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大将に突撃インタビュー! ~今、どうしても聞いておきたいこと~

 

Photo by Riko

6/4(土)5(日)の週末、ボードウォーク・キャンプが行われた新緑の苗場で、日高さんに突撃インタビューを試みてきましたっ(恒例のインタビューの番外編として)。「簡単にならいいよ」と始まった取材は、結果、とても伝えがいのある内容に。日高さんの思いをたっぷりとお届けします。すっぱ抜きもあり!

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■今回一番聞きたいことなのですが、東日本大震災を受けて、フジロックとしてはどのような形で支援を考えているのでしょうか?

日高さん:震災の後、すぐにBenefit for NIPPONのサイトを立ち上げて、まずは4月にロンドンでチャリティーコンサートのジャパン・ディザスター・ベネフィットをやったよね。リアム(ギャラガー)がすぐに動いてくれて、相当な額が集まったよ。

今回の支援は、1年やそこらじゃ済まないと思っている。4、5年か、もっとかかるかもしれないし。俺たちが支援する時は、相手から断られるまでやるんだよ。もういいですよ、って言われるまでね。だから、HEAL NIIGATA(WeSky a Go-Go!)は、今も続いているんだよ。

フジロックでは、東北へのボランティア受け入れ先を紹介していこうと思っているよ。今はNPOと話をしている段階なんだ。受け入れ態勢を十分整えてから、ボランティアに行ってもらおうと思って。

そしてね、義援金は、まず、フジロック運営事務局として一定の金額を出す。あとはフジロックの参加団体や企業がそれぞれ独自の義援金活動をやると思うよ。例えばいろんなブースが入ってるじゃない、そこでの売り上げを出すとかね。それに、フジロックのオフィシャルの物販の売り上げからも出すよ。それからオフィシャル義援金ブースを会場内に数ヶ所作って、お客さんの厚意をもらう形にしようと。フジロックが終わったら、義援金の内容はちゃんと報告するよ。

それからフジロックとしては、義援金の送り先を福島県に絞り込んでやる。原発事故のこともあるし。新潟県の中越地震や中越沖地震の時は、新潟1県だったけど、今回は規模が大きいし、災害の程度も地域によって違う。だから集中しようということで福島県1本にしたんだ。そしてこの支援はずっと続けていくよ。だから来年のフジロックでもやる。もう結構ですよ、と言われるまでやるんだ。

 

■フジロック後の支援も何か考えているのですか?

日高さん:いろんなアイデアはあるよ。ベネフィット・フォー・ニッポンというチャリティーコンサートもそう。ただ、秋になるのか、来年になるのか、誰が出るとか、そこまではまだ決まっていないし、何年やるかもわからない。今は、まずフジロックがあるからね。終わってからいろいろ発表していくつもりだよ。

 

■震災が起きた当日は、どんなことを考えましたか?

日高さん:いろんな雑誌や新聞社から聞かれるんだけどね。「あの時点でフジロックをどうしようと思いましたか?」って。そんなこと考えられるか!  って話だよな。あの状況を見ていてさ、俺は自分の仕事のことなんて考えられなかったよ。あの地震や津波を見て、これは敗戦以来のとんでもない出来事だと。とにかく同じ人間として、自分は何ができるんだろうって、それしか本当に考えてなかった。多分みんなも同じだと思うんだけど。

俺は、日本という国はどんなにバカな政治家がいても、日本の人達は(今回の震災を)絶対乗り越えられると信じているんだ。どんな悲しいことや災難があっても、残った人は生きていく。だから、一番大事なのは、それを信じて、そこに立って、俺たちは何ができるのかを考えていくことなんだ。世の中の噂や自粛ムードに自分の生きていく道が揺らいでしまってはダメなんだよ。そりゃ人間戸惑いはあるさ。あれだけの出来事なんだから。でもやっぱり生きていくんだから、というところに立ち戻っていかないと。じゃないと長続きする支援はできないよ。

 

■先ほど苗場の方々との会話の中で「フェニックス」と聞こえてきたのですが、今年のフジロックで何か新しいものができるのでしょうか?

