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インタビュー

    『ボラフェス』主催者インタビュー 〜フェスティバルというボランティアの入り口

    震災から1年半以上、現地・東北ではガレキの処理や鉄道の復旧作業などが終わらず、今も復旧に向けての取り組みが各所で続いている現状。そんな中で、東京など遠く離れたところからできることって…と思う時があると思います。それに対し、ひとつの答えになりそうなフェスが始まります。

    ボランティアフェスティバルジャパン、通称ボラフェス。9月29・30日に都心から程近い山梨県・道志の森キャンプ場で開催されるこのフェスティバルは、ダチャンボやクロマニヨン、シンゴ2など名だたるアーティストをラインナップし、そしておそらくこの規模で国内最安値となる5000円(一日券3000円)で楽しめます。しかも、フェスの名前が指す通り、ボランティア参加経験のある方は無料にもなるという…一体どうしてこんな”おいしい”システムで開催されることになったのでしょう。発起人の菱木豊さん、広報担当の田中馨(けい)さんにお話を伺います。

    フェス開催の目的は「楽しい」ボランティアを知ってもらうこと

    ―まずはこのボラフェス開催についてお伺いしたいと思います。開催の経緯を教えてください。

    菱木(写真。以下H):去年の9月、友人に誘われて初めてボランティアに行ったんです。それまでボランティア活動のことは知っていたけど(作業が)つらそう、苦しそうって思ってなかなかできず、コンビニでお釣りを募金箱にっていう程度で。でも実際に行ってみたら全然苦しいとかじゃなくて、充実感や満足感、楽しいっていう感覚があったんです。例えば以前石巻で、建物からウレタンの壁を剥がすっていう作業を10数人でやり、すべて剥がして200袋くらいに詰め込むという作業があったんですけど、終わった時はなぜかこっちが達成感で「ありがとうございます!」って言っていたんですね。本来逆じゃないですか(笑)。

    ―たしかに、僕は参加したことがないので、その感覚っていうのは意外に感じますね。

    H:で、ある時友人と「まだ全然人出が足りない、なんでだろう」って話になった時、まず僕らのように「やってみて楽しい」っていう感覚に気付かないと、って思ったんですよ。じゃあどういった人なら気付くだろう、来てくれるだろうって考えて、自分が思うボランティアと似た感覚のものを考えたんです。で、仲間とどこかに行ったり、ハードだけど楽しいみたいなことを体感したり、夜は呑んだり…みたいに考えたら、「フェス行く人たちだ!」って。フェスティバルとボランティアの感覚がピッタリハマるって気づいたんです。

    ボランティア参加した僕自身フェスが好きだし、向こうで知り合った人たちもそんな感じでした。なのでそういう人達に向けてボランティアを「楽しかった、また行きたい」って気づいてもらえるようフェスをやろう。でも単にやるだけではいけないから、ボランティアに参加した人はタダにしようって思ったんです。それで「フェスただでいけるなら」ってきっかけでボランティア参加してくれる人もいてくれたらいいなって思ったのがはじまりです。

    ―なるほど。きっかけ、のフェスなんですね。

    H:開催は、もともと東北でやろうと思っていました。ただボランティアって関東からの方が多くて、ボランティアに来たり関心を持ってもらうためのフェスで東北に来てもらって、再度何かの形でまた東北に…って考えるとハードルが高いなって思ったんですね。だから門戸を広げて、来やすい環境をまず作るのがいいんじゃないかなって思ったんです。それで関東からのアクセスを考え、新宿から2時間程度でいける道志の森がいいんじゃないかなって思ったんです。

    ―たしかにそういうアクセス面だとこちらになるかも。道志の森…いいですよね。

    H:そうなんです。フェスでは夜キャンプファイアーを焚いて、参加者やブース出展などでいらっしゃった東北の方などと話せる場を作りたいと思っているんですが、道志の森ならそういうこともできるんです。

    東北にちなんだ出展

    ―そんな道志の森を使ってのボラフェスですが、実際の規模感はどういったものになるんでしょう。

    H:大体延べ3000人クラス、でしょうか。ライヴのステージとDJ用とで2ステージを展開するほか、ボランティア団体をだいたい20団体ほどお呼びする予定です。フェスを楽しんでもらって、ボランティアの申し込みだったり仮設住宅に住んでいる人たちのアクセサリーを販売したり、写真パネル展示などを見られる。ライヴの転換時にはブースを出している人たちのトークセッションも聞くことができます。

    飲食も色々考えていて、F級グルメ(F=復旧)ってことで気仙沼ホルモンだとか浪江焼きそば仙台の牛たんを出す予定です。あとWAKAMOという26、7くらいの漁師2代目の奴らがいるんですけど現地で有名なわかめやホタテを会場に持ってきて焼いて出したりします。なので買う支援、食べる支援ってのができる仕組みになるんです。

    ―東北グルメぜひ支援したい(笑)いいなー!

