックリして、「あ…は、はい…」なんて答えちゃってさ。「もし良かったら、小美人を…」って、なにを言ってるかわかんないでいたら、「インターネットで調べてみてください…」で終わって。調べてOKしたら、クリスマスのライヴが決まった。衣装も急いでお母さんに作ってもらったし。

ー 自前だったんだ?

小春:自前だよー、あんな原始人みたいなのが家にあるわけないじゃん!

もも:まだフジロックが決まってないのにさ、ヒカシューさんたち、「フジロックもこの衣装で!」とか(笑)

小春:ライヴが終わって、ヒカシューさんたちがテンションあがっちゃって、「いやー楽しかった! これはフジロックでやりましょう!」、「今から日程空けといて!」って、夢が膨らんでて。12月なのに次の年の7月の話をしてるんだよ? で、大丈夫かなーって思ってたら、本当に連絡がきた。姉妹で活動をしてなかったら、「小美人」にもひっかからなかったわけで、今年のフジロックはなかったし、スマッシュの人にウチらが知られることもなかった。ピーナッツっぽい、っていうイメージにかすってて本当に良かった!

ー なるほど。では最後に、月なみですがフジロッカーズへのメッセージをお願いします。

小春:フジロックのことはよく知らないし、意気込みもなにもあったもんじゃないけど、ちょうどその時期に自分たちの環境が変わるし、9月12日にCDも出すっていうのも決まったから、とりあえず、今年は一発かますよー! ウチらはフジだけに限らず、海外でもどこのステージでも全力。同じだから。みんなウチらのこと知らんと思うけどね、何か面白いことするから、待っててくれれば…待っててねー!ラジオ頭(レディオヘッド)の真裏でお客さん少ないと思うけど!

もも:待っててねー☆

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…とまあ、賑やかで楽しい感じのデュオですから、レディオヘッドやアット・ザ・ドライブインを見ないというフジロッカーズは、苗場食堂に行ってみてくださいね。最前列で目立てば、ももちゃんが何かしてくれるかもしれません。

■チャラン・ポ・ランタン情報

□チャラン・ポ・ランタン
HP:http://charan-po-rantan.o0o0.jp/
twitter:https://twitter.com/charanporantan
facebook:https://www.facebook.com/charanporantan

□小春
blog「SUTTOKO-DOKKOI」:http://ameblo.jp/suttokodokkoi-blog/
twitter:https://twitter.com/suttokodokkoiii

□ももちゃん
blog「ブタちゃんを持ってるももちゃんだよー」:http://ameblo.jp/charan-po-rantan/
twitter:https://twitter.com/momochan_

□9月12日にニューアルバム『つがいの歯車』が発売。

詳細は、オフィシャルHPをご覧下さい。

写真:西野太生輝
執筆:西野太生輝

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https://fujirockers.org/12/?feed=rss2&p=2708 0
「ロック・ラティーノ」仕掛人、JAPONICUS・小宮山ショーゴ氏インタビュー https://fujirockers.org/12/?p=2644 https://fujirockers.org/12/?p=2644#comments Thu, 19 Jul 2012 23:30:47 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=2644 続きを読む ]]> 毎年、ラテン界隈のアーティストを送り出しているのがジャポニクス。今回お応えいただいた小宮山ショーゴ氏に、ミミ・マウラのこと、チェ・スダカのこと、果てはフジロックやリコの裏話などをお訊きしました。

ー 今年のミミ・マウラは、お付き合いが長いそうですね。

90年代からだね。アルゼンチンにいた頃、シエンフエゴスというバンドがいて、彼らのところに遊びに行くうちに、僕がマネージャーをするようになった。そのヴォーカルのセルヒオ(ミミの夫でもある)、パーカッション、ドラムのフェルナンドがロス・ファブロソス・カディラクスだね。

ミミ・マウラはお父さんがプエルトリコの有名なシンガー(マイク・アセベード)で、子供の頃から歌ってる。だから、大ベテランだよ。「ロック・ラティーノ」の女性シンガーとしては3本の指に入る。今回の日本ツアーではキーボードがいないんだけど、ギター2本で、昔ながらのスカのスタイルでやるよ。メンバーにはカディラクスのメンバーも2人いるから、アルゼンチンに日本の音楽シーンのことがより伝わることになるんじゃないかな。

