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自分たちのフェスティバルを目指す―TAICOCLUB主催者インタビュー後編

皆さまこんにちは、フジロッカーズオルグです。先週末は残念でしたね…おそらく多くの人々が台風による悔しさをにじませることになったかと存じます(僕もそのひとりです…ギギギ)。じゃあこの気持ちの昇華しどころは…ってことなんですが、それは今週末のTAICOCLUB Camps ’11にぶつけていきましょう!後編となるTAICOCLUB主催者インタビュー。こいのぼり株式会社代表・安澤太郎さんにCampsの話はもちろん、今後の展望についてもお伺いします。

快適さと幅広さのTAICOCLUB Camps ’11

――それでは、まもなく開催のTAICOCLUB Campsについてお伺いしたいと思います。いわゆる秋フェスとして、新潟県湯沢市で2度目を迎えることになるんですね。

安澤(以下Y):湯沢駅からバスでも行けるリゾートホテルが会場になるんですけど、芝生のグラウンドをメインサイトにして、キャンプできるようにしました。会場に駐車場やホテルがくっついてたり、温泉に行くこともできる…結構快適な環境でやります。こういうのって、こういうフェスってたくさんあるといいんですけど、日本になかなか無いんですよね。

――温泉…素敵そうな会場ですね!今現在アーティストもほぼすべて出揃ったということで、お薦めをお伺いしたいのですが。

Y:Bibioはやっぱり初来日ってこともあるので外せないなと思ってます。ほかにもHER SPACE HOLIDAYもこの名義で最後のライヴだってアナウンスがあったりしたので、たぶんこれが最後の機会になるんじゃないでしょうか。

――なるほど…ほかにもポストロック勢はHelios、KYTEと盛り沢山ですね。それにしても今年のラインナップはかなりバラエティ豊かな印象があります。DJだとJuan AtkinsとかJazzanovaなどジャンル幅広くて、ライヴもYOUR SONG IS GOODやモーモールルギャバン、SPECIAL OTHERSなど若い人が聴きそうなものもあれば…

Y:かと思えばGOTH-TRADとか(笑)。あとはLuminous Orangeみたいなベテランも呼ぼうとしています。そういう“古き善き”っていうところもあって、こういうバラエティの中で出合いみたいなのがあるといいなって思っています。新旧おりまぜたいんですよね。入り口を広くしておくことで、若い子が聴く音楽を広げていったりしたら素敵じゃないですか。

――ですね、やっぱりそういうのってフェス体験ならではの“成長”だと思います。ちなみにこうした秋フェスですが、TAICOCLUB Campsの前はTAICOCLUB KAWASAKIという都市型フェスティバルも開催されていましたね。つい先日、残念な結果になってしまったFREEDOMMUNE <ZERO>同様、結構風がすごかったと伺っていますが…

Y:あー…「戦後最大」みたいなすごい台風がきていて、数日前から「うわー」って言ったりしながらずっと台風情報見てましたからね!「うおっ、ちょっと曲がった!」とか言って(笑)東扇島東公園、ロケーションとかすごくいいんですけどさえぎるものとかほとんど何も無いようなところなんで、なにかあると風が強ったりして、ちょっと何かあるとテンパりますね…。当日までわかんないっていうのは怖いですよ。その点TAICOCLUBは過去の天気予報なんかも調べながら確率的に雨の少ない梅雨入り直前という時期で毎年開催していて、そのおかげか天気には恵まれてる方です。

――Camps、KAWASAKI…Taicoclubという名前の下、いろいろな形でフェス、イベントを行っていらっしゃるんですね。So Very Showということでクラブイベントを開いたり、アート関連イベントも手がけているとのことですが。

Y:そうですね。今って色々なフォーマットがあるじゃないですか。楽しみ方ひとつとっても、現場で音を聴いて楽しむのはもちろん、逆に終わってから色々話したりっていうのも楽しいとか。あとSNSで仲間を募ってフェスに行くっていうことって以前はなかったようなことが、今は珍しくない。そういう、音楽を通した何か新しい交流っていうのが僕はすごくいいなと思ってるんです。だからこそ、僕らからもあらゆるフォーマットでその場を提供したい。そのために形を変えるっていうのは全然アリだと思っていますし、その過程で例えばタイコクラブをいきなり辞めてみるのもアリだと思っています。

――そういった話はスルーして(笑)少しタイコから離れカルチャー全体に目を向けたいと思いますが、その前に安澤さんって他のフェスに足を運ばれたりしていますか?