日高さん:フェニックスね。不死鳥、死なない鳥だよ。神話の中の話だけど。それをパレス・オブ・ワンダーのオブジェにするんだ。もともとパレスのオブジェは毎年変えようと思っていてね。そこに今回の震災が起きたから、4月にロンドンのスタッフと電話でミーティングをしている時にこのアイデアが出たんだよ。お客さんにはいちいち説明しないけど、「みんなで不死鳥になるんだ。再び必ず空を飛ぼう。」という思いを込めてね。

すごくいい映画もあるんだぜ。『飛べ!フェニックス』っていう。砂漠の真ん中で飛行機が不時着して、それを直して再び飛ぶんだ。その飛行機の名前がフェニックスって言うんだよ。60年代の映画だけど、最近になってハリウッドでリメイクもしたね。面白い映画だから興味のある人は見てみるといいよ。

あとはパレス以外でも励ますことができるようなアトラクションみたいなことをやるよ。お盆タワー(オアシスにあるやぐら)の飾り付けや、パフォーマンスだよね。見る人が、そういう意味なのかな、って考えてもらえればいいよ。俺は、こうしましょうとか、こんな風に考えましょう、という押し付けはやりたくないからさ。

 

■震災や原発事故の影響で海外アーティストのキャンセルが相次いでいます。フジロックまであと2ヶ月もありませんが、そのあたりの不安はありますか?

日高さん:ないよ。全然ない。もうキャンセルするならしてるだろ。今の段階では何も言ってこない方が多いんだから。問い合わせがあったのはたった3件だけだったからね。その内2件は、ちゃんと説明したら続行になったよ。俺はもっとたくさん(キャンセルが)出ると思ってたからさ。いつも最悪のことを想定するからね。そこから逆算して対応できるようにする。これは震災があったからじゃないよ。フジロックの1年目からそうしてきているんだ。

 

■今年、「アトミック・カフェ」をフジロックでやるという噂を聞いているのですが?(※日高さんは当時の運営スタッフの一人)

日高さん:反核・脱原発イベントのアトミック・カフェ・フェスティバルね。もう20年以上も前になるけど、音楽を通じて反核・脱原発を訴えていこうということで1984年から始めて87年まで4年間やったんだ。それからもう一度やろうとは考えていたから、今回の原発事故が起きた時に、よし、今年からやろう! って決めた。ジプシー・アバロンで1日1組のステージを「アトミック・カフェ・フェスティバル」と名付けてやるよ。それからNGOビレッジに「アトミック・カフェ」というカフェを作って、そこで原発の色々な資料だとかを展示しようと思っている。福島県産の食材を使ったメニューも出すよ。もちろん使うのは放射線検査で基準値以内のものだよ。

フジロックは1997年の開催からずっと「自然との共生」を目指してきて、アバロンでは、フィールド全体の電力をバイオディーゼル燃料や太陽光といった自然エネルギーでまかなうようにしている。地球温暖化のこともあるし、みんなにエネルギーについて考えてもらうきっかけでもあるよね。だからアトミック・カフェ・フェスティバルを復活させることで、「自然エネルギー重視の社会への転換」をさらにアピールしていくよ。

あとね、『アトミック・カフェ』っていう映画も見た方がいい。50年代の当時、アメリカの砂漠で原爆実験を行っていて、軍が、こうしたら被害は受けないということを説明しているんだけど、それがさ、机の下にもぐりこめとかなんだよ。数キロ先できのこ雲があがって、ブワーっと風がくる中でだよ。こんなバカなものを作って、こうすれば安全だとか言ってるけど、そんなわけがないって皮肉を込めて作った映画なんだ。

 

■当時、どうして日高さんが「アトミック・カフェ・フェスティバル」というものをやることになったのでしょうか?

日高さん:俺はね、フジロックもそうだけどフェスティバルに政治は絶対持ち込まない。だから政治的な思想でやったわけではないよ。俺の友達で元ロッキンオンの大久保っていうのがいるんだけど、フジロックではずっとNGOビレッジの村長をやってもらっているんだ。世界的に反核運動が広がった80年代の当時、彼の方から俺に相談があったんだよ。具体的なものではなかったけどね。そこで俺がすぐ反応して、やろうってことになった。それで、タイトルを考えようってことになって、『アトミック・カフェ』という映画があるよ、「じゃ、それだー!」って。そこにフェスティバルという言葉をくっつけたんだ。