カディラクスは、ラテン・グラミー賞が作られる原因となったバンド。アメリカのメインストリームに、リッキー・マーティンやジェニファー・ロペスが話題になったとき、彼らも一緒に流れこんだんだ。でも、彼らだけはスペイン語で歌うことをやめなかったんだよ。

ー なるほど。

チェ・スダカのメンバーも、南米が中心だよね。カディラクスに憧れているんだよ。だから、今回のツアーは彼らにとって大きな体験になるんじゃない? もちろん、バックをつとめる石川道久セッションにとっても大きなことだよ。うまくいけば、アルゼンチンとか、南米ツアーの可能性もあるよ。

ー ミミのバックとしてライヴをするにあたって、どのくらいリハをするんですか? 例えば、クール・ワイズ・マンや石川道久セッションが初めてリコ・ロドリゲスのバックをつとめた時など、どのような感じだったのか教えてください。

リコは特別な人。リハでは、自分のバックにつくバンドの確認をするだけなんだよ。こっちも一応準備はするんだけど、一度も吹かなかったね。リコは、コンディションさえ良ければ、とんでもないプレイが出てくる。あとは、バンドの才能にまかせるんだよ。そのかわり、本番ではどんどんアドリブを入れて、バンドにも突然それを要求してくる。

クール・ワイズ・マンはリコに相当鍛えられたし、気に入られた。だから、タンタンと海外に行けるまでになった。今回のミミは、短いけど2回ほどリハをやる。年もそれほど離れてないから、仲良くなってもらうという意味もあるし。

ー フジロックで強く印象に残っていることはありますか?

昔、クイーンシーバで、毎週火曜日にミュージシャンが集まってセッションをしていたんだけど、その延長で、フジロックのワールドレストランのところでもやったね。ちゃんとアンプとマイクが用意されてて、セッションには、バンダ・バソッティ、元トドス・トゥス・ムエルトゥスフィデル(・ナダル)、あとはマヌ(・チャオ)と、そのベースのガンビートも参加してた。2002年かな、あれは凄かった。

あとは、トドスがグリーンステージに出た時だね。お客さんが大暴れをして、砂ぼこりが舞い上がってた。雲みたいになってたんだよ。南米のロックが日本という「地球の裏側」を大騒ぎさせてたから、本当に感動したね。

ー フジロックは慣れましたか?

慣れてないね。外国のバンドとのやりとりは、毎回状況が違うから。「パターンを作ってもいいんじゃないかな?」って、数年前に考えたこともあったけど、それをやっちゃうと、油断してしまうからやめた。僕にとって、フジロックは特別。慣れてはいけないものだとも思ってる。

ー ここ数年は、パレスとも連携してます。

ジェイソン(・メイオール:UKスタッフであり、「クンビア・キッド」としてDJ出演)と話しあってるね。パレス・オブ・ワンダーで、「変わったアーティストがたくさん見られる」っていう期待がお客さんの中には出来上がってるんじゃないかな。今年のパレスで僕が関わるのは、DJスクラッチやチェ・スダカだけ。今までのウチの流れとは少しだけ違うんだけど、ランディゴや、オンダ・バガがいて、世界の音楽がちゃんと紹介される場所になってる。良いことだね。

面白いのが、スクラッチがイタリアに行った時、去年来日したロード・ササフラスと一緒のイベントに出たんだけど、そこでササフラスがミミの”No No No“(オリジナルはドーン・ペン)をかけたんだよね。それを聞いたスクラッチが駆け寄って、「誰これ? スペイン語? ヤバいじゃん!」って訊いたらしいんだよ。それで、スクラッチがミミ側にメッセージを送って、連絡をとるようになった。初めて会うのは来週……日本なんだよ。実は、いろんなきっかけが日本で生まれてるんだよ。