「そろそろ卒業、っていうもんじゃないと思うんですよね」――フェスティバルカルチャーについて

Y:国内外問わずフェスには行きます。2002年ぐらいからなんですごく昔からっていうわけでもないんですが。フジロックにも今年は行けませんでしたが結講行ってますよ。ベストアクトですか?なんだろうなー、こういう質問ってやっぱり難しいですね…。あ、アーティストじゃないですけど、初めて行った時は思い出深いですね。終電で深夜に越後湯沢駅に着いたんですけど、駅から会場まで歩ける距離ってなぜか勘違いしてて、歩いて向かったんですよ。(※車でも30分くらいかかりますヨ!)

――ええええッ、徒歩?!

Y:なんか暗い山道をグルングルングルングルン曲がらされたり、すんごい長い真っ暗なトンネルを抜けて、しまいに「あーこれ無理だ」って思って友達に助けに来てもらいましたね。いやー怖かった!トンネルとかも歩道がないようなとことかあって車すげー怖くて…それが初回の思い出ですかね(笑)

Photo By Yusuke Kitamura

Y:あとは…海外のフェスだとドイツのフュージョンフェスティバルが好きですね。「地元のフェス」ってかんじで有名な人が出るってわけでもないんですけど、もう近隣の人みんな行くんですよ。そういう年齢問わず感っていうのがすごくいいなって思います。

――海外フェスはそういうところがありますよね。僕もグラストンベリーでおじいちゃん婆ちゃんが手をつなぎながらポールマッカートニー観てたっていう光景を忘れられません。

Y:そういうのってすごいですよね。日本もまだ20年していないようなフェスの歴史ではあるんですけど、みんなだんだん子どもを連れてくるようになったりとかしていて、そういう感じが徐々に日本も…っていう期待はあるんですけど。でも一方で日本は「まだ行ってんの?」みたいなところたまにあるじゃないですか、「そろそろ卒業」って言っちゃうみたいな。音楽ってそういうもんじゃないと僕は思うんですよね。好きなものは好きでいい。何歳でやっていてもいいんだって、そうなっていくといいなって思っています。

――フェスティバルカルチャーが定着していくことで、そういう考えがどんどん柔軟になったり、変わっていくといいですね。

Y:定着…そうですね。定着といえば、楽しみ方が多様化したっていうのは感じますね。音楽一辺倒だったのがキャンプ志向になったりとか、そこでさらに何か別のものを見つけたり、つながったり広がったりとかがあるような…。ただ逆に、予定調和なものが増えて行ったりする傾向もあって「もっと面白くなってほしいな」って思ったりもします。マナーがいい反面、受け身になってしまっていることへの懸念というか。作る側に求めすぎるというところもあるような気がしていて…。そういう環境に行くんだから、ライブハウスと同じ感覚じゃなくてもっと自分で何とかするって気概でもいいんじゃない?っていうのもやっぱあるんですよね。せっかく外で遊びに行くんだからっていう。独りで切り開くのか人と助け合うかは分からないですけど。

――フェスティバルカルチャーともしかしたら離れるかもですが、Ustream中継やDOMMUNEなど新しいシーン、楽しみ方も出てきています。ああいった文化に対してどういったご意見をお持ちですか?

Y:そこは…うーん…。たとえば手軽さハードさと、あと楽しさっていう2軸があったとして、野外アウトドアフェスの「ハードかつすげー楽しい」っていうところがネット中継によって「手軽にそれなりの楽しみを味わう」っていうところに行く人も増えてきたような気がします。それに対して僕らがどうしていけばいいのか、これはスタッフともよく話し合っていますね。この軸のバランスというか、そこに人が流れる様子っていうのは見張っていないと、おそらく野外アウトドアがあっさり別の方向に流れていくんじゃないかと思うんです。そこらへんはちゃんと考えないと…「フェスはいい!」って言っててもちょっとしためんどくささに負けるみたいなことが増えていくんだろうなーって思っているんです。お金の面でもケータイ代には1万5千円出すけど、フェスには…とかいう選択肢が多様化していくことで、お金の使うべき先がこっちに向かなくなるってのはありえますからね。

TAICOCLUB裏話。あの人がきた!あの人が来る?!

――現場についてはいかがですか?タイコクラブをずっと眺めてきた立場から、そこに集まった人の変化ってのを感じたりするものがあれば教えてください。

Y:子どもが増えた、ってのは確実にありますね。あとは女性が増えた…っていうか女性が元気になったっていう印象がありますかね。当初はなんか男性がガツガツしてるイメージだったんですけど、年々女性の方がパワフルになってきている印象です。フェスの会場でもキャッキャしてるし走りまわってる(笑)っていうのを感じます。女の子元気ですよ!

――元気な女の子といえば土井亜紀…!ということでタイコの会場ではドラマ『モテキ』の撮影を一昨年、去年とされていましたね。主演の森山未來さんはいかがでしたか?

