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インタビュー

    『Hostess Club Weekender』企画担当、飯沢さん インタビュー

    今年のグラミー賞で6部門を受賞したアデルを筆頭に、アークティック・モンキーズ、シガーロス、そして今年のフジロック・フェスティバルの3日目にトリを飾るレディオヘッドなどそうそうたるアーティストが所属しているレーベルをみなさんご存知でしょうか。
    このレーベル、今年からイベントやマーチャンダイズの展開をする関連会社の<イーノス>とタッグを組んでフェスティバルをやっており、今月には2回目が行われます。そのイベント『Hostess Club Weekender』の企画を担当した、イーノスの飯沢さんにインタビューをしてきました。このインタビューを通して、インディーの音楽ファンの方にはお馴染であるホステスというレーベルの新しい一面を知っていただけたら幸いです。

    ― まず始めに、ホステスはインディーやロックのイメージが強いのですが、これがレーベルの顔ってアーティストはどなたと言えますか?

    ホステスには元々、マシュー・ハーバートというアーティストがいるんですけど、そこから始まったもうちょっとクラブやエレクトロニカ系のレーベルだったんですね。そこから海外関係者の繋がりや紹介でリトル・バーリー、アークティック・モンキーズを扱う機会が出てきて、どんどんロック系も盛んとなり、会社も大きくなっていったという印象です。アークティック・モンキーズはファースト・アルバムをリリースする前のシングル段階から行っており、このバンドによってホステスを知った人も多く、それ故ロック色のイメージもホステスについたのかもしれません。その後レディオヘッド等も一緒に仕事を行う機会が出てきました。

    ― ホステスのスタートはロックじゃなかったんですね。そして、レディオヘッドはフジロックの3日目のヘッド・ライナーです。フジロックのラインナップを見渡すと、ホステスのアーティストがたくさんいますけど、中でも注目のアーティストを教えていただけますか?

    カリブー(2日目ホワイト・ステージ)がレディオヘッドの前座にも抜擢されているんですけど、元々はクラブのシーンですごく活躍をしていて、最近はバンドとかでもライブしているので、ロック系を聴く人の中でももっと多くの人に知ってほしいですね。ピュアリティ・リング (2日目レッド・マーキー)も気になっています。あとはやっぱりレディオヘッドですかね。グリーンステージで観ることが出来るのは個人的にも楽しみです。

    ― 飯沢さんご自身、フジロックに行かれたことは?

    最近は仕事で毎年行っているんですけど、初めて行ったのは大学1年生の時で。一緒に行くと言っていた友達が『ライジング・サン』に行くと言い出して。私は高校生の頃からフジロックに憧れがあったので、1人でフジロックに行ったんです。スーパーカーやコーネリアスが観たかったんですけど、コーネリアスが入場規制でレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)を仕方なく観ていました。でも、ライブを観てレッチリすごいなって。

    ― 僕も大学1年生の時に初めてフジロックに行きました。高校生にとっては金銭的にも、行くのが難しいんですよね。飯沢さんはフジロックにどんな憧れをもっていたんですか?

    元々、その時に洋楽にすごい興味があったわけではなくて、邦楽のインディーのアーティストが好きだったんですけど、そういうアーティストがフジに出演しているイメージがあったのでそれで漠然と。

    ― 行ってみての感想はどうでした。

    山の中でアーティストが何十個もでて、屋台もあって「すごくいい場所だな」って思いました(笑)。単純に楽しかったです。

    ― 異議なしです(笑)そして、今年からホステスでもアーティストがたくさん出るイベントが行われるようになりました。ホステスがこのようなイベント『Hostess Club Weekender』を行うようになったきっかけは、なんだったんですか。

