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自分たちのフェスティバルを目指す―TAICOCLUB主催者インタビュー前編

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、キャンプの秋、フェスの秋、そして、タイコの秋……!!ということで9月を迎えたわけですが、フェスティバルシーズンは相変わらずホットでございます。今回は気鋭のフェスTAICOCLUB&来週に迫るTAICOCLUB Campsを運営する、こいのぼり株式会社代表・安澤太郎さんにお話を伺います。ダンスミュージックやポストロックをはじめとする旬のブッキング力と、こだまの森をはじめ各所で心地よさあふれる会場の雰囲気づくりにより、6年目ながら国内大型フェスと方を並べる知名度のTAICOCLUB。前編となる今回はまずそのコンセプト面にフォーカスを当てました。

「入念な手探り」から始まったTAICOCLUB

――それではまず、ネーミングからお伺いしたいと思います。「TAICOCLUB」、そしてそれを運営するのが「こいのぼり株式会社」と、それぞれユニークなお名前ですね。由来はどういったところからきたのでしょうか。

気さくに色々なことを話してくれた安澤さん Photo By Yusuke Kitamura

安澤(以下Y) : 音楽の骨格になっている「タイコ」、そして自分たちのバックグラウンドでもある「クラブ」ミュージックから、最初は適当に「足してTaicoclubで良くない?」ってなったのが由来ですね(笑)。で、こいのぼりっていうのは、一緒にタイコをやろうとしていた他のメンバーの頭文字がM、Aそして私がヤスザワなのでY。3人合わせてMAY=5月ということで、それにちなんだものをって…(笑)。タイコを始めたばかりの頃、初めての人に電話する時とか「こいのぼりです」って言うの少し恥ずかしかったんですけど(笑)今はどちらもキャッチーでいいなと思っています。

――タイコクラブを06年にはじめたわけですが、『フェスティバルの作り方』という本(超オススメ!)にも書いてありましたが、安澤さん達は音楽業界のご出身ではないということですね。この点にはすごく驚きました。

Y:そうですね。もともと私はモデルエージェンシーでモデルのマネジメントをしていまして、音楽業界の出身ではありませんでした。ただ、もちろん音楽が好きだったので遊びには行ってて…で、そんな中で「自分が遊びたいフェスをやりたいな」ってふと思ったんですよ。ちょうど伊豆に移ったばかりのメタモルフォーゼに行って、友達と話していたら「(自分たちでも)できるだろう!」ってなって。そう決めてから、仕事が終わってから友達の家にみんなで集まり、よくある「もし自分たちがアーティスト呼ぶなら…」みたいな話をしたり、色々と調べたりしながら手探り感覚で少しずつ形にしていったんです。

――会場探し、大変だったと思います。

Y:まずオールナイトがマストの条件で、かつ音の配慮として周りに何も無くて、キャンプスペースや駐車場が広い…っていう条件で探していました。場所探しっていうところでは、まあ…その頃からGoogleがすごく便利なサービスを始めたりしていましたので(笑)空から会場候補を”見学”したりとか空いてるスペースを見たりしていましたね。そして最終的に長野県のこだまの森という場所を見つけたんですが、そこが過去にとある野外レイヴで場所を貸した時に嫌な目に遭ったようで、「同じなんでしょ?」って最初は絶対に貸してくれない雰囲気でしたね。

――これも『フェスティバルの作り方』に書いてあったんですが、こだまの森との契約交渉は念入りにシミュレーションを重ね企画書を作り…という本格的な姿勢で説得していったと。

Y:モデルエージェンシーの前に、短い期間ながら企業向けのイベント会社にいたんです。そこである程度交渉の仕方っていうものを覚えていて、それが役に立ちました。あとは自分がどこかフェスに行った時も「こういうところ問題になるんだろうな」っていう想定ができていたので、それをもとにシミュレーションをしましたね。何度も会場に足を運んで、最終的にGoをもらいました。1回目からずっとこだまの森で開催していて、最近は開催前にロケハンなんかで会場に着くと、毎年会うおばちゃんが去年のタイコTシャツ着てくれたりして、そういうのにグッときてたりします(笑)。

――タイコを始めるにあたって「こんなフェスにしたい」というようなイメージ、目標はありましたか??

Y:もともとプロモーターではなくお客さんとして遊びに行っていたこともあり、まずは「自分たちが遊べる、楽しめるものを創りたい」という想いがありました。あとは海外のフェスなんかだとめちゃくちゃお客さんの年齢が幅広かったりするように、世代とかそういった壁とかのない、新しい出会いをつなげる空間にしたいなとも考えていましたね。それでいて規制規制とうるさくなくて、お客さんがみずから考えて動けるみたいな自由もあれば…って。

自分たちの意識は変わらず、今のペースを

――垣根なく、というところでしょうか。そんな想いとともに06年の初回からもう6回を迎えました。初年度の参加者は2500人位で、そこから少しずつ集客と知名度を上げ、ボアダムスの特設ステージを作ったという08年にはついにソールドアウトを迎えます。それ以降も続き、今や国内ビッグフェスの仲間入りとも呼べるような状況ですね。