    田中(写真。以下T):あとリアス気仙沼、東京在住の気仙沼出身の方々が、子供たちに絵を描かせるワークショップをやっているんですが、その子達が描いた7メートルくらいの絵を会場に飾ろうと思っています。

    ー会場にいる、ということ自体が被災地支援にコミットできるんですね。

    H:ええ。で、今回は営利目的ではないので、売上をすべて義援金として寄付する予定です。チケットを安くしているのもどんどん気軽に来てもらいたいからで、向こうには利益を送りつつ参加する方には東北を知ってもらいたいと思っています。

    さまざまな人の協力から実現した歌

    ー参加、といえばボラフェスがクラウドファンディングサービスのCAMPFIREを使って資金集めをされていたことが興味深いです。

    T:出演者の有坂美香さんが、東京でサンシャワーズっていう100人位の規模のゴスペルクワイヤをやっていらっしゃるんですが、今回東北の方たちと一緒にやろうっていう試みを始めたんです。

    普段東北に住んでいて、震災で苦労されていたり、避難所生活で疲弊されている方をケアするなど頑張ってきたりする方たちも一緒に歌ってほしいって思ったのがきっかけで。そんな人達に無料で来てもらって、つかの間でもいいから楽しんでもらうために何が何でも来てもらいたい。そのためには早急に資金をということでこのシステムを使いました。15、6人東北からいらっしゃるんですけど、そういった方たちの移動費などをCAMPFIREを通じて集めることができました。

    (募集ページはこちら。106名から610,500円が集まりました)

    ―結果として満額達成、すごいですよね。ぜひ聴いてみたいです。

    T:「わせねでや」っていう曲があるんです。被災地の桂島っていうところで地元商店をやっているおばあちゃんが書いた詞を、地元ミュージシャンが曲にしたものなんですけど。そのわせねでや…「忘れないでね」っていう意味の歌を桂島の島唄にしていこうって、加藤登紀子さんもそれを歌ったりしてらっしゃるんです。その曲をなんとかフェスに持ってこれないかって各所にかけあい、東北サンシャワーズのゴスペルアレンジをできることになったので披露できればと思っています。あと有坂さんはレゲエディスコロッカーズとしても出演されるので、違うアレンジで聴けたらいいですね。

    H:ほかにアーティストで言えば、たくさん出演してもらえる中でもジェロニモブラッドが僕はおすすめです。メンバーのシューイチくん(DJ)は僕がアメリカにいた時に彼のマンションに入り浸っていて、音楽にはまっていったきっかけになった人だったんです。これまで活動していなかったんですけど、フェスをやるにあたって話をしたら、10年ぶりに活動再開ってなったんです。めちゃくちゃ嬉しいですね。

    ―それは主催者冥利に尽きますね。

    H:主催者、といえば…もともと僕はイベント経験ゼロなんです。やろうと決めてからフェスができるギリギリのタイミングの9月になんとかこぎつけた、という感じです。

    開催にあたっては本当にたくさんの人たちのご縁がありました。有坂美香さんが鎌倉でやっているゴスペルクワイヤに僕の母がたまたま入っていて(笑)、昔から僕は彼女を知っていたのでまず有坂さんにお声がけした。そして有坂さんからクロマニヨンのツヨシ君(コスガツヨシ、ギター・ベース)を紹介してもらったし、彼らが北海道をツアーする時にジャジースポーツの社長マサヤ君(MASAYA FANTASISTA)が来ると聞いて「行くしかないっしょ!」って飛行機&鈍行で2時間くらいの倶知安まで行って挨拶したり。

    それからはマサヤ君にアーティストの紹介などお手伝いをしてもらったりしたんです。センスオブワンダー(昨年茨城で開催されたフェス)主催の小林さんにもいろいろ入ってもらっているんですが、それもきっかけは出演するダチャンボのeiji君(ベース)から紹介だったし。

    これからも「きっかけ」を続けていきたい

    ―お話を伺って内容が盛りだくさんだなと感じます。参加を通じて、ボランティアに興味を持ってもらったり、すでに行った人は振り返ってもらうといういい機会になりそうですね。

    H:というより、ボランティアって去年行ったきりになってる方も少なくないと思うんです。昨年7、8月だと20万人だったのが今もう2、3万人。もちろんニーズは当時より少ないとはいえ、まだまだ人出が必要です。

    ―10分の1…というのは少ないです。

    H:なので、当時行かれた方にはあれからどうなったのかっていうことを知り、リピートしてもらうきっかけになればなって思っています。ボランティアじゃなくても観光でもいい、東北にまた行くきっかけになればと。いろいろな形で東北に目を向けてほしいなって思うんです。

    東北の人たちにとって一番怖いのは風化していくことだから、僕らはそこに毎年皆さんの目が向くようなことをやっていきたい。5年、10年と続けていけたらって思っています。(了)

    ===

    インタビューは以上です。主催者の皆さま、フェスティバルを心待ちにしている我々や、なにより「わせねでや」という東北の人びとのためにぜひ頑張ってください。

    ということでこのボラフェス、いよいよ開催が今週末に迫っています。再度となりますが、ボランティア経験者は以下のボランティア活動保険加入カードを入り口で見せれば無料で入場可能です。もしまだお手元にあるのであれば、ぜひ今週末は道志の森へ!

    距離的なハードルで参加が難しいという方は支援金という形でもサポートできるそうです。ぜひ成功させて、楽しく実りある週末を過ごしましょう!

    Text ryoji 丸山亮平
    Photo 北村勇祐

    ■ボランティアフェスティバルジャパン
    http://www.volafes.com/
    9月29日(土) 開演11:00〜終演23:00
    9月30日(日) 開演11:00〜終演19:00
    道志の森キャンプ場
    〒402-0222 山梨県南都留郡道志村下善之木10041