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メスティソ(混血)音楽の仕掛人、ジャポニクス代表・小宮山ショーゴ氏インタビュー Vol.1

毎年、一風変わったラテンやメスティソ(混血)のアーティストを呼び、フジロックへと送り込んでいるのがジャポニクス。メスティソのアーティストは、フジ後に噂になることもしばしば。「なんだかよくわからないけれど…」という枕詞がありつつも、その音に触れれば、いつの間にやら大騒ぎしてしまうアーティスト、といっても過言ではありません。

今回、フジにブッキングされたのは、バレンシア(スペイン)のオブリント・パス、ドイツのマテ・パワーといった、ポゴダンスが生まれそうな2アーティスト。両者とも、以前に日本に来たことがありますが、その中で今回フジに出演する日本側のアーティストとの交流がありますので、様々な絡み、乱入が見られることでしょう。

そんなことを訊くうちに、何故か、ジョー・ストラマーの裏話も飛び出しております。それはやはり人間臭いというか何と言うか…思わずニヤリとしてしまうエピソード。それでは、ジャポニクス、小宮山ショーゴ氏インタビューの始まりです。

ーまずはバンドについて。オブリント・パスは20年近く活動しているベテランなんですが、ここ数年で急に情報が入ってくる様になりましたね。マテ・パワー(ドイツ)は、すでに日本ツアーも慣れたものですが、何か新しい情報や、企みといったものはありますか?

オブリント・パスはヨーロッパのでっかいフェスを回ってから日本に来るんだよ。スペインではとんでもなくビッグなバンドなんだよ。今年になって日本でもレコードが出て、フジがあって、ライヴなんか見たら話題になるんじゃない? オブリントは、FCバルセロナが優勝した時にカンプ・ノウでライヴをやったこともある。リーガ(・エスパニョーラ)のトップチームのメインスタジアムでライヴするなんて、凄いことだよ。

今回は、メンバーがひとり増えて、バスクのトリキティシャ(※1)が入ったの。バレンシアのドルサイナ(※2)にトリキティシャ…いろんな「地方」が入ったロックで、スゴいライヴになるよ。これは本当にヤバい。とりあえず、見てほしいね。

(※1)トリキティシャ:バスクのボタン式アコーディオン。フェルミン・ムグルサエスネ・ベルサ参照。
(※2)ドルサイナ:2枚リードの木管楽器。チャルメラのような音が鳴る。

マテは、今回で4回目の来日かな。スカやクンビアで、ロックを鳴らすんだよ。フジロックの時には、ブルー・ハーツの梶くん(梶原哲也)と、コパ・サルーヴォのピーチさん、あとはタートル・アイランドのゴージャスが参加するね。ツアーする時のパーカッションは、関東の場合はピーチさんで、関西がゴージャス君なんだけれど、フジっていうことで全員でやったら面白いんじゃないかなって。ラテン音楽だから、ティンパレスとかいろいろ入ってね。ちょうどロホ・レガロ(カフェ・ド・パリ出演)も出るじゃない? 前にロホともツアーをしたことがあるし、お互いのメンバーがライヴに参加するってこともあるよ。苗場食堂のEKDにもディエゴ(B. & Vo.)が参加するかも。このへんはファミリーだからね。

ーなるほど。去年のラ・ルーダマヤカンのように、オブリント・パスやマテ・パワーが岩盤の特設ブースで演奏したりするのでしょうか? マヤカンには、ネイサン・マックスウェル(フロッギング・モリーのベース)が乱入したり、とんでもない状態だったそうですが。

あるよ。去年のマヤカンとラ・ルーダは、ブースの担当者から「今までに見たことがない盛り上がりです!」って言われて、嬉しかったね。今年は、お客さんに配られるプログラムにも載っているみたいだから、チェックしてみて。フジって、世界一予定通りに動くフェスだから、時間通りにブースに来てくれれば、とんでもないライヴが見られるよ。

ーその言葉は嬉しいですね! フジってそんなにオンタイムですか?