80年代初頭くらいにグラストンバリー(フェスティバル)が、CNDという反核団体を応援していて、売上のかなりの金額を支援に回していたと思う。それの影響もあるよね。俺自身、原子力発電に関しては反対なんだ。はっきり言って、日本という国が電気を使い過ぎなんだよ。まあ経済発展と共ににそうなってくるよね。でも使い過ぎることに慣れてしまって全然セーブしようとしない。だけど自分たちの努力でセーブはできるはずなんだ。海外からも学ぶ必要があるし、日本は非常に技術力に長けているからカバーできると思うんだよね。

原子力発電は、核廃棄物をへき地に埋める処理をしても、それが消えるまでに何万年もかかってしまう。そんな処理できないものが地球上に存在することがダメなんだよ。勘違いしないで欲しいんだけど、ウランはもともと地球上にあるものなんだ。今話をしているのはもともと地球上には存在しない核廃棄物のこと。処理をして、もし間違いが起きたら、地球の環境にものすごい影響を与えるわけだよ。そういうものを使って電力を作るのは反対なんだ。それに、技術的な安全管理や設置基準にも疑問がある。これが俺の考え方だよ。

だから80年代は、なんとか若いお客さんに原子力がどういうものなのかということを理解して欲しかった。別に、怖がれという話ではないよ。「原子力を理解したら、あなたはどう考えるのか?」っていう問いかけなんだ。危険性もあるけど、CO2を排出しない点においては火力発電より優れているし。とにかく、「理解せずになんとなく使っているのはちょっと考えてみませんか?」というのが俺の姿勢。

4年間やったけど、色んな思い出があるよ。アトミック・カフェ・フェスティバルに参加したバンド、ジャーナリスト、作家は、それぞれの表現をしていたね。例えば、野坂昭如さんなんて、お客さんと怒鳴りあってたからね。すごいエネルギーだよ。立派だよ、あの人は。イギリスからは、背中にアンプを積んでギター1本で演奏するワンマンクラッシュと呼ばれていたビリー・ブラッグも来てもらってたね。通訳を通してステージから一生懸命呼びかけていたよ。あとは尾崎豊くんが、演奏中にステージ上にある照明タワーから飛び降りて骨折しちゃった。見ていたけど尾崎くんはものすごいエネルギーだったよね。加藤登紀子さんは、優しく呼びかけるんだけど、でも内容はしっかりしている問いかけだったよ。

今年のフジロックでのアトミック・カフェ・フェスティバルにも、加藤登紀子さんに出演してもらうよ。他にはMANNISH BOYS(斉藤和義 X 中村達也)と、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(SFU アコースティック Ver.)。あとはゲストを呼んでトークライブもやるよ。みんなに見に来てもらって、そしてひとりひとり脱原発について改めて考えるきっかけになって欲しいね。

それからアトミック・カフェ・フェスティバルは、フジロック以外でもやっていくと思うよ。誰がやるか、ということじゃないんだ、「何をやるか」だよ。
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今回の東日本大震災と原発事故を目の当たりにして、正直心が弱っていたけれど、日高さんから震災の支援や脱原発への思いを聞くことができ、安心した部分もあるし、何よりもその意志の強さに励まされました。心の片隅にあった、こんな時にフジロックに行ってしまっていいのだろうか、という思いも消え、fujirockers.orgとして今年のフジロックの様子をしっかりと伝えていかねば! と気合を入れ直した次第です(もちろん、いつも気合は充分ですが)。

そして今回の取材では、予想外の収穫も。

アトミック・カフェ・フェスティバルのすっぱ抜きは先ほどの3組ですが、なんと、それ以外で次回発表されるアーティストの中から1バンドを聞いちゃいました。取材を行った6/4(土)に、「今日決まったんだよ」と。春のジャパンツアーは残念ながら中止となってしまいましたが、彼らが再び苗場に帰ってきます!

JIMMY EAT WORLD

なんだかもう今年は、フジロック史上、見たいアーティストが一番多いんじゃないか!? というフジロッカーも少なくないようなラインナップ。大いに悩みましょう(笑)。これもフジロックの醍醐味! というわけで、残りのアーティスト情報についてはオフィシャルサイトでの公式発表までお待ちください。

Text by Riko

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