ー 2002年のフジで、バンダ・バソッティが憧れのジョー・ストラマーと会ったような感じですね。

そういうこと。ヨーロッパのクンビアの流れも日本を経由しているんだよ。エスネ・ベルサも、フジロックでジェイソンやヴェリー・ビー・ケアフルと会ってから、クンビアを取り入れるようになった。南米の音楽が陸続きの北米に流れ込むのは当たり前。でも、あの大陸から出てくるのはなかなか難しい。日本を経由するのは、クンビアマニアのジェイソンがスマッシュにいたからこそだね。

チェ・スダカは、僕がプッシュしなくても、人気者になれそうだね。あいつら、日本にも友達がいるし、いろいろな人と関わっていこうとしている。僕らはほんの少し手伝うだけだよ。

__________________________________________

「ロック・ラティーノ」は、根こそぎ踊らせてくれます。いま一度、フジロックのタイムテーブルを再考してみるのも、良いかもしれませんよ。

■JAPONICUSイベント情報

2012.7.25(wed) RADICAL MUSIC NETWORK 2012 @ AOYAMA CAY

Open/Start DJs: 18:30 / Start: 19:00
Tickets:Adv ¥4,000 / Door ¥4,500 (+1D)
22時以降は20歳未満の方はご入場出来ません。入場時にIDチェックを実施します。
LAWSON TICKETS/CAY/JAPONICUS/ZOOT SUNRISE SOUNDS/NOW ON SALE!
Info:CAY 03-3498-5790 / http://www.spiral.co.jp/f_guide/cay/

MIMI MAURA (アルゼンチン・プエルトリコ)
CHE SUDAKA (アルゼンチン・コロンビア)
DJ SCRATCHY (U.K)
石川道久セッション
渡辺俊美 (TOKYO No1 SOUL SET・THE ZOOT 16)
etc…

イベント詳細はこちら→http://www.japonicus.com/rmnspe7.html




JAPONICUSホームページ:http://www.japonicus.com/

写真:西野太生輝
文章:西野太生輝

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https://fujirockers.org/12/?feed=rss2&p=2644 0
フジロック一問一答 Vol.3 〜 海外アーティスト編 〜 https://fujirockers.org/12/?p=2365 https://fujirockers.org/12/?p=2365#comments Thu, 19 Jul 2012 03:15:57 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=2365 続きを読む ]]> この「一問一答」は、フジロック開催までに、不定期で掲載されます。

第3回目となる今回は、海外アーティスト。アンクルオーウェンらしく出まくる「ONDA VAGA」、フェスのダークホース的存在「CHE SUDAKA」、深夜のマーキーに出演の「eli walks」の3組となっております。

簡単ではありますが、質問項目は以下の4つ。

1. フジロックへの意気込み
2. 今年の気になる存在
3. フジロッカーズへのメッセージ

このショートインタビューは、今回が最後。それでは本番まで、一気に駆け抜けていきましょう!

【 ONDA VAGA(Nacho Rodriguez:写真中央)】

出演:7/27(Fri)13:00〜 @ 木道亭
   7/27(Fri)25:30〜 @ CRYSTAL PALACE TENT
   7/28(Sat)15:40〜 @ ORANGE COURT
   7/28(Sat)22:40〜 @ 苗場食堂
   7/29(Sun)16:00〜 @ Cafe’ de Paris
   7/29(Sun)19:30〜 @ Gypsy Avalon

1. フジロックへの意気込み

未だにフジロックに僕らが出れるなんて信じられないよ。前からいつか出演出来たらいいなとは思っていたけど、まさか本当にそれが実現してしまうとはね!僕らは想像すらしていないような国から、ライブのオファーを突然貰う経験が多いんだ。今までもノルウェーやモロッコからのオファーは貰って、実際にそれらの国に行ったりもしていたんだよ。そして今回は突然赤い電話が鳴ったんだ!楽しみにしているよ。

2. 今年の気になる存在

RADIOHEAD、JACK WHITE、THE SPECIALS、STONE ROSES

3. フジロッカーズへのメッセージ

みんなで愛と音楽を奏でよう!