    現在、ホステスに所属しているアーティストは比較的にロックのアーティストが多く、大物からインディーと幅広くいる中で、例えば、小さいインディーのアーティスト(今回のイベントで言う、エックスラヴァーズやウィリス・アール・ビール)が話題になりかけているのに、なかなか来日のチャンスがない。その様な場合、単独じゃ最初から(動員が)厳しい。そこで、うちの会社のアーティストを組み合わせて中堅どころから小さいバンドを並べ、より多くの人にインディーのアーティストを知ってもらえるきっかけになって欲しいと思って始めたのも1つの理由です。また、イベントをメインに行っているイベンターさんだと(アルバム)リリース後じゃないと比較的呼びたがらないという傾向もあります。リリースのタイミングである時やリリース前などにも呼んでプロモーションも含めてやりたい、このタイミングでアーティストのライブを観てもらいたい、というのもあって。うちが主導を取ったら、プロモーションの流れでタイミング良きところで呼べる、というのもきっかけにあります。

    ― 若いバンドが日本でライブをやれるなんて喜ぶんじゃないんですか。そして、レーベルがプロモーションを一生懸命やってくれるのは、すごく嬉しいですよね。

    やっぱり、日本でライブをしたいというアーティストは多くいます。単純に来日が出来るって喜ぶアーティストもいますし。ちなみに、前回出演したアーティストから「(アーティストの)組み合わせが良かった。お金を払ってでも来たかった」と言われました。これは嬉しかったです。なので、アーティストの流れや、同じようなシーンみたいなところはちょっと意識したりしていますね。フジロックやサマソニだと、ステージの数も多いですし、出演するアーティストもやはり多いのでバラエティに富んだラインナップが魅力的だとは思います。しかし、Hostess Club Weekenderでは今のところ1つのステージで、2日間にわけて10アーティストという限られた中でやるので、組み合わせがとても大切になってくるのと同時に、逆にそこが良い面というのもあるかもしれません。

    ― このイベント、Hostess Club Weekenderという名前がとても面白いですよね。レーベルの名前がフェスの名前に入っているのって、珍しいと思うんです。

    これは結構、名前を出すか出さないかっということはすごく考えたんです。今のところホステスというレーベルの括りではやっているんですけど、後々(イベントが)続いていく中でホステス以外のアーティストが出演するタイミングもくるのではないか。ホステスという名前を出すことでネックになるケースもあるんじゃないかと思ったんですけど。でも結局、名前を出しました。Weekenderっという名前を付けたのは、土日に、週末に開催をしたいという想いがうちのトップに強かったと思います。あんまり洋楽のイベントで週末二日間にわたって、昼から夜までで、都心で楽しめるイベントというものがなかったので。

    ― このHostess Club Weekenderは、都市型のフェスティバルを目指しているのでしょうか。

    いろんな人に言っているんですけど、これはフェスティバルじゃないんですよ。イベントなんです。フェスティバル、という規模ではない。フェスっていうのはやっぱり野外とか、ステージがたくさんあってみたいな感じのイメージがあると思うんですけど、これはたった1つのステージでやるので。けど、「ホスフェス」みたいな感じで呼んでくれている方も結構いましたね。