Y:あの人、めっちゃ踊ってましたよ!Cycloっていう人達の、めっちゃ少ない、ビキビキいわせる系の音が出ていた時なんかもめっちゃ踊ってた!普通に音楽大好きなんでしょうね。

――(笑)ほんとタイコはいろんな角度からお話を聞ける、バラエティに富んだフェスですね。今後さらに新しい異文化を取り入れてみようっていうチャレンジはありうるんですか?

Y:そうですねー、アーティストで言うと、あのアイドルなんかは何回かお声がけしてるんですけどねー、今年のCampsの時はドイツに行っちゃってるみたいで…。なんか最近彼女たちもどんどんメジャーになっていくんで、いつか出てほしいなって思ってはいるんですけどね(笑)。

――わーそれすごい!決まったらすごそうですね。誰の裏になるんだろう…なんかものっそいノイズとかだとすごいことになりそうですね!

Y:Aphex Twinがバッキバキにやってる裏とか(笑)もしホントに実現したらすごそうですよね。

――いやー、ぜひ観たいものです、マジもうほんと来年速攻でお願いします。ちなみに、TAICOCLUB 2012っていうのはもう眼中に(取材は8月)?水面下での交渉とか始めたりしていらっしゃるのでしょうか。

Y:来年もやります。交渉だってもちろん始めていますよ。海外のアーティストだと、やっぱり本国というより国外フェス同士での取り合いになるんですよね。海外だとテクノ「だけ」のフェスでキャパ8万10万とか、当たり前のようにあったりするじゃないですか。するとギャラの方もおのずと違ってくるわけで、そういうところでの取り合いになると勝ち目がない。ただ、そういう時だからこそ、どれだけこちらの想いを伝えられるかっていうところが重要になってくるんです。そんな時に過去に出演してくれたアーティストがタイコクラブでの話を”持ち帰って”くれて、それが色んな人に伝搬したりするということもある。やっぱりそういうことは積み重ね、蓄積なんでしょうね。

Photo by Yusuke Kitamura

――海外アーティストの本国の伝搬っていうのは嬉しいですね!いずれ歴史を帯びてきたら、タイコのステージ上でアーティスト同士の共演なんかも出てくるんでしょうね。

Y:いいですね、国内外問わずでそういうシーンがみたいです。タイコの目標のひとつには「日本のアーティストが国外に出ていくキッカケを作る」というものもあるんです。タイコクラブという場で海外アーティストとコミュニケーションが生まれて次の展開につながって…というのが理想で、国内外で線が引かれるのは違うなって思ってるんですよね。日本のアーティストだって素晴らしい音楽をたくさん作っていて、伝えられるものたくさんあるじゃないですか。だから海外でやるきっかけを作ったり、向こうのレーベルに声がかかったりとかつかむ展開をアーティストにもしてほしいなっていうのはありますね。それはまだこれからですかね。

――なるほど…!お話を聞いていると、なにか今後の新しい展開にはパーティオーガナイズからマネージメントにっていう可能性も出てきそうですね。

Y:(笑)、でもやりたいですよ。海外に事務所構えて日本のアーティストをたとえば海外のフェスに送り込んだり、その逆なんかもやって、自分たちで仲立ちというようなことはしたいです。そういう人がいれば(日本のアーティストも)やれると思うんですよね。単発とかじゃなくて日本のシーンごと行ったりしたら、何かしら行った先で生まれると思うんですよ。だから継続的にできる仕組みが…いやほんとやってみたいです。(了)

 

安澤さんご協力ありがとうございました!そして、驚きの情報を交えたインタビューとともに、「あのフェスにはちょっと他にはないマッタリ感というか…なんかいいんだよねー」みたいな話を友だちから聞いたことのある方が、インタビューを通じTAICOCLUBの魅力というものを少しでも感じ取れたら幸いです。

で、そのTAICOCLUBですが、秋フェスのCampsはいよいよ今週末に迫ってきています!今のところ台風の影響は無さそうなので、まだ今年の夏が消化不良だって言う方やキャンパーさんはリベンジだ―ッ!!オフィシャルサイトではすでにタイムテーブルも発表されております。ぜひチェックしてみてください!

■TAICOCLUB Camps ’11

http://www.taicoclub.com/

9月10日(土)~11日(日) オールナイト公演

開場/開演:
開場 9月10日(土)13:00 / 開演 15:00(予定)

開催地:
新潟県中魚沼郡津南町「ニュー・グリーンピア津南」

東京・大阪・名古屋発着のバスツアー及び会場内ホテル宿泊予約は以下をご覧ください。
http://www.taicoclub.com/tour/camps11/ja.html

前売券 ¥11,000 前売駐車券 ¥3,000/1台
当日券 ¥12,000 当日駐車券 ¥3,000/1台

 

Text by Ryoji
※クレジットのない画像・写真はすべてTAICOCLUB提供。上から3枚はTAICOCLUB Campsの模様です。

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