ONDA VAGAホームページ:http://www.ondavaga.net/

【 CHE SUDAKA(Sergio Morales:写真中央)】

出演:7/27(Fri)27:15〜 @ CRYSTAL PALACE TENT
   7/28(Sat)15:00〜 @ Cafe’ de Paris
   7/28(Sat)17:30〜 @ ORANGE COURT

1. フジロックへの意気込み

フジロックは、チェ・スダカのライヴの中でも、最も重要なものになる。本当に興奮しているよ。フルメンバーで日本に行くという経験そのものが、僕らの生き方を変えてくれると確信しているよ!
 
2. 今年の気になる存在

いろいろ見たい。このラインナップは信じられないほど素晴らしい。スペシャルズやトゥーツ&ザ・メイタルズ、そしてレディオヘッドあたりは、私たちの音楽に影響を与えたので、彼らのライヴを見てみたいね!

3. フジロッカーズへのメッセージ

チェ・スダカは思いきりぶつかっていく。僕らの音楽と、日本で生まれるパーティを楽しんで欲しいね!

CHE SUDAKAホームページ:http://www.chesudaka.com/

【 eli walks 】

出演:7/27(Fri)28:00〜 @ RED MARQUEE

1. フジロックへの意気込み

とても興奮しているよ!(フジロックは)素晴らしいと聞いてる。今年のラインナップの一員になれて嬉しいね!
 
2. 今年の気になる存在

araabMUZIK, James Blake, Caribou, and Radiohead.

3. フジロッカーズへのメッセージ

一緒にパーティができることを楽しみにしているよ! レッドマーキーで会いましょう!

eli walksホームページ:http://motion-pm.com/?p=228

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https://fujirockers.org/12/?feed=rss2&p=2365 0
フジロック一問一答 Vol.2 〜 国内アーティスト編 〜 https://fujirockers.org/12/?p=1937 https://fujirockers.org/12/?p=1937#comments Wed, 18 Jul 2012 02:30:31 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=1937 続きを読む ]]> この「一問一答」は、フジロック開催までに、不定期で掲載されます。

第2回目となる今回は、「COBRA」「mouse on the keys」「モーフの旅」「Tam Tam」の国内4アーティストとなっています。

簡単ではありますが、質問項目は以下の4つ。

1. フジロックへの意気込み
2. 過去の出演歴(別バンド、出店、ボランティアでの参加含む)
3. 今年の気になる存在(アーティスト以外も含む)
4. フジロッカーズへのメッセージ

今回は、ジャパニーズOiパンクの大ベテランをはじめ、バラエティ豊かな面々となりました!

【 COBRA 】

(左→右)LINA, YOSU-KO, KI-YAN, YUICHI
Photo by 青木カズロー

出演:7/27(Fri)11:30〜 @ RED MARQUEE

※会話形式で展開しておりますので、メンバーの順番はまちまちです。

1. フジロックへの意気込み

YOSU-KO:ひと暴れするんで名前だけでも覚えて帰ってくれ~!
KI-YAN:初日トップの出番て聞いてるからイベントを盛り上げるキッカケになればええね。
LINA:日本で最高峰のフェスティバルやし楽しむのみ!何にしろ自分が楽しみます。それが伝われば皆楽しい…はず(笑)
YUICHI:特別じゃなくいつも通りのCOBRAのライブを沢山の人に見て欲しいね!Oiパンク炸裂させまっせ~!

2. 過去の出演歴(別バンド、出店、ボランティアでの参加含む)

※2001年のフジロック前夜祭に出演。

KI-YAN:YES!客としてはないな。
YOSU-KO:ないんです(笑)
YUICHI:個人的にはやるのも見るのも初っす。はじめ「苗場」って字の読み方がわからんぐらい(笑)
LINA:俺も初参加。お客としても来たこと無かったんで。苗場と言えばユーミン?の世代(笑)
 
3. 今年の気になる存在(アーティスト以外も含む)

YOSU-KO:STONE ROSESはええわ(笑) 電気グルーヴは観たいな!
YUICHI:SPECIALSとELVIS COSTELLOかな? あとチャットモンチー!
KI-YAN:RADIOHEAD, COSTELLO, SPECIALS,BUDDY GUY, GALACTIC, SEUN KUTI & EGYPT80, 井上陽水
LINA:RAY DAVIES, チャットモンチー

4. フジロッカーズへのメッセージ

YOSU-KO:俺らの時代にはこんなイベント無かったよ。おおいに楽しんで下さい!出来たらまた出たいな(笑)
LINA:音楽の祭典。思いっきり楽しんで旨いお酒を!飲み過ぎて記憶をなくさないように…俺が気を付けます(笑)
KI-YAN:I hope you enjoy!
YUICHI:え、なんでKI-YAN英語?(笑) 初日1発目レッドマーキー!フジロッカーズよろしく!