    ― フジロックもそうですが、1回目の開催は大変なことが多いと思います。このイベントもそうだったんじゃないでしょうか。

    電子チケット(Hostess Club Weekenderは携帯を使った電子チケットを採用)に関しては洋楽のイベントではなかなか使っていないので不安な部分もあったんですが、日本の大きいアーティストではよく使われていて。けど、実際使ってみたら、そんなに苦情とかもなく「入場できませんでした」ということもありませんでした。洋楽を聴いている方はパソコンを結構使っている方も多いので、そこは大丈夫でしたね。ただ、初めてのことだらけだったので、会場の中のお客さんの誘導や動線の確保など、ちょっとした反省点はたくさんありました。でも、思っていたより評判がすごく良くて。来てくれたお客さんも、いつも馴染のあるイベンターがやっているものではないので「どんなイベントなんだろう?」と思っている人が中にはいたみたいです。しかし、「来てみたら問題なく過ごせた」という声が『twitter』などで見られたのでよかったですね。
    また、前回は入退場を不可にしたのもあったので、お客さんが疲れたり、スペースも限られているので大丈夫かな?という心配もありました。来てもらった方に「楽しくなかった」っという感想がでるイベントにしたくはなかったので、お客さんが中にいても楽しめる工夫はしなくてはいけないということは心がけていたつもりです。ですので、これも弊社のトップのアイデアですが、転換中に会場のステージに大きい幕を張り、中でずっとアーティストのPVを流していたり、CDを買ってくれたお客さんを対象にサイン会をして、アーティストと直に触れ合ってもらったり、さらにフードのブースのところでもアーティストのライブDVDを上映したりとかして、なるべく転換中もお客さんが楽しめるようにしたらそれは好評だったようです。

    ― そのような転換も楽しめるイベントっていいですよね。CDも輸入盤が置かれるという工夫がなされていましたよね。

    せっかくの洋楽好きの方が集まる機会なので、もっとアーティストの作品を知ってもらいたいっていうのもあって輸入盤のCDを用意してマルチバイをやったんです。そしたら、思いのほか売れたみたいです。また、14時から21時と長丁場のイベントなので正直、1バンド目からはお客さんがそんなに来ないかな?と思っていたら、来てくれているお客さんが多く、1番目からフロアが埋まっている感じだったんですよ。本当に洋楽の音楽好きの方が集まるイベントなんだなぁと思ったので、今後はさらに物販もただ売るだけではなく、音楽好きの人が「こんな音楽とかもあるんだ」とさらにいろんな音楽に触れ合ってもらえる機会になればいいなと思っています。

    ― 前回の反省なども生かし、今月には2回目となる『Hostess Club Weekender』が開催されます。今回のアーティストの並べ方のコンセプトはどんなんでしょう。

    初日は、ギターロックでしょうか。ザ・クリブス、ミステリー・ジェッツ、ギャズ・クームスは、本当にUKロックといった感じだと思うんですけど、そこにあえてクラウド・ナッシングスというUSものを入れています。クラウド・ナッシングスは3月のSXSW(姉妹サイト、Smashing Magでレポートしています)で観てきたんですけど、物凄くライブがよくて。これは多くの人に観てもらいたいなと思っています。
    2日目に関しては、エレクトロやサイケな感じの面白い要素が入ったロック。初日のギターロックに対して、ロックがベースにはなっているんですけど、色が面白い感じかと。ホット・チップだったらダンス寄りですけどエレクトロをすごく取り入れたりしていて、アリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティはサイケな感じだったり。ウィリス・アール・ビールは言葉で表現しにくいのですが、絶対面白い。エキセントリックな感じとかエレクトロとか面白い感じでいければなと思いました。
    あとは単純に、その日の新人バンド、ヒア・ウィ・ゴー・マジックなどが同日のヘッド・ライナーや、その手前のアーティストが好きな人には刺さるんじゃないかなっていうところも考慮していれているかと思います。ちなみに、今回の方が前回よりチケットの売れ行きがいいんですよね。

    ― 通し券はすぐに売り切れているくらいなので、このイベントは2回目にしてインディー音楽が好きな人の集まるイベントとして浸透してきているんじゃないですか。

    そうですね。1回目をやった時ちょっとビックリしたんですよ、自分でも。ナードって言い方だとちょっとあれですけど、本当に音楽好きの人が集まってくれた印象があります。1バンド目から熱心に見に来てくれたお客さんが多かった事からもその様に感じたのですが、中でも面白かったのが、ライブの転換の間に一人で小説を読んで待っているお客さんが結構いたらしいということ。私、それすごいびっくりしたんです。「休憩スペースのところで小説読んで待ってますみたいな人が並んでいたんですよ」というのを聞いて、ストイックだなと(笑)。1人で来るぐらい、それでも音楽聴きたいんだっていう。嬉しいですよね。けど、せっかく音楽好きな人たちがこんなにたくさん同じ場所に集まっている、しかも洋楽という狭い括りの中にいるんだったら、いろんな人に話しかけてほしいですね。フジとかもそうですけど、ああいったところに来る人ってなにかしら共通な趣味とか共通項があるから、もしかしたら職場の人より話しやすい人かもしれないですし。

    ― なかなか話かけられませんよ、実際。他にお客さんの特徴ってありました?