Y:たしかに08年は転機かもしれませんね。ただ、僕ら自身やっていることは前と変わらないですし、メンバーも当時のまま、なにか特別なことをやり始めたという気持ちはないんです。知名度が上がったからといって色々なフェスと並べられたりすると違和感を感じたりもしますね。規模的なところも含めて「そんなアレでもないんだけどなー」って思うというか。僕らはあくまで自分たちがDIYの気持ちでやってるところがあって、それを保ってきている。これからすごく大きくしたい、というのもないですしね。

フェスティバルをアーティストやお客さん、文化などあらゆる視点から「出合い」の場と見ていたのが印象的でした Photo By Yusuke Kitamura

Y:例えば09年のスクエアプッシャーは演奏中ステージ周りのお店の照明全部消したんです。本人から「ブラックアウトしてくれ」って言う要望があって「じゃあ」って、結果消すことにしたんですけど(笑)。でもその真っ暗になった空間というのが本当に良かった。そういうのって、やっぱり大きなフェスではできないんじゃないかと思うんです。「お店の照明全部消してくれ」なんてフジロックじゃできないじゃないですか。そういうコントロールが可能な範囲を保ちたい、っていうのが僕らにはあります。

――なるほど。そういう見方は素敵ですね…。では、次に音楽の話をお聞きしたいと思います。タイコクラブといえばジャンルの幅広さがポイントの1つなんじゃないかと思っていますが、バンドもDJもあって、かつバンドだってポストロックもスタンダードなロックもある…こういったある種の「ごった煮」感は考えてやっているんですか?

Y:ゴッチャゴチャな感じは意識してやっています。例えばですけど、大きなフェスだといっぱい呼べて、100何組とかそれぐらいになれば自然とバラエティのある形になると思うんですよ。ただ僕らのように、一晩2ステージ、20何組って限られた場合、音楽的にどこかに寄っちゃうと、たぶんそればかりっていうイメージになっちゃうんですね。そうなるとあっち行ってこっち行ってっていう楽しみ方ができなくなるでしょうし、どっちも同じ音だったらそれが嫌いな人はどうしたら…てなるじゃないですか。なので両ステージのバランスは気をつかっています。あとは知らなかったけど見たらよかったっていうのがフェスの醍醐味でしょうから、普段聞かないような音と出合ったほうが絶対に楽しいと思うし。…逆に「なんでこんなのが?」って幻滅ってのがあってもいいと僕は思っていて(笑)。

――バラエティがある中で2回目以降毎年出ている石野卓球などもいたりしますね。タイコクラブの中でアーティストさんといい関係が築かれて…ということなんでしょうね。

Y:そうですねー。卓球さんはもともと僕ら大好きな人のひとりで、だからこそ「いいのかこんなとこ来てもらって?!」って最初は呼びづらかった(笑)でも一度出たら楽しんで頂けるようになりましたね。ほかにも奥さんとお子さんを連れてきて楽しんでもらってるアーティストもいらっしゃいますし、結構みなさん勝手に楽しんでるっていうスタイルが出来上がってきていて、自分の出番が終わったら会場をフラフラできるっていう形で楽しんでいただいてるのかなって。去年のTAICOCLUB Campsの話ですけど、あるアーティストがトーマスブリンクマンていうレコードを自分で作りながらライヴするアーティストを好きで、前で見ていたらしいんですけど、それが終わってからトーマス…が作ったレコードをブン投げたらそのアーティストのメンバーに直撃して(笑)医務室に運ばれていくっていうことがありました。まあ結果はともかくそういうのって面白いですよね(笑)アーティストが普段演奏しているものとは違うジャンルの音が好き、とかそういうの見れるとなんか嬉しいですよね。

――最初の頃と比べて安澤さんに行動や意識の変化みたいなものはありますか?たとえば先ほど「自分たちが遊べるものを」を目標にって言ってましたけど、正直遊べてます?(笑)

Y:僕ですか?んー、だいぶ…遊べるようにはなってきました(笑)。最初の頃はホント数日前とか「もう嫌だ―!」ってなってたんですけど(笑)徐々にゆとりが出てきましたね。会場を見て回らないと分からない空気ってあるじゃないですか。僕はステージ袖とかバックステージがあまり好きじゃなかったりするので、外に出てお客さんや現場を見たりしています。その距離ではじめて見えてくるものってあるじゃないですか。なので最近は若干の余裕とともに、そういうところを楽しむようにしています。(続く)

 

インタビュー前編はココまで。次回はいよいよ来週末に開催を控えたTAICOCLUB Campsの話題のほか、フェスティバルカルチャー全般に話を広げたり次回TAICOCLUBについてのお話にもメスを入れてみました。乞うご期待!

■TAICOCLUB Camps ’11

http://www.taicoclub.com/

9月10日(土)~11日(日) オールナイト公演

開場/開演:
開場 9月10日(土)13:00 / 開演 15:00(予定)

開催地:
新潟県中魚沼郡津南町「ニュー・グリーンピア津南」

東京・大阪・名古屋発着のバスツアー及び会場内ホテル宿泊予約は以下をご覧ください。
http://www.taicoclub.com/tour/camps11/ja.html

前売券 ¥11,000 前売駐車券 ¥3,000/1台
当日券 ¥12,000 当日駐車券 ¥3,000/1台

 

Text By Ryoji
※クレジットのない画像・写真はすべてTAICOCLUB提供

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