COBRAホームページ:http://oithecobra.com/

【 mouse on the keys(ドラム&リーダー川崎昭)】

出演:7/27(Fri)13:30〜 @ ORANGE COURT

1. フジロックへの意気込み

mouse on the keysの全てを出し切る!

2. 過去の出演歴(別バンド、出店、ボランティアでの参加含む)

初めてなので楽しみ!

3. 今年の気になる存在(アーティスト以外も含む)

ぶっちゃけ全部っす!

4. フジロッカーズへのメッセージ

オレンジコートに遊びに来てください!!

mouse on the keysホームページ:http://mouseonthekeys.net/

【 モーフの旅 】

出演:7/28(Sat)13:30〜 @ 木道亭

1. フジロックへの意気込み

小鳥のさえずりを聞きながら僕の旅の唄を歌いたい。
木道亭は森のステージ。旅はここから始まるよ。
ゆったりまったり、モーフの旅と想像のメルヘンの世界へ。

2. 過去の出演歴(別バンド、出店、ボランティアでの参加含む)

YoLeYoLe,YAOAOでもマンドリンプレイヤーで出演して、
それより以前には3回遊びにもきています。
ヘブン周りがやっぱり好きです。
 
3. 今年の気になる存在(アーティスト以外も含む)

AO YOUNG with GORO SHIBATA
全国中を飛び回る彼らは、魂の音。
音は人生。彼らの人生が音楽に詰まっている。
見るたびに涙をそそる。

4. フジロッカーズへのメッセージ

遊ぼう、開こう、笑いあおう。
真っ白い未来があったなら僕らの宇宙を描きながら。

モーフの旅ホームページ:http://morfstrip.com/

【 Tam Tam(黒田さとみ:写真左から3人目)】

出演:7/28(Sat)25:00〜 @ ROOKIE A GO-GO

1. フジロックへの意気込み

びっくりした!
春にできたデビューアルバム”meteorite”の楽曲、音楽好きなフジロッカーのみなさんにお披露目できて嬉しい。
のびのびやらせていただく。

2. 過去の出演歴(別バンド、出店、ボランティアでの参加含む)

ない。暑いのが苦手で、いつも夏は北海道の実家に逃げ帰る。
出演アーティストは欠かさず確認するあたり、心ではずっと行きたがってた。
 
3. 今年の気になる存在(アーティスト以外も含む)

王道だけどJAMES BLAKE。RADIOHEAD。JACK WHITE。
うちのメンバーやDUBPAは口々に「THE STONE ROSESさえ見れれば」って言ってる。

4. フジロッカーズへのメッセージ

深夜×野外×TamTamのDUB、期待してください。
あと、お勧めのトレッキングシューズ教えてください(Twitterアカウント@tamtam_jpnまで!)。

Tam Tamホームページ:http://tamtam.mao-jp.com/

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https://fujirockers.org/12/?feed=rss2&p=1937 0
フジロック出演アーティスト、チャットモンチー 単独インタビュー https://fujirockers.org/12/?p=2055 https://fujirockers.org/12/?p=2055#comments Sun, 15 Jul 2012 06:04:42 +0000 fujirockers http://fujirockers.org/12/?p=2055 続きを読む ]]> 昨年、バンドメンバー、高橋久美子(Dr, Cho)の脱退を受け、橋本絵莉子と福岡晃子の2人体制になったチャットモンチー。音楽が好きな人はもちろんのこと、普段から音楽に馴染みの無い人でさえ、チャットモンチーというバンド名を知らない人はいないはず。それほどの知名度を持つ彼女たちでさえ、今までフジロックのステージに立つことはできませんでした。そして今年、彼女たちは初日のレッドマーキーで演奏します。