    今話したのと同時に、意外とオシャレな人も来ていたよと言われました(笑)。うちのスタッフがフライヤーを代官山とか(会場から)近いので配りに行ったら、「すごい行きたかったんですよ」、「私の周りの人達で行った人多かったです」と結構言われたみたいです。前回はホラーズ(ゴシックの恰好をしているバンド)が出ていて、彼らを好きな人ってファッションが好きなお客さんが多かったりするので、もしかしたらそういう傾向があったのかもしれませんが、そうなのかと。しかし、自信をもって言えるのは、他のイベントよりも郡を抜いてナード…というか音楽に熱心な人が多いかもしれません。それが売りなのかはわかりませんが、面白いなって思いました。そういう人が集まるイベントなんだってこっちも逆に気がついたんで。

    ― このまま、ナードのイベントとして定着してもらいたいです、本当に。今回イベントに来てくれる方に、伝えたいことがあればお願いします。

    1バンド目から観てください。やっぱり、観なくてもいいよっていうアーティストは無いんですよ。ちょっとでも観たら面白い、いいライブをするバンドが今回も揃っているなと思っています。今回は入退場も自由にしたので、疲れたら適度に休んでもらって、けどせっかくの機会なのでたくさんのバンドを観てもらいたいです。

    ― ナードからオシャレな人が集まり、音楽を楽しむライブやイベント。そして今、音楽を聴いて踊ることが出来る場所が危機に晒されています。フジロックの主催者である日高さん、去年フジロックに出演した坂本龍一さんらが呼びかけ人として、「Let’s DANCE」 の署名運動が行われていますけど、風営法の問題についてどう考えています?

    私ももう署名をしました。大阪のクラブが摘発されてから、風営法の現状が色々と浮き彫りにされてきていますが、ここ最近のクラブでの取り締まりはちょっと度が過ぎている感じがします。クラブには純粋に音楽を楽しみに聴きに来ている人もいて、それこそお酒も飲まないで音楽を楽しむ人も中にはいます。そういった人もいるのに、このまま風営法の規制が改正されなければ、結果的に音楽に触れあう場がどんどんなくなってきてしまうことになるのかと。なにもしないでいると、クラブだけではなくライブハウスやフェスにまで影響を及ぼすものだと思うんですよね。

    ■<Hostess Club Weekender>公演詳細
    出演:
    ・6/23(土):
     The Cribs / Mystery Jets / Gaz Coombes / Cloud Nothings / Exlovers
    ・6/24(日):
     Bloc Party / Hot Chip / Here We Go Magic / Ariel Pink’s Haunted Graffiti / Willis Earl Beal

    開場、開演時間: 
    ・6/23(土)  OPEN 13:00 START 14:00
    ・6/24(日) OPEN 12:00 START 13:00
    会場:恵比寿ガーデンホール
    前売り券:
    ・1日券(6/23): 各日 7,900yen(税込/1ドリンク別)
      → チケットボード、各プレイガイドにて絶賛販売中!
    ・1日券(6/24)+ 2日通し券: 完売!
    ・当日券:
    6/23の1日券のみ、イベント当日入り口付近当日券売り場にて限定枚数にて販売 決定。
    各日 8,500yen(税込/1ドリンク別)
      
    <公式サイト: www.ynos.tv/hostessclub

    インタビュー写真 Chieko Kato
    文 小川 泰明

    ※その他写真 ホステス(古溪 一道)提供