時間通りに進むなんて、海外のフェスだとあり得ないね。でも、一回だけフジで経験があるかな。トドス・トゥス・ムエルトスを呼んだ年(’99)に、リー・ペリーが出てて、僕はどうしても見たかった。でも、ジョー・ストラマー(・アンド・ザ・メスカレロス)もすぐ後にグリーンで演奏する予定だった。ちょっとだけ見て急げばジョーに間に合う感じだったんだけど、パッ、って横を向いたら、そこにジョーがいた(笑) 彼がいる間はずっと見ていられるってことよ。

ーそんなことがあったんですか。ちなみにジョーの話、まだまだ他にもありそうですが?

ラテン・メスティソの連中は、みんなジョーのことが好きなんだよ。トドスとジョーの間にも、面白い話があるよ。僕はトドスのオラシオ(Vo.)と同じ部屋に泊まってたんだけど、あいつが「ジョー・ストラマーに手紙を書こうよ!」って言い出したんだよ。フロントのFAXの紙をちぎってもらって、それに「あなたのファンです」とかいろいろ書いて、フロントの人に預ける形で届けてもらったんだけどね。遊んでホテルに帰ってきた時に、鍵といっしょにもらったのが、やっぱりFAXをちぎった紙だった。もちろんジョーだった。

「トドスはとても注目しているよ。先週、マドリッドにいた時にライヴがあったから楽しみにしてたんだけど、都合が調整できなかった。明日のグリーンは見るから、終わったら一緒に飲もうぜ!」

…って書いてあったんだよ! 次の日は、ジョーが出て、ZZトップが出て、最後にクロージングでトドスだったんだけど、ZZトップが演奏している時にジョーが「挨拶しにきたぞ!」って楽屋にきて。ジョーは数曲ライヴを見たんだって。僕らが楽屋に戻ったら誰も居なくて、お酒も無くなってて。ジョー達は酒を全っ部、飲んで帰ったんだよ。でもジョーだから「許す」ってね。

ーやっぱり、ジョーが絡むと香ばしい裏話が出ますね(笑) あと、やっぱり聞いておきたいのが、クリスタル・パレスのラディカル・ミュージック・ネットワーク(RMN)について。これはショーゴさんが展開してきた『ファイト・フォー・ライツ』というイベントが、フジに呼ばれたということですよね。RMNの名前を冠しているのは一部の時間帯ですけど、その日のラインナップを見れば、ショーゴさんが自身も楽しみな「夢」のような一夜じゃないですか?

そうだね。一番楽しみなのは、トップのアマドゥ・アンド・マリアム。2人なんだけれども、これはヤバいよ。そこから引き継ぐのがマリ共和国からくるDJチームで、これも興味深いね。その次が…シークレット。ザ・クラッシュにレゲエを教えたBADのドン・レッツが繋いで、オブリントが出て、そして僕たちが創ってきたRMN。僕が関わっているのは全部ではないけど、「雰囲気を創る」というのはあるかもね。

最後に出るRMNは、言ってみれば「デザートのイチゴみたいなもの」だね。だけど、『ヴィーニャ・ロック』みたいな流れの中に僕たちが関われるというのは、それだけでも光栄なこと。僕はラテンのアーティストの力を見てほしいと思って紹介してるんだけど、今まで以上に、日本でメスティソの音楽が広まっていくきっかけになるかもしれない。この日はフジロックの歴史としても、とてつもないことが起きるんじゃない? バンダ・バソッティの連中やフェルミンとも話したけれど、「今年のフジロックは本当にスゴい! ヨーロッパでも無理」って。彼らが言うんだから、間違いないよ。

ーあとはやっぱり、マヌ・チャオなんですが、去年の来日以来、今まで以上に交流を深めているんですよね。

そう、マヌは日本中をツアーしたがってるんだよ。彼は、日本の文化や生活スタイルに興味を持ってる。「ショーゴの家はフローリングではなくて、畳なのか?」って聞いてくるくらいだからね。昔、フェルミンのツアーでやったように、お寺に泊まったりして全国各地を回ってみたいとも考えてる。それはまだまだ先のことだよ。でも、彼が「今」日本に来るってことはスゴいこと。是非みんなに「マヌ・チャオ」という存在を感じてほしいね。

今日の夜に予定されているラディカル・ミュージック・ネットワーク2011。フジの出演者も名前を連ねておりますから、前夜祭以前の「前夜祭」をひと足先に楽しんでみてはいかがでしょうか?

RADICAL MUSIC NETWORK 2011:http://www.japonicus.com/jap/rmnf11/index.html

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