といっても、ご存知の方がいるかもしれませんが、彼女たちは2010年のフジロックでアバロンステージに出演しています。その時は、チャットモンチーというバンド名ではなく、橋本・F・高橋という摩訶不思議なバンド名でした。なぜ別名で出ることになったのでしょうか。今回は、その時の裏話から今年出演できることの喜び、彼女たちのフジロックに対する想いを訊いてきました。会話が進むにつれて、男性顔負けの骨太ロックンロールを演奏する彼女たちから、フジロッカーのみなさんと同じく音楽を愛してやまない姿が垣間見れました。


写真、左から橋本絵莉子(以下、橋本)、福岡晃子(以下、福岡)

新生チャットモンチー

― まず、耳にたこができるほど質問されているかもしれませんが、2人体制になってどんな変化がありましたか?

橋本 1番大きいのは、あっこちゃん(福岡)がドラムをやっているということだと思います。

― やはり、そこですよね。福岡さんがドラムを始めたことに、正直驚きました。以来、ライヴの入場SEがメイツオブステイト(U.Sの2ピースバンド)の「Proofs」になっています。他の2ピースのバンドを意識していますか?

福岡 2ピースのバンドには注目しています。ただ、みんないっぱい音を入れているので、純粋な2ピースって本当に少ないんですよね。ライヴ映像を検索したりして、2人でいろいろ観ますけど、本当に2人でやっている人は少ないので。サポートがいても2ピースの感じがすごいと思える理由を探したりとか。お互いに、「こういうバンドがいたよ」って言い合ったりして。今じゃそれだけにとどまらず、1人でなんでもかんでもやっている人が面白いなと。足と手4本で、どれだけ楽器を担当できるのかとか、右手で何をやるかとか、左足で何をやるかとか(笑)。あと、口もある。ハーモニカも吹けるし、笛も吹けるなとか。手と足と口で、意外といろいろ演奏ができるんだなって。それでカッコいいところを目指していくっていうのが、今とっても面白いです。

― 音楽への探究心が爆発しているんですね。もう、今年に入ってから4枚目のシングル「きらきらひかれ」がリリースになります。

福岡 今回はアジカン(アジアン・カンフー・ジェネレーション)のゴッチさん(後藤正文)にプロデュースしてもらっているんです。で、ゴッチさんが「速い曲を作ろうぜ」と言ってくれて。2人体制になってまだ速い曲がなかったので、「挑戦してみよう」ということで作ったんですよ。

― その言葉の通り、「きらきらひかれ」はとてもスピード感がある曲でした。福岡さんは2人体制になってからドラムを始めて、まだ1年も経ってない中で、あれほど速い曲を演奏するのは大変だったんじゃないでしょうか。

福岡 本当にドラムが上手い方は、バスドラムをすごく多用する曲になると思うんです。けど、私はまだ始めたばっかりだったから、速い曲をどうやろうかなって悩んだ時に、バスドラムの代わりにフロアタムを使おうと。フロアタムならとても速く叩けるから。それを考えた時に速い曲が全然できるなと思って。そうすると、ただ手を速く動かすだけなんで、すごく楽です (笑)。

フジロックへの想い

― 変名バンド、橋本・F・高橋で出演した際のMCにおいて、橋本さんの口から「フジロックに出るのが夢でした」という言葉がありました。『フジロック』に対してどんな想いを持っていたのですか?

橋本 あっこちゃん(福岡)の方がずいぶんと前からフジロックを知ってたよね。

福岡 徳島を出るまでは、フジロックに行ったことがなくて。私が中学生くらいの時から友達がフジロックに行き出したんです。私は『MTV』や『スペースシャワー』などで放送しているライヴ映像をいつも観ていて、こんなに泥だらけになって楽しいフェスってなんだろうって。ライヴに行くだけでもすごく大変なのに、ぐちゃぐちゃになっていながら、みんな笑顔という(笑)。「すごいなぁ」といつも思っていました。で、実際自分がお客さんとして行くようになったんですよ。今フェスってたくさんありますけど、フジロックはナチュラルにいられるフェスだと思います。ライヴを観たい時に歩いて観に行けて、雨が降ったら休んでとか。必死になりすぎないフェスという感じがするんです。観なくても遠巻きに聴いているだけで楽しい。本来、音楽ってそういう時に聴くものだよなって思わせてくれる。で、ちょっと足を伸ばせば、すごく観たかった人が観られるっていう、なかなかないフェスだなって。

― お2人が最初に行ったのはいつ頃になるのですか?

福岡 5年前くらいですかね。まだそんなもんです。

橋本 あっこちゃんに誘われて一緒に行って。

― フジロックに行ってみての率直な感想を教えていただけると。

福岡 環境はなんていうか、サバイバル。あと、誰かとずっと一緒じゃなくても、会った友達といろんなとこ行ったりして、そういうのがめちゃくちゃ楽しい。他にも「この時には会おうね」とか、偶然知り合いに会ったりとか。キャンプをしたこともあるんですけど、テントブースでいきなり歌いだす人とかいて面白かったです(笑)。

橋本 会場が広くて大変だけど、移動するのが楽しいですよね。モノがいっぱいあるから。最初フジロックに来た時、石に顔(ゴンちゃん)が書いてあったりして、「うわぁー!」ってなりました。とってもカワイイと思って。

― フジロックの会場で好きな場所というと?

橋本 私、ところ天国というところが好きです。足を川につけられるし。すごく涼しいってイメージがあって。あの河原の辺がすごく涼しくて、ビックリしなかった?

福岡 うん。私が好きな場所はオアシスかな。たくさん友だちと会うから、苗場食堂前で待ち合わせとか(笑)。

変名バンド、橋本・F・高橋

― 2010年にはお客さんではなく、アーティストとして苗場の地を踏むことになりました。でも、この時はチャットモンチーではなく、橋本・F・高橋という変名バンドで。これはどのような経緯があったのですか?

橋本 オーディションに出て、フジロックに出演しようという魂胆で。とりあえずバンド名を橋本・F・高橋にして。でも、応募の手紙には「チャットモンチーです」と書いて、「フジロックに出たいんですけど」と念を込めて。

― 自分たちで手紙を送ったと。

橋本 なんとかフジロックに出ようと思って、自分たちで音源も録って応募して。

福岡 音源も出演の応募用に「アコースティックバンドです」みたいな感じで、アコースティックであった曲を同封しました。アーティスト写真も顔を写さずに、指人形にして撮りましたね。

― フジロックに出たいと言い出したのは福岡さん?

福岡 その時、ドラムの久美子が「こういうオーディションがあるらしい」と見つけて来たんです(笑)。それで「名前を変えて出よう」みたいになって。ちゃんとマネージャーさんの了解を得てなんですけど、「可能ならやろう」となり、オーディションに通って。

― それで出演が決まったんですね(笑)。アーティストとして来たフジロックはどんな風に過ごしたんですか?

福岡 その時は今までフジロックに行った中で、1番何にも観れなかったですね(笑)。

橋本 何にもね(笑)。だから、観ることができたのが前夜祭ぐらいで。

福岡 雨の中、自分の車から楽器を持って搬入をやって、アッシュを横目で観たくらいでした。

橋本 ステージを観るのに立ち止まるのも、荷物を置くついでみたいな感じで。なので、今年は全然違う気がするね。

― アバロンに楽器を搬入しているアーティストさん、大変ですよね。雨が降っていると、なおさらそう思います。で、アバロンで演奏してみてどんな感想でした?

福岡 お客さんがみんな立っていて、ぎゅうぎゅうになるほど、来てくださっていて。

橋本 ガシガシとエレキギターでやるライヴじゃなかったから、ちょっと申し訳なかったというか。

― やっぱり、ガシガシやりたかったんですね。

橋本 あれだけ観に来てくださっていたので、「ほんまはこっち(エレキギター)です」ってやりたかったけど、橋本・F・高橋なので大人し目にって(笑)。

チャットモンチーとして迎えるフジロック

― そして今年、念願叶ってチャットモンチーとしての出演が決まりました。出演すると聞いた時、どんな気持ちでしたか?

橋本 やっと出演できるって思いました。あっこちゃん、すごく喜んでたよね。

福岡 むちゃくちゃ嬉しかった。呼ばれなくても観に行っているくらいなので、出れたら嬉しいですよね(笑)。

― 今年の出演ステージがレッドマーキーになりました。

福岡 レッドマーキーすごくいいと思いました。「やった!」って。テントだし、雨が降っていても無敵!みたいなとこがあるし(笑)。

― 前回はアバロンだったので楽器の制限などあったと思うんですが、今回はレッドマーキーなのでチャットモンチー本来の姿を観られるなと期待しています!

福岡 レッドマーキーは、えっちゃん(橋本)と一緒に行った時があるんですけど、前夜祭からえらく盛り上がっていたんです。すごくいいなと思って。前夜祭だけでも出して欲しいと思いました(笑)。

橋本 言っていたね、あっこちゃん(笑)。「前夜祭だけでも!」って。

福岡 こんな盛り上がるんだったら「前夜祭に出たい!」って。

橋本 すごかったもんね。(前夜祭は入場無料なので)近所の子どもたちもいっぱい来ていて。お祭りみたいな感じで、そりゃ楽しいよねって思いました。

― 前夜祭でライヴがあるのはレッドマーキーだけなので、1年間待ちに待ったオーディエンスの盛り上がりは尋常ではないですからね。ぜひとも今年の前夜祭に出てほしいです。本番は金曜日(7月27日)になりました。気になる海外アーティストはいますか?

橋本 私、出演日が違うんですけど、ジャック・ホワイトが観たかったです。一緒でありますようにって願っていて。違う日になってしまったんですが、同じフェスティバルに出られるだけで嬉しいです。

― ジャックがやっていたホワイト・ストライプスもギターヴォーカルとドラムの2ピースですよね。

橋本 2ピースになるってなった時によく聴き始めたというか、DVDを観始めたんです。どうやってライヴをやっているのかなって。

― 研究のために、ですね。

橋本 そうです。それで観ていたんですけど、今はソロになってからのかっこよさに、別の角度から惹かれています。パワフルでとっても魅力的なんですよね。歌い方とかも。

― 福岡さんはどのアーティストが気になりますか?

福岡 気になっているバンドいっぱいありますけど、絶対観たいのはクークスですね。すごいファンなんで。あと、日本のバンドなんですけどザ・ブルー・ハーブ観たいんですよね。

橋本 うん、気になる! 国内のアーティストは、どういうステージをするんだろうって。フジロックって場所で、どういう感じでやるんだろうって、観てみたいっていう気持ちがあります。

― なるほど。では、チャットモンチーがどんなステージングをするのか楽しみにしているフジロッカーズのみなさんにメッセージをお願いします。

橋本 バンドで出るのが初めてだから、すごくテンション上がっていると思うので、楽しみにしていて欲しいです。出演できて嬉しいので、緊張してアワアワとかじゃないと思うので。タイミングよかったら、お客さん全員に観に来てほしいですね。レッドマーキーに集まって欲しいと思います。

福岡 あんまり、チャットモンチーを観る機会のない人はぜひこの機会に(笑)。フジのお客さんで普段チャットを観に来る人、少ないかもしれないですからね。

― 最後にお2人からフジロックへの意気込みを。

橋本 どれくらいの人が今まで、チャットを観たことあるのか分からないから、あんまり考えずにいいライヴをしたいと思います。チャットのライヴが始まってから終わるまでにどんどんお客さんが増えたらいいなって。

福岡 みんな『Twitter』でもやって、「(チャットモンチー)なう」とかつぶやいたりして欲しいです(笑)。

橋本 チャットの時にレッドマーキーが待ち合わせ場所みたいになったらいいんで。

福岡 ライヴを観て、みんなが「あっ!」となればいいですね(笑)。

橋本 そうだね(笑)。

― 「あっ!」となるライヴを期待しています。

福岡 はい、ビビらしてやりますよ(笑)。

橋本 (笑)。ほんまやね。

<チャットモンチー公式サイト> http://www.chatmonchy.com/「きらきらひかれ」
発売日:2012年7月4日(水)
収録内容:M1「きらきらひかれ」、M2「カリソメソッド」
発売:キューンミュージック

写真 Chieko Kato
インタビュー&文章 小川 